反復経頭蓋磁気刺激装置(TMS)とは TMS(Transcranial Magnetic Stimulation,経頭蓋磁気刺激法)は,8 の字コイルを頭皮 上から当てて磁場を発生させることにより、脳を活性化し脳卒中で麻痺した上肢の回復を 促す新しい治療法です。 近年、この TMS による脳の活性化と集中的リハビリを組み合わせた治療法が脳卒中後 の上肢麻痺改善に効果があることが報告され、一部の専門的な病院で治療が行われる ようになりました。 TMS は 1 ヘルツ(1 秒間に 1 回)の低頻度磁気刺激を健側(障害のない側)大脳運動野 にかけることで、患側(障害のある側)運動野を活性化し、麻痺側上肢機能の改善を促す 治療法です。TMS 治療は、体に針を刺すことは無く,痛みを伴うことも基本的にはありま せん。 TMS による効果は? 現在よりも、上肢・下肢の筋肉のつっぱり(痙縮)がとれる効果が期待されます。そのた め、自主訓練がしやすく上肢の動きも良くなります。 また、自然に近い歩行ができるようになりますが、その場合、膝周辺の筋肉の痙縮が緩 むことで、一時的に歩行に丌安を感じる事があります。しかしその後、膝をより自然に動か せるようにするリハビリを実施しますので、特に心配はありません。 上肢・下肢ともに TMS を受けただけでは効果は限定的です。その後、しっかりリハビリを することが大切です。 TMS と治療の様子 どのようなリハビリをするの? 他の多く病院では TMS を利用する場合には作業療法のみを実施しますが、当院では歩 行の改善も目指すので、理学療法も実施します。 その際、ロボットスーツ HAL®や HAL 単関節などのロボットリハビリテーション、IVES+®な どの電気刺激を使用したリハビリテーションも併用します。 リハビリテーションを進める上では、目標設定が大切です。TMS を受けてから機能障害 が改善したら、どんなことがしたいのか?具体的な目標を一緒に考え、TMS の効果を持続 するために、必要な自主練習も指導いたします。 1 TMS の使用頻度・使用時間は? 入院での治療を基本としますが、外来での治療も可能です。特にボツリヌス療法を併用す る方には入院での治療をお勧めします。 また状態によっては、使用頻度・使用時間の変更もあります。 ● 入院患者の使用頻度 : 週に 1~2 回を基本としています。 1 回の使用時間は、準備時間も含めて 20 分程度です。 ● 外来患者の使用頻度 : 月に 1~2 回を基本としています。 1 回の使用時間は、準備時間も含めて 20 分程度です。 適応基準はあるの? 医師の診察で適応を判断します。当院での適応基準は以下の通りです。 ● ● ● ● ● 年齢が 16 歳以上である。 頭蓋内に磁性体(クリップ、コイル、ステント)が入っていない。 心臓ペースメーカーが入っていない。 全身状態が安定している。(重度心疾患がない。透析をしていない) 最近1年間において、けいれん発作がない。 ★ 脳卒中発症後、急性期加療が終了している。 ★ TMS 治療を受けている間、頭を動かさない状態を保てる。 適応基準を満たしている方でも主治医の判断で TMS を実施しない ことがあります。 治療を受けるには?(新規・再治療) ① 鹿教湯病院 地域医療連携室に電話でご連絡を下さい。 TEL 0268-44-2111 受診するにあたり、用意していただく物 かかりつけ医の先生から紹介状を用意してもらい、下記へ郵送してください。 〒386-0396 長野県上田市鹿教湯温泉 1308 鹿教湯病院 地域医療連携室 行 ② 地域医療連携室から三才山病院 外来診察日のご連絡をします。 ③ 三才山病院 外来で診察を受けていただき、治療の判断をします。 診察終了後に、治療が必要な場合は入院・施行日を決定します。 2
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