川浦教育システム 教育情報 2016.9.1 新しい指導要領 中教審が中間

★★★
川浦教育システム
新しい指導要領
英語、小5から教科
教育情報
2016.9.1 ★★★
中教審が中間報告
小・中・高で討論型授業
文部科学相の諮問機関・中央教育審議会の特別部会は8月1日、2020年度から小、中、高校で順次実施
する次期学習指導要領の中間報告(審議まとめ)を公表しました。社会のグローバル化やIT(情報技術)化
に対応できる力を育むため、小、中、高校に討論などを通じて主体的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」を導
入します。また、小学校では5、6年生で英語を教科化し、高校では日本と世界の近現代史を融合的に教える
「歴史総合」の新設など大幅な科目再編案が盛り込まれました。以下、新聞報道などをもとに今回の中間報告
の内容をまとめてみました。
学習指導要領とは
小・中・高校の教科ごとに教育内容や目標、授業時間を定めます。文科相の諮問を受けた中教審が改定の方
向性を審議、答申し、文科相が告示します。改定はほぼ10年に一度で、1947年の刊行以来、次回が8回
目になります。
中間報告の特徴と主な変更点
1.授業時間と実施時期: 授業時間は中学と高校は現状維持、小学校は英語の分だけ増え、現行指導要領
の「脱ゆとり」を踏襲した形となりました。小学校の授業時数は、中学年と高学年の外国語教育の強化で14
0時間(1単位時間は45分)増えて計5785時間となり、授業時数を大幅に減らし学力低下を招いたと批
判された平成10年度改定(14年度実施)の「ゆとり教育」前の水準に回復する見通しです。文科相は中教
審から年内に答申を受け、年度内に告示する見込みです。実施は小学校が2020年度、中学校が2021年
度、高校は2022年度となります。
2.基本方針: 人工知能(AI)の飛躍的な進展など将来予測が難しい中、伝統や文化を重んじ、未来を
創り出していくための必要な資質・能力を確実に育むと明記しました。具体的には、論理的な表現力の弱さが
なお課題だとし、言語能力の強化を重視するとしました。これからの子供たちには、社会の進化を受け止め、
発展させる資質・能力が必要だと指摘し、
「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間
性」の育成を3本柱に掲げました。
3.学び方: 「学び」の本質として重要となる「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指す授業改善の
視点が「アクティブ・ラーニング」の視点とし、小・中・高校の全教科に児童生徒が対話しながら課題や解
決策を探る「アクティブ・ラーニング」を取り入れ、教師が一方的に話す一斉授業からの転換を図ります。
4.学ぶ内容: 大きく見直されます。学ぶ内容だけでなく、どのように学び、何ができるようになるかに
も主眼を置いたのが特徴です。
●高校では、世界史Aと日本史Aを融合し、日本と世界の近現代史を学ぶ「歴史総合」や18歳選挙権を受
けて主権者教育を行う「公共」などの必修の新科目を創設します。理科と数学の枠を超えた選択科目「理数
探究」なども新たに設けます。歴史総合のほか、選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられたことに対応し、
主権者教育や社会保障などを学ぶ「公共」を新設。国語では実生活での言語能力を育成する「現代の国語」と
日本の言語文化への理解を深める「言語文化」を必修科目とします。
●中学では高校での「歴史総合」の新設に合わせ、近現代以前の世界の動きに関する学習を充実します。
●小学校では、高校卒業段階で英検準2級から2級程度以上の割合を5割以上とする国の目標を踏まえ、5、
6年で年間35時間ずつある現行の外国語活動を教科型学習の「外国語」に格上げし、それぞれ年間70時
間とする方向です。外国語活動は3、4年に前倒しし、それぞれ35時間ずつとします。
