チャレンジへの実行へ向け 動きだしたトヨタの新しい クルマ

特集2 “いいクルマ”の新しい価値観。4 代目「プリウス」
チャレンジへの実行へ向け
動きだしたトヨタの新しい
クルマづくり
世界初の量産ハイブリッド車として
誕生した初代発売から 18 年。エコカー
時代を切り拓いてきた「プリウス」が
フルモデルチェンジされました。DNA
である環境性能はさらに飛躍し、大改
良されたエンジンの最大熱効率は世界
トップレベルの 40% を達成。すべての
技術が高い壁を越え、燃費性能はガソリ
ン車世界トップクラスです。
21 世紀の環境問題に一つの答えを出すハイブリッドシステムの開発
初代「プリウス」のプロジェクトがスタートしたのは 1993
歴代「プリウス」の燃費と普及の推移
年のこと。21 世紀を代表するクルマづくりを目指す具体的指
標を環境性能に据え、
「CO₂ 削減」
「エネルギー対応」
「大気汚染
防止」という 3 つの課題をキーとして開発。このコンセプトを
実現する手段がハイブリッドシステムでした。
燃費(km/L)
日本JC08モード(km/L)
日本10・15モード(km/L)
40.8km/L
ハイブリッドシステムは、既存の電気自動車のような外部充
電を必要としないため、既設のインフラに適合しており、また、
※Eグレードの場合
(車両重量1,310kg)
従来のガソリンエンジンのおおむね 2 倍の燃費達成が可能なシ
4代目
ステムでした。
「このクルマは世の中を変えるであろう」という思いのもと、
ラテン語の「∼に先立つ」という意味の〈プリウス〉と名付けら
29.6
2代目 35.5
れ、たくさんのお客様にその思いを共感いただき、支持を得て
3代目
※
Lグレード
の場合
きました。
以来、ハイブリッド車のアイコンであると同時に、トヨタの
代表車種として地球環境への貢献に努めています。
初代
32.6
38.0
28.0
※1997年
当時
1997.12
DEBUT
国内販売台数
7万台
2003.9
DEBUT
2009.5
DEBUT
2015.12
DEBUT
国内販売台数
国内販売台数
112万台
40万台
(累計47万台) (累計159万台)
注1:燃費消費率は、
グレード・駆動方式・車両重量などにより異なります。
注2:燃費消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。
お客様の仕様環境(気候、渋滞など)
や運転方法(急発進、
エアコン使用時など)
に応じて燃料消費率は異なります。
9 Environmental Report 2016 4 代目「プリウス」
「プリウス」の DNA である環境性能の進化と TNGA による変化の二人三脚
4 代目「プリウス」は、持ち前の環境性能の進化に挑むとと
(Toyota New
もに、次世代プラットフォーム戦略「TNGA *」
Global Architecture)を全面採用した最初の車種です。その
ため、地球環境だけでなく社会環境を含めて、プリウスは環境
を良くしていくという考え方で開発が進められました。
地球環境の点は、徹底的に環境性能を上げていくことに主眼
を置き、走行時の環境負荷をこれまで以上に削減するために、
燃費目標 40km/L という高いハードルを決め、細かく地道な技
術開発を積み重ねてその達成を目指しました。
社会環境の点では、安全なクルマで事故ゼロに貢献すること
を目指し、安定した挙動の「低重心パッケージ」や、安全装備
4 代目「プリウス」開発責任者
チーフエンジニア 豊島 浩二
「Toyota Safety Sense P」の設定、災害時に役立つ「外部給電
機能」といった機能を取り入れました。
* TNGA とは、トヨタの「もっといいクルマをつくろう」という想いを実現するために考
えられたクルマづくりの構造改革。プラットフォームを根本から見直すことで、もっと
「かっこいい」
「運転しやすい」
「低重心」パッケージへ。
「プリウス」は、TNGA 第 1 号車
として、基本構造から生まれ変わりました。
エコカーは普及してこそ環境への貢献
エコカーは普及してこそ環境へ貢献します。そのためには、た
「プリウス」販売台数と CO₂ 排出抑制効果
600
プリウス世界累計販売台数
400
けとなり、2代目がハイブリッド車普及の先駆け、そして3代目
がハイブリッド車定着の先駆けとなるなど、いつの時代も先駆け
約 550 万トン
(万トン)
(万台)
500
くさんのお客様に「プリウス」に乗っていただきたいと思ってい
ます。
「プリウス」というクルマは、初代がハイブリッド車の先駆
2015年
世界のCO₂排出抑制量
約 360 万台
300
の存在として挑戦を続け、環境に貢献してきた歴史を持ってい
ます。しかし、世界各国に目を向けると、まだまだハイブリッド
車が特別なクルマとして見られているのも事実です。そのため、
200
「プリウス」をはじめとするハイブリッド車をこれまで以上に普
及させるためには、どのようなクルマと比較しても遜色ない仕上
100
がりにして、お客様の選択肢に入れていただくことが大切です。
4 代目「プリウス」は、環境性能だけでなく、スタイリングも
走行性能も、そして安全面のどこを取っても「いいクルマ」に
仕上がったと思います。欲しいと思っていただいたクルマがた
またまハイブリッド車だったと感じていただけるように。
0
’97 ’98 ’99 ’00 ’01 ’02 ’03 ’04 ’05 ’06 ’07 ’08 ’09 ’10 ’11 ’12 ’13 ’14 ’15(年)
プリウスの 2015 年度の年間 CO₂ 排出抑制量は約 550 万トン(2015 年
12 月末時点のトヨタ試算)で、これは東京都の面積約 3 倍に当たる森林
(6 億本相当)の年間吸収 CO₂ 量と同じです。
「プリウス」の車両は、2 代目より豊田市にある堤工場で
製造されています。この工場は自然を利用し、自然と調和す
る工場づくりを目指した「サステイナブル・プラント」のモ
デル工場です。ここでは低 CO₂ 生産技術と日常改善による
省エネルギーに取り組むとともに、テニスコート 60 面分の
太陽光パネルで発電した電力を利用して CO₂ 排出量を低減
しています。
「エコなクルマは、エコな工場・エコな人から」
を実践している、優しいモノづくりの現場です。
プリウス車両生産の堤工場関係者
10 Environmental Report 2016 4 代目「プリウス」