足元の豪州REITの下落の背景と今後の注目点

2016年9月14日
投資情報室
(審査確認番号H28-TB142)
オーストラリアレポート
オーストラリア経済とリート市場の動向について
足元の豪州REITの下落の背景と今後の注目点
 8月以降、豪州REITの軟調地合いが続く。豪州REITは年初来高値から1割強下落(年初来ではなお上昇を維持)。
 豪州REIT下落の主因は、米金融政策を巡る不透明感などから、世界的に長期金利が上昇に転じたことにある模様。
 当面は9月20-21日FOMCまで神経質な相場展開となる可能性。FRBがタカ派姿勢を強めるかは慎重に見守る必要。
インドが追加利下げ 今年4回目
 足元の株価下落で豪州REITの予想配当利回りは4.89%へ上昇。利回り面から豪州REITが見直される可能性も。
2016年8月以降、豪州REITが軟調地合いに
図1:豪州REITの株価と予想株価収益率(PER)
2016年8月以降、豪州REITの軟調地合いが続いています。
年初来高値を付けた8月1日から9月13日までの間に、豪州
REITは11.5%の下落となりました(図1)。もっとも、足
元 で 短 期 的 に 調 整 す る な か で も 、 豪 州 REIT は 年 初 来 で
6.6%のプラス・リターンを依然維持しています。
足元の豪州REITの下落は主に海外要因が影響
(倍)
22
1,600
2016年8月1日
1,500
1,400
20
豪州REITの株価(左軸)
1,300
19
1,200
18
17
1,100
足元での豪州REIT下落には、豪州側の要因というよりは、
16
割高
15
900
ます。特に米国では最近の米連銀幹部の発言などを受けて、
米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ時期や金融政
800
12ヵ月先予想PER(右軸)
700
2013年1月
策の効果への不透明感が増し、この結果、世界的に長期金
世界的な金利上昇をきっかけに、これまで低金利環境の中
16.86倍
1,000
米国など海外市場の要因が大きく影響していると考えられ
利が上昇傾向に転じました。
21
19.06倍
14
割安
13
2014年1月
2015年1月
2016年1月
(出所)ブルームバーグ (期間)2013年1月1日∼2016年9月13日
(注)豪州REITはS&P/ASX300REIT指数(価格指数ベース)。
12ヵ月先予想PER=株価÷一株当たり利益(12ヵ月先予想)
で選好されてきた世界の高配当株やREITに下落が広がる中、 図2:豪・米10年債利回りと豪州REITの予想配当利回り
一本調子で上昇してきた豪州REITのスピード調整が進んだ
7
(%)
豪州REITの予想配当利回り(12ヵ月先)
と考えられます(豪州REITの予想PERは8月1日の19.06倍
6
から9月13日には16.86倍へ低下)。
4.89%
5
利回り面から豪州REITが見直される可能性も
当面は9月20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)ま
4
で神経質な市場の展開が続く可能性があります。もっとも、
3
9月12日のブレイナードFRB理事の講演でも利上げに対す
豪10年債利回り
2.07%
2
る慎重な姿勢が示されており、FRBがタカ派(利上げに前
1
2013年1月
向き)姿勢を強めるかどうかは注意深く見守る必要があり
そうです。
3.5
3.0
2015年1月
2016年1月
豪州REIT予想配当利回り-豪10年債利回り
配当利回りは4.89%へ上昇し、豪10年債利回りとの利回り
2.5
格差が拡大傾向にあります(図2下段)。今後、9月20-21
2.0
日のFOMCなどを契機に米利上げ見通しを巡る不透明感が
1.5
解消に向かえば、世界的に長期金利が落ち着きを取り戻し、
1.0
2013年1月
あると考えられます。
2014年1月
1.73%
(%)
一方、足元の株価のスピード調整によって豪州REITの予想
利回りの面で豪州REITへの見直しの動きが広がる可能性も
米10年債利回り
2014年1月
2015年1月
2016年1月
(出所)ブルームバーグ (期間)2013年1月1日∼2016年9月13日
(注)豪州REITはS&P/ASX300REIT指数。
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが作
成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資
料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等
はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的
な投資成果を示すものではありません。●投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額
及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動
等を保証するものではありません。
商 号 等 :ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
1/1
加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会