今日学習すること 電子物理学II (旧 電子物理学) 第2,3回 (2016/09/27,10/04) ◆今日のテーマ 2-3回目 古典物理と 現代物理 現代物理の歴史 現代物理の中で、シュレディンガー 方程式が誕生するまでの 歴史を振り返ります。 古典物理と現代物理 古典物理 量子力学を勉強する前に… ー現代物理学の歴史ー 人間の周りに「目に見える状態で」生じる 物理現象を方程式化 →力学・電磁気・波動・熱力学・流体力学 →20世紀になって相対性理論など (古い=古典物理 ではない) 現代物理 波動関数を求めるのに必要なシュレディンガー 方程式は、現代物理学の集大成ともいえます。 この講義では、2回に分けて現代物理の 歴史をおさらいします。 なぜEE科の必修科目に量子力学が 設定されているのかを考えます。 人間の周りに「目に見えない状態で」生じる 物理現象を方程式化 →量子力学・光学・原子物理学 →完全に「現代物理だけ」ではなく、 切り口を変えて古典物理的に考える場合も ※ 区分の仕方は諸説あります。 ニュートンとマクスウェル アインシュタイン 光量子仮説に基づく 光電効果の理論的解明 光子はhν/cの運動量を 持つと“予測” ニュートン力学 (粒子の運動方程式) マクスウェル方程式 ((電磁波の)波動方程式) 光電効果の法則の発見により 1921年にノーベル物理学賞受賞 古典物理学の礎 プランク コンプトン X線と電子との衝突により、 X線のエネルギーの一部を 電子に与えて、波長が変化 する事を確認。 (コンプトン効果) E=hν (光のエネルギー) =(プランク定数)×(振動数) ※h=6.626×10-34[J・sec] 光のエネルギーは 飛び飛びの値を取る(量子論) 光子はhν/cの運動量を 持つと実験により確認 エネルギー量子の発見により 1918年にノーベル物理学賞受賞 コンプトン効果の発見により 1927年にノーベル物理学賞受賞 コンプトン効果 ド・ブロイ波 n=5 ド・ブロイ n=5.5 原子モデルの変遷 光量子説に影響を受け、 逆に粒子もまた波動のように 振舞えるのではないかと提案した (ド・ブロイ波)。 トムソンモデル 物質波(ド・ブロイ波)の発見により 1929年にノーベル物理学賞受賞 長岡モデル ラザフォードモデル ボーア プランクの量子仮説を ラザフォードの原子模型に適用し ボーアの原子模型を確立 水素原子内の電子が安定に 存在するための条件 (ボーアの量子条件)を確立。 ヤングの干渉実験 光の粒子(光子)がスクリーンに 当たるか当たらないかは 「確率」で決まる (当時は水素原子以外は説明できなかった →ゾンマーフェルトによって解決) 原子構造と放射に関する研究により 1922年にノーベル物理学賞受賞 光の波動性(この考え方自体は古典物理) 光の「波長」と書くくらいなので 光は波の性質を持っている →ヤングの干渉実験などで証明 太陽光スペクトル (1800年代初頭) 古典力学(ニュートン力学)の限界 古典物理: 20世紀初頭までに確立 F=ma、U=mgh+mv2/2 等 20世紀の物理: ◆相対性理論 ◆分子や原子の詳細な研究 ◆「電気」の研究 古典物理の式が使えない! 新たな体系が必要となった! 量子力学 シュレディンガー ド・ブロイの物質波の概念を 元に、シュレディンガー方程式 を導出。 ハイゼンベルク 量子力学を体系化したひとり ある量子の「位置」と「運動量」が 同時に求められない 「不確定性原理」を確立 ボーアの量子論の結果を シュレディンガー方程式で説明。 ボーアの研究所に留学 新形式の原子理論の発見により 1933年にノーベル物理学賞受賞 不確定性原理などの確立により 1932年にノーベル物理学賞受賞 量子って? 粒子性 + 波動性 不確定性原理(ハイゼンベルグ) ある量子の「位置」と「運動量」は同時に求められない。 量子 (波であり粒でもある) どこかに電子がある - 古典力学: (ニュートン物理) 量子力学: 初期条件が決まれば、運動は全て計算できる。 + 確率を考慮しなければ、 量子の運動を完全に求めることができない。 確率って書くと「科学」っぽくない… + + - 電子が止まっている →運動量を考慮出来ない 運動を確率で表現 →位置が固定できない 順方向バイアス印可時のpn接合 I エネルギーバンドの算出方法の流れ 0 量子力学 (アインシュタイン:ド・ブロイ) n型半導体 - 伝導帯 + - 電位差 + + + 価電子帯 - + ブロッホの定理 正孔(+)のエネルギ p型半導体 シュレディンガー方程式 エネルギーバンド シュレディンガー方程式 量子力学=古典物理×確率 (イメージとして) エネルギー固有値(エネルギーポテンシャル) 2 2 [ V (r,t) ]ψ (r,t) ψ(r,t) 2m 波動関数 V 内蔵電界 - - 電子(-)のエネルギ 古典力学 (運動方程式) 半導体設計に大切なこと ① バンドギャップの算出: 光デバイスの波長を左右 ヘテロ接合の界面を制御 ② 状態密度の算出: 熱励起されたキャリアを把握 ③ キャリア密度の算出: 電気特性をコントロール ④ フェルミ準位の算出: デバイス設計の基準線を描画 ⑤ 結晶の連続性・逆格子: 周期性→最小単位を検討 (粒子の密度orの確率波振幅) 古典力学の位置エネルギに相当 古典力学の運動エネルギーに相当 シュレディンガー方程式を解く (波動方程式φを解く)事によって算出できる!
© Copyright 2024 ExpyDoc