目 次 2 生産者紹介 9 栽 培 技 術 13 23 29

タマゴタケ Amanita caesareoides、シイ林内地面、鳥取市
目 次
表紙のきのこに寄せて タマゴタケ(卵茸)… ……………… 2
研究トピックス Lentinula 属ゲノムプロジェクトとアメリカ・マサチュー
セッツ州クラーク大学および原木シイタケ生産地の訪問…… 3
生 産 者 紹 介 第49回全農乾椎茸品評会「こうしん中葉厚肉」
の部で農林水産大臣賞を初受賞
岩手県山田町の芳賀 隆さん… ………………… 9
きのこレシピ その1:プレミアムエリンギ濃丸の極旨レシピ…… 12
栽 培 技 術 7~9月の原木シイタケ栽培管理……………… 13
市 況 9月号 全農乾シイタケ情報… ………………… 23
生シイタケの市況動向………………………… 26
きのこ関連イベントのお知らせ………………………………………… 27
各地のきのこだより ……………………………………………………… 29
こいまる
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
表紙のきのこに寄せて
タマゴタケ(卵茸)
■ 長澤栄史
8月号で紹介しました猛毒のクロタマゴテングタケと同じテングタケ類(テングタケ科、テン
グタケ属)に所属する種類です。テングタケ類のきのこは、一般にすらりと伸びた細長い柄をも
ち、その上部にエプロンのように垂れさがった膜(つば)、根元に白い膜状の袋(つぼ)があり
ますが、本種もよくその特徴をそなえています。きのこが幼い時は全体が白い膜状の袋で覆われ
ていますが、成長するにつれて袋の頂
部が破れて傘や柄が外に姿を現します
(図1)。白い袋に赤い傘が収まって
いる様子は丁度鳥の卵を連想させます
が、卵茸の和名は恐らくそこから由来
するものでしょう。著しい特徴は、傘
や柄の鮮やかな赤い色彩ですが、その
他には傘の縁に長い溝状のすじがみら
れること、開いた傘の中央に乳頭状の
突起があること、柄は黄色の地に赤橙
図1、タマゴタケの幼菌
色の斑模様があること、ひだが黄色を
帯びることなどが挙げられます。ブナ科の樹木が優占する林の地面に初夏~初秋にかけて発生し、
分布は北海道から九州までほぼ全国的です。
テングタケ類には有毒な、しかも致命的な毒性をもっ
たものが少なくありません。本種はその派手な色彩から
有毒な種類と思われがちですが、優秀な食用菌です。
「外
見で判断してはいけな
い」は、人間の世界ば
かりではなくきのこの
世界においても同じで
しょう。
日本からは赤い鮮や
図2、ベニテングタケ
かな傘をもったきのこ
として本種の他にベニテングタケ(図2:有毒)とヒメベニテ
ングタケ(図3:有毒?)が知られていますが、傘や柄の表面
の特徴、つぼの性質(砕け易く、袋状にならないでいぼ状ある
いは粉状となる)などによって容易に区別できます。
(菌蕈研究所 特別研究員)
図3、ヒメベニテングタケ
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
研究トピックス
Lentinula 属ゲノムプロジェクトとアメリカ・マサチュー
セッツ州クラーク大学および原木シイタケ生産地の訪問
■ 寺島和寿
近年の技術革新により、様々な生物種において、ゲノムDNA解読が進められています。この
ような中、アメリカ・クラーク大学のヒベット教授の主宰のもと、シイタケを含むLentinula属
のゲノムDNAを包括的に解読する国際共同プロジェクトが立ち上げられ、本年4月にアメリカ・
エネルギー省・ジョイントゲノム研究所に採択されました。菌蕈研究所も本プロジェクトに参加
していますので、研究の打ち合わせのためにヒベット教授の研究室を訪問し、さらに、マサチュ
ーセッツ州における原木シイタケ生産現場する機会を得ました(本年6月4-12日)。そこで、本
稿では本プロジェクトの内容とヒベット研究室、そしてアメリカにおける原木シイタケ生産につ
いて報告いたします。
Lentinula 属ゲノムプロジェクト
本プロジェクトの対象となった Lentinula 属を図1に示しました。Lentinula 属は環太平洋
にわたって分布しており、太平洋の西側、東アジアからインドネシア・ボルネオ島にかけて
L. edodes が、東南アジアから西アジアやパプアニューギニア、オーストラリ・タスマニア島
図1.世界の野生シイタケ(Lentinula 属)の分布
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
にかけてL. lateritia が、ニュージーランドに L. novaezelandiae が分布しています。これら
の「種」は形態分類学的には異なる「種」として命名されていますが、相互に交配可能で、広義
のシイタケ(L. edodes sensu lato)として扱われることもあります。一方、南北アメリカに
はL. boryana、L. aciculospora、L. raphanica といった「種」が分布していますが、広義の
シイタケと交配ができません。このように多様なLentinula 属の「種」のゲノムDNA配列を網
羅的に解読することにより、Lentinula 属の進化を明らかにするとともに、交配や樹木分解に
関わる遺伝子の多様性の評価、菌糸成長温度、子実体発生温度、子実体形成に関わる遺伝子の探
索を実施する計画となっています。菌蕈研究所では、保有している国内外の Lentinula 属の菌
株を供試することで、進化系統学的な研究に寄与するとともに、菌糸成長温度特性や子実体発生
温度に関わる遺伝子の探索を分担することになっています。
クラーク大学ヒベット研究室
ヒベット先生(図2)の所属しているクラーク大学(図3)は、ボストンから約70km西に位
置する都市ウスター(Worcester)にあります。
クラーク大学は私立の総合大学で、生物科学棟にヒベット先生の研究室はあります。先生の専
門は「菌類分子系統学」であり、特にきのこ・担子菌類の進化・多様性に関する研究を進めてい
ます。また、先生は博士号取得前後の数年間、シイタケの系統分類の研究をされており、シイタ
ケに対して造詣が深く、1991年から1年間は菌蕈研究所にも滞在されていました。それが今回
のシイタケを含む Lentinula 属のゲノムプロジェクト企画・立案に繋がったわけです。
