仕様書 - 量子科学技術研究開発機構

ITER 直状試験用導体の製作
仕様書
平成 28 年 9 月
国立研究開発法人
量子科学技術研究開発機構
核融合エネルギー研究開発部門
ITER プロジェクト部
超伝導コイル試験グループ
1.
一般仕様
1.1
件名
ITER 直状試験用導体の製作
1.2
目的
ITER-CS コイル用超伝導導体は Nb3Sn 撚線をステンレス製の矩形管に挿入した形状であ
り、Nb3Sn 撚線は超伝導線 576 本と銅線 288 本から構成される(図 1.2-1)。本件は、ITER-CS
コイル用超伝導導体の実機仕様とは違う撚りピッチの直状導体を試験し、その性能を証明す
ることにより、ITER-CS コイル用超伝導導体の健全性を確認することを目的に、短尺導体
を製作するものである。
図 1.2-1
1.3
CS 用超伝導導体の構成
納期
平成 28 年 12 月 27 日
1.4
納入品目
2 項に示す製品を製作し納入すること。
(1) 直状試験用導体の製作
4m
×
2本
(2) 熱歪測定用ジャケットの製作
1m
×
2本
1
1.5
納入場所及び納入条件
(1) 納入場所
茨城県那珂市向山 801-1
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(以下「量研機構」という。)
那珂核融合研究所
第1工学試験棟
(2) 納入条件
車上渡し
1.6
提出書類
(1)提出書類一覧を表 1.6-1 に示す。
表 1.6-1
書類名
提出期日
部数
1
製作要領書
製作開始前
3部
2
製作報告書(X線フ
納入時
3部
要確認
ィルムを含む。)
3
処分報告書
納入時
1部
4
再委託承諾願
契約後速やかに
1式
(量研機構指定様式)
(下請等がある場合に提出のこと。
)
要確認
(2)提出場所
量研機構 核融合エネルギー研究開発部門
超伝導コイル試験グループ
(3)承認方法
「確認」は次の方法で行う。
量研機構は、確認のために提出された図書を受領したときは、期限日を記載した
受領印を押印して返却する。また、当該期限までに審査を完了し、確認しない場合
には修正を指示し、修正等を指示しないときは、確認したものとする。
「再委託承諾願」は、量研機構が確認後、書面にて回答する。
1.7
検収条件
1.4 項に示す品目が 1.5 項に示す場所へ納入された後、員数確認、及び 1.6 項に示す
提出書類の内容確認及び仕様書に定めるところに従って 1.4 項に示す製品の製作が完
了されたと量研機構が認めたときをもって検収とする。
2
1.8
支給品・貸与品
以下の項目を支給する。詳細は 2.3 項に示す。貸与品はなし。
(1) CS 導体用撚線(長さ 6m)
2本
(2) CS 導体用ジャケット(長さ 7m)
2本
1.8.1 支給場所
日本国内の量研機構が指定する場所。
1.8.2 引渡し方法
車上渡し
1.8.3 支給時期
支給時期は、納期までの期間内において量研機構と受注者間の協議により決定する。
1.9
技術情報の開示制限
(1) 受注者は、本契約を履行することにより得た技術情報を第三者に対して開示しよう
とするときには、あらかじめ書面により量研機構の承認を得なければならない。
(2) 量研機構が本契約に関し、その目的を達成するため受注者の保有する技術情報を了
知する必要が生じた場合は、両社協議の上、受注者は当該情報を量研機構に無償で提
供するものとする。
(3) 量研機構は、前項により受注者から提供を受けた技術情報については、受注者の同
意なく第三者に提供しないものとする。
(4) 受注者は本契約に基づく業務の内容及び成果について、発表若しくは公開し、又は
特定の第三者に提供しようとするときは、あらかじめ書面により量研機構の承認を得
なければならない。
1.10
打合せ・立会い
(1) 本契約に関する打合せは、必要に応じて量研機構又は受注者施設において行う。
(2) 量研機構は、必要に応じて本件に基づく作業に立ち会うものとする。
1.11
グリーン購入法の推進
本契約において、グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法
律)に適用する環境物品の(事務用品、OA 機器等)が発生する場合には、これを採用
3
するものとする。
1.12
協議
本仕様書に記載されている事項及び本仕様書に記載のない事項について疑義が生じ
た場合は、量研機構と協議の上、その決定に従うものとする。
4
2.
