2016 年度 1 産業経済学 A 模範解答 経済学は経済的選択に関する学問である.我々の欲望をすべて満たすほど財・サー ビス,資金,時間などが十分に存在しないつまり希少性があるから経済学という学問が必 要になる. 2 (7 点) 以下の問いに答えて下さい. 2-1 東京と大阪の生産可能性フロンティアを描いて下さい. (5 点) お好み焼き (個) 20 D 東京の生産可能性曲線 B F A E 10 大阪の生産可能性曲線 C 0 2-2 5 7 10 13 20 もんじゃ焼き得 (個) 東京にとってもんじゃ焼き 1 個の機会費用は 20/20 = 1 個のお好み焼きであ る.同様に大阪のもんじゃ焼き 1 個の機会費用は 20/10 = 2 個のお好み焼きである. (5 点) 2-3 もんじゃ焼きの生産について絶対優位を持っているのは,東京である.また, お好み焼きの生産について絶対優位を持っているのは,東京と大阪の両方の都市であ る. (5 点) 2-4 もんじゃ焼きの生産について比較優位を持っているのは東京である.またお 好み焼きの生産に関して比較優位を持っているのは大阪である. (5 点) 2-5 東京はもんじゃ焼きを 10 個とお好み焼きを 10 個作っている.大阪はもんじゃ 焼きを 5 個とお好み焼きを 10 個作っている. (5 点) 2-6 交易がない場合は両都市で合計 15 個のもんじゃ焼き (10 + 5 = 15) と合計 20 個のお好み焼き (10 + 10 = 20) を生産している.東京は比較優位のあるもんじゃ焼き に特化してもんじゃ焼きを 20 個生産する.このとき,お好み焼きは生産しせずに東 京の生産点は C 点となる.一方,大阪は比較優位のあるお好み焼きの生産に特化して お好み焼きを 20 個生産する.このとき,もんじゃ焼きは生産せずに大阪の生産点は D 点になる.ここで,東京はもんじゃ焼きを 7 個大阪に輸出し,かつその代わり大阪 はお好み焼きを 10 個東京に輸出するとしよう.この時の東京の消費は,もんじゃ焼き 13 個とお好み焼きを 10 個の消費になる.東京の消費点は E 点となる.また,大阪の 1 消費は,もんじゃ焼き 7 個とお好み焼きを 10 個の消費になる.大阪の消費点は F 点 となる.このとき,両国の新しい消費点は各国の生産可能性曲線の外側にあるので, この貿易により両国の厚生は改善している. 2-7 (5 点) 大部分の活動において人は絶対優位にない.それであっても,自分の何かを 諦めることによる費用が低いという意味で比較的得意な活動に専念することにより社 会全体が利益を得ることができる.どんな優れた人でも 1 日に 24 時間しかない.そ れ以上の時間がない以上,自分の得意なことを行ってそこから得られる所得によって 自分の不得意なことを他人にやって貰うことが社会全体の利益に繋がる. 3 (5 点) 東京に住んでいる人の一部は毎年夏に軽井沢へ避暑に行っている.この夏の東京は 冷夏なので東京から軽井沢へ行く人が減る.それは軽井沢のホテルの利用客が減ることを 意味する.それは需要が減ることになるので需要曲線は左にシフトする.その結果,図の 様に供給曲線は一定で左下で交わることになり,軽井沢のホテル料金は p∗ から p∗∗ へ下 落する. (10 点) ホテル料金 供給曲線 p∗ p∗∗ 当初の需要曲線 冷夏の時の需要曲線 宿泊数 0 4 労働市場は競争的であるとする.次の問いに答えて下さい. 4-1 競争的な市場で決まる賃金率は,下図にある労働に関する需要曲線とその供 給曲線の交点である均衡点で定まる.このとき均衡賃金率は w∗ になる. 労働供給曲線 賃金率 wm 失業 w∗ 労働需要曲線 0 Lm L∗ 2 労働量 (5 点) 4-2 政府が有効な最低賃金 wm を課すと市場の賃金率は上昇する.そのとき,超 過供給が発生する.その賃金率で働けない人が出て失業が起こる.このときの雇用量 は Lm になる. 5 (5 点) 以下の問いに答えて下さい. 5-1 アイスショーに対する需要表を作って下さい. 価格帯 5-2 需要量 価格帯 (10 点) 供給量 10000∼ 0 10000∼ 5 8000∼10000 1 7000∼10000 4 5000∼8000 2 5000∼7000 3 4000∼50000 3 3000∼50000 2 3000∼4000 4 2000∼3000 1 ∼3000 5 ∼2000 0 前の問いと同じ座標平面に次に供給曲線を描いて下さい. (5 点) 供給曲線 価格 10000 8000 7000 p∗ = 5000 4000 3000 2000 0 需要曲線 1 2 Q∗ = 3 4 5 数量 5-3 均衡取引量は Q = 3 になる.次に,その時の総余剰は 8000 + 5000 = 13000 円である. (5 点) 5-4 取引量が 4 のときの総余剰は 10000 + 8000 + 5000 + 4000 − (2000 + 3000 + 5000 + 7000) = 10000 円である.一般的に競争均衡での総余剰は取引される数量の中 で一番高くなる.つまり競争均衡において総余剰は最大化される. (5 点) 3
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