報告書(PDF)

第 7 回全国空手道指導者研修会
武道授業について、柔道、剣道、相撲以外の種目に
実技に移り、1 班 8 名のグループ分けを行い、班
ついても学習指導要領に明記し、平等に選べるよう
内で指導し合いながら、基本型 2、3 を学んだ。
に要望をしていることや、外部指導者の導入が学校
午後は班ごとに約束組手の練習を行った。中学生
側になかなか認められない現状を紹介した。
は突きを当てたいと思って、肩を入れたり、上体を
ここで笹川堯全日本空手道連盟会長が参加者に対
倒し、せっかく作った絶対に届かない間合を詰めて
して挨拶を述べた。
しまうので注意することが伝えられた。
「五輪種目に採用されたが、先生方に学校で教えて
約束組手を発展させるためにどのようにすればよ
いただかないと裾野が広がらない。特に形は怪我が
いのか班ごとに考え、タオルを的にすることや同時
ないので、ぜひ教えていただきたい。また、学習指
に何人かを相手に約束組手を行うこと、体の一部に
導要領に空手道の文字を入れ、教育委員会から理解
ぶら下げたタオルの取り合いなどが紹介された。
を得られるようにしていきたい。私は生徒たちに複
続いて、日野一男講師による事故と指導者の責任
数の武道種目を経験してもらい、自分に合うと思う
の講義が行われた。刑法、民法、また具体的な判例
ものを続けてもらえばいいと思っている」
をあげながら指導者の責任について説明し、中でも
次の基本技術①は初心者と上級者に分かれて行わ
いけないことはいけないと注意をすることが相手も
れた。初心者は日下修次講師が、上級者は小山講師
自分も法的に守ることになるとの講義があった。
が担当した。初心者は最終目標を団体形の発表とし
続いて、中村武志講師による空手道授業採用に向
初心者による基本形 1 の団体演武
て、基本動作から指導がなされた。その後、3 人組
けた取組についての講義が行われた。はじめに松田
第 7 回全国空手道指導者研修会は 8 月 16 〜 18
が 6 割強、剣道が 3 割強、空手道その他が 1 割と
を作り、各グループごとに基本形の練習をした。上
助講師から沖縄県の現状について、公立 149 校の
日の 3 日間、東京・辰巳の日本空手道会館で行わ
なっています。平均実施時間は 9.8 時間、外部指導
級者は松田健助講師によるウォーミングアップのの
うち、124 校が空手道を選んでおり、沖縄県では子
れた。本研修会は平成 24 年度から必修となった中
者の活用は少なくなってきて、保健体育科教員が指
ち、小山講師による基本の指導、また、空手道の現
供にとって空手道が身近な環境にあることが要因で
学校保健体育科における武道授業の充実に向けて、
導する傾向が伺えます。空手道の採用校は当初から
在にいたる歴史を解説した。その後、各流派のナイ
あろうとの発表があった。
教科体育「空手道」の理解を深め、空手道の授業指
比較すると 2 倍以上増加しており、勢いがありま
ファンチが披露され、違いを比べた。
次に北海道北広島市の参加者より、市内全校で空
導法および専門的な知識・技術の充実を図り、中学
す。まさに空手道の動きの楽しさ、素晴らしさ、互
校、高等学校空手道指導者の資質向上に寄与するこ
いに技をやりとりする喜び、お金もかからない、ど
■ 2 日目(17 日)
マットや道着が支給されている現状が発表された。
とを目的に開催された。講師 12 名を招き、全国か
こでもできる、そういう魅力があり、空手道はオリ
初めに岩城公二講師による中学校武道指導実践法
背景として同市での全中大会の毎年開催をあげた。
ら空手道初心者 32 名を含む 80 名が参加した。
ンピック正式参加も決まって、今後の必修化の飛躍
①が行われた。岩城講師によると、中学校保健体育
また、私立のセントヨゼフ女子学園中学校(三重
が期待される種目です」
科における武道必修にもっとも早く対応したのは佐
県)では、校長が沖縄で空手の演武を見て感動して
■ 1 日目(16 日)
次に講師を代表して小山正辰講師が挨拶した。
賀県で、教員採用試験受験者に武道の段位を求める
始まり、女子校なので護身術も空手道授業の中で展
14 時より行われた開講式では、はじめに栗原茂
「約 10 年前に手引きの初版を作成し、6 年前から
事業を始めた。また、武道の事故にも触れ、富山県
開し、さらに創立 60 周年に向けて演武の披露を検
夫全日本空手道連盟副会長が挨拶に立った。
この研修会を続けてまいりました。そして昨年、手
を例に外部指導者の有効性について言及した。富山
討している現状が話された。
「空手道が 8 月 4 日に五輪正式種目に決定しまし
引きの第 2 版ができ、空手道授業の指導は一段階上
県では平成 24 年度から 3 年間に渡って外部指導者
今後、空手道の採用校を増やすためには、空手道
た。また、今年の全日本選手権において天皇杯、皇
がったと考えております。また、講師陣は毎年、ご
派遣制度が実施されたが、事故件数は 24 年度が 72
を選択するアドバンテージもしくはデメリットを参
后杯の下賜も決定しております。空手道の未来はい
参加の先生方が学校現場に戻って、生徒さんに具体
件、25 年度が 60 件、26 年度が 50 件と年を追うご
加者全員で考え、数組が発表を行った。
ま、大変輝かしく明るいものだと思っております。
的にわかりやすく、楽しく伝えられるよう研修内容
とに減少していった。しかし、制度終了後の 27 年
空手道の持つ楽しさや素晴らしさをみなさんと共有
について工夫をしてきました。その成果を生徒さん
度はまた 70 件に増加。事故を減らすには外部指導
■ 3 日目(18 日)
しながら、この 3 日間、内容の充実した研修会にな
に伝えていただきたいと考えております」
者の活用が有効だったことがわかり、今年度から専
はじめに井下佳織助講師による体ほぐし運動を行
ることをお願いして挨拶とします」
14 時半より、2020 年東京五輪に向けた取組・中
門でない教員や女性教員が指導する学校に外部指導
った。その後、初心者と上級者に分かれ、初心者は
続いて、三藤芳生日本武道館理事・事務局長が主
学校武道必修化についてと題して、栗原講義講師が
者を派遣する制度を立ち上げた。また、新学習指導
その場基本、移動基本、基本形 1 〜 3 を、上級者
催者挨拶を述べた。
講演を行った。8 月 4 日に決定した空手の五輪種目
要領のポイントのうち、特に、アクティブラーニン
はナイファンチ初段の指導が行われた。最後に閉講
「武道必修化が 4 年を経過してその実施率は、柔道
採用への道のりを述べたあと、中学校保健体育科の
グについて解説がなされた。
式が行われ、研修会の全日程が終了した。
手道が行われており、教委の全面的な協力のもと、