図2.ヒベット先生(左)と筆者(右)、マサチューセッツ州議会前にて
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
図3.クラーク大学
先生の研究室の構成員は、学部生2名(1人はベトナムからの留学生)、大学院生2名(うち1
名は9月編入予定)、博士研究員1名、短期博士研究員2名(中国、ブラジル)であり、比較的こ
じんまりとした研究室でした。短期博士研究員の一人は、筆者の大学時代からの友人であり、菌
蕈研究所と共同研究も実施している、ブラジルの国立アマゾン研究所の石川ノエミア博士(図4)
です。彼女はゲノムプロジェクトで使用する南米の L. raphanica の担当であり、ヒベット研究
室に半年間滞在していました。
図4.石川ノエミア博士
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
図5.セミナーの様子
この訪問に際して、ヒベット研究室で我々が行っている研究を紹介するセミナーを実施しま
した(図5)。参加者は、上記研究室メンバーに加え、クラーク大学の Gibbons 准教授(専門:
進化ゲノム学)が同席し、インターネット通信によりテネシー大学の Hughes 教授(専門:菌
類進化学)が聴講していました。彼らも本プロジェクトにおいて菌株提供やデータ解析の一翼を
担っている重要なメンバーです。セミナーの内容は①鳥取県の紹介、②菌蕈研究所とメンバーの
紹介、③シイタケの育種「美味・厚肉で収穫期間が長くブランド力のある原木シイタケ品種の開
発」、④シイタケの発生温度型の量的形質遺伝子座の探索で、インフォーマルで和やかなセミナ
ーでした。
原木シイタケ生産者の訪問
滞在中にシイタケの原木栽培をしている2人の生産者のほだ場を訪れることができました。
その一人、Paul Lagreze 氏(図6、農園名:New England Wild edibles、場所:Colrain、
HP:http://www.newedibles.com/)は、学校で作業療法士をする傍ら、副業で原木シイタ
ケ栽培を行っているとのことで、年植は500~800本と細々と続けているという感じでしたが、
数年前から出荷しており、345~460円/100gで販売しているということでした。菌床栽培
品の価格が230円/100gということで、1.5~2倍の価格のようですが、もう少し差別化を図
って高く販売したいと仰っていました。また、近くのレストランに原木シイタケを使用したメニ
ューがあり、一緒に昼食を頂きました。シイタケを使用している料理は、ハンバーガー(図7)
とオムレツ(図8)で、筆者はオムレツを食べたのですが、これは今回のアメリカ訪問中に食べ
たものの中で最も美味しい料理のひとつでした。
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図6.Paul Lagreze氏(中央)
図7.ハンバーガー
図8.オムレツ
次に訪れたのはLeo Mondragon氏(図9、農園名:Forest harvest、場所:Petersham、
HP:http://www.forestharvest.com/)であり、この方は年植2,000本程でしたが、冬季の
栽培のための発生舎を建築している最中で、規模拡大を図っているようでした。また、ほだ場が
乾燥気味だそうで、スプリンクラーで散水していました。害菌の発生を気にしておられたのです
が、これは生木への植菌のためシイタケの初期活着が遅れていること、過乾燥と過湿の繰り返し
が原因ではないかと考えられました。
両生産者ともに、原木はナラ類(アカナラなど)を主体とし、カエデ類も使用するとのことで
す。種菌は Field and Forest products Inc.(販売種菌:各種のきのこの種菌17品種、シイタ
ケ種菌11品種、HP:http://www.fieldforest.net/)から入手していました。
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
図9.Mondragon氏(中央)
訪問を終えて:ここでは、ヒベット研究室およびアメリカ東海岸の原木シイタケ生産者について
のみ書きましたが、この他に、ボストンシティ、ハーバード大学自然史博物館、ボストン美術館、
Mt. Norwottuck(州立自然公園)、Wachusett meadow(野生動物保護区)などを訪問する
ことができ、アメリカ東海岸の文化と自然に触れる多くの体験をさせていただきました。今回招
待いただき、さまざまな体験をさせていただいたヒベット先生には厚く感謝している次第です。
また、本訪問の主目的であるゲノムプロジェクトの打ち合わせ(使用菌株の確認、人員協力、
実験プロトコルの共有化、今後の予定など)を綿密に実施することができ、有意義な研究室訪問
ができたと考えています。今後、ゲノムプロジェクトを成功させ、その報告をこの紙面で行いた
いと考えています。
(菌蕈研究所 上席主任研究員)
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
生産者紹介
第49回全農乾椎茸品評会「こうしん中葉厚肉」の
部で農林水産大臣賞を初受賞
岩手県山田町の芳賀 隆さん
■ 星川淳雄
平成28年6月の第49回全農乾椎茸品評会の「こうしん中葉厚肉」の部で農林水産大臣賞初受
賞の栄に輝きました岩手県山田町の芳賀隆さん(37歳、図1)を紹介します。
図1.芳賀隆さん
芳賀さんの住む岩手県山田町は沿岸部宮古市の隣で陸中海岸のほぼ中央に位置し、第一次産業
を主要産業とする町で、緑豊かな山あいから贈られる豊間根荒川のマツタケと乾シイタケは、品
質日本一の高い評価を得ており、全国規模の品評会においても上位入賞者を毎年輩出、全国に3
人しかいない原木乾椎茸づくり名人の二人を擁する名実ともに岩手、全国を代表する主産地とな
っています。芳賀さんのお父さんである計市さん(73歳)は名人の一人です。しかし、平成23
年の東日本大震災により町は大きな被害を受け一変、現在も復興半ばの状況にあり、このような
中での受賞は芳賀さんはもとよりご家族にとって大きな喜びであるばかりか、産地再生に向け大
いに勇気づけられたことと思います。
