火力発電所蒸気ドラム点検作業における作業者死亡事故について(注意喚起) 平成28年9月1日 関東東北産業保安監督部東北支部 平成28年7月15日,岩手県内で建設中の火力発電所において,点検作業中の作業員 が蒸気ドラム内部に引き込まれ死亡した事故が発生しました。 本事案は別紙のとおり,蒸気ドラムの内部点検のため,ドラム内の水位を下げる際に, 蒸気ドラムベント弁がほぼ全閉状態となっていたことからドラム内部が負圧となり,マン ホールを開けようとした作業員が引き込まれたものです。 このような類似の事故を防止するため,事故の概要について周知するとともに,電気工 作物に係る操作・点検・工事等を行う際には,事前の確認を徹底し適切な保安管理を実施 していただきますよう注意喚起いたします。 ○別紙 事故概要 問い合わせ先 関東東北産業保安監督部東北支部 電話:022-221-4947 電力安全課 別紙 【事故概要】 当該発電所は,平成27年3月に着工し平成28年8月の運転開始をめざして試運転中 であった。負荷性能試験の前に最終的な蒸気ドラム内部点検を実施しようとしていた。7 月11日にボイラーを停止し,冷却期間の後,7月13日から14日にかけて内部点検の ため蒸気ドラムの水位を下げた。7月15日朝,蒸気ドラムのベント弁が全閉状態でない こと及び現場圧力計指示が0MPaであること確認し,蒸気ドラムマンホールドアを開け る準備として,作業員がハンマーでマンホールドアを少し叩いたところ,突然マンホール 内に吸い込まれた。被災者は救急搬送された病院で死亡が確認された。 【事故原因】 蒸気ドラムベント弁Bがほぼ全閉状態になっていたことにより蒸気ドラムの内部が負圧 となっていたためと考えられる。 ①7月12日に蒸気ドラムベント弁B開操作を行ったが,弁開状態の確認が不十分であ った。 ②蒸気ドラム圧力表示が負圧まで確認できるものとなっていなかった。 ③作業開始前の危険予知は不十分であった。作業者責任者はドラム内圧力が正圧である ことに対する危険予知はあったが,負圧になることは想定しておらず,蒸気ドラムマ ンホールドア開放作業前にドラムベント弁が開表示であること,弁が閉ではないこと を確認したが,「全開」であることは確認していなかった。 蒸気ドラムベント 弁A:全開 一次SH 蒸気ドラムベント 弁B:全閉 蒸気ドラム ドレンが抜けていないた めシールされた状態と なっていた。 大気 一次SH管寄せ 蒸気ドラム連続ブロー 元弁:全開 降水管 蒸気ドラム連続ブロー 止弁:全閉 ブローダウンタンクへ 一次SH入口管寄せド レン弁:全閉
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