●小学校で情報教育も強化し、算数や理科などの中で、コンピューターを動かす手順を論理的に考える「プ
ログラミング教育」を必修化します。
●英語は高校卒業までに、学ぶ単語数を現行の3000語から「4000∼5000語」に増やします。
●幼児教育では、育みたい資質・能力として、知識・技能の基礎、思考力・判断力・表現力等の基礎、学びに
向かう力や人間性等の三つを記載し、5歳児修了時までに育ってほしい具体的な姿を明確にします。
●特別支援教育では、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、多様な教育的ニ
ーズに対応できる学びの場を確保します。
●部活動に休養日・・・教員の負担軽減 今回の審議まとめでは、教員の長時間労働の一因とされる中学校の
部活動の改善にも触れました。教員の負担軽減を考慮し、地域と連携するなどの工夫や、スポーツや文化への
知見を広げる指導が重要としました。部活動は、人間関係が構築されるなど教育的意義が高いとされ、活動に
長い時間をあてる学校が多く、審議まとめでは、人間関係の構築などは、教育全体の中で達成されるべきだと
して、部活動に休養日を設けることなども求めました。
●道徳・・・これまで教科外の活動に位置づけられていた小中学校の道徳は、次期指導要領の実施に先立つ2
018年度以降、
「特別の教科」に格上げされます。子どもの考え方や授業に取り組む姿勢の変化を記述式で
評価します。他の子どもと比べる相対評価は行わず、入試の合否判定に使う内申書には結果を反映しません。
授業では、検定を受けた教科書が使われます。
5.高校での学ぶ内容: (最も変更点が多い)
●国語科: 「国語総合」に代わり、書く力や話す力を養う「現代の国語」と、日本語に関する文化などを学
ぶ「言語文化」の2科目が必修となります。共通必履修科目は、実社会・実生活における言語による諸活動に
必要な能力を育成する「現代の国語(仮称)
」と、我が国の伝統や文化が育んできた言語文化を理解し継承し
て生かす能力を育成する「言語文化(仮称)
」を設定。選択履修科目は、
「論理国語(仮称)」
「文学国語(仮称)」
「国語表現(仮称)
」を設定。伝統的な言語文化に関する理解をより深めるための「古典探究(仮称)
」を設定。
●地理歴史科: 現行の「世界史A」と「日本史A」を融合した必修科目「歴史総合」が、世界と日本の近現
代史の知識不足を解消するため、新設されます。全ての時代を扱う世界史は必修ではなくなるため、中学校社
会の歴史的分野で、日本史に加え、近代以前の世界史も学びます。各国や地域の実情のほか、環境問題や防災
なども学ぶ新科目「地理総合」も必修とします。共通必履修科目は「歴史総合(仮称)」と「地理総合(仮称)」
を設定。選択履修科目は、
「日本史探究(仮称)」「世界史探究(仮称)」「地理探究(仮称)」を設定。
●公民科: 選挙権年齢の引き下げを受け、政治参加意識を育む必修科目「公共」を新設します。内容が重複
する「現代社会」は廃止して、
「倫理」
、
「政治・経済」は選択科目にします。共通必履修科目は、現代社会の
諸課題を捉え考察し、他者と協働しつつ国家・社会の形成に参画し、持続可能な社会づくりに向けて必要な力
を育む「公共(仮称)
」を設定。選択履修科目は「倫理(仮称)」「政治・経済(仮称)」を設定。
●理数科: 理科と数学の知識を総合的に活用して高度な学習を行う選択科目「理数探究」が新設され、科学
技術分野の第一線で活躍できる才能育成を目指します。数学や理科における見方・考え方を活用しながら探究
的な学習を行い、新たな価値の創造に向けて挑戦する力の基礎を培う科目を、共通教科としての理数科に設定。
「理数探究基礎(仮称)
」と「理数探究(仮称)」とで構成する。
●数学科: 理数探究(仮称)の新設なども踏まえて、
「数学活用」を発展的に廃止するとともに、
「数学C」
を新設するなど科目構成を見直す。
●理科:
「理科課題研究」を廃止。
●外国語科: 聞くこと、話すこと、読むこと、書くことを総合的に扱う科目群として「英語コミュニケーシ
ョン1・2・3(仮称)
