1 JA東京グループ 平成29年度 東京都要望 1.

JA東京グループ
平成29年度 東京都要望
東京都農業協同組合中央会
1.
「都市農業振興基本法」の目的及び理念の実現に向けて
東京都では、
「都市農業振興基本法」の成立「都市農業振興基本計画」の
閣議決定を受け、基本理念を実現するために、都市農業振興と都市農地保
全における施策を関係機関等とも協議し、地方計画の策定作業をすすめて
いる。
決定にあたっては、農業者、農業団体、都民、行政が連携し、それぞれ
の役割を果たしながら、特に農業者が誇りをもって農地を保全し、安心し
て力強い一歩を踏み出せる地方計画となるよう要望する。
また、都内の各地域に振興策が展開されるよう、関係部局と調整をし、
区市町村に対する積極的な情報提供等を行うよう要望する。
2.東京農業の振興に向けて
地域の特性を活かしながら、農家が営農活動に意欲をもって取り組んで
いける環境は、都民にたいしても、都内産農畜産物の供給を通じて、東京
農業の理解と関心を深めることができ、都民生活と農家が共存した豊かな
地域社会を築く基盤である。
さらに今後2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催さ
れることから「東京の食と農」を世界にも発信するチャンスであり、供給
体制の構築等の農業施策の充実が求められる。
こうした機会を契機に、東京農業における課題に対して、継続的な予算
措置・施策を講じるとともに、東京農業の基盤をしっかりと築きあげるこ
とが、都民の期待にも応えることになることから、下記の事項について要
望する。
① 学校給食への地場産農畜産物の導入
学校給食への地場産農畜産物の導入は、国の食育推進基本計画にも目標
が掲げられており、東京産の農畜産物の利用促進や、食育の推進、都民理
解の醸成に大きな役割を有している。しかし、地域によって取り組みに温
度差があり、東京全域に広がっていない状況である。特に農地のない区部
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の小中学校では、東京食材を入手することが難しい状況となっていること
から、東京産の農畜産物を提供できるように、各教育委員会等を通じた支
援、供給体制の確立と食材提供農家への支援等を要望する。
② 東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした日本
農業のPRとして、開催都市である東京産農畜産物を積極的に利用するこ
とにより、東京の魅力・日本の魅力を世界に発信することが重要である。
そのためには、需要に応えられる増産対策を措置するよう要望する。
③ 東京農業の発信機能の充実
JA東京グループは、南新宿に平成29年4月開設予定でJA東京アグ
リパーク建設の準備を進めている。このアグリパークは、新鮮で安全安心
な都内産農畜産物の魅力を広く都民にPRする施設として展示即売、軽飲
食の提供、各種セミナー、イベント等の開催とサポートデスクを設置し、
農業や食に関する情報提供、相談対応を行うことを目的としており、平成
28年度においては東京都より地産地消にかかる拠点施設整備費の支援を
いただいている。
今後もアグリパークでは、東京農業の魅力や食の安全・安心、食育の重要
性等を、都民に対し広く情報発信していくので、継続した事業実施にかか
る支援を要望する。
④ 花卉と植木の地産地消の推進
平成28年度東京都予算では、
「花と緑の夏プロジェクト」
事業を措置し、
オリンピックに向けた技術開発や、PR等の支援、
「苗木生産供給事業」に
よる支援等を行うこととなっているが、東京が緑あふれるまちづくりを創
出するためには、その先を見据え東京産の花卉や植木等の緑化植物の、公
共事業での更なる活用を通じ地産地消を進め、都内の緑化をより一層推進
することや、緑化植物の活用に向けた新たな取り組み、消費拡大に向けた
取り組みを検討することを要望する。
⑤ 鳥獣被害対策の拡充
東京都では、東京都獣害対策基本計画に基づき農作物獣害防止事業を実
施しているが、近年、区部や多摩地区においてもカラスやハクビシン、タ
ヌキ、アライグマ等による農作物鳥獣被害が増加傾向にある。このため、
生息状況調査等を行い、詳細な被害状況を把握し、必要な措置の実施を要
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望する。また、農家自ら設置している防除施設により被害を防止している
こともあるので、区市町村への補助事業の中に、農家が設置する防除施設
を対象とするとともに捕獲後の処置等についても行政への支援を要望する。
⑥ 農畜産物の放射線物質検査の対応と自家製落葉堆肥使用自粛の解除
東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故の発生以来、JA東京
グル-プは東京都と連携し、東京都産農畜産物等の計画的な放射線物質検
査を実施してきた。
今後も、東京都産農畜産物等の安全・安心を確保するため、計画的な放
射線検査の継続実施を行うことを要望する。
また、自家製落葉堆肥については、東京都と連携し計画的な検査を実施
し、一定の条件のもと使用できるようになってきているが、自家製落葉堆
肥の使用自粛自体の解除には至っていない。都としても今までの計画検査
への取り組み実績等を踏まえ、国に対して早期解除の働きかけを行うよう
要望する。
⑦ 地域の特性を活かした農業の振興
東京都の農業は、都市部だけでなく、奥多摩の山間地から、亜熱帯の小
笠原まで、環境を活かした農業が営まれている。島しょ部では、離島とい
う立地で、花き・観葉植物やアシタバ、果樹等の生産を行い、島しょ部合
計の農業産出額は283千万円となっており、重要な基幹産業となってい
る。また、農業振興地域に指定されている多摩西部においても特色ある農
業が営まれており、東京全体の活性化においても重要な拠点である。
しかし、農業者の高齢化や担い手不足の問題は顕著であり、今後の農業
振興における大きな課題となっている。
こうした事を踏まえ、都市部とは違う環境での生産基盤の支援等農業振
興策を要望する。
⑧ 低利用農地等の有効活用
農地活用に向けた「農地中間管理機構」等の制度の周知を行い、貴重な
農地の保全・活用を促進するよう要望する。
⑨ 農畜産物のブランド化
生産者にとって競争力を高めることにつながる東京の農畜産物ブランド
化に向けて、
新品種の開発等の試験研究予算の拡充を引きつづき要望する。
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⑩ 普及指導員の増員
現場の第一線で農家に直接農業技術の指導や経営の相談を行っている普
及指導員は、農家にとって必要不可欠な存在であることから、これからの
農業振興に向けて普及指導員の増員を要望する。
⑪ 農業経営の多角化
都市農地の活用として、都民が農業に触れる機会の創出にもつながる農
業体験農園等の開設を進めるにあたり、施設整備や初期費用等にかかる負
担が大きいことから開設費にかかる支援の充実を要望する。
⑫ 都市農業における税制上の措置
農業を営むうえで、農業生産に付随した農業用施設用地や構築物等を保
有し活用していることから保有コストの低減につながる仕組みを要望す
る。
⑬ 自然災害等への対応
台風をはじめ降雪等の自然災害や、農畜産物の病気等に対する対策、発
生した場合の調査、感染防止、根絶等農業生産の再開に向けた支援等の農
家への補償、復旧が十分に行われるよう要望する。
3.国及び政府に働きかけをお願いしたい事項
以上
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