調 査 速 報 国内新車販売統計(2016年8月)

調 査 速 報
浜銀総合研究所
調査部
産業調査室
2016.9.1
国内新車販売統計(2016年8月)
内需は引き続き低調:足元の乗用車生産指数の上昇は追い風参考記録
○中古乗用車輸出市場は底が見えない状況:国内新車需要への逆風が強まる
・9月1日発表の8月の国内新車販売台数(登録車+軽自動車、貨物車含む)は前年同月比
2.9%増と4か月ぶりのプラスとなった。季調済年率換算値(X-12-ARIMA にて当社試算、
以下 SAAR)でみた8月の販売台数は前月比 7.0%増の 504 万台と、僅かではあるが、7か
月ぶりに 500 万台を上回った。もっとも、4∼8月平均 SAAR は 477 万台と 15 年度実績
(494 万台)を下回っており、内需は引き続き低調である(図表1)
。熊本地震の影響や燃
費不正問題による一部完成車工場の稼働停止といった供給制約が解除され、同期間に積み
上がった受注残の解消といった特殊要因があったことを勘案すると、8月の販売増加を
もって内需回復と判断するのは時期尚早と考える。
・内訳をみると、8月の乗用車(登録車+軽)販売台数の SAAR は前月比 7.3%増の 421 万
台となり(図表2)
、このうち、登録乗用車は同 5.8%増の 239 万台(図表3)
、軽乗用車
の販売台数
(SAAR)
は前月比 10.8%増の 127 万台と2か月連続の増加となった
(図表4)
。
・貨物車(普通+小型トラック)販売台数の8月の SAAR は前月比 2.4%減の 42 万台と2か
月連続で減少した。貨物車の販売は 16 年に入ってから一進一退の不安定な動きが続き、
足元では頭打ち感がある(図表5)
。
・鉱工業指数をみると、7月の生産は2か月連続で上昇した。一方、在庫は3か月ぶりに減
少し、健全な水準である。三菱自動車の燃費データ不正問題で稼働停止となっていた同社
水島製作所の生産が7月2日に再開したことに加え、海外工場から日本に生産移管したモ
デルがあったことや、北米向け新型車の輸出拡大・開始といった好材料が重なったことを
背景に輸出が増加したことが増産の背景にある。もっとも、内需低迷に加え、米国新車市
場の減速や原油・資源安を起因とする中近東及びアフリカでの景気悪化により、日本から
の自動車輸出に対する下押し圧力が強まる可能性が高いため、足元の増産基調が今後も続
くと期待するのは禁物である。
・中古乗用車の7月の輸出台数をみると、下落基調が続き、底の見えない状況で、輸出金額
も前年比2桁%の減少が5か月も続いている。中古車輸出市場を取り巻く環境は極めて厳
しい。国内新車市場では、本年9月から主要小型車の初回車検更新台数が大きく増え、新
車の潜在需要が発生する好機となるが、中古車輸出の失速を起因とした国内中古車市況の
図表1 国内新車販売(SAAR)は 504 万台
下落は、この買い替え需要への逆風となる。
仕向地別で中古車輸出台数(SAAR)をみ
ると、アフリカ向けが半年ぶりに増加に転
じたが、同地域向け中古乗用車の7月の
FOB 単価は前月比で大きく落ち込み、価格
競争が激化している可能性が高く、台数増
を前向きに捉えるのは難しい。
季調済、千台
7,000
6,500
6,000
新車販売台数(登録車+軽自動車、貨物車含む)
前年同月比、%
100
80
16年8月SAAR 504万台
前月比+7.0%
60
5,500
40
5,000
20
4,500
0
4,000
-20
3,500
3,000
-40
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
前年同月比(右軸)
-60
2,500
-80
.
