融資上級 - 一般社団法人 金融財政事情研究会

第124回 金融業務能力検定(2016年9月11日実施)
《模範解答》
・融資上級
※配点は,特に記載のない限り,公表しておりません。また,配点・試験の内容に関す
るお問合せには,お答えできません。
※合格発表は,10月24日の予定です。
一般社団法人 金融財政事情研究会
検定センター
〈合格基準〉100 点満点で 60 点以上
(注)記述式の解答例は一例であり,表現に相違があっても趣旨が適切であるもの,また,
妥当性のあるものは可とします。
【第1問】 〈解答例〉(10 点)
(1) 金融機関の資金調達コスト、貸出の需給環境や市場金利の動向、その他金融環境等を総合
的に判断して決定する。
(2) TIBOR や LIBOR といった指標をベースレートとし、これに信用リスクコストと経費
コストを反映したスプレッドを加えた利率を適用金利とする。
【第2問】〈解答例〉(10 点)
(1) 後日取り消されることがある。
(2) 法定代理人に未成年者のために代理する旨を表示させたうえで、契約を取り交わすべ
きである。または未成年者本人と取引する場合は、法定代理人(親権者)の同意書を
徴求すべきである。
(3) 在留カード、特別永住者証明書
【第3問】〈解答例〉(10 点)
(1)(結論)及ばない。
(理由)法律上、土地と建物は別個の独立した不動産として扱われるから。
(2)(権利の名称)法定地上権
(制度趣旨)
B建物の収去・土地の明渡しを求めることは、建物収去に伴う社会的損
失を発生させ、そのことは当事者の隠れたる意思に合致しないと考えら
れるため。
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【第4問】〈解答例〉(10 点)
(1)
丙信用保証協会の保証を受けている融資金を乙株式会社に対する既存の貸付債権の
返済に充当することは、旧債振替として原則として禁止されており、丙信用保証協会
はその保証債務を免責される。
(2)
丙信用保証協会の保証付融資について延滞が発生した後において、丙信用保証協会と
の協議を経ずに行った甲銀行による根抵当権の解除は、丙信用保証協会の代位弁済に
よって取得すべき担保権を消滅させる行為であり、担保保存義務に違反するため、甲
銀行は丙信用保証協会から免責を主張される可能性がある。
【第5問】〈解答例〉
(10点)
(1) 数個の建物として別個に登記されている建物を、物理的変更を加えずに1個の建物と
する登記をいう。
(2) B建物またはC建物の一方が主たる建物、他方が附属建物として登記される。
(3) 抵当権の登記のある建物は、原則として合併の登記ができないから。
【第6問】〈解答例〉(20 点)
○×
誤っている(または不適切である)理由
(1)
×
家庭裁判所の許可を得る必要がある。
(2)
○
(3)
×
(4)
×
住宅ローン債権等の額を除いた額が 5,000 万円以下であることが要件とされる。
(5)
×
DES の定義と DDS の定義が逆である。
(6)
×
民法に規定のない非典型担保である。
(7)
○
(8)
×
仮差押えの登記をすることにより自動的に換価手続に進むわけではない。
(9)
×
明け渡さなくてよい期間は、3カ月間ではなく6カ月間である。
(10)
×
電子債権記録機関は、使用人等がその職務を行うについて注意を怠らなかったこ
とを証明したときは免責される。
執行証書について執行文を付与する者は、裁判官ではなく、その原本を保存する
公証人である。
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【第7問】〈解答例〉(30 点)
(1)
第 34 期
第 34 期
売上高総利益率
売上債権回転期間
18.0%
棚卸資産回転期間
0.81 ヵ月
3.60 ヵ月
買入債務回転期間
2.06 ヵ月
(2)
商業手形または融通手形の
判断理由
いずれの可能性が高いか
業種的につながっており、手形内容にも不自然さはな
商業手形
①
②
③
④
い。
融通手形
いわゆる同業者であり、B商事が商品を売却したとは考
えにくい。手形内容も「ラウンド手形」「手形サイトが
長期」「手形期日が通常の決済日ではない」など、不自
然である。
融通手形
製材業はB商事の仕入先と考えられるため商流が逆で
ある。手形内容も「ラウンド手形」
「手形サイトが長期」
「手形期日が通常の決済日ではない」など、不自然であ
る。
融通手形
建設業には無関係の業種であり、B商事が商品を販売し
たとは考えにくい。また手形内容も「ラウンド手形」
「手
形サイトが長期」「手形期日が通常の決済日ではない」
など、不自然である。
(3)
応諾
または
謝絶
(理由)
第 31 期の赤字計上以降、売上債権回転期間および買入債務回転期間が異常に長期化し
ており、とりわけ割引手形残高が第 30 期から第 34 期の間に 64,395 千円増加している。
割引希望手形もY工務店以外の3枚は、不自然な点があり、融通手形の可能性がある。
また、決算内容も架空売上の計上による粉飾の可能性が高い。メインの丙銀行が、割
引に難色を示したため、あえて甲銀行に手形割引の申込みを行ったと考えられるため。
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