芳賀隆さんの家族構成は、本人と妻の幸子さん、父親の計市さん、母親のあつ子さん、そして
子供3人の7人家族。一番下の子は今春生まれ家族が増えたこともあり、現在では一家の大黒柱
として奮起しているところです。芳賀さんは17年前に日本きのこセンターの日本菌類専門学校
(鳥取市)を卒業後そのまま就農。両親と3人で専業農家として原木乾シイタケ栽培を営んでい
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
ます。芳賀さんは就農以来、良品生産を目標として栽培技能の練磨に師匠でもある父計市さんの
指導を受けながら日々取り組んできました。そのような地道な努力があったからこそこの度の大
臣賞初受賞の栄に浴することができたのでしょう。これからも若手のホープとして産地隆盛のた
めにますます活躍されていくことでしょう。
芳賀さんの栽培経営は、年植1万5千~2万本の原木乾シイタケ専業栽培です。原木は近くの
山林を立木購入し、適期に伐採する。手ごろな大きさの原木だけでなく、老齢木(コナラ樹齢
80年もの)
・大径木まで利用している点が特長。品種は菌興115号コマ菌を主に用いています。
3月から玉切り・集材を開始。植菌は春子収穫後に行っています。芳賀さんの住む沿岸部はヤ
マセ(冷たい北東風)が入る地域であるので、特に植菌後のほだ木作りには気を配っています。
シイタケ菌が成長・腐朽できる温度をいかに確保するかに腐心しているとのことです。植菌後は、
原木伐採跡地の日当たりの良い場所に庇陰をして伏込み、まる1.5年間かけてほだ木作りを行っ
ています(図2)。
図2.今年植菌したほだ木のほだ木作りの様子(7月撮影)
厚皮大径木・中径木に駒菌を植菌した2~3年ほだ木を8月頃ハウス内に運び入れ、ほだ化促
進と原基形成の目的で早目からの散水管理を実施しています。今シーズンのハウス栽培は、温度
格差が大きくきのこが乾燥し生長できない状況が続き、栽培には苦労する年でしたが、芳賀さん
は単収と品質を上げるために初回の散水(12月下旬頃:最低気温5℃を下回る頃)から、12時
間散水を3~4回繰り返し、その後も適時成長散水を行いました。その結果、
「花柄混じりの厚肉
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
良品を収穫することができ、満足する結果につながった」と本人は話していました(図3)。また、
「3月にハウス上部へ遮光ネットを張りハウス内温度を低くすることで、春子の発生・収穫を長
く続けることがきるようになった」とも話していました。
図3.ハウスでのコマ菌2年大径ほだ木からのシイタケの発生
2シーズンハウスで発生させたほだ木は夏場に林内ほだ場へ移動し、ほだ倒しを行って春子が
発生が始まる頃に発生散水、芽切り確認後ほだ起しを実施するという栽培管理に徹しています。
林内ほだ場は東向き平坦地の杉林約3haで、落差を利用する散水設備を完備しています。
乾シイタケの良品作りには乾燥も大切であるが、燃料コストを抑えることも大事であるので、
芳賀さんは自作エビラ(深エビラ)を使用して仕上げ乾燥を行うことで、乾燥機3台分を1台に
集約し燃料代の節約を行っています。乾燥品の選別は母親あつ子さんが主に行い、作業を分担す
ることにも意欲的に取り組んでいます。
山田町は東京電力福島原子力発電所の事故により露地栽培シイタケは国による出荷制限が現在
も続いています。芳賀さんのところでも一時、基準値超過でほだ木の廃棄を余儀なくされました。
「本当に栽培を続けて良いか悩んだが、今はただ安全な原木を使用し、安全のために生産工程を
守り、安全なきのこ作りを継続して、今まで養った技術を途絶えさせないようこれからも日夜勉
強し、生産に努めたい」と熱く語っていました。逆境の中でも前向きな姿勢を失わず後継者とし
てこれからも栽培に勤しんでいただくことを心から願ってやみません。
(関東・東北事務所 研究普及員)
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きのこレシピ
こいまる
その1:プレミアムエリンギ濃丸の極旨レシピ
■ 前川 文・渡邊萌生
プレミアムエリンギ濃丸は、菌蕈研究所が品種開発した無胞子性のエリンギで、エリンギ特有
のくさみがほとんどありません。弾力のあるコリコリとした食感は抜群で旨みも強く、まさに“プ
レミアム”なエリンギです。すき焼き、鍋物、天ぷら、ソテーなど、さまざまな料理にお使いい
ただけます。
今回は、フリット(ふわふわ衣の洋風天ぷら)とおひたしの2品をご紹介します。
★フリット★ ●材料(2人分)
濃丸:1~2本 ★衣の材料(薄力粉:1/2カップ、ビール:50ml、レモン汁・塩:適量)
●作り方
1)濃丸を一口大に切り、★の材料を混ぜ合わせる。
2)濃丸に薄力粉(分量外)をまぶし、混ぜた★をつけて揚げる。
3)ほんのりきつね色になったらでき上がり。
塩、レモンなどをつけてどうぞ。
お好みで、衣に粉チーズや青のりを混ぜても美味しいです♪
★おひたし★ ●材料(2人分)
濃丸:1本、ホウレンソウ:1/2把、☆だし汁:100ml、☆醤油・みりん:各10ml
●作り方
1)濃丸を食べやすい大きさに切り、熱湯で2~3分茹で、水を切る。ホウレンソウを茹で、3
㎝幅にカットする。
2)☆の材料を混ぜ合わせ、1にあえたらでき上がり♪
今月号から、いろいろなきのこのレシピをご紹介していきます。
「こんな食べ方もあるよ!」というご提案もお待ちしております♪
(菌興椎茸協同組合総合企画室・一般財団法人日本きのこセンター知財活用部門)
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栽培技術
7~9月の原木シイタケ栽培管理
乾シイタケ栽培
1.7月(文月)の栽培管理
シイタケの発生はほだ木の出来具合に大きく左右される。特に植菌直後の活着・成長が影響を
およぼすため、7~9月期のほだ木作りがほだ木一代の発生量に大変重要となってくる。この時
期は暑さが本格的になります。集中豪雨が多く発生する時期でもあります。栽培管理には細心の
注意を払ってください。
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
注意点:裸地伏せの場合は周囲の下刈りを行い、風通しを良くする。直射日光が当たると40℃
