院内がん登録から見えるー大腸癌ー

院内がん登録から見える
ー大腸癌ー
広島市立広島市民病院
医療支援センター診療情報管理室
梅本礼子
国立がんセンター院内がん登録中級者
国立がんセンター院内がん登録指導者
国立がんセンターがん登録実務者研修専門家パネル委員
生存率を算定する上で対象となる症例範囲を決定する区分
症例区分２：診断ならびに初回治療に関する決定・施行がなされた症例
症例区分
症例区分３：他施設で診断確定され、自施設で初回治療方針に関する決定・施行がなされた症例。
上記を集計対象とし、算出することとする。
UICCの定めるステージング方法に基づき、何らかの治療の行われる以前につけられた病期を指す。
我国の通常臨床現場で使用されるがん取扱い規約に基づくステージとは若干異なる部分がある。
治療前ステージ
癌腫が分類の対象となっていることから、組織診断名コードをもとに、肉腫やリンパ腫、カルチノイドを
除いて集計している。
治療
登録対象となったがんに対する初回治療である。
治療開始時点で計画された一連の治療のことであり、症状・治療の進行に従って後に追加された
治療は含まれないことに注意する必要がある。特に当初、経過観察が計画されて病状が悪化した
ために治療が行われた場合も初回治療はなしとなる。初回治療として計画されていても、他院で
初回治療
施行されたものは登録されず、登録施設で行われた治療のみが登録対象となる。症状緩和的な
目的でおこなわれた手術や放射線治療も部分的に腫瘍に対する治療であるといえることから、
登録対象の治療に含まれる。
院内がん登録大腸癌
2007年～2010年１１０４例
症例区分別登録数推移
2006/5月～
2007
150
12
275
174
81
2008
18
67
2009
15
82
2010
7
192
115
71
300
191
セカンドオピニオン
診断のみの症例
他施設で診断、当院で初回治療症例
当院で診断・初回治療症例
311
218
継続治療の症例、再発の症例
院内がん登録大腸癌
年齢階級別罹患数
（2007年～2010年１１０４症例）
100
100
95 98
96
85
81
80
62
60
62
61
65
54
女性
男性
54
40
33
20
1
1
3
1
25
11 11
14
8
9
10
17
2
20
～
2
25 4
～
2
30 9
～
3
35 4
～
3
40 9
～
4
45 4
～
4
50 9
～
5
55 4
～
5
60 9
～
6
65 4
～
6
70 9
～
7
75 4
～
7
80 9
～
8
85 4
～
8
90 9
～
9
95 4
～
99
0
22
19
2
1
大腸癌患者さんの居住地域別割合
（広島市民病院 2007年～2010年１１０４症例）
島根県
19
山口県
2%
22
2%
安芸区
21
2%
南区
42
4%
広島市外
149
13%
安佐南区
242
22%
西区
152
14%
安佐北区
87
8%
佐伯区
99
9%
東区
120
11%
中区
138
13%
県別
件数
広島県
1050
山口県
22
島根県
19
岡山県
3
愛媛県
3
兵庫県
2
福岡県
1
大阪府
1
千葉県
1
静岡県
1
香川県
1
大腸がん登録症例数（発生部位別）
0
50
盲腸 (C)
虫垂 (V)
100
150
下行結腸 (D)
Ｓ状結腸 (S)
直腸Ｓ状結腸移行部
(Rs)
直腸 (Ra, Rb)
300
6
169
6
横行結腸 (T)
左結腸曲＜脾弯曲＞
250
350
右側結腸と左側結腸で
比較してみると・・・
82
上行結腸 (A)
右結腸曲＜肝弯曲＞
200
89
6
右側
結腸
352
32%
左側
結腸
749
