附小だより(9月号)

9月
神戸大学附属小学校
2016_08_30
リオオリンピックから感じたこと
主幹教諭 森田英夫
長かった夏休みも終わり,学校に歓声が戻ってきました。この夏は,リオデジャネイロオリンピックの話題が各家庭でも取り上げられ
たことと思います。日本選手たちの活躍に一喜一憂するとともに,世界のトップレベルのアスリートたちが繰り広げる迫力ある競技や美
技を堪能されたのではないでしょうか。
未だ興奮醒めやらずというところですが,新たな挑戦も始まります。それは,もうひとつのオリンピック,パラリンピックです。9 月 7 日
から開催されるリオ大会では,17 種目に 127 人の日本代表選手が参加予定です。オリンピックの 28 種目,338 人に比べれば規模は
小さいですが,アスリートとしての挑戦の厳しさに違いはないでしょう。今回のリオパラリンピックの大会ビジョンはオリンピックと同じ「A
New World(新しい世界)」であり,各地で対立が生まれる国際社会に対して「互いの違いを認め合おう」と言うメッセージが込められて
います。
その意味で象徴的な場面が今回のオリンピックにありました。8 月 12 日に行われた卓球女子団体一回戦です。日本のダブルス,福
原・伊藤組と対戦したポーランド組のナタリア・パルティカ選手は生まれつき右前腕部がありません。私も試合を見ましたが,肘のくぼ
みの上に球をのせ見事なサーブを放っていました。試合はゲームカウント1-3で日本チームが勝利しましたが,第2ゲームは11-9
のスコアで日本チームから奪っています。この選手は,ポーランド代表として現在パラリンピックのシングルス(立位)3連覇中であり,
今回のリオで4連覇を目指しています。オリンピックとパラリンピックの両大会に出場した選手として、これまでも話題に上ることが多く、
メディアのインタビューに対して次の様に応えています。
「これ(サーブ)は努力のたまものだから,誇りを持っている」
「腕のことで気後れしたことは一度もない。周囲の支えには感謝している」
「卓球の無い人生なんて考えられない。障害なんて何とも思わない。みんなと同じ選手」
これらの言葉から感じられることは,彼女や周囲の人々に障害という壁がなかったのだろうと言うことです。ではこの「障害」とは,ど
のように規定されているのでしょうか。現在の指標は,WHO(世界保健機関)が提示している健康と障害に関する枠組みである ICF(国
際生活機能分類)です。この ICF は 1980 年に試案として提示,2001 年の WHO 総会において改定,今日に至ります。その意図は IFC
提示・設定以前の「障害とは健康が終わったところで始まり,一旦,その人が障害を持つと,その人は別のカテゴリーに入る」という捉
えを大きく変えるためです。具体的には,それまでの「健常者」でないものは「障害者」であるという考え方から,人それぞれの「健康」
には「生活機能」の違いがあるという考え方への改善です。例えば「若者」と「老人」という区別ではなく,「老人」は「高齢」という要素を
持った個人であるというように,すべての人々を差異で捉えることによって個性を尊重しようという理念に立脚しています。この様な考
え方の変更を広く伝えるには時間がかかります。現在に於いても過去の風習に捕らわれている部分があることも否めません。
ナタリア・パルティカ選手のような,自分の可能性を常に追い求め続ける姿や自分の可能性を信じられる様に彼女を支えてきた周
囲のあり方は,リオの両大会の具体的な指標になり得ると私には思えました。彼女のプレイスタイルに、見ている側に訴えかける何か
があるのを感じたのは私だけではないでしょう。両大会のビジョンである「A New World(新しい世界)」の扉を開き,「互いの違いを認め
合おう」というメッセージの実現は簡単なことではないと思えます。しかしながら,スポーツに限らず,このような意識の「壁」を取り払う
取組や人々の姿はこれからも求められるでしょう。グローバル化とは,違いを尊重しながら一人ひとりの身近なところから考え方を変え
ていくことに意味があるのだと改めて実感させられました。次世代を担う子どもたちに大切で正しいことを伝えていくためにも,身近な
ところにある本質に敏感でありたいと今,強く思っています。
参考 朝日新聞デジタル 8/14 版 厚生労働省 HP リオパラリンピック特設サイト HP
5年生の学習の取組
「自然の中で『人とのつながり』の大切さを感じよう」
