『市民がつくるエネルギーシフト 』第60号15面

単結晶と多結晶の差埋め
るか
単結晶シリコン太陽電
池は多結晶に比べ変換効
率に優れるほか、歩留ま
りが高いなどの特長があ
る。一方多結晶シリコン
は、キャスト成長炉を用
いることによる高い生産
性と低コストが特長。屋
根置き向けには高価格・
高効率という製品も選ば
れているが、市場の8割
を占めるメガソーラー向
㌫、平均でも
・0㌫
の高効率太陽電池を極め
て高歩留まりで実現でき
た。この成果は、市場占
有率の高いハイパフォー
マンスキャスト成長法で
作成したインゴット多結
エネルギーの源 ㊷
からt までの経時変化
( 要 素 ) が あ る。 例 え ば
の中には多くの関係因子
式が必要である。その式
元化するためには、評価
ルテ」は、エネルギーシ
示されている。この「カ
子(要素)が、個別に表
となる。前述した関係因
を定期的にまとめたもの
指標としてe(t)を一
エネルギー源の内訳とし
える必要があるので、各 て の 太 陽・ 風 力・ 水 力・ フトの演出マニャルとし
佐藤 建吉
市民がつくるエネルギーシフト
一般社団法人 洸楓座
代表理事
エネルギーシフトのシ 演技・歩み(歩行)を実
一般社団法人 efco.jp
▼エネルギーシフト
で放映された『エネルギ
ダーとなるだろうが、か であるが、伝統として継
な言葉ではステークホル 味で業界用語に近いもの
か。登場人物は、今日的
たがって、現在のx(t タイルなどによるエネル
の変化を取り上げる。し の割合、さらにライフス
ネルギー利用度e(t) 機械・熱・光・水素など
オライターは、誰になる
この場合、そのシナリ
z(t)と、再生可能エ 利用形態としての電気・ ▼OfByForのエネ
座標x(t)
、y(t)、 割合のほか、エネルギー
だろうか。
て役立つだろう。
ーシフトへの挑戦』とい
1)
、y(t1)、z(t ギー使用量(消費量)な
「 序 破 急 」 は、 あ る 意
う番組があった。再生可
日本の雅楽の、とくに り、持続可能の好例とい
なり複雑で、複数になる。 続している表現方法であ
1)
、 e( t 1) か ら
ナ リ オ は ど う で あ ろ う 技として教示して頂いた。 自が存在する場所の空間 バイオマス・地熱などの
NOC法は、ルツボ内
能エネルギーを主体とし
舞楽のなかに流れる「序 える。それは、わかり易
かつて、NHKテレビ
のシリコン融液に低温領
たエネルギー利用の可能
「エネルギーシ
破急」という三部構成が い の で、
晶の太陽電池特性を遥か
域を形成し、ルツボの壁
性について、アメリカの
ある。小学校の国語の作 フト」のシナリオにも倣
に凌駕するもの。
面に接触させないように
著名なエネルギー学者の
文の授業でも四部構成の う意味があると考えられ ( t
程度にとどまる直径比
(t
)
、 z( t
という演劇では、ステー
『エネルギーシフト』
)、 y ( t ) と し て 一 元 化 さ れ
クスホルダーのすべてが
でもある。そのシナリオ
「演者」であり、
「観客」
)
、 e る。
)に移動すること
▼エネルギーシフトの演
結晶内の転位密度や酸素
度を工夫するなどして、
の引き上げ速度や回転速
が得られた。また、結晶
し、ミリ秒オーダーの値
イフタイムが大幅に向上
移動が「シフト」である
想される。AからBへの
ワー・シフト」なども発
ィブ・エネジー」や「パ
っ て い る。
「オルタナテ
ついては、各人で、異な
発想されるエネルギーに
しかし、この言葉から
し各段の分量は同じでは めることを背景としてい
の「急」にあたる。しか 可能エネルギー利用を高
が「 破 」、 後 段 の 発 展 部 われる。ここでは、再生
が「 序 」、 中 段 の 展 開 部 る状態(状況)変化で行
っている。前段の導入部 の移動は、時空間におけ
り、それが、隠し技とな J)への移動である。そ
が九つのステップからな したAからB(あるいは
は、「 序 」「 破 」「 急 」 の は、現実のエネルギー利
ー利用度e(t)が向上
により再生可能エネルギ めのカルテ」である。
重要なことは、この移動 ギー利用度チェックのた
動も示すことができる。 わ ば、「 再 生 可 能 エ ネ ル
あるいはその逆などの移 大事となる。それは、い
から高層マンションへ、 化・出来る化」するのが
るという。つまり、全体 標への移動であり、前述 ( t ) に よ り、 一 戸 建 て て、「 見 え る 化・ 分 か る
それぞれに、序破急があ 用状況から、望ましい目
することである。
逆 も 考 慮 し て い る。 z を、特にe(t)につい
ら田舎へ、あるいはその J ) に お け る 移 動 過 程
地の移転、例えば都会か では、AからB(または
z(t)の 移 動 は、 居 住
く、未来へつなげる展望
は、 結 論 や 終 論 で は な
「 序 破 急 」 の「 急 」
される。
う作品となり、公演がな
エネルギーシフト』とい
民による、市民のための
こ う し て、
『 市 民 の、 市
り行われる必要がある。
も、じつは「市民」によ
ライターも、また演出家
濃度の低減が図られた結
が、
「エネルギーシフ
な い。 も ち ろ ん 中 段 の る。
「エネルギーシフト」
果、今回の高効率実現に
ト」では、デストネーシ
まで多くのステップ、す
術、居合道、茶道におい ら
歌舞伎ばかりでなく、剣 ついて、例えば、現在か