1
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会より作成
図表2 乗用車販売(SAAR)は前月比 7.3%増
季調済、千台
6,500
乗用車新車販売台数(登録車+軽)
6,000
図表3 登録乗用車販売が前月比増加
前年同月比、% 季調済、千台
16年8月SAAR 421万台
前月比+7.3%
5,500
120
4,500
100
4,000
80
60
4,500
40
4,000
3,500
3,000
-20
2,000
20
2,500
20
0
2,000
0
-80
-20
1,500
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
前年同月比(右軸)
1,000
-60
.
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 日本自動車販売協会連合会より作成
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 日本自動車販売協会連合会及び全国軽自動車協会連合会より作成
図表5 貨物車販売は減少
図表4 軽乗用車が2か月連続の増加
軽乗用車販売台数
2,500
前年同月比、%
80
16年8月SAAR 127万台
前月比+10.8% 60
2,000
40
1,500
20
1,000
0
季調済、千台
500
0
前年同月比、%
100
80
400
60
300
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
前年同月比(右軸)
貨物車販売台数
450
350
500
-40
500
.
季調済、千台
3,000
60
40
-60
1,500
80
16年8月SAAR 293万台
前月比+5.8%
3,000
-40
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
前年同月比(右軸)
前年同月比、%
100
3,500
5,000
2,500
登録乗用車新車販売台数
40
16年8月SAAR 42万台
前月比▲2.4%
20
250
-20
200
-40
150
0
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
.
-20
-40
.
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 日本自動車販売協会連合会より作成
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 全国軽自動車協会連合会より作成
2
○7月の乗用車生産指数は2か月連続の上昇
・鉱工業指数(速報値)を見ると、7月の乗用車生産は2か月連続の上昇となった。一方、
7月の在庫は3か月ぶりに下落した。在庫循環図上では(注)、6月に続き7月も乗用車生産
は「意図せざる在庫減局面」にあり、在庫水準は健全である(図表6)
。三菱自動車の燃
費データ不正問題で稼働停止となっていた同社水島製作所の生産が7月2日に再開した
ことに加え、後述のように輸出が増加したことが増産の背景にある。もっとも、7月は新
モデル投入が相次いだといった好材料が重なったことを背景に輸出は盛り上がったが、マ
クロ景気の悪化を起因とする海外での自動車需要の減速懸念は払しょくできないことか
ら、足元の輸出増加は追い風参考記録と捉えるのが無難である。内需低迷が続いているこ
ともあり、乗用車生産に対する下押し圧力が早期に収まる状況ではないと考える。
・図表7∼9では鉱工業指数から、普通、小型、軽乗用車別の各指数(生産、出荷、在庫)
の推移と在庫循環図を示している。7月の普通乗用車の在庫(季調値)は3か月ぶりに減
少した。生産活動は「意図せざる在庫減局面」にとどまっている。在庫水準は健全である
が、上記の理由から生産に対する下方圧力は強い状況が続こう。
・7月の小型乗用車の在庫は3か月連続の増加となった。在庫循環図上は7月も6月に続い
て「意図せざる在庫減局面」となり、同セグメントの在庫水準は健全であるが、在庫増加
が続き、減産圧力が高まるリスクには注意したい。
・三菱自動車水島製作所の稼働が再開されたこともあり、7月の軽乗用車生産は前月比で増
加した。在庫は5か月連続の減少となった。生産は「意図せざる在庫減局面」に止まって
おり、在庫水準は適正である。もっとも、需要低迷により在庫が再び増加するリスクには
引き続き要警戒である。
(注)新モデルが発売されるタイミングで乗用車の出荷と在庫は大きく振れるため、各月の出荷・在庫(原数値)を3か月後方移動平均で均
してから前年同月比と比較し、それぞれ変化率を X-軸(出荷)と Y-軸(在庫)でプロットしている。
図表6 7月の生産は2か月連続の上昇
季調済、2010年平均=100
140
乗用車の在庫循環図
鉱工業指数の推移:乗用車
60
在庫積み上がり局面
在
庫
40
︵
︵
120
3
か
月
後
方
移
動
平
均 -60
値
100
80
︶
︶
・
前
年
同
月
比
%
60
生産
出荷
在庫
.