少し前の話になりますが,6 月 25 日~28 日にかけて,5 年生の子どもたちは丹波少年自然の家へ宿泊活動に出かけました。この
学習を通して多くのことを学んだ子どもたちですが,その学びがどのようにして育まれたのか,当日の様子だけではなく,単元全体の
取組の様子をご紹介します。
○単元を通して伸ばしたい力を「人とのつながり」という視点で考えました。
単元の始めのコンセンサスゲームや昨年度までの学習の振り返りを通して,人とのつながりの大切さを
感じました。そして人とのつながりをより豊かにしていくために,学習を通して自分はどんな力をつけてい
きたいかを一人ひとりが考え,それを目標において,目的意識を明確にもった学習を進めていきました。
○グループごとに,一つひとつの活動でどんな姿を目指すのか話し合いました。
宿泊活動のプログラムを選択していくなかで,同じ目標を置いたメンバーでグループをつくり,
それぞれのプログラムで,目標を達成するためにどのように行動するべきか「めざす姿」を話し
合いました。お互いの意見を交流し合う中で,折り合いをつけて話し合うことができました。
○グループでスタンツ練習
キャンプファイヤーをみんなで盛り上げていくために,1・2 組合同の班編成で,スタンツを考えま
した。暗い中,みんなに楽しんでもらえるような出し物を考えるのに頭をひねらせながらも,アイディ
アを何度も試行錯誤し,「人とのつながり」が表現できるようなゲームや劇などのスタンツを創り上げ
ていました。
○いざ宿泊活動!「丹波少年自然の家」へ!!!!
<1日目>
<2日目>
●丹波名産「丹波焼陶芸体験」
●個人選択プログラム
「窯元やまの」さんで丹波焼
2 日目の午前は個々人でプログラムを選
の体験を行いました。やまのさ
択し,自然に触れあいながら,それぞれ活
んの話されることを真剣に聞い
動を楽しむことができました。
て,土をこね形を整え,世界に
たった一つの自分だけの作品
を創り上げました。
●野外炊事
班ごとに火おこし,調理など
役割分担を行いました。なか
なか火が付かない,煙や熱さ
にまいりそうな状況があって
も決してあきらめず声を掛け
合いながら協力する姿が見
られました。出来上がったカ
レーはどの班もとてもおいし
いものでした。
●班選択プログラム
2 日目の午後は班で,自分たちの目標とする「人とのつなが
り」を達成するという視点で選んだ活動に取り組みました。
●盛り上がったキャンドルファイヤー
スタンツ実行委員を中心にみんなで盛り上がって楽しい時間を
創り上げました。
<3日目>
●ポイントオリエンテーリング
丹波少年自然の家周辺の地
域に出て,班で時間内にポイ
ントを全て見つけられるよう,
話し合いながら活動しました。
○「人とのつながり」交流会
宿泊活動を通して自分たちが目標とした「人とのつながり」の視点で達成
できた姿やできなかった姿を交流し合い,それらを元にこれからの日常生
活で活かしていくための具体的な方法を考えました。
日 曜
9月の行事予定
1
木 発育測定(5・6年)
2
金 発育測定(3・4年)
3
土
4
日
5
月 発育測定(1・2年)
6
火 視力測定(5・6年),クラブ⑥,諸費振替日
7
水 中等オープンスクール(5年)
8
木
9
金
10
土
11
日
12
月 視力測定(2・4年)委員会⑤
13
火 視力測定(1・3年)
14
水
15
木 幼小合同避難訓練,宿泊前健診(4・6年)
16
金
17
土
18
日
19
月
20
火
21
水
22
木
23
金 教育実習終了
24
土
25
日
26
月 参観デー,学級懇談会③(低)
27
火
28
水 4年生4時間授業
29
木 4年生宿泊活動(あけのべ自然学校)
30
金
,クラブ⑦,学級懇談会③(高)
10月の主な行事予定
~1日(土)
4年生宿泊活動(あけのべ自然学校)
2日(月)
4年生代休,連絡進学説明会(6年)
6日(木)
諸費振替日
7日(金)
前期終業式,給食終了
9日(日)~14 日(金)
MRS訪問団訪問
10 日(月)~13 日(木) 6年生宿泊活動(東北)
お知らせ
AUS 訪問団のオーストラリアでの活動の様子を
HPにアップしています。ぜひご覧ください。
11 日(火)~14 日(金) 秋季休業日
17 日(月)
後期始業式,給食開始
19 日(水)
保護者懇談会③
20 日(木)
6 年生実力検査②
24 日(月)
委員会⑥
31 日(月)
なかよし遠足(弁当日,雨天順延)