発表資料

アドホック通信を利用した増設容易
な無線カメラシステム
電気通信大学大学院情報理工学研究科
准教授 策力木格(チリムゲ)
1
目次
1.
2.
3.
4.
背景
提案技術
想定される用途
産学連携
2
1.背景
IoT技術
Al-Fuqaha et al., “Internet of Things: A Survey on Enabling Technologies, Protocols, and Applications,” IEEE COMMUNICATION SURVEYS &
TUTORIALS, VOL. 17, NO. 4, FOURTH QUARTER 2015.
3
無線ネットワーク
携帯
WiFi
??? 自律分散通信、アドホック
4
既存無線カメラシステム
株式会社アイピー・フロント資料
5
アドホックカメラシステム
撮影画像を隣接端末へ配信を
繰り返し、共有する。
株式会社アイピー・フロント資料
6
アドホック無線カメラシステム予備実験
カメラ映像を3ホップアドホック通信でノートPCに転送
7
IoTと自律分散通信
・IoT(モノのインターネット)端末の増加により、
インフラに依存する通信方式(例えば、携帯電
話ネットワーク)だけでは必要な通信品質を保
証することが難しくなる。
・自律分散無線通信を活用するIoTシステムの
研究は、通信品質を保証する上で重要な課題
である。
8
提案技術
・本提案技術は、自律分散通信を活用したIoT通信プロトコルの
研究と、それを利用した無線カメラシステムの研究開発である。
・本システムの特徴は、複数のTCPセッションを活用して、マルチ
ホップアドホック通信の品質を向上させたところにある。
・従来アドホック通信に比べて30%以上のスループット増を実現
している。これにより、マルチホップアドホック通信におけるカメラ
映像の転送を可能にする。
・提案システムを利用することで、駐車場、工場、公園、小中学校
等公的施設などへの低コスト監視カメラシステムの設置が簡単
となる。
9
既存技術の問題点と解決方法
<既存技術の問題点>
・マルチホップのエンドツーエンドTCP通信においては、パケット
ロス率が高いため、輻輳制御が動作し、送信レートが抑えられ、
スループットが低下する問題がある。
・TCPスリーウェイハンドシェイク用メッセージ(SYN, SYN ACK,
ACK)が宛先まで届かない場合がある。
<解決方法>
・提案技術では、エンドツーエンドTCPの代わりに複数の1ホップ
のTCPセッションを活用することで、高いエンドツーエンドスルー
プットを実現し、無線リソースの有効利用を図る。
10
従来方式
従来方式の概念図
11
提案方式
提案方式の概念図
12
提案方式の実装
アプリケーション層
提案方式
トランスポート層
IP層
提案方式のTCP/IP参照モデルにおける位置
IP層以下はどの無線通信手法を利用してもよい
13
従来方式との比較
3500
Throughput (kbps)
3000
2500
2000
提案
従来
1500
1000
500
0
20
70
120
170
220
270
320
370
420
端末間距離(m)
本システムと従来技術の通信品質比較(2ホップ)
チェーントポロジ(ノードが直線上に配布されたとき)
14
ホップ数の影響
7000
Throughput (kbps)
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
hop数
ノード間距離:20m
ノード間距離:420m
本システムのマルチホップでのホップ数と通信品質の遷移
(最低150kbps, 640X480のMP4での30FPS送信可能)
15
新技術の特徴・従来技術との比較
• 本システムの特徴は複数のTCPセッションを活用し
て、マルチホップアドホック通信の品質を向上させた
ところにある。
• 無線アドホックネットワークにおけるカメラ映像の転送
を実現
• 複数のTCPセッションを利用することにより、マルチ
ホップネットワークにおいて、従来方式より高い通信
品質を提供する(2-hopにおいて30%のスループット
増)
16
本システムの優位性
•
•
•
•
通信インフラ構築の簡素化
監視カメラ設置工事費の低減
装置のコストダウン
通信費のコストダウン
17
想定される用途
• 駐車場、工場、公園、小中学校等公的施設な
どへの低コスト監視カメラシステム
• 大規模マンション、空港、駅、大規模店舗、大
規模工場、過疎地対策、林業への応用
• その他自律分散通信を活用するIoTシステム
18
実用化に向けた課題
•
•
•
•
•
劣悪な通信環境(断続的な接続、高密度)
経路選択プロトコルの改善
ユーザーのニーズに合わせたシステムの設計
設定の完全自動化、ユーザインタフェース
ネットワーク状況に合わせた画質の自動調整
19
劣悪な通信環境における課題と解決方法
課題① 断続的な接続
解決方法① 長い通信ホップを利用しない (本手法の特徴)
課題② 高密度環境
解決方法② -1 経路選択→高効率な通信
解決方法② - 2 クラスタリング→送信ノード数の削減
解決方法② - 3 情報アグリゲーション→送信データ量の
削減
20
産学連携、企業への期待
IoT技術を利用したい、IoT分野への展開を考え
ている企業や、無線通信を活用するIoTシステ
ムに興味を持つ企業との共同研究を希望します。
21
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称:マルチホップアドホックネットワークにお
ける複数のTCPセッションを利用した通信装置、通信
システム、および通信方法
• 出願番号:特願2015-117719
• 出願人:株式会社アイピー・フロント , 国立大学法人
電気通信大学 , 安 鋭堅
• 発明者:策力木格 , 余 東 , 安 鋭堅
22
産学連携の経歴
•2014年 フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンと
共同研究を実施
SUPET GTにおける車両CAN(Controller
Area Network)データの収集
開
発
装
置
サーバ側
提案システムを搭載した車
http://ms.toyota.co.jp/jp/gt/image/race/1400-okayama/photo-1400-003.jpg, 2014.
23
SUPER GTにおける車両データ収集実験結果
IEEE 802.11 b/g/n
従来方式
提案方式
24
お問い合わせ先
電気通信大学
産学官連携センター 今田 智勝
TEL
042−443−5871
FAX
042−443−5726
e-mail [email protected]
25