以上となり、シイタケ菌糸は枯死するため充分な笠木を補充する。また、原木に萌芽が見られる
場合は菌糸成長に支障となるため天地返しや極端な萌芽の場合は背引きを行い強制的に原木水分
を抜くようにする。新植ほだ木(2年ほだ木)は勿論のこと、3~4年ほだ木についても梅雨明
けまでに天地返しを行いましょう。
2.8月(葉月)の栽培管理
8月は暦の上では秋になりますが、日中はまだ残暑が厳しく1年で最も気温が高くなる時期で
す。夏場は高温多湿になりやすく、害菌が発生しやすい。特に殺傷力が強いトリコデルマ類・ヒ
ポクレア・ラクテアなどの害菌は被害が大きいため普段の見回りや早期発見が重要です。ほだ場
も重要であり、ほだ木一代の品質・大きさ・発生量に影響するため、思い切った良いほだ場への
切り替えも必要になる。また9月からの原基形成促進のためにも8月期のほだ場環境整備は必ず
実行しましょう。
注意点:8月も7月と同様に風通しと直射日光に注意して笠木や周囲の下刈り・林内の下刈りを
する。翌9月からは原基形成期に入るため、この8月にはほだ場の環境整備を入念に行いたい。
特に暗いほだ場・北方向のほだ場においては雨の通りや来る冬~春期に成長温度が充分に取れず、
春一発の集中発生・シイタケの小型化が懸念されるため、夏期の内から枝打ち・間伐を行い、庇
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
陰調整を行うことが大切。
10月中旬から原木の伐採期を迎えます。市況が回復・安定している現在、家族労力にあった
適正規模で積極的に伐採しましょう!原木の伐採を安全に行うため、夏期の内に原木林の下刈り
を済ませておきましょう。
3.9月(長月)の栽培管理
9月に入ると、草の葉に白い露を結ぶことから、この時期は白露とも言われます。本格的な秋
の到来を感じられる頃です。日中はまだ暑さが残りますが、朝夕の涼しさの中に肌寒さも感じ始
めます。ほだ木の中では原基が活発に形成する重要な時期に入る。この時期の降水量の多少が晩
秋子~春子の発生量に影響します。散水施設がある方は積極的に散水を行い原基形成を促進する。
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散水の注意点
(1)散水できない場合
①自然の雨を効率良く受けるため、原基形成期(9月中旬頃)までに「ほだ倒し」をする。
②「天地返し」「ほだ回し」を9月中旬までに実行する。
(2)散水できる場合
①予備散水(菌糸成長散水)
ほだ場の最高気温が30℃以下になる日(8月下旬~9月上旬)から、1回当り24時間以上の
散水を2回実施する。本年においても4年(3才)ほだ木以降のものについては、原基形成に適
する水分量にはほど遠く、軽い状態であり、最優先に散水を行う。ほだ木を軟らかくし、吸水し
やすくして菌糸の再生を図るため。
②原基形成の散水
ほだ場の平均気温が25℃以下になる時期(9月中旬~10月上・中旬)からほだ木の年齢別に
7~10日周期に4回の散水を実施する。散水時間は、2年ほだ木(1才)で24時間以上、3年ほ
だ木(2才)で48時間以上、4年ほだ(3才)で72時間以上を目安とする。ほだ木が水分を充
分吸収していれば、内樹皮(あま皮)がオレンジ色に変ってくるので、これを目安とする。水量
や水源が乏しい所では、節水型間欠散水を取り入れ、少しでも原基を作る。ただし、きのこの発
生直前までは散水をしないこと。発生する20~30日前までに散水を止める。なお、乾きやすい
ほだ場では、防風垣を早めに設置し、水分・湿度の保持を図りたい。
シイタケは、他の農作物とは違って1年ほだ~5年ほだ(0才~4才)までのほだ木が総動員で
き、次の年の発生に備えられる優位な点がある。シイタケは昔から「備荒作物」と言われるよう
に、米が不作の年はシイタケの発生が良いとされている。今年こそ、品柄・収量とも安定させる
べく、やれることは全てやるとの心構えで栽培管理に努めましょう。 (四国事務所 西本 博)
生シイタケ栽培
今年はしばらく続いたエルニーニョが終息し、替ってラニーニャ現象の発生が予測されてい
る。太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけての海面水温が低い現象で、ラニーニャ
現象が起こると日本の気象は夏場の猛暑や空梅雨による水不足、その冬は厳冬となる等大きな影
響を与える。2010年各地で40℃の最高気温を記録した年もラニーニャの影響と言われている。
特に夏場の高温と降雨には注意しシイタケ栽培に取り組んでほしい。
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
図1.ハッポー栓の盛り上がり。植菌後の梅雨時期、植菌孔の中に原基が形成さ
れハッポー栓が浮き上がる。この時期にはほだ木への刺激(積み替え、散水)
を一時休止する。
1.ほだ木作り
夏期の高温は、高冷地や東日本地区では積算温度の確保となりシイタケ菌の繁殖が旺盛となり
ます。一方、低暖地や西日本ではトリコデルマ、ラクテア、クロコブタケ、クロボタンタケなど
の害菌発生、ほだ木表面や形成菌・オガ菌では種菌部の過乾燥をまねく原因となります。7~9
月はとりわけ高温と降雨に注意してほだ木作りに取り組んでほしい。
(1)積み替え・天地返し
新植ほだ木は、梅雨期には大きな変化が現れる。特に、形成菌では種菌部のオガが菌糸マット
状への変化が顕著となり、ハッポー栓の浮き上がり見られるようになります(図1)。また、木
口に菌糸紋が現れ、ほだ木重量も植菌時に比べるとかなり軽くなるのもこの時期の特長です。菌
糸紋の発生の仕方でほだ木内の水分状態や菌糸の伸長程度を推察することができるので管理の目
安にしてほしい。
木口全体に白く発菌している場合(図2)は、材内の水分も抜け、菌糸も順調に伸長している
ものが多い。一方、植菌列の部分のみに発菌した菌糸紋(図3)は、材内部に水分が多く菌糸が
表面を伸長してきたもので、ほだ木を持っても重く感じます。
ほだ化が遅れていると思われるほだ木については、温度が高い夏期に天地返しや積み替えを行
い均一なほだ化を目指したい。また、人工庇陰等でよく見られる井桁積みは、上下に雨の当たり
方にムラが出るため天地返しは必ず実行しましょう。
(2)散水管理
梅雨期は、人工的に散水を行う機会は少ないと思われるが、場所によっては雨量が少ない地域