」を設定。うち「1」を共通必履修科目とする。また、外国語による発信能力を高め
る科目群として「論理・表現1・2・3(仮称)」を設定。
●家庭科:
「家庭基礎(仮称)
」と「家庭総合(仮称)」の2科目からの選択必履修とする。
●情報科:
共通必履修科目は「情報1(仮称)」を設定。全ての高校生がプログラミングによりコンピュー
ターを活用する力を身に付けられるようにする。選択履修科目として「情報2(仮称)」を設定。
●総合的な学習の時間: 進路指導にあてられるなど総合学習の時間が、本来の趣旨と違って使われる傾向が
あるため、名称を「探究」に変え、問題解決能力などを身に付ける授業の実施を促します。総合的な学習の時
間の重要性を踏まえた位置付けを明確化するため、名称を例えば「総合的な探究の時間(仮称)
」として見直
します。
6.大学入試: 学習指導要領改定に合わせて大学入試センター試験も衣替えし、2020年度からは「大
学入学希望者学力評価テスト(仮称)
」を実施し、思考力や表現力を問う記述式問題などを導入します。
重要項目の詳細
◎英語教育・・・英単語5000語が目標
小・中・高で
グローバル化する社会に対応するため、小・中・高を通じて強化されるのが英語教育です。小学校では、歌
やゲームを通して英語に親しむ「外国語活動」を現在の5、6年生から3、4年生に前倒しします。5、6年
生では、教科書を使う正式な教科となり、新たに単語や文法も学びます。小学校の英語では、1コマ45分程
度の授業が3、4年生で新たに年間35コマ(平均週1コマ)、5、6年生では現行の2倍の70コマ(同2
コマ)が必要となります。時間の確保については、土曜日や夏休み、朝の15分程度の学習を組み合わせるな
ど、学校の判断に委ねています。中学校からは英語の授業は原則、英語で行い、高校では発表や討論を導入し
て「聞く」
「話す」
「読む」
「書く」の4技能を育成します。高校卒業までに覚える単語数の目標は、現行の3
000語から4000∼5000語に引き上げられます。
◎プログラミング学習・・・論理的思考養う
プログラミング教が小学校で必修化されます。コンピューターを思い通りに動かすために必要な手順を論理
的に考える力を育てるのが目的です。理科や算数、音楽などの教科の中で実施します。例えば、理科では、暗
くなると自動的に点灯する街灯を題材に、エネルギーを効率的に使うのにプログラミングが活用されているこ
となどを学びます。音楽では、コンピューターを使って様々な長さ、高さの音を組み合わせて作曲するといっ
た授業が想定されています。プログラミング教育は、海外でも重視され、政府も新成長戦略で、小学校からの
必修化を盛り込んでいました。
中学校では現行の「技術・家庭」で取り上げられており、新課程では内容をさらに充実させます。高校では、
どちらか1科目を選ぶ「情報の科学」
「社会と情報」のうち「情報の科学」だけで取り上げられていましたが、
新課程では必修の「情報1」で全員が学ぶことになります。
◎アクティブラーニング
今回の審議まとめで示された基本方針の柱が、「アクティブ・ラーニング」です。知識を得るための学習量
は減らさず、子どもたちが話し合いなどを通じて課題を発見し、解決する力などを育むことを目指します。英
語で討論したり、歴史の学習で自ら調べた内容を発表したりすることが想定され、小中高の全教科で導入しま
す。自分の人生や社会に生かす力や人間性なども身に付くとしています。
新聞の特集記事
◎2016年8月2日付読売新聞記事
「考える力」育成手探り…次期指導要領
中間報告
文部科学省の中央教育審議会が1日示した次期学習指導要領の中間報告では、小学校からの「プログラ
ミング教育」や高校の新科目「理数探究」
「公共」などが打ち出された。実施は2020年度以降だが、先
行して取り組む学校もある。
先行の学校
大学や企業と連携も
東京都小金井市の市立前原小学校で7月14日、3年2組の36人が、タブレット型端末でプログラミ
ングの授業を受けた。
子供たちは、画面をタッチしてアプリ(ソフト)を操作。メガネのようにつながった二つの円の中に絵