40
2011
2012
2013
2014
2015
2010年
注: 赤いマーカーは各年の1月実績。
出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成
2016
20
在
庫
調
整
局
面
0
-40
-20
0
20
40
2009年1月
-20
-40
在
庫
積
み
増 60
し
局
面
直近月
(2016年7月)
意図せざる在庫減局面
-60
出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比%
注: 2014年実績値は□(黄色)、15年は○(赤)、16年は◇(緑)でハイライト。
出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成
3
図表7 普通乗用車の生産は「意図せざる在庫減局面」が続く
普通乗用車の在庫循環図
鉱工業指数の推移:普通乗用車
20
季調済、2010年平均=100
120
在庫積み上がり局面
︵
在
庫
2011年1月
3
か
月
後
方
在
移
庫
動
調
平
整
-20
均
局
値
100
80
︶
・
前
年
同
月
比
%
60
生産
出荷
在庫
在
庫
積
み
増 20
し
局
面
0
0
面
直近月
(2016年7月)
意図せざる在庫減局面
.
40
2011
2010年
2012
2013
2014
2015
-20
出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比%
2016
注: 2014年実績値は□(黄色)、15年は○(赤)、16年は◇(緑)でハイライト。
出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成
注: 赤いマーカーは各年の1月実績。
出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成
図表8 小型乗用車の在庫水準は健全だが、増加基調が続く
鉱工業指数の推移:小型乗用車
小型乗用車の在庫循環図
100
季調済、2010年平均=100
200
在庫積み上がり局面
出荷
在
在
庫
庫
3
3
か
か
月
月
後
後
方
方
移
移
動
動
平
平
均-100
均
値
値
・・
前
前
年
年
同
同
月
月
比
比
%
%
在庫
︵
︵
生産
180
160
140
︶
︶
120
100
80
60
在
庫
調
整
局
面
在
庫
積
み
増
し
局
面
0
0
100
直近月
(2016年7月)
意図せざる在庫減局面
-100
出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比%
.
40
2010年
2011
2012
2013
2014
2015
注: 2014年実績値は□(黄色)、15年は○(赤)、16年は◇(緑)でハイライト。
出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成
2016
注: 赤いマーカーは各年の1月実績。
出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成
図表9 軽乗用車も「意図せざる在庫減局面」が続くが、需要低迷続き楽観は禁物
軽乗用車の在庫循環図
鉱工業指数の推移:軽乗用車
100
季調済、2010年平均=100
400
在庫積み上がり局面
在
庫
320
3
か
月
後
方
移
動
平
均-100
値
︵
360
280
240
生産
出荷
在庫
200
︶
160
・
前
年
同
月
比
%
120
80
.
40
2010年
2011
2012
2013
2014
2015
50
在
庫
調
整
局
面
0
-50
0
50
在
庫
積
み
増
し
局
面
100
-50
直近月
(2016年7月)
意図せざる在庫減局面
2016
-100
出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比%
注: 赤いマーカーは各年の1月実績。
出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成
注: 2014年実績値は□(黄色)、15年は○(赤)、16年は◇(緑)でハイライト。
出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成
4
○7月新車乗用車輸出(季調値)は前月比大幅増だが楽観は禁物
・8月 30 日に公表された7月の乗用車輸出台数(軽乗用車と中古車を除く)は前年同月比
0.3%減となったが、