もある。降水量に注意し散水の有無を判断したい。
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図2.木口全面に出現した菌糸紋。材内部はほぼ全体に菌糸が蔓延している。
図3.植菌した列に沿って発生する菌糸紋。水分の多い生木状のほだ木に発生し
た菌糸紋。
また、梅雨明け後は猛暑日が続く予想が出されているため、盛夏時を乗り切るまで定期的に散
水を実施し軟ほだ木作りや種菌部の乾燥防止を行いましょう。
夏期の散水には、ほだ木温度を下げる効果とほだ木内に直接給水させる効果があります。特に
人工庇陰下やハウス内は高温となるため、地下水や山水を日中しっかり散水し、ほだ木温度を下
げることが大切です(図4)。
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
図4.夏場のハウスの高温防止。夏場の温度が上がる時期にはハウス・小屋の屋根
から隙間を作って遮光ネットを張る。また、地下水を屋根にかけて温度を下
げることも有効。
2.発生操作(菌興537号、697号、702号、706号)
(1)操作方法(基本)
①浸 水 時 間:12~18時間(冷水を確保し古ほだ木は長めに)
②芽出し温度:20℃以下が最適。夜間温度が最適温度時や多発時には即展開も可。
③生 育 温 度:13~27℃、湿度は75%程度。
④休 養:約30日間が基本。多発後や使用回数が多い場合、古ほだ木は長めの休養(40
~50日間)が望ましい。
(2)盛夏時の発生ポイント
夏出しで最も苦労するのは、梅雨明け(7月下旬ころ)から9月上旬の二百十日頃の栽培管理で
す。この時期の栽培管理のポイントは以下のとおりです。
①浸水時間帯:発生量を増やすためには、夕方冷たい水に浸水することで温度較差を付けるこ
とで刺激を大きくする。一方、多発時には温度較差を少なくし、朝方浸水することで芽数を
減少させる効果があります(刺激を少なくする)。
②水温:浸水に使用する水については20℃以下を使用するが、猛暑時にはより強い低温刺激
を与えるため15℃程度の冷水を使用します。ほだ木を浸水すると水温が上昇するため、し
ばらく流し水を行い低い温度を維持しましょう。
③芽出しの実施:最低気温が20℃以上になると極端に芽切りが悪くなります。水槽内の水を
抜き、ハッポー材などでフタをすることで断熱対策をします(図5)。より効果的な方法は
クーラー室を利用した芽切り促進です(図6)。
④休養方法:休養は林内やハウス内で散水を実施しながら約1か月を目安に行うが、温度が高
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
図5.高温時の芽出し(エアコンを使用した芽出し)。コンクリ
ートや断熱材を使用した小部屋内に家庭用エアコンを設置
し20℃程度に設定し芽出しを行う。
図6.浸水槽を利用した芽出し。浸水後、水を抜き冷たい状態をシルバーシート
やハッポウスチロールで蓋をして1~2日芽出しを行う。
い状態で休養が続くと、原基は多数できても充実したものとはなり難い。小形のきのこが多
発する場合はこれを疑い、夕方~夜間散水を繰り返し行うことで充実した原基作りを行いま
しょう。
(3)初回使用前の原基作り散水
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
駒菌の2年ほだ木や形成菌・オガ菌1年ほだ木の初回使用をする場合は、少なくとも使用前2
週間から20日程度前に原基作りの散水を開始するが、原基形成は品種に係わらず20℃前後が適
温となる。これはほだ木材内の温度であり、外気温は25~28℃付近の頃です。従って外気温が
30℃を下回った頃より散水を開始し、原基形成の適温確保に努めましょう。
(4)害虫対策について
①防蛾灯の設置
シイタケオオヒロズコガ対策として防蛾灯(イエローガードなど)を設置することで、夜行
性の蛾には忌避効果と行動抑制効果が期待できます(図7)。
②防虫ネットの設置
孔の大きさ2mmの防虫ネットでほだ木全体を覆うことにより、成虫の飛来を防ぎ、害虫被
害を防止することができます(図7)。
(鳥取事務所 影井和男)
防蛾灯の設置 防虫ネットの被覆
図7.防虫対策
全国の向こう3カ月気象予報(平成28年8月24日、気象庁発表)
9月 北日本では、天気は数日の周期で変わりますが、平年に比べ曇りや雨の日が多いでしょう。
東日本と西日本日本海側では、天気は数日の周期で変わるでしょう。西日本太平洋側では、平年
と同様に晴れの日が多いでしょう。気温は、全国で高い確率60%。降水量は、北日本で平年並
または多い確率ともに40%。
10月 全国的に、天気は数日の周期で変わるでしょう。北日本太平洋側、西日本では、平年と
同様に晴れの日が多いでしょう。気温は、北・東日本で平年並または高い確率ともに40%、西
日本で高い確率50%。
11月 北日本日本海側では、平年に比べ曇りや雨または雪の日が多いでしょう。東日本日本海
側では、平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう。西日本日本海側では、平年に比べ曇りや雨
の日が少ないでしょう。北日本太平洋側では、平年に比べ晴れの日が少ないでしょう。東日本太
平洋側では、平年と同様に晴れの日が多いでしょう。西日本太平洋側では、平年に比べ晴れの日
が多いでしょう。気温は、北・東日本で平年並または高い確率ともに40%。降水量は、北日本
で平年並または多い確率ともに40%、西日本で平年並または少ない確率ともに40%。
-22-
菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
市 況
9月号 全農乾シイタケ情報
■ 全農椎茸事業所
1.今年の販売状況と今後の見通しについて
まだまだ暑い日が続いていますが、田んぼの稲も少しずつ頭を垂れてきて、日没が徐々に早く
なるなど秋の気配が漂ってきました。
さて、ここで今年の春から夏までの販売状況を振り返ってみたいと思います。今年の春子生
産量は、市況回復による生産意欲の高まりや、西日本主産地で発生が良かったこと、生出荷か
ら乾燥への切り替えが進んだことから用役ほだ木は減少したものの、前年の2,200tを上回る
2,500tと推定しました。平成27年産の秋子が前年比166%と大幅に増加する中での春子の