を入れると、入れた時の位置の違いなどによって絵が異なる動きになる。高久璃美たかくりみさん(8)
は「自分の絵がどうなるか予想しながらやってみた」と話した。
プログラミング教育は、コンピューターを思い通りに動かすために必要な手順を考える力の育成が目的
だ。同校では先行して3∼6年生が年間各20時間取り組んでいる。担任教諭と授業にあたった松田孝校
長(56)は「今は教え方を知らない先生の方が多い。教育委員会の研修や、出前授業などを行うNPO
(非営利組織)と連携することが必要になってくる」と話した。
高校では、科学や数学の手法を使い、課題を探究する高度な選択科目「理数探究」が始まる。
山形県立米沢興譲館高校では「異分野融合サイエンス」という授業を1年生が受講している。
「工学と医
療」
「アートを科学する」といったテーマで1年間、実験を交えて研究。地元の山形大と連携して高度な実
験を行う生徒もいる。
海和雅人教頭(53)は「例えば、歴史を学ぶ中で土器の解析をするには科学の目が要る。高校時代か
らこうした理数の応用を学んでほしい」と話す。
必修科目では「公共」が登場する。
「18歳選挙権」を意識し、討論や模擬選挙、模擬裁判といった取り
組みが行われる。
NPOや企業と連携し、グループワークを多く採り入れた主権者教育、キャリア教育に取り組む都立高
島高校の大畑方人教諭(39)は「公共がアクティブ・ラーニング中心の科目になれば、課題を発見し、
人とコミュニケーションをとりながら解決策を提案する力を培う授業がしやすくなる。外部組織の受け入
れ体制ができれば教員も取り組みやすい」と期待した。
[解説]具体例示し
現場に配慮を
次期学習指導要領は「未来を作り出すために必要な資質・能力」を幼稚園から高校まで一貫して育むこ
とを目的とし、能動的な学び「アクティブ・ラーニング」の導入など「どのように学ぶか」にも踏み込む。
知識と思考力は学習の中で共に育成される、という科学的な見解が参考にされた。
背景には、グローバル化が進展し人工知能(AI)が著しく発達するだろう近未来の社会では、こうし
た能力が不可欠との分析がある。このため中教審や文科省は、知識偏重から思考力や課題解決能力を重視
する大学入試改革の流れを確実にし、一体的な改革を行おうとしている。
英語教育の強化や、政府が成長戦略に掲げた小学校段階からのプログラミング教育の必修化が盛り込ま
れたこともあり、中間報告の内容は分かりにくい。実際の授業をイメージできる具体的事例を多く盛り込
んだ指導資料を今後の指導要領告示、実施と並行して作成するといった学校現場への配慮が必要だろう。
◎2016年8月2日付毎日新聞記事
指導要領改定案
理念先行、戸惑う現場
背景には、グローバル化が進展し人工知能(AI)が著しく発達するだろう近未来の社会では、こうし
た能力が不可欠との分析がある。このため中教審や文科省は、知識偏重から思考力や課題解決能力を重視
する大学入試改革の流れを確実にし、一体的な改革を行おうとしている。
文部科学省が1日示した次期学習指導要領改定にむけた審議のまとめは「どのように学ぶか」の指導方
法にまで踏み込み、学習の質の向上を目指した。子どもたちが話し合いをしながら主体的に学ぶ「アクテ
ィブ・ラーニング」はその象徴だ。だが、小学校の英語教科化とともに、教員が新たな学びに対応できる
のか懸念はぬぐえないうえ、教員の多忙化に拍車がかかりそうだ。
「発信型」アクティブ・ラーニング
問われる教員の力
アクティブ・ラーニングは教員による一方向的な講義形式の指導ではなく、子どもたちが能動的に参加
する学習方法の総称。グループディスカッションや討論を通して自分の考えをまとめたり、問題を見つけ、
解決したりする。講義より知識の定着が深まり、学習意欲を高める効果もあるとされる。元々は欧米の大
学で取り入れられた授業スタイルで、近年、日本の大学にも広がっている。
中央教育審議会の特別部会委員として指導要領の改定に関わる市川伸一・東京大大学院教授(教育心理
学)は「手法はいろいろあるが、共通するのはインプットだけでなくアウトプットを重視すること。現行