SAAR は前月比 11.3%増の 422 万台と大幅な増加となった
(図表 10)
。
主要仕向地別でみると(図表 11)
、米国向けの輸出(SAAR)が大きく増加したことが輸出
全体の盛り上がりを牽引した。一方、中東向けの輸出は底割れが続いている。
・米国向け輸出がこれまでのトレンドから大きくかい離する形で7月に増加した背景には、
①海外工場から日本に生産移管したモデルがあったことや、②北米向け新型車の輸出拡
大・開始といった好材料が重なったことが挙げられる。
・上記の要因②の一端が見られるのが、門司税関苅田(かんだ)港の貿易統計である(図表
12)
。日産自動車及び日産車体九州工場製車両の輸出港である苅田港では、7月の新車乗用
車輸出台数(SAAR)が前月比 21.3%増の 39.5 万台となり、2012 年1月以来、久方ぶり
に年率 40 万台レベルの高水準となっている。輸出増加は4月より始まっているが、これは
日産自動車九州において北米向け SUV「ローグ」の生産が開始されたことが背景にある。
7月はこのローグの輸出拡大に加え、日産車体九州工場製の米国向け SUV「アルマーダ」
の生産開始が輸出増加を後押ししたと推測する。
・日本にとって最大の輸出先である米国の新車販売台数(SAAR)は、7月に前月比 3.0%増
の 1,743 万台(当社試算)となったが、16 年に入ってから一進一退の不安定な動きが続い
ている(図表 13)
。長らく拡大基調にあった米国新車市場はいよいよ「潮目が変わった」
可能性が高く、同国向けの輸出がこの先、一段と切り上がって、輸出の大きな押し上げ要
因になると期待するのは難しい状況だ。
・米国に次ぐ主要仕向け地である欧州では、バカンス期間であるため最新月次統計が6月と
なるが、6月の販売台数は前月比 1.1%減少と2か月連続の減少となった(図表 14)
。3
か月後方移動平均値でみるトレンドは高位で推移しているものの、一進一退が続いている。
6月、7月と欧州向けの輸出は増加しているが、米国同様に欧州の新車販売も 16 年に入っ
てから不安定な動きが続いており、今後更に上向いていくと予想するのは難しい。
・最後に、中国の7月の乗用車小売台数は3か月連続で前年同月比2桁増と堅調で、流通在
庫の過剰感は払拭された(図表 15)
。乗用車販売台数(生産に近い工場出荷ベース)に目
を向けると、7月の SAAR は前月比 9.2%増となり、3か月後方移動平均値で見る増加基
調は続いている(図表 16)
。流通在庫の過剰感が払拭されたことから、在庫削減の為の減
産リスクは後退した。同国向け輸出は足元停滞しているが、今後上向くかに注目である。
・上記の北米向け新モデル効果や中国での 図表 10 7月乗用車輸出(SAAR)は前月比大幅増
前年同月比、%
新車乗用車輸出台数:全国
流通在庫の減少は好材料であるが、米国新 季調済、千台
100
5,000
16年7月SAAR 422万台
車市場の減速及び原油・資源安を起因とす
前月比+11.3%
80
4,500
る中近東及び第3国輸出仕向地のアフリ 4,000
60
カでの景気悪化により、日本からの自動車 3,500
40
20
3,000
輸出に対する下押し圧力が強まる可能性
0
が高いため、7月の輸出増加はむしろ「追 2,500
-20
2,000
い風参考記録」として捉えるのが妥当であ
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
-40
1,500
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
り、8月以降、輸出が更に伸びると期待す 1,000
-60
前年同月比(右軸)
12年
399万台
14年
372万台
15年
387万台
13年
391万台
るのは禁物と考える。
-80
500
前年比+8.6%
前年比▲4.8%
前年比+4.1%
前年比▲1.9%
-100
.
0
5
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
図表 11 米国向け輸出が急伸。中東向けは底割れ続く
季調済、千台
2,000
米国向け新車乗用車輸出台数
1,500
前年同月比、%
80
500
12年 167万台
前年比+19%
13年 170万台
前年比+2%
14年 151万
前年比▲11%
40
600
40
500
20
400
0
-20 300
-20
-40 200
-40
-60 100
15年 158万台
前年比+4%
12年 40万台
前年比▲24%
13年 37万台
前年比▲7%
14年 45万台
前年比+23%
-60
15年 51万台
前年比+12%
0
-80
-80
.
.