増産ということで、市況の動向が心配されましたが、1月から8月の入札平均単価は4,000~
5,000 円/㎏の幅の中で推移しており、再生産可能な水準での安定した市況展開になっていま
す。その理由としては、平成28年産の生産量が増加したと言っても平成25年産以前の水準(約
3,500t)には回復しておらず、原発事故以降の植菌量の減少により今後数年は用役ほだ木は
少ない水準のため平成29年産以降も生産量の大幅な回復が見込めないことから商社の仕入れ意
欲が高かったためです。
今後の見通しを立てるうえでは量販店などでの売れ行きが気になるところですが、当事業所が
実施したお盆の売価調査では昨年末から若干値上げがされている商品もあり、販売先商社からの
聞き取りでも荷動きは芳しくなかったとの声が多く聞かれました。お中元についても量目を減ら
した影響で原料の使用量が減少しています。こうした状況の中で最大の需要期である年末商戦に
向けた今後の動きについて、末端の価格については昨年値上げしきれなかった分もお盆までには
値上げがほぼ浸透したと見ており、もう一段の値上げはないと見込んでいます。足元では上述の荷
動きの悪さから厚肉を中心に市況が弱含んでいる品柄もありますが、一段売価があがった昨年末も
量販店での売れ行きはあまり落ち込まず、年末年始向けの根強い需要がまだまだあり今年末の荷動
きもある程度は見込めることから、年内の入札価格は現在の水準で推移していくと考えています。
年明け以降については秋子の作柄や年末の実際の販売動向にもよりますが、基本的には今後数
年の生産量が多くない見通しのため市況は維持されていくと見ています。当事業所としても商社
や関係先とも連携して現在の市況が維持されるよう取り組んでいきます。
2.全農原木椎茸生産指導員研修会について
(一財)日本きのこセンターの協力を得て毎年11月に鳥取市で開催している原木椎茸生産指
導員研修会を来たる11月8日(火)~9日(水)に開催します(受講料20,000 円(税込))。
生産指導員研修会という研修名ですが、営農指導員の方だけでなく系統で種菌の供給や、原木シ
イタケ・乾シイタケの集荷・販売等を担当されている方も対象にした研修会となっており、原木
シイタケの生産・経営から流通・販売に関する講義に加え、種菌を製造している種菌育成場やほ
だ場での実地研修も行い、購買・販売・営農指導など日ごろの業務に必要な品目基礎知識を幅広
く習得できる内容となっています。別途、開催案内をご送付いたしますので、新たに原木シイタ
ケを担当される方や、再度改めて原木シイタケに関する全般的な品目知識を習得したい方は是非
ご参加ください。全国からの多くの方のご参加をお待ちしております!
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
3.入札状況(品柄・出品数量等)
全農入札状況:8月24日に佐渡特集入札を開催しました。中元・お盆の荷動きが芳しくなか
ったとの情報から市況が弱含むかと心配されましたが、佐渡産は選別が丁寧にされており、年末
需要を見据えた商社の仕入れ意欲もあり、市況は保合となりました。
次回は9月14日に岩手特集入札会を開催します。岩手以外の産地も出品できますので、よろ
しくお願いします。
産地状況:7月から8月はほぼ全国的に平均気温が例年より高くなりました。降水量は7月は
西日本太平洋側・東日本日本海側は平年並み、それ以外は平年より下回りました。8月上旬も北
日本を除いて降水量が少なく、特に西日本は平年の23%と乾燥しており、九州の生産者からは
雑草も枯れているとの話がありました。同じ県内でも場所により夕立があるところ、ないところ
とバラつきも出ています。
4.乾シイタケ販売動向・一般情勢
贈答:お中元・お歳暮は売価が税抜きで3,000円、5,000円などキリがいい売価になってい
るため、相場の上げ下げに量目で調整することが多くなっています。乾シイタケの市況が回復し
たことにより、量目を減らした商品が増え、使用量が減少しています。一部商社では、歳暮分の
原料確保が完了したところも出ているようです。
家庭用・小袋:お盆の売価調査を事業所近隣の量販店で実施しました。調査した店舗の国産乾
シイタケのホール品の㎏単価は昨年末からさらに3%程度上がり19,377円で、スライスの㎏単
価は12%程度上がり26,948円でした。生産量減少を反映してか、エンドでの展開はなく、チ
ラシに乾シイタケを掲載し販売促進している量販店も少なかったようです。中国産は全く扱って
いない店が多く、扱っていても1~2アイテムとなっています。
業務・加工用:矢野経済研究所の調査によりますと、2015年度給食市場は前年に比べ1.2%
増の4兆5,525億円になりました。高齢者施設向けが2.8%増、幼稚園・保育所向けが2.5%増
と幅広い分野で増え、唯一、病院給食が病院数の減少等により0.6%減となりました。
輸出入:6月の輸出量は1.2tで、単価は3,384円。輸出量は単月では昨年対比117%で、
1~6月累計では同22%と国産の生産量の減少等により大幅に減少しています。一方、6月の
輸入量は419tで、単価は1,297円。輸入量は単月では昨年対比76%で、1~6月累計では同
99%となっています。1~6月累計の単価は同83%で、単価が下がっている割に輸入量は昨年
並みの状況となっています。
5.事業所から
椎茸事業所のある埼玉県ではお盆明けも引き続き暑さが続いていましたが、台風の関東上陸な
ど8月も終盤となり不安定な天候となっています。連日熱戦が報じられたリオオリンピック、甲
子園も閉会しましたが、最後まであきらめない逆転劇も多く、まだその興奮冷めやらぬという状
況です。
さて、今年から8月11日が国民の祝日「山の日」と制定され、それに関連して、あるスーパ
ーではお刺身や、惣菜、青果物を山盛りにして販売し、またある百貨店では山という字が名前に
入っている人はクーポンがもらえるといった販促を展開していました。乾シイタケは特に山との
関わりも深く、山盛り企画等で売り込みがあればいいのですが、今年のお盆の乾シイタケ売り場
を見ると、生産量の減少等により売り場を縮小している店舗もあり淡々とした売り場展開が多く
見られました。来年の山の日はお盆商戦に絡めて、販売促進できるよう商社にも働きかけていき
