グローバル・マクロ・ トピックス

2016/
グローバル・マクロ・
トピックス
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投資情報部
シニアエコノミスト
折原 豊水
ブラジル中銀はタカ派的文言を一部削除
 ブラジル中銀は8月会合で政策金利を市場予想通り据え置き。金融緩和を行う余地はないとし
た前回7月会合の文言を削除、利下げは物価見通し次第とした
 マーケットシナリオにおいて中銀の2017年の物価見通しが前年比+4.5%まで鈍化するのかが重
要に。加えて、テメル新大統領が財政改革を進めることも利下げを行ううえで必要に
 次回10月会合では財政改革が進展しているか不透明なため金利据え置きが見込まれる、中銀
の利下げに対する慎重姿勢は物価の伸び鈍化と合わせて金融政策の信認回復に寄与しよう
8月会合で金利据え
置き、タカ派的な文
言を削除も利下げは
物価見通し次第とし
た
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は8/31の現地時間夜、政策金利を14.25%に据え
置くことを全会一致で決定した。据え置きは9会合連続で市場予想通りの結果となっ
た。
声明文では、2017年末時点の中銀の物価見通しはリファレンスシナリオ(政策金
利や為替を現状の水準で据え置く場合)では前年比+4.5%近辺と7月中銀会合から
据え置き、マーケットシナリオ(政策金利や為替に市場予想を用いた場合)では同
+5.1%と7月会合時点の同+5.3%から下方修正した。物価見通しのリスクとしては、食
料品価格の高めの伸びが続くことやインフレ期待が収束せず物価の伸びの鈍化
ペースが想定よりも遅くなること等を再び指摘した。
(%)
ブラジル政策金利とインフレ率、国債利回り
(月次:2004/1~2016/8)
20
政策金利
18
消費者物価(IPCA)
2年国債利回り
16
14
14.25
12
12.39
10
8.7
8
6
レンジ
4
2
0
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(注)レンジはインフレターゲット(06年以降は+2.5%~+6.5%)、なお17年は+3.0%~+6.0%、
消費者物価は7月まで、国債利回りは07年3月~16年8月31日、政策金利は8/31まで
出所:ブラジル中銀、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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そうしたうえで中銀は7月会合時の「物価見通しからすると金融緩和(利下げ)を
行う余地はない」というタカ派的な文言を削除し、今回は「金融緩和を行うかどうか
は、インフレターゲットの達成に強い自信を持てるかによる、特に2017年に4.5%の目
標を達成できるかである」とした。市場の利下げ予想を前提としたマーケットシナリオ
に基づく中銀の物価見通しが今後、一段と低下すれば利下げの可能性があるが、
あくまで物価見通し次第であることを示唆した。
(%)
ブラジ ルの実質GDP成長率と経済活動指数(前期比)
(四半期:2006/3~2016/6)
4
3
2
1
0
▲1
▲2
▲3
▲4
▲5
06
07
08
09
10
実質GDP
11
12
13
14
経済活動指数
15
16
(年)
(注) 経済活動指数(生産等の供給サイドから作成)の直近は4~6月平均。GDPも
16年4-6月期まで。GDP算出方法の変更により過去分が修正されることがある
出所:CEICデータよりみずほ証券作成
利下げ に は 物価安
定に加え、財政改革
が進むのかによる、
10月は据え置きへ
今後については、通貨高による輸入物価の伸び抑制や、天候不順によって上昇
した食料品価格の伸びが徐々に鈍化することより、消費者物価の伸び鈍化が続こ
う。他方、中銀会合とほぼ同時に行われたルセフ大統領の弾劾裁判で罷免が決定
し、今後は財政審議が進む可能性があるが、いままでの進ちょくスピードや10月初
めに大規模な地方選挙を控えており、財政改革法案の採決は10月以降になるとみ
られ、次回10/18~19の会合では財政改革の進展がみられるか不透明である。ま
た、今回の中銀会合で利下げを示唆するような文言が盛り込まれなかったことから
すると、10月利下げの可能性はほぼなくなったとみており、11/29~30会合以降、中
銀は慎重に利下げを判断するとみている。16年末時点の政策金利は13.75%~
14.25%と予想している。
中銀の利下げに対する慎重姿勢は今後の物価見通しの改善とあいまって金融
政策の信認回復に寄与し、ブラジルレアルの中期的な安定にも寄与しよう。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
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インフレ率(IPCA、前年比)の推移
(%)
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
(月次:2013/1~2016/7)
8.7
医療
住宅・家具・衣服
教育・娯楽
運輸・通信
食料品・飲料
13
14
15
16
(年)
消費者物価
(IPCA)
出所:CEICデータよりみずほ証券作成
ブラジルの金融政策と声明内容
日程
政策金利
2015年7月 0.5%上げ(14.25%)
15年9月 据え置き(14.25%)
15年10月 据え置き(14.25%)
15年11月 据え置き(14.25%)
2016年1月 据え置き(14.25%)
16年3月 据え置き(14.25%)
16年4月 据え置き(14.25%)
16年6月 据え置き(14.25%)
16年7月 据え置き(14.25%)
声明内容
金利を十分長い期間にわたって据え置くことが16年末にインフレがターゲットに収束する
ために必要である
金利を十分長い期間にわたって据え置くことが16年末にインフレがターゲットに収束する
ために必要である
金利を十分長い期間にわたって据え置くことが一定期間内にインフレがターゲットに収束する
ために必要である。インフレ安定のため警戒姿勢を維持する
マクロ経済シナリオや物価見通しからすると金利据え置きが妥当と判断。6名の理事が賛成し、
2名の理事が0.5%の利上げに投票
マクロ経済シナリオや物価見通し、加えて国内外の不透明感からすると金利据え置きが
妥当と判断。6名の理事が賛成し、2名の理事が0.5%の利上げに投票
マクロ経済シナリオや物価見通し、加えて国内外の不透明感からすると金利据え置きが
妥当と判断。6名の理事が賛成し、2名の理事が0.5%の利上げに投票
インフレ抑制に向けた取り組みは改善したが、市場のインフレ予想がインフレターゲットの中央値
からかい離していることが、金融緩和を行うことを許容しない。全会一致。
インフレ抑制に向けた取り組みは改善したが、市場のインフレ予想がインフレターゲットの中央値
からかい離していることが、金融緩和を行うことを許容しない。全会一致。
物価見通しからすると金融緩和を行う余地はない。全会一致
16年8月 据え置き(14.25%)
金融緩和を行うかどうかは、インフレターゲットの達成に強い自信を持てるかによる、
特に2017年に4.5%の目標を達成できるかである
出所:ブラジル中銀資料よりみずほ証券作成
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金融商品取引法に係る重要事項
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