第40号 9月27日 日本の稲作文化

校長だより第 40 号
平成 28 年 9 月 27 日
日本の稲作文化
本日(9 月 27 日)雨の合間を縫って 1 年生が稲刈りを行いました。午前中に生物生産科と環境土
木科、午後総合学科2クラスが実施しました。5 月 19 日に田植えを 1 年生全員で行い、今日で 131
日目。この後脱穀、乾燥、もみすりなどの調整を経て玄米ができ、精米することで私たちが食べるお
こめが完成します。ここで、トウモロコシは畑にあってもトウモロコシで、食卓に出てもトウモロコ
シなのに、なぜコメは植物体の稲(イネ)→稲の実である米(コメ)→米を炊いたものであるご飯(ご
はん)とわざわざ 3 つに区別するような呼び方をするのだろうかという疑問がわいてきます。イネ
もコメもごはんも英語では rice というそうです。調べてみたところ、
「米」が日本の文化の中で大変
重要な作物だったから、作物のどの部分がそんな状態であるのかを表したために 3 つに区分されて
いる。とか、生活に密着していたから呼び方も細かく分かれたなどと説明されていますが、どうもし
っくりした感じがしません。
コメは炊いて主食として食べるだけではなく、酒や餅、味噌、醤油などの原材料にもなります。こ
うしてみると米は日本文化の中で重要な存在で、それだけ大切に育てられ、これまでその伝統が引き
継がれてきたのも頷けます。米にまつわる諺も多く、米は生育中も炊くときも水加減が大事であるこ
とから、どんなことでも加減が大事という意味の『青田から飯になるまで水加減』とか、学識や徳が
深まるほど謙虚になるものを米に例えて『実るほど頭を垂れる稲穂かな』など米を大切にしたり、人
生の教訓を示すような諺が多く見られます。
近年、日本は、米の消費量が一貫して減少しています。ピーク時の昭和 37 年度は一人あたり年間
約 120kg の米を消費していたのが、平成 25 年度は約 57kg と半減しています。3000 年以上前から
始まったとされる稲作とそれに伴ってできたとされる祭りや郷土芸能などの稲作とともに引き継が
れてきた日本文化が、今後米の消費量低迷とあわせてどうなっていくのだろうかと少し心配になりま
す。加えて、日本の米は、価格の低下、TPP問題、担い手不足、高齢化など多くの問題を抱えてい
ます。
環境土木科と総合学科の生徒は、授業でイネ、コメについての勉強は行いませんが、今回の手で刈
り取る稲刈り実習を通して、コメ作りが日本文化として定着した経緯や、稲作農家の苦労や農業や農
村のことを考える機会となってくれることを願っています。