なる。序破急は、能楽や スホルダーのそれぞれに
雅 楽 の「 序 破 急 」 で
つながった。
ョンのBは、Aからすぐ
なわち通過点が必要では
て も、 こ れ が 底 流 に あ エ ネ ル ギ ー 利 用 度 e
終わりのない演劇である。
民主体」により行われる
パーセント表示の代表 のe t
( に)ついて、t1 ル ギ ー シ フ ト 』 は、「 市
自のステークスホルダー 『 O f B y F o r の エ ネ
が 書 か れ 演 じ ら れ る。
今後に残された課題は
ないかと考える。こうし
る。室町時代から続く日 ( t ) を パ ー セ ン ト 表 示
大蔵流狂言師・善竹十郎 ら
までe(t)が右上が
その「カルテ」は、各
スケールアップという
概念的には、ステーク
ることから、ルツボのサ
て、このAからJまでの
㌫を既に実現できてい
ではなく、むしろJなど 「 破 」 が 多 い の が 普 通 と
このエネルギーシフト
場所x(t)
、y(t)
、 出マニュアル
である。
ルギーシフト
しながら単結晶を融液内
エイモリー・ロビンス氏
が、 三 部 構 成 の「 序 破
の先進事例を紹介し、そ 「 起 承 転 結 」 は 教 わ る る。
が、自身の考えと各地で
急」という呼び方は教え ▼エネルギーシフトのシ
㌫程
どであり、これらが、e
成長させる手法。単結晶
イム)を短くし、太陽電
のモメントをつくろうと
ボの径の比)を、
(インゴットの径とルツ
年 後 の、 x( t
を引き上げながら成長さ
池の変換効率を悪化させ
し た。
「エネルギーシフ
られていない。
㌫
る。今回、炉内のグラフ
ト」という言葉が新鮮で
せていくCZ法では
ァイト冶具を真空中で長
あった。
10
が、NOC法では直径比
ナリオ
時間高温空焼きしてクリ
度までと格段に大きくす
ることができ、高い生産
性が得られる。
実用化目指しスケールア
ップ図る
NOC法では、キャ
スト法によるインゴッ
ト作製につきものの離
型剤を用いないこと
で、シリコンの高純度
化が期待できる。不純
物はキャリアの再結合
10 10
けは、大量生産向きで安
10
ーン化を図った結果、ラ
30
価なp‐型多結晶太陽電
しかし、多結晶シリコ
池が主流となっている。
ン太陽電池は、変換効率
が単結晶より1~1・5
㌫低く、また残留歪みの
ため結晶品質にばらつき
が大きく歩留まりが悪い
という欠点を有する。こ
のため、太陽電池業界で
は、メガソーラー市場に
向け、生産性の高いキャ
スト成長炉を用いた高品
質のシリコンインゴット
単結晶の製造を目標に技
術開発を続けている。
14
までの時間(ライフタ
イズを最大限に活用でき
移動には、あるシナリオ
して採用し、それを向上
「 シ ナ リ オ 」 は、 台 本
氏に、狂言について実演
ステークスホルダーの
e(t)
今回、JSTが発表し
19
90
10 10
t10
た成果は、同機構が受託
した文部科学省の革新的
るとの自信を見せる。J
本の伝統的な表現方法で したものを、代表指標と
年後までの再生可能
STでは、今後、大きな
が必要となるだろう。
今年1月、所属するe させたい。図示すれば、
ある。
であり、登場人物の台詞
を加えた特別な講話をし りする。=図
▼序破急がシナリオ
ルツボを使用して、大容
量のシリコンインゴット
本技術を太陽電池用シリ
や動作が、あらかじめ文
単結晶を作製できれば、
コンインゴット製造方法
字として演出表現されて
年後の年月日t=t
の主流にできる道が開け
fco.jpの主催で、 現在の年月日t=t1か
るとしている。
て頂いた。とくに、大蔵
t10
エネルギー研究開発拠点
NOC成長法によるサン
プルは、キャスト法によ
る製品を遥かに凌駕し、
CZ法によるものと遜色
ない変換効率を示す▶
高効率・高歩留まりで
生産性も高い太陽電池製造に期待
いる。いわば、動作運び
e(t10)
形成事業の成果として、
Column
の演出マニュアルである。 流狂言における序破急の エネルギー利用体系を考
e(t1)
中嶋一雄研究チームリー
ダーらにより実現したも
の。NOC法で作製した
術
x(t1)
単結晶は、キャスト成長
炉を用いながらも、CZ
法( チ ョ ク ラ ル ス キ ー
法:一般的な単結晶イン
ゴット作製法)で作製し
・
た単結晶の太陽電池と同
科学技術振興機構(JST)
キャスト成長炉で
NOC法で作製したインゴット
学
t10
x(t10)
z(t1)
y(t10)
y(t1)
x(t1)
z(t10)
y(t)
z(t1)
90
y(t)
y(t10)
y(t1)
z(t)
x(t10)
t1
10
10
t1
z(t10)
z(t)
10
t
t1
e(t)
等 の、 最 高 変 換 効 率
19
科学技術振興機構
(JST)
は8
月9日、NOC法
(Noncontact Cr
ucible)
という新たな製法に
より、現行の単結晶太陽電池
と同等の特性や歩留まりのシ
リコン単結晶を、世界で初め
てキャスト成長炉を用いて作
製したと発表した。単結晶と
多結晶の性能差と価格差を埋
める可能性を秘めた新技術だ。
NOC成長法の位置づけと
その原理的特長。単結晶の
高品質を維持しつつ、大き
なインゴットが得られる
第60号
隔週 月曜日発行
新エネルギー新聞
2016年(平成28年)9月5日
15
メガソーラー向け太陽電池用シリコンインゴット単結晶作成に成功