0
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
700
0
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
前年同月比、%
16年7月SAAR61万台 80
前月比+6.9% 60
60
16年7月SAAR 180万台
前月比+17.7% 20
1,000
EU圏(28か国)向け新車乗用車輸出台数
季調済、千台
800
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
中東向け新車乗用車輸出台数
季調済、千台
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
600
500
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
豪州向け新車乗用車輸出台数
季調済、千台
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
500
前年同月比、%
80
450
60
200
100
16年7月SAAR 30万台
前月比▲18.8%
12年 36万台
前年比+26%
13年 41万台
前年比+13%
14年 43万台
前年比+5%
0
300
20
250
0
-20
200
-20
-40
150
50
-80
40
250
20
100
-80
前月比+26.9%
60
40
0
150
-20
40
100
-40
-60
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
80
200
0
-60
15年 31万台
前年比+4%
ASEAN向け新車乗用車輸出台数
季調済、千台
前年同月比、%
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
120
16年7月SAAR 8.1万台 80
60
15年 17万台
前年比▲21%
14年 29万台
前年比▲10%
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
300
14年 22万台
前年比+22%
13年 33万台
前年比▲10%
.
中国向け新車乗用車輸出台数
季調済、千台
前年同月比、%
400
80
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 16年7月SAAR 19万台
前月比▲3.5%
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
350
60
前年同月比(右軸)
13年 18万台
前年比+3%
12年 36万台
前年比+19%
0
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
12年 17万台
前年比▲12%
-40
100
.
50
40
0
-60
15年 50万台
前年比+15%
60
350
20
300
前年同月比、%
80
16年7月SAAR 36万台
前月比+21.2%
400
40
400
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
20
0
-20
-40
20
12年 7.4万台
前年比×1.3
13年 5.2万台
前年比▲30%
14年 5.0万台
前年比▲5%
-60
15年 5.7万台
前年比+16%
-80
0
-80
.
.
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
12
13
14
15
16
2011年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
6
図表 12 九州における日産車の輸出は高水準
新車乗用車輸出台数(苅田港)
季調済、千台
前年同月比、%
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
450
400
120
100
16年7月SAAR 39.5万台
前月比+21.3%
350
80
300
60
250
40
200
20
150
0
100
-20
50
-40
0
-60
.
2011
12
13
14
15
16
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省貿易統計のデータより作成
図表 13 米国新車販売は頭打ちの状況
米国新車販売台数
季調済、百万台
19
図表 14 欧州は高水準も6月まで2か月連続の減少
前年同月比、%
40
18
30
17
20
16
10
15
0
14
-10
-20
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
-40
12
11
10
9
前年同月比、%
16年6月SAAR 1,482万台
30
前月比▲1.1%
16
16年7月SAAR 1,743万台
前月比+3.0%
13
EU27か国乗用車新車登録台数
季調済、百万台
14
20
12
10
10
0
-10
8
-30
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
6
-50
4
-60
-20
-30
.
.
09
10
11
12
13
14
15
16
2007年 08
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: Autodata、Bloombergのデータより作成
図表 15 小売堅調で乗用車流通在庫は適正水準に
VIA指数
中国:在庫早期警戒指数(VIA)と乗用車小売台数の推移
50
40
65
30
60
20
55
10
50
0
45
-10
40
-20
35
VIA:在庫早期警戒指数(左軸)
-30
30
乗用車小売台数前年同月比(右軸)
-40
25
-50
.
14
15
11
12
13
14
中国乗用車販売台数
季調済、百万台
前年同月比、%
70
2013年
10
15
16
図表 16 乗用車販売は増加基調が続く
75
.
09
2008年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 欧州自動車工業会(ACEA)のデータより作成
26
24
22
20
18
16
14
12
10
8
6
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
16
7
2013年
1,793万台
前年比+16%
2014年
1,970万台
前年比+10%
13
14
70
60
50
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
2015年
2,111万台
前年比+7%
.
.