の指導要領も知識の習得、活用、探究のバランスが取れた教育を目指しているが、特に探究が不十分だっ
たのでアクティブ・ラーニングを重視した」と説明する。
小中学生を対象に毎年実施している全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果から、日本の子
どもは一定の知識は身についているが、知識の活用が苦手なことが分かっている。OECD(経済協力開
発機構)の学習到達度調査などでは、他国に比べて学ぶ意欲や社会に対し積極的に参画しようとする行動
力が育っていない傾向も浮かぶ。
教員の教え込みで受け身になりがちな「暗記・再生型」の授業から、基礎的知識の習得を踏まえて考え
をまとめ、伝えていく「思考・発信型」に教育の質的改善を図る。アクティブ・ラーニングはこうした問
題意識から導入された。
しかし、課題も少なくない。教育の指導方法に詳しい田中昌弥・都留文科大教授(教育学)によると、
例えばディスカッションでは積極的な子は何度も発言し、議論のまとめ役をするなど充実した授業になる
が、控えめな子や勉強に自信がない子は教員の配慮がなければ、事実上授業に参加できない恐れがある。
また、40人学級で複数の班に分かれて議論した場合、個々の児童・生徒の多様な発言や本当の意欲な
どを教員が丁寧に把握するのは容易ではなく、評価する側の力量も問われる。生徒に議論をさせているよ
うに見えて、教員が答えを導く誘導型の授業に陥る可能性もあるという。
田中教授は「アクティブ・ラーニングは教師が目配りしないと『強者のための学習方法』になり学力格
差を生みかねない。各学校にアクティブ・ラーニングの中心となる教師を配置したり、学級を二つに分け
てきめ細かな指導ができるようにしたりする条件整備が大切だ」と指摘している。
英語、人材養成に課題
5、6年生で英語が正式教科になる小学校。小学校教員を目指す学生の教職課程で英語指導法は必修で
はなく、現職教員には英語指導法を学んだ人と学んでいない人が混在している。教員に教科化への不安が
あるのは当然だ。
英会話教室を展開するイーオンが今春、東京、大阪で開いた小学校教員向け英語指導法セミナーでは「英
語が苦手で、どう教えたらいいか分からない」と明かす教員が多かったという。
教員養成や指導態勢の整備が急務であることは明白だ。小学校の全学年に2006年度、
「英語科」を新
設した先進地の東京都品川区。英語教育のモデル校、区立三木(みつぎ)小学校は、1、2年生は外国語
指導助手(ALT)、3?6年生は区が雇用した非常勤の日本人英語講師(JTE)が授業に入り、担任と
の2人態勢で教える。
6年海組の長岡美恵子教諭は「私が間違った発音をしても、JTEが直してくれる。JTEと一緒に授
業を作れているので安心感がある」と話す。JTEやALTは欠かせない存在というわけだ。
「子どもは覚
えが早く、聞き取る耳が育っていると感じる」と成果も認める。岸達也校長も「JTE、ALTの存在が
大きな助けになっている」と指摘する。
人材養成には文科省も動いている。国の研修を受けた教員を「英語教育推進リーダー」に認定する制度
を14年度に始めた。18年度までに小学校教員のリーダー1000人を、リーダーから研修を受ける「中
核教員」を19年度までに2万人養成し、全国の小学校に中核教員を配置する計画だ。
また、大学などで計210時間の研修を受ければ中学校英語の教員免許が取得できる自治体や大学の「認
定講習」開設にも16年度から補助金を出している。
ただ、小学校の英語の教科化には専門家から批判も出ている。
英語指導や英語教育政策に詳しい和歌山大学の江利川春雄教授(英語教育学)は「入門期は単語も文法
も知らない子どもに音声を中心に指導しなければならず、教員には高い力量が求められる。それを支える
予算や人員確保、教員研修が不十分なままでは学習効果が期待できない。現時点での英語の教科化は見切
り発車で、文科省の計画は半ば破綻している」と指摘。認定講習も事実上、休日を利用するほかないこと
などから「教員の負担増が著しく、小学校教育全体を疲弊させる危険性が高い」と警鐘を鳴らしている。