技術仕様
2.1
概要
支給するジャケットは、図 2.2-1 のとおり、外形 51.3mm 角、内径 35.3 mm であり、これ
に同じく支給する外径 33.0 mm の超伝導撚線を挿入し、ジャケット外形が 49.0mm になる様、
圧縮成型する。なお、ジャケットと超伝導撚線の詳細は 2.3.1 項参照のこと。
2.2
製作要領
図 2.2-2 に示す手順で製作すること。コンパクション前後の断面寸法を図 2.2-1 に示す。
4m の直状導体に関しては、全長で 2mm 以下に曲りを矯正すること。また、撚線挿入に X 線
を用いて、撚線の 5 次撚りピッチを計測すること。コンパクション後には、4m の直状導体
の長手方向 1 面において、X 線を用いた撚りピッチ計測を行うこと。
撚線(支給品)
図 2.2-1
導体断面寸法
5
①ジャケットの切断
7000
4500
1000
1500
②熱歪測定用ジャケットの製作
1000
③撚線挿入、コンパクション
4500
④直状化、切断
4500
4000
不良部
不良部
*不良部は廃棄のこと
⑤梱包・出荷
1000
4000
直状試験用導体
図 2.2-2
製造手順の概要
6
熱歪測定用ジャケット
2.3
支給品の諸元
1.8 項記載の支給品の諸元を下記に示す。
2.3.1
CS 導体用撚線
CS 撚線は、外径 0.83mm の Nb3Sn 素線及び銅線を図 2.1.2 で示すように 5 次で撚った
ものである。素線の本数は 864 本で、このうち 576 本は Nb3Sn 超伝導素線、288 本は銅
線で構成されている。
図 2.3.1-1
表 2.3.1-1
Nb3Sn 撚線の撚り構成
Nb3Sn 素線、撚線の仕様
Item
Specification
Diameter
0.820 ± 0.005 (mm)
Twist pitch
15 ± 2 (mm)
Unit length
> 1,000 (m)
Copper ratio
1.0 ± 0.1
Chrome plate thickness
2.0 + 0.0/−1.0 (m)
Critical current at 12 (T), 4.2 (K)
> 260 (A)
n-value
> 20
Hysteresis loss
< 500 (mJ/cm3)
Strand
7
Residual Resistivity Ratio
Twist pitches
Cable
> 100
1st stage
(25) mm
2nd stage
(50) mm
3rd stage
(90) mm
4th stage
(160) mm
th
5 stage
Constitution
2.3.2
約 600~620 mm
(2SC+1Cu)×3×4×4×6
CS 導体用ジャケット
ジャケットは通常のステンレス鋼よりも低熱収縮特性と優れた疲労亀裂進展特性を
有する高マンガン・ステンレス鋼(JK2LB 鋼)を用いて製作されている。
寸法を表 2.3.2-1 に、化学成分を表 2.3.2-2 に、機械的特性を表 2.3.2-3 に示す。
表 2.3.2-1
ジャケットの寸法
項目
仕様値
外形寸法 [A0]
51.3 mm
内径 [D0]
35.3 mm
コーナー曲率半径 [R]
6 mm
コーナー曲率半径公差[R]
±0.5 mm
長さ [L]
7m, -0mm/+10mm
外形寸法公差 [a0]
± 0.2mm
内径寸法公差 [d0]
± 0.2mm
断面寸法公差
±20mm2
表面粗さ Ra
内外面とも
<5μm(目標値<1.6μm)
偏心率 [Ecc]
Max. 10 %(目標 5%)
直線性
Max. 1.0 mm / m
長手方向のねじれ
Max. 1.0 mm / m
全長のねじれ
<2mm
8
表 2.3.2-2
ジャケットの化学成分(wt%)
C
Si
Mn
P
S
Cr
Ni
Mo
Co
N
B
0.030
0.5
20.5-
0.015
0.015
12.0-
8.0-
0.5-
0.1
0.09-
0.0010-
以下
以下
22.5
以下
以下
14.0
10.0
1.5
以下
0.15
0.0040
0.025
0.25
0.008
0.008
13.0
9.3
1.0
0.12
0.0025
以下
以下
仕様値
目標値
21.5
以下
以下
表2.3.2-3
ジャケットの機械的特性
0.2%耐力(室温)
引張強さ(室温)
最小値
最小値
(MPa)
(MPa)
175
470
9
伸び(室温)
絞り(室温)
最小値(%)
最小値(%)
35
35