心内膜床欠損症 Endocardial Cushion Defect (ECD) 房室中隔欠損症

心内膜床欠損症
Endocardial Cushion Defect
(ECD)
房室中隔欠損症
Atrio-Ventricular Septal Defect
(AVSD)
心内膜床組織の形成不全により発症
5-step approachによる分類
Step.1
卵円孔開存 、心房中隔欠損、単心房
心房逆位、心房相同
Step.4
Step.2
心室中隔欠損、心室逆位
Step.5
Step.3
単心室、僧帽弁閉鎖症、三尖弁閉鎖症
心内膜床欠損症、修正大血管転位症
ファロー四徴症、両大血管右室起始
両大血管左室起始、Taussig-Bing奇形
大血管転位症、修正大血管転位症
総大動脈幹症、大動脈・肺動脈中隔
大動脈縮窄症
心内膜床組織の役割
1.心房中隔一次孔の閉鎖
2.房室管での房室弁の形成
3.房室中隔および流入部
心室中隔の形成
房室中隔とは何?
心内膜床組織
右心房
右心房-左心室間の房室中隔
左心房
右心房
左心房
三尖弁
右心室
左心室
流入部筋性心
室中隔
僧帽弁
右心室
左心室
房室中隔とは何?
左心房
左心房
右心房
右心房
左心室
左心室
右心室
右心室
右心房-左心室間の房室中隔
房室中隔欠損について.1
・本症の形態学的特徴として、
1) 心房中隔の一次孔欠損
2) 房室中隔欠損と心室中隔流入部の低形成( goose neck sign)
心尖部から大動脈弁までの距離に対する心尖部から房室弁までの
距離が短い(正常では同長)
3) 共通房室弁の形態 ( common atrio-ventricular cannal : CAVC )
房室弁が左右に分割されず、共通房室孔が基本的には5つの弁に
囲まれる
・不完全型と完全型に分類される
・血行動態的には、不完全型はASD、完全型はASD+VSDに類似し、
これに種々の程度の僧帽弁閉鎖不全の影響が加わる
房室中隔欠損について.2
・房室中隔欠損症は、先天性心疾患の約2〜4 %を占める
・Down症候群に見られる先天性心疾患としては約40 %と多い
・自然歴と予後では、
1) 不完全型は、ほぼASDと類似の経過を辿るが、僧帽弁閉鎖不全を
合併するため、ASDよりは小児期から症状を呈するものが多い
2) 完全型の自然歴は極めて不良で、大量の左右シャントによる高度
肺高血圧症から乳児期早期の重症心不全やアイゼンメンジャー症
候群に移行する
房室中隔欠損の分類
正常
不完全型
完全型
完全型房室中隔欠損の解剖
大動脈弁
狭い左室流出路
左心室
大動脈弁
左心房
左心室
共通房室弁
房室中隔欠損症の左室造影所見
不完全型房室中隔欠損症の心エコー所見
(四腔断面像)
心房中隔二次孔欠損
不完全型房室中隔欠損
房室中隔
右心房
左心房
不完全型房室中隔欠損症の血液の流れ
肺
上下大静脈
拡張期の左右短絡
ASD
右心房
左心房
僧帽弁逆流
右心室
左心室
(容量負荷の増大)
(容量負荷の減少)
(容量負荷の増大)
(心拡大)
体血流量
肺血流量の増加
肺動脈
大動脈
全身
肺高血圧 =肺血流量↑×肺血管抵抗
(低形成ぎみ)
完全型房室中隔欠損症の血液の流れ
肺
乳児期早期の重症心不全
拡張期左右短絡
ASD
右房
左房
僧帽弁逆流
収縮期左右短絡
(心肥大)
右心室
左心室 (心拡大)
VSD
(圧容量の両負荷の増大)
(圧負荷の増大)
(容量負荷の増大)
Qp(肺血流)
Qs(体血流)
肺血流量の増加
肺動脈系
大動脈系
全身
肺高血圧 =肺血流↑×肺血管抵抗
房室中隔欠損の手術適応
1) 不完全型はASDに準じて就学前に行う
2) 完全型は診断がつき次第、乳児期早期に心内
修復術をおこなう(アイゼンメンジャー化を予
防するため生後3~4か月が望ましい)
3) 全身状態不良の完全型では姑息手術として、肺
動脈絞扼術(Pulmonary Artery Banding : PAB)を行
い、状態の改善を待った後に、心内修復術とす
る二期的手術を選択する
PA banding (肺動脈絞扼術):PAB
高肺血流による心不全(全身状態)の改善
MPA
RV
不完全型房室中隔欠損症の手術術式
①自己心膜による心房中
隔欠損パッチの下縁縫合
②クレフト閉鎖
③ASD閉鎖
完全型房室中隔欠損症の手術術式
ASDパッチ
共通房室弁
VSDパッチ
① VSDパッチ下縁縫合
②ASDパッチ、共通房室弁、ASD
パッチのサンドイッチ吻合
外側尖
共通前尖
外側尖
共通後尖
房室中隔欠損症の予後規定因子
1.肺高血圧の重症度
2.僧帽弁構造異常の重症度
(僧帽弁逆流の程度)
3.合併心奇形
(単心室、TOF)