11
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: 乗用車小売台数は微型バン(軽自動車バン)を除く。
注3: VIAは50を下回る場合がディーラーでの在庫水準が適正、50を上回る場合が在庫過多。
出所: 中国汽車流通協会(CADA)、全国乗用車市場信息連席会(CPCA)データより浜銀総合研究所作成
前年同月比、%
16年7月SAAR 2,487万台
前月比+9.2%
12
15
16
2010年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: 工場出荷ベース。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 中国汽車工業協会(CAAM)のデータより作成
○底が見えない中古乗用車輸出市場:アフリカ向け増加も価格競争激化の可能性
・国内流通業者に注目されている中古乗用車の輸出市場に目を向けると、7月の中古車輸出
台数は前年同月比 15.0%減と5か月連続の前年割れとなった。SAAR は前月比 3.4%減の
91 万台と減少し、3か月後方移動平均でみると、下降トレンドが続き底の見えない状況で
ある(図表 17)
。同月の中古乗用車の輸出金額も前年同月比 34.3%減と5か月連続の大幅
減と、中古車輸出市場を取り巻く環境は極めて厳しい状況が続いている(図表 18)
。
・7月の中古乗用車輸出台数を主要仕向地別で見ると、特筆すべきは、アフリカ向けの輸出
台数(SAAR)が半年ぶりに増加したことである(図表 19)
。しかし、一方で、同地域向け
中古乗用車の FOB 平均価格は6月 43.8 万円から7月 37.0 万円と前月比 16%の下落と大
きく値崩れしている(図表 20)
。同地域向けの輸出が持ち直した背景には、収益性を犠牲
にした価格競争の激化がある可能性が高く、台数増加を前向きに捉えるのは難しい。
・中古車流通業者の間で高成長市場として注目されてきたスリランカ向けの7月の輸出台
数(SAAR)は前月比 17.1%増の 2.1 万台と6か月ぶりに増加に転じた6月に続き2か月
連続の増加となった(図表 21)
。5月 27 日に輸入自動車に対する関税が見直され、多くの
主要輸入車種の関税が再度引き上げとなったが、関税が引き下げられた中古軽乗用車の輸
出台数が緩やかながら増加し続けている(図表 22)
。同国向け輸出市場は、現地通貨安や
マクロ景気悪化の逆風に晒され厳しい状況が続いているが、軽乗用車輸出の動向は、日本
の軽市場に影響を与えているだけに要注目である。
・スリランカに代わって高単価車両の輸出先として期待されているシンガポール向けの7
月の輸出台数(SAAR)は、前月比 10.0%減の 2.4 万台と減少したが前年比での水準は高
い(図表 23)
。同国では自動車所有権証(COE: Certificate of Entitlement)の発行数が増加し
ており、自動車の買い替え需要が盛り上がっているものの(注)、本年3月以降に輸出台数が
大きく落ち込んだ背景には、シンガポール当局の港湾ないし車両登録の処理能力が限界に
達していたために、新車・中古車登録待ちの車両が港湾に滞留していたことがある。これ
により、日本からの中古車の船積みが遅れていたが、6月以降は正常化に向かっていると
思われる。
(注)COE の詳細及び買い替え需要発生との関係性は、下記リンク先の「国内新車販売統計(2016 年2月)
」ページ 10∼11 を参照されたい。
https://www.yokohama-ri.co.jp/html/report/pdf/shinsha1602.pdf
図表 17 中古乗用車輸出台数(SAAR)は下降トレンドが続く
中古乗用車輸出台数の推移
季調済、万台
140
120
前年同月比、%
80
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
16年7月 SAAR 91万台
前月比▲3.4%
60
100
40
80
20
60
0
40
-20
20
11年 70.0万台
前年比+4.1%
12年 83.1万台
前年比+18.7%
13年 94.8万台 14年 106.0万台
前年比+14.1% 前年比+11.8%
-40
15年 102.2万台
前年比▲3.2%
-60
0
.
2011年
12
13
14
15
.
16
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
8
図表 18 7月の輸出金額は5か月連続の大幅減
中古乗用車輸出金額の推移
億円
前年同月比、%
80
800
輸出金額
前年同月比(右軸)
16年7月440億円
前年同月比▲34.3%
700
60
600
40
500
20
400
0
300
-20
-40
200
11年 3,529億円 12年 3,933億円
前年比+2.2% 前年比+11.4%
13年 4,959億円 14年 6,013億円
前年比+26.1% 前年比+21.2%
15年 6,614億円
前年比+10.0%
-60
100
.
