高速反応を制御するためのマイクロデバイス設計

化学工学会関西支部 第4回技術シーズフォーラム
2016.10.7 同志社大学 室町キャンパス
-攪拌、混合、流動、伝熱- ~マイクロミキシグからヒートインテグレーションまで~
「高速反応を制御するマイクロデバイス」
京都大学 大学院工学研究科化学工学専攻
牧 泰輔、浅野周作、村中陽介、前 一廣
反応:平衡論、速度論的には温度と濃度(圧力)と反応時間に
より制御が可能
しかし・・・・・・
高速反応では、高発熱による温度上昇(除熱が追いつかな
い)や濃度不均一性(混合が追いつかない)により収率が低下
マイクロデバイス(マイクロミキサー、マイクロリアクター)を用い
て伝熱、混合を劇的に向上することで制御可能
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研究方法、主要な成果
混合が反応成績に及ぼす影響(モデル計算)
A+B→R
B+R→S
B (CB0)
A (CA0)
B (CB0)
A (CA0)
B (CB0)
機能アセンブル型マイクロリアクター
マイクロミキサー、マイクロリアクターを結合
活性中間体生成場と反応場を分離(素反応制御)
r1 = k1CACB
r2 = k2CBCR
Vz
高速混合と高速熱交換による素反応制御
断熱材
Products
W
滞留時間調節部
A液入口 B液入口
0.4
YR
0.3
Mixed
0
φ = 10
C液入口
流体
衝突部
φ
φφ = 101
2
φ = 10
反応速度
φ=
混合速度
k1CB W 2
(
=
DA
φ
3
φ = 10
温度・滞留時間
調節部
冷却水(0℃)
100 mL・min−1
適用例
n-BuLi
Br
Br
φ
4
φ = 10
目的生成物
Br
Br
H
Li
MeOH
Br
H
Br
基質
0.0
0.0
流体衝突部
生成したRが良好に分散・均一化
0.2
0.1
温度調節部
製品
出口
n-BuLi
MeOH
Br
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
xA
生成したRが分散せず周囲のBと反応
非常に高速な反応でもWを小さくすれば
反応律速(φ<1)となり収率低下を防止
基質の流量 総流量 温度
(mL/min) (mL/min) (℃)
1
3
5.1
0
2
6
10.2
0
3
12
20.4
0
4
24
40.8
0
* GC分析で副生成物が確認された
run
Batchで同じ収率を
得るには−78℃で
反応を行う必要がある
収率
(%)
74
66
82
78
転化率 選択率 既存の実験に
(%)
(%)
おける収率 (%)
95
77
86
84
75
89
95
86
88
87
90
84
マイクロリアクターを用いることで、
より温和な条件での合成を可能に
した。
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結論
マイクロデバイスの利用により
・操作条件から流体セグメントサイズを推定し、必要な混合速度に応じたマイクロミキ
サーの設計が可能
・厳密な温度制御や迅速(msオーダー)加熱・冷却するデバイスの設計が可能
・素反応経路にしたがって適切にマイクロデバイスを組み合わせてシステムアップする
ことで複雑な反応も制御可能
今後の展開、応用への展開
・濃度分布や拡散を積極的に用いることにより反応成績が向上するケースも設計可能(最
適なφを実現する流路を設計)
・マイクロデバイスを用いることで従来では不可能と考えられていた条件でも反応を制御す
ることが可能となり、反応を効率化できる
京都大学マイクロ化学生産研究コンソーシアム(MCPSC-KU)
マイクロリアクターを利用した次世代化学プラント・製造法の実用化・事業化・市場化を促
進するため,マイクロリアクターを軸にした研究開発及び技術の普及活動を産学連携で推
進しています。
(Webサイト http://www.cheme.kyoto-u.ac.jp/7koza/mcpsc/)
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