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菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
たいと思います。今年は残暑も厳しいと言われておりまだまだ暑い日が続きますが、夏バテなど
に気をつけて頑張っていきましょう。
6.今後の全農椎茸事業所入札日程
9月:14日(岩手特集入札会)
10月:12日
11月:16日
全農乾シイタケ入札結果(平成28年8月)
区分
本 数(箱)
高 値
平均値
500
6,320
高値規格(出品JA):花どんこ(JA羽茂)
4,837
月/日
8/24
佐渡特集入札
(単位:円/㎏)
乾シイタケの輸出実績(平成28年6月、財務省貿易統計より)
6月
数量 Kg
価額(千円) 単価(円 /Kg)
1~6月
数量 Kg
価額(千円) 単価(円 /Kg)
中
国
台
湾
香
港
シンガポール
マ レ ー シ ア
マ
カ
オ
サウジアラビア
ク ウ エ ー ト
カ タ ー ル
イ ギ リ ス
オ ラ ン ダ
ス ペ イ ン
カ
ナ
ダ
アメリカ合衆国
オーストラリア
0
500
0
301
0
0
211
0
0
0
0
0
38
131
0
0
540
0
1,267
0
0
968
0
0
0
0
0
288
933
0
0
1,080
0
4,209
0
0
4,588
0
0
0
0
0
7,579
7,122
0
0
1,623
4,310
410
57
350
211
48
60
173
70
32
215
901
25
0
3,445
28,053
2,136
318
1,441
968
231
208
1,233
490
225
1,437
5,502
208
0
2,123
6,509
5,210
5,579
4,117
4,588
4,813
3,467
7,127
7,000
7,031
6,684
6,107
8,320
合 計
前年対比
前年実績
1,181
3,996
3,384
8,485
45,895
5,409
116.5%
138.5%
118.9%
21.6%
37.1%
172.1%
1,014
2,885
2,845
39,322
123,603
3,143
乾シイタケの輸入実績(平成28年6月、財務省貿易統計より)
6月
数量 Kg
価額(千円) 単価(円 /Kg)
1~6月
数量 Kg
価額(千円) 単価(円 /Kg)
韓
国
4,853
13,600
2,802
4,853
13,600
2,802
中
国
414,203
529,235
1,278
2,609,664
3,345,161
1,282
台
湾
0
0
0
0
0
0
香
港
90
671
7,456
90
671
7,456
合 計
前年対比
前年実績
419,146
543,506
1,297
2,614,607
3,359,432
1,285
76.4%
61.9%
81.0%
99.2%
82.2%
82.8%
548,576
878,571
1,602
2,635,301
4,088,270
1,551
-25-
菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
市 況
生シイタケの市況動向
大阪市場
8月上旬の生シイタケ入荷量は前年比145%の52t(国産前年比147%の51.6t、輸入前年
比55%の0.4t)でした。価格は前年比88%のキロ758円(国産前年比87%の759円、輸入
前年比91%の589円)でした。
同中旬の入荷量は前年比135%の45t(国産前年比137%の44.5t、輸入前年比63%の
0.5t)でした。価格は前年比83%のキロ849円(国産前年比83%のキロ852円、輸入前年比
90%のキロ581円)でした。
8月に入り夏秋野菜の潤沢な入荷と猛暑による消費低迷により青果物全体に厳しい販売状況の
中、生シイタケの販売についても高温による小玉傾向ときのこ類全体の価格低迷に連動し厳しい
販売となりました。9月に入り品目によっては台風等の影響により不安定な入荷が予想され、き
のこ類への引き合いが強まるでしょう。
(大阪中央卸売市場 大阪中央青果㈱ 蔬菜部 田島範弘)
生シイタケの輸入実績(平成28年6月、財務省貿易統計より)
6月
数量 Kg
韓
中
国
国
合 計
前年対比
前年実績
価額(千円) 単価(円 /Kg)
1~6月
数量 Kg
価額(千円) 単価(円 /Kg)
0
0
0
0
0
0
81,522
30,607
375
872,897
314,991
361
81,522
30,607
375
872,897
314,991
361
106.8%
84.2%
78.8%
73.5%
69.2%
94.1%
76,332
36,348
476
1,187,374
455,401
384
その他の生鮮冷蔵きのこの輸入実績(平成28年6月、財務省貿易統計より)
6月
1~6月
数量 Kg
韓
国
中
価額(千円) 単価(円 /Kg)
7,021
数量 Kg
2,328
332
76,351
価額(千円) 単価(円 /Kg)
21,928
287
国
452
785
1,737
2,512
2,608
1,038
ス
1,613
3,431
2,127
5,700
10,822
1,899
ポ ル ト ガ ル
0
0
0
408
1,299
3,184
ス
ペ
イ
ン
0
0
0
1,887
4,799
2,543
イ
タ
リ
フ
ラ
ン
ア
1,960
8,789
4,484
1,960
8,789
4,484
ポ ー ラ ン ド
0
0
0
201
871
4,333
ル ー マ ニ ア
995
3,783
3,802
995
3,783
3,802
ブ ル ガ リ ア
870
1,452
1,669
1,131
2,427
2,146
ト
ル
コ
0
0
0
674
5,061
7,509
カ
ナ
ダ
40
230
5,750
833
3,413
4,097
合 計
12,951
20,798
1,606
92,652
65,800
710
前年対比
89.5%
207.6%
231.9%
106.6%
120.8%
113.3%
前年実績
14,466
10,019
693
86,914
54,479
627
-26-
菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
