37 実環境における防食塗膜の吸水挙動を模擬した新たな促進腐食試験法 より高防食・長寿命な鋼構造物用塗料の選定に向けて 促進腐食試験は試料の耐食性(腐食しにくさ)を評価する試験です。屋外環境で耐食性の優れた塗料を 選定するためには、屋外環境と促進腐食試験で腐食挙動が近似していることが重要です。また、短時間 で評価を実施するためには、腐食の促進性の高さも重要です。近年の塗料性能の向上に伴って、近似性 と促進性を両立した試験のニーズが高まっています。本研究は、近似性については塗膜の吸水挙動に着 目し、塗膜中の水の拡散係数と活性化エネルギーから、屋外環境で生じる吸水挙動を再現できる試験条 件を設定し、促進性については既存の促進腐食試験法を上回る新たな促進腐食試験を実現しています。 乾燥 促進腐食試験の流れ (既存試験1) CCT‐N (新試験) 0.8 0.7 CCT‐A法 8 0.6 実環境 25℃50h (既存試験2) 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 SST CCT‐D CCT‐A CCT‐N 実環境 25℃20h 実環境で生じる 吸水範囲 CCT‐NとCCT‐Aは 実環境と同程度 CCT‐D法 (既存試験3) 0.0 SST: Salt Spray Test CCT: Cyclic Corrosion 鋼・亜鉛とも既存試験を 上回る腐食量(促進性) 1200 320 900 280 鋼 600 240 300 200 0 160 亜鉛 ‐300 120 ‐600 80 ‐900 40 ‐1200 Test 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100110120 水 /塗膜界面からの距離 (µm) 各試験による吸水状態のシミュレーション結果 NTTデバイスイノベーションセンタ 2 亜鉛の単位面積あたり腐食減量(g/m ) 塩水噴霧 SST 0.9 Mt/M 湿潤 塗膜表面 1.0 塗膜含水の進行率(1=飽和含水) 濡れ 塗膜/鋼材界面 2 鋼の単位面積あたり腐食減量(g/m ) 塗膜の吸水挙動 を数値化 SST (既存試験1) CCT‐D (既存試験3) CCT‐A (既存試験2) CCT‐N (新試験) 0 0 5 10 試験日数 各試験による腐食量(促進性)の比較 三輪貴志 ([email protected]) 竹下幸俊 ([email protected]) 石井 梓 ([email protected]) 澤田 孝 ([email protected])
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