平成28年9月号

平成 28 年 9 月号
労働保険事務組合
エンジェル会だより
会
長
特定社会保険労務士
森戸
北野
常雅
栄喜
〒730-0017 広島市中区鉄砲町 7 番 8 号
ホームページ:
http: //www.m-cg.co.jp
9月の事務カレンダー
12 日
○源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付【郵便局または銀行】
○雇用保険被保険者資格取得届の提出【公共職業安定所】
○労働保険一括有期事業開始届の提出【労働基準監督署】
30 日
○法人税の確定申告並びに納税(7月決算法人及び1月決算法人の中間申告)【税務署】
○健保・厚生年金保険料の納付【郵便局または銀行】
ねんきん定期便について
「ねんきん定期便」とは、保険料納付実績や年金の見込み額など、年金に関する個人情報を通知、
確認するために、平成21年4月から始まり、毎年誕生月に送付されています。
平成23年4月からは、インターネットにより年金情報を確認できる「ねんきんネット」も提供
するようになりました。
「ねんきんネット」では、最新の年金記録が確認でき、かつ、未加入や標準報酬月額の異常があ
れば注意を促す仕組みとなっているなど、正しい年金記録を維持管理する上で、貴重なサービスを
提供しています。
「ねんきん定期便」から得られる情報を積極的に活用し、老後の生活設計に役立てることができ
ます。
○「ねんきん定期便」が提供する情報
「ねんきん定期便」が提供している情報から以下の金額が算定できます。
①公的年金の見込み額
(老後の生活設計の目安になります。)
②遺族年金額の見込み額
(民間の生命保険の加入に際し、保障額の目安となります。)
③傷病手当金(厚生年金被保険者)の給付額
(民間の医療保険の加入に際し、保障額の目安になります。)
①公的年金の見込み額について
50 歳以上向けには、現状の給与が 60 歳まで続くと仮定した年金見込み額が記載されています
が、50 歳未満向けでは、今までの加入記録から計算される年金見込み額が記載されています
ので、退職までに自分で準備しなければならない老後資金を試算することが可能です。
<事例1>年金見込み額:月額 15 万円(65 歳受給開始)、退職年齢:65 歳、
定年退職後の期間:25 年、老後の希望生活費:月額 25 万円の場合
老後必要資金=老後の希望生活費-年金見込み額
=25 万円×12 ヵ月×25 年-15 万円×12 ヵ月×25 年=7,500 万円-4,500 万円
=3,000 万円
②遺族年金の見込み額について
遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金からなりますが、遺族基礎年金は子(18 歳未満等)
の人数に応じた定額制(780,100 円+子の加算)で、遺族厚生年金は老齢厚生年金の 4 分の 3
です。なお、加入月数が 300 月に満たない場合は、300 月に換算して計算します。
<事例 2>子(18 歳未満等):1 人、老齢厚生年金の見込み額(年額):300,000 円、加入月数:
120 月(300 月未満)
遺族基礎年金=780,100 円+224,500 円=1,004,600 円(年額)
遺族厚生年金=老齢厚生年金÷119 月×300 月×3/4=562,500 円(年額)
遺族年金合計=1,567,100 円(年額) → 130,592 円(月額)
月額 13 万円程度が受取れるので、生活費が 25 万円必要なら、月額 12 万円(25 万円-13
万円)程度受け取れる 生命保険に加入すれば合理的です。
③傷病手当金の給付金額について
傷病手当金は健康保険の給付金で、業務外の私傷病により会社を休んだ場合に支給されま
す。傷病手当金の給付日額は標準報酬月額の金額を基に計算されます。
ねんきん定期便には標準報酬月額の最近の月別状況が記載されていますので、1 年間の標準
報酬月額の平均額を計算し、その額を 30 日で割り標準報酬日額を計算し、標準報酬日額の 3
分の 2 の金額が傷病手当金の給付日額となります。
<事例 3>標準報酬月額の平均額:240,000 円、20 日間継続して業務外のけがで休んだ場合
傷病手当金=240,000÷30 日×2/3×17 日=90,661 円 (日額 5,333 円)
事例 3 の場合、日額で 5,333 円が民間の医療保険等に加入する場合の目安金額となります。
※傷病手当金は、会社を休んだ日が連続して 3 日間(待機期間という)あったうえで、
4日目以降、休んだ日に対して支給されます。
~当事務所より一言~
◎社会保険料について
7月に提出した算定基礎届により、9月分保険料(10月末引落し分)から新しい標準報酬月額
に基づき、保険料を計算していただきますよう、よろしくお願いいたします。
同時に厚生年金保険料が9月分から改定されます。
平成 28 年 9 月分保険料~
現行
厚生年金保険
17.828%
→
181.82%
台風・ゲリラ豪雨などで車が水没…車両保険で補償される?
「自動車保険」というと、法律で加入が義務付けられている「強制保険(自動車損害賠償責任保
険)」と、自動車の運転者等が任意で加入する「任意保険」とがあります。
自賠責保険は自動車事故の被害者救済が目的であり、現在、補償される範囲は対人事故の賠償損
害のみになっています。また、補償の金額にも上限があり十分な補償とは言い難いことから、自動
車を運転する多くの人が任意保険にも加入しているのではないでしょうか(加入率は 73.1%)。
任意保険には、事故により第三者を死傷させた場合や物を壊した場合の補償(対人・対物)、自分
自身や家族など搭乗者が死傷した場合の補償(搭乗者傷害・人身傷害)、その他、事故により契約し
ている自動車が壊れた場合の補償(車両)があります。ただ、車両を補償する保険(車両保険)の
加入率は 42.1%に留まっており、誰もが当然に加入しているとは言えない状況です。
◎車両保険に加入していれば、ほとんどの場合、水没の補償も受けられる
車両保険には、本当はいくつかの種類がありますが、一般に普及しているものとしては補償の範
囲が広い『一般条件』の車両保険と、補償の範囲が限定された『車対車+A』の 2 つです。そして、
自動車の水没は車両保険の『限定 A』の補償の範囲であることから、一般条件であろうと車対車+A
であろうと車両保険に加入していれば、水没による車両の損害の補償を受けることができます。
言い換えると、車両保険に加入している人は相当の場合を除き、水没による補償を受けることが
できるはずです。
◎水没による車両保険金の受け取りは 3 等級ダウンではない
自動車保険は 1 年間無事故であれば無事故等級が 1 等級アップして割引が進むのに対し、保険を
使った場合には 3 等級ダウンすることは一般に知られていますが、2012 年 10 月から新しい等級制
度(事故の有無で異なる割引率を設定)が導入され、現在は、保険金を請求すると 3 等級ダウンす
るだけではなく、
「事故あり割引率」が適用されるようになりました。
ただ、水没による車両の損害は、昔でいう「等級据置事故」であり、現在の制度では 1 等級のダ
ウンと 1 年間の事故あり割引率の適用です。したがって、昔と比較すれば、それでも一義的にはユ
ーザーに厳しい内容ではありますが、他の事故と比較して保険金が請求しやすいようになっていま
す。
台風シーズンを控え、車両保険に未加入の方は、加入のご検討と同時に、とはいえ車両の水没は、
自分の心掛け次第で、ある程度は損害を未然に防げることと思いますので、損害の防止についても、
意識を向けることも大切と考えます。