「医療事故・訴訟等関連情報」月報(10〜3月)から

日本看護協会、日本医療機能評価機構医療事故防止事業部、
「看護職賠償責任保険制度」サービス推進室が、医療安全に
関する最新情報を紹介します。
71
Vol.
掛川 弘恵
日本看護協会出版会損害保険部「看護職賠償責任保険制度」サービス推進室
「医療事故・訴訟等関連情報」月報(10〜3月)から
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日本看護協会「看護職賠償責任保険制度」サー
的行為でした。しかし、「看護学生なのに」
「将来
ビス推進室では、医療事故・訴訟等に関連する報
人の命を預かる人間として」等という評価がネッ
道記事を収集・再構成し、「医療事故・訴訟等関
トを炎上させました 。
連情報」
(月報)としてホームページ加入者専用サ
●日本看護協会 HP、看護実践情報のトピッ
イトに掲載しています(表)。本稿では 2015 年 10
クス「看護職が書くブログの光と影―秘
月〜 2016 年 3 月の月報から注目した事案につい
密保持義務の視座から」
1)
て解説します。
上記文書によると、2008 年 1 月現在の総務省の
●病 院職員が職員個人のツイッター上に、
調査で、インターネット上で公開されている国内
勤務する病院の診療にかかわる画像を掲
の総ブログ数は約 1690 万であり、日本看護協会
載していたと発表
の調査において、検索エンジンで「看護師ブログ」
医療技術職員が昼休み中に 1 人でいる際に、ス
と入力すると、ブログそのもの以外も含めて、約
マートフォンで自然流産した胎児などを撮影し、
1580万件がヒットしたとされています。
個人の投稿サイト「ツイッター」に掲載していま
また、「看護職が書くブログは、看護職の仕事
した。外部からの指摘があり、病院は「診療情報
内容やその専門性を理解してもらったり、看護の
の管理体制の強化および職員の意識向上をはかり、
知識を社会に広めたりすることができ、人々の健
再発防止に努めたい」と発表しました。
康の増進の一助にもつながるものであると考えら
今回の事例は看護職ではありませんが、2013
れます。しかしその一方で、ブログの多くは日記
年には看護学生が腫瘍総論の授業で使用した透明
形式のため、個人的な日記に書かれるような私的
袋入りの臓器標本を撮影し、ツイッターに投稿し
な内容や感情が気軽に記載されることが多い現状
ました。その投稿は、ネット上で各方面に拡散さ
もあります。
れるとともに、投稿者の個人名や学校名などの個
そのため、その内容によっては、看護職が書く
人情報がさらされ、投稿者の在籍していた学校が
ブログは、仕事で関わる患者のプライバシーを侵
謝罪し、当該学生は退学となりました。
害したり、職業人としての看護職の品位を損ねた
この事例は、これから専門職としてその態度や
りする可能性も高いのです。
自覚を身につけていく成長過程にある学生の瞬間
書いている本人にはその意識がないことが多い
看護 2016. 10