オリゴ糖の自動合成実現に向けた 電解グリコシル化反応の新戦略 鳥取大学 大学院工学研究科 准教授 野上 敏材 1 従来技術(オリゴ糖固相合成) Fmoc基を用いた 固相合成 FmocO BzO BzO HO BzO BzO O O BzO BzO OBz O O BzO BzO OBz 脱保護 OBz OBz O n O OBz BzO BzO O O n+1 O BzO BzO O OBz O O FmocO グリコシル化 BzO BzO OBz O O CCl3 NH 原理的に確立された手法であり、 自動化も比較的容易 ペプチド自動合成装置を改造した装置 Seeberger, P. H. et al. Science 2001, 291, 1523. 2 従来技術(固相合成)の問題点 固相合成 液相合成 スケールアップ 難しい 易しい 反応追跡 担体からの化合物の 切り出しが必要 溶液のまま 分析が可能 試薬量 大過剰必要 理論量~小過剰 反応の繰り返し 可能 不可能(不必要) 洗浄操作 必要 不必要(困難) 同じ反応を繰り返して、見かけ上の収率を上げられるのが 固相合成のメリットだが、やはり液相合成の方がメリットは多い 3 従来技術(立体制御)の問題点 隣接基関与を用いた手法 b面から攻撃 a面から配位 立体選択性はほぼ完全であるが、糖鎖ビルディングブロックの反応性低下や導 入、脱保護に余分な工程を要する。 隣接基関与が無い場合 b面から攻撃 a面から攻撃 a体, b体混合物 アノマー異性体(α体とβ体)の混合物となるケースがほとんど。 4 新技術の特徴 活性化(電解酸化) ワンポット で繰り返す グリコシル化 チオグリコシドの活性化によるグリコシルトリフラートへの 変換とチオグリコシドの水酸基とのグリコシル化反応による 糖鎖伸長をワンポットで繰り返す ・保護、脱保護を必要としない。 ・電気で活性化を行う。 5 液相電解自動合成装置 ①電解セル ②直流安定電源 通常の電解反応装置 + ③制御用パソコン ④極低温反応装置 ⑤シリンジポンプ 自動化に必要な装置 非常に安価に構築できる自動合成システム 6 従来技術との比較 a-isomer 単一系 (従来法) 混合系 b-isomer entry electrolyte(s) yield a/b 1 Bu4NOTf 79 % 16:84 2 Bu4NNTf2 35 % 28:72 3 Bu4NOTf / Bu4NNTf2 (3:1) 76 % 10:90 4 Bu4NOTf / Bu4NNTf2 (1:1) 76 % 6:94 5 Bu4NOTf / Bu4NNTf2 (1:3) 69 % 5:95 7 新技術の特徴 • 液相合成に基づくため、合成の迅速化や グラムスケール合成も実現可能。 • 自動合成装置の低コスト化が実現出来る。 • 隣接基を必要としないため、基質合成の 簡略化や低コスト化が見込める。 8 実用化に向けた課題 • 立体選択性を完璧にすると同時に収率の向 上を実現する。 • 装置に改良が必要な点がまだまだ多い。 • 基質合成を含め、操作に熟練が必要。 9 企業への期待 • 装置の知財取得に是非とも協力頂きたい。 • 装置改良(プログラム、電流・温度制御)を共 同で実施する企業を募集している。 • 実際に装置を導入し、連続合成やスケール アップ合成を実施し、普及に向けた問題点の 掘り起こしをしてもらいたい。 10 本技術に関する知的財産権 • • • • 発明の名称 出願番号 出願人 発明者 :立体選択的な糖鎖の製造方法 :特願2016-64646 :国立大学法人鳥取大学 :野上敏材、伊藤敏幸 11 産学連携の経歴 蓄電池関連 • 2004年-2012年 Panasonicと共同研究(分担) リチウムイオン二次電池の有機正極活物質に関する 共著論文3報、登録特許4件 代表論文:Nokami T. et al. J. Am. Chem. Soc. 2012年, 134巻, 19694-19700ページ(引用回数:97回) ・2015年~ アロイ工業(株)との共同研究(分担) その他 • 2009年 JST シーズ発掘試験研究(代表) • 2012年 JITSUBO社と共同研究実施(代表) 12 お問い合わせ先 鳥取大学 産学・地域連携推進機構 知的財産管理運用部門 部門長・教授 三須 幸一郎 TEL 0857-31-6000 FAX 0857-31-5474 E-mail [email protected] 13
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