12
2011年
13
14
15
.
16
注:
赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
出所: 財務省「貿易統計」より浜銀総合研究所が作成
図表 19 アフリカ主要地域向け輸出は増加した
図表 20 アフリカ地域向け平均単価は大きく下落
仕向地別中古乗用車輸出台数の推移
季調済、万台
ロシア(16年7月SAAR 4.6万台)
ニュージーランド(11.9万台)
25
ミャンマー(4.8万台)
アラブ首長国連邦(13.4万台)
チリ(7.7万台)
アフリカ南部・東部6か国(15.0万台)
スリランカ(2.1万台)
シンガポール(2.4万台)
バングラデシュ(1.9万台)
20
仕向地別中古乗用車FOB平均価格の推移
千円
15
10
千円
800
800
700
700
600
600
500
500
400
400
300
300
200
200
5
ロシア
アラブ首長国連邦
全世界
100
ニュージーランド
チリ
ミャンマー
アフリカ南部・東部6か国
100
0
0
.
0
.
.
12
2011年
13
14
15
.
16
12
13
14
15
16
2011年
注:
アフリカ南部3か国:南アフリカ、モザンビーク、ザンビア、東部3か国:ケニア、タンザニア、ウガンダ。 注1: アフリカ南部3か国:南アフリカ、モザンビーク、ザンビア、東部3か国:ケニア、タンザニア、ウガンダ。
注:
SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。
注2: FOB平均価格は輸出金額を輸出数量で除した。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
出所: 財務省「貿易統計」より浜銀総合研究所が作成
図表 21 スリランカ向け中古乗用車輸出は持ち直し
季調済、千台
80
70
スリランカ向け中古乗用車輸出台数とFOB平均価格の推移
図表 22 スリランカ向け中古軽乗用車輸出は増加中
千円/台
台
3,000 5,000
16年7月 SAAR 2.1万台
前月比+17.1%
FOB平均価格(右軸)
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
4,500
2,500
60
2,000
50
140
その他地域向け輸出台数(左軸)
スリランカ向け輸出台数(左軸)
スリランカ向けFOB平均単価(右軸)
120
100
3,500
3,000
12年 0.7万台
前年比▲74.1%
40
80
1,500 2,500
60
2,000
30
1,000
20
10
4,000
中古軽乗用車輸出台数とスリランカ向けFOB平均単価の推移 万円
500
11年 2.7万台
前年比+20.3%
15年 5.2万台
13年 1.7万台
14年 3.2万台
前年比×1.4% 前年比+90.5% 前年比+62.1%
0
.
12
13
14
15
40
1,000
20
500
0
2011年
1,500
0
.
0
.
16
2012
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
13
14
15
16
注1: スリランカ向けFOB平均単価が計算できない月は輸出台数が0台であった。
出所: 財務省「貿易統計」を基に浜銀総合研究所が作成
9
図表 23 シンガポール向け輸出(SAAR)は減少したが高水準
シンガポール向け中古乗用車輸出台数とFOB平均価格の推移
季調済、千台
80
70
FOB平均価格(右軸)
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
千円/台
4,000
3,500
16年7月 SAAR 2.4万台
前月比▲10.0%
60
3,000
50
2,500
40
2,000
15年 14,885台
前年比4.2倍
30
20
11年 1,403台
12年 996台
前年比▲1.1% 前年比▲29.0%
13年 1,186台
前年比+19.1%
1,500
1,000
14年 2,857台
前年比1.4倍
10
500
0
0
.
2011年
12
13
14
15
.
16
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
担当:調査部
産業調査室 深尾三四郎
Tel: 045-225-2375
Email: [email protected]
本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜銀総合研究所・調査部が
信頼できると考える情報源に基づいたものですが、その正確性、完全性を保証するものではありません。
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