きのこ関連イベントのお知らせ
1.第17回「とっとりきのこ祭り」開催のお知らせ
開 催 日:平成28年10月1日(土) (雨天決行)
開催時間:開会式 9:30 開始10:00 終了14:30
場 所:一般財団法人日本きのこセンター菌蕈研究所(鳥取市古郡家211)
※会場に駐車場はありません。
お車でお越しの方は、臨時駐車場をご利用ください。
無料シャトルバス
鳥取駅南口発着、臨時駐車場発着の無料シャトルバスを運行します
平成27年第16回とっとりきのこ祭りの様子(左:きのこの展示、右:とっとりきのこ鍋“七福蕈”
2.第17回「とっとりきのこ祭り」プレイベント料理教室開催のお知らせ
きのこの料理教室を実施いたします。
きのこが好きな方、料理が好きな方、ぜひご参加ください。
タイトル:第17回とっとりきのこ祭りプレイベント料理教室
「菌食のススメ:美味しいきのこの料理教室」
シイタケ(乾・生)、エリンギ、ヤナギマツタケなどきのこをたくさん使ったヘ
ルシーで美味しいきのこ料理を紹介します。
日 時:平成28年9月22日(木・祝日)10:00~13:00
場 所:鳥取市総合福祉センター(さざんか会館) 3階栄養指導実習室
〒680-0845 鳥取市富安2丁目104-2
参 加 費:参加費500円 ※事前申込みが必要です。
※参加費は当日集金いたします。
人 数:先着20名程度(高校生以上)
申込方法:
「第17回とっとりきのこ祭りプレイベント料理教室参加希望」と明記の上、以下
の内容もご記入いただき、郵便、FAX、e-mail のいずれかでお申込みくださ
-27-
菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
い。※電話での申込みはできません。
(1)氏名、(2)郵便番号、住所、(3)電話番号、
(4)年齢、(5)性別、
(6)e-mailアドレス(利用可能であれば) (7)連絡方法:電話 or FAX or 郵便 or E-mail
申込先・問い合わせ先:
一般財団法人日本きのこセンター 菌蕈研究所
〒689-1125 鳥取市古郡家211番地
TEL:0857-51-8111 FAX:0857-53-1986
e-mail:kin-jimu@infosakyu.ne.jp
3.第17回「とっとりきのこ祭り」プレイベント講演会開催のお知らせ
菌蕈研究所の研究員による講演会を実施いたします。きのこが好きな方、菌類に興味のある方、
ぜひご参加ください
タイトル:第17回とっとりきのこ祭りプレイベント講演会
「菌食のススメ:伝統的食文化とテクノロジーの融合」
日 時:平成28年9月22日(木・祝日)15:30~17:30
場 所:とりぎん文化会館 第1会議室(〒680-0017 鳥取市尚徳町101-5)
参 加 費:参加費無料 事前申し込み不要
プログラム:
15:00 開場
15:30-15:35 開会
15:35-16:00 『菌食の魅力 -きのこの栄養・健康機能性・おいしさの秘密-』
菌蕈研究所 研究員 田淵諒子
16:00-16:25 『新たな食用きのこを探して -世界の野生きのこと食文化-』
菌蕈研究所 主任研究員 牛島秀爾
16:25-16:35 休憩
16:35-17:00 『世界初!胞子が無いエリンギ
-プレミアムエリンギ濃丸の開発とその美味しさ-』
菌蕈研究所 主任研究員 奥田康仁
17:00-17:25 『超厚肉シイタケ・菌興115号の挑戦
-シイタケ食の歴史とブランド品種の展開-』
菌蕈研究所 上席主任研究員 寺島和寿
17:25-17:30 閉会
-28-
菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
各地のきのこだより
鳥取ニュース
平成28年度鳥取県椎茸生産組合連合会通常総会を開催
去る7月28日、鳥取県椎茸生産組合連合会(会長:大家繁博)の平成28年度通常総会が鳥取
市の「対翠閣」で開催されました。総会には会員および来賓として鳥取県農林水産部長岸田悟氏、
全農鳥取県本部長山田晋爾氏、(一財)日本きのこセンター理事長常田享詳氏が出席しました。
冒頭の挨拶で、大家繁博会長が日頃の連合会活動への理解と協力に対し感謝の意を伝えるととも
に、活動総括として、5月に第58回鳥取県乾しいたけ品評会が盛大に開催されたこと、6月に埼
玉県久喜市で開催された第49回全農乾椎茸品評会において全国農業協同組合連合会鳥取県本部
が団体優勝(5回目)に輝いたことなどを述べました。来賓祝辞は、鳥取県農林水産部長岸田悟氏、
全農鳥取県本部長山田晋爾氏、(一財)日本きのこセンター理事長常田享詳氏がそれぞれの立場
から述べられました。
議事に先立ち椎茸生産振興等に関して顕著な功績のあった岡田洋二さん(鳥取市青谷町)、前
田 彰さん(鳥取市河原町)、河上 操さん(東伯郡琴浦町)、藤澤 章さん(日野郡日野町)の
4人が鳥取県椎茸生産組合連合会表彰を受けられました。
総会では、平成27年度事業報告並びに収支決算、平成28年度事業計画(案)並びに収支予算
(案)が協議され、満場一致で承認されました。また、役員改選が行われ、新会長に長谷川和郎
さんが選出されました。
(鳥取事務所 西澤則之)
平成 28 年度通常総会の様子
-29-
菌蕈9月号(第62巻 第9号 732号)
よろしく
対馬農協営農部シイタケ担当 大浦友道さん
平成28年7月1日より対馬農協に入組して、この度、営農部でシイタケを担当させていた
だくことになりました。
今までは、本土の農協で野菜全般の営農指導や、水稲・野菜の苗作りに携わってきました
が、以前から地元で仕事をしたいという気持ちがあり、地元である対馬に帰ることを決めま
した。
私が幼い頃、祖父が原木シイタケを栽培しており、時々手伝いをしておりましたが、シイ
タケに関しては、素人ですので、これから勉強して対馬シイタケの振興に少しでもお役に立
てればと考えております。よろしくお願いいたします。
菌蕈9月号(第 62 巻 第9号 通巻 732 号)
発行日:平成 28 年 9 月 5 日
発 行:一般財団法人日本きのこセンター
鳥取県鳥取市富安 1 丁目 84 番地
☎ 0857-22-6161、http://www.kinokonet.com/
編 集:菌蕈編集委員会
記事、写真およびデータの無断転載を禁じます。
-30-