68%
42
300
122
279
20
～
25 2
～ 4
30 2
9
3 5～3
～ 4
40 3
～ 9
45 4
4
5 0～4
～ 9
55 5
～ 4
60 5
～ 9
65 6
4
7 0～6
～ 9
75 7
～ 4
80 7
9
8 5～8
～ 4
90 8
～ 9
95 9
～ 4
99
左側結腸・右側結腸の対比
年齢層別
140
120
100
右側結腸
左側結腸
右側結腸と左側結腸で
比較してみると・・・
80
60
40
20
0
検診・ス
クリーニン
グ
57
16%
自覚症
状があり
受診
184
53%
Ⅳ
53
15%
Ⅲ
81
24%
他疾患
の経過
観察中
54
15%
左側結腸・右側結腸の対比
発見経緯・治療前ステージ
発見前自覚症状の有無
不明
21
6%
0
72
20%
Ⅱ
56
16%
Ⅰ
65
18%
右側
ポリープ
フォロー
124
17%
他疾患
の経過
観察中
86
11%
自覚症
状があり
受診
421
56%
ポリープ
フォロー
57
16%
自覚症
状
なし
139
39%
検診・ス
クリーニン
グ
118
16%
自覚症
状
あり
195
56%
自覚症
状
なし
250
33%
自覚症
状
あり
467
63%
Ⅳ
86
11%
Ⅲ
181
24%
右側結腸と左側結腸で
比較すると、今回の集計では
有意な差は見られませんでした。
左側
不明
51
7%
Ⅱ
112
15%
0
154
21%
Ⅰ
148
20%
大腸癌術後病期0期（UICC）の初回治療法の割合
（2007年～2010年大腸がん症例区分２，３癌腫のみ 885症例を対象とする）
0
Ⅳ期
95
11%
0期
204
23%
Ⅲ期
172
19%
50
15
10
体腔鏡のみ
Ⅱ期
224
26%
150
200
177
内視鏡のみ
手術のみ
Ⅰ期
190
21%
100
手術+内視鏡
1
継続治療or治療なし
1
大腸癌術後病期Ⅰ期（UICC）の初回治療法の割合
（2007年～2010年大腸がん症例区分２，３癌腫のみ 885症例を対象とする）
0
20
40
60
73
体腔鏡のみ
Ⅳ期
95
11%
Ⅲ期
172
19%
Ⅱ期
224
26%
54
手術のみ
0期
204
23%
41
内視鏡のみ
Ⅰ期
190
21%
内視鏡+体腔鏡
8
手術+内視鏡
7
4
手術+薬物
手術+その他
2
手術+放射線
1
手術+その他
80
3
放射線+薬物
1
薬物のみ
1
手術+放射線
1
大腸癌術後病期Ⅱ期（UICC）の初回治療法の割合
（2007年～2010年大腸がん症例区分２，３癌腫のみ 885症例を対象とする）
Ⅳ期
95
11%
Ⅲ期
172
19%
0
0期
204
23%
20
Ⅱ期
224
26%
60
80
100
120
140
131
手術のみ
56
手術+薬物
28
体腔鏡のみ
Ⅰ期
190
21%
40
6
体腔鏡+薬物
手術+内視鏡
1
手術+体腔鏡+薬物
1
手術+その他
1
大腸癌術後病期Ⅲ期（UICC）の初回治療法の割合
（2007年～2010年大腸がん症例区分２，３癌腫のみ 885症例を対象とする）
0
Ⅲ期
172
19%
Ⅳ期
95
11%
20
60
80
0期
204
23%
Ⅰ期
190
21%
100
96
手術+薬物
45
手術のみ
19
体腔鏡+薬物
8
体腔鏡のみ
Ⅱ期
224
26%
40
手術+その他
1
内視鏡+体腔鏡
1
内視鏡+体腔鏡+薬物
1
化学療法と組合せの治療を
施行しなかった症例の個別事由
高齢のため
患者さんの希望
他疾患治療中
他院で処方
認知症
精神状態不穏
その他
１６例
１０例
１６例
５例
２例
２例
２例
大腸癌術後病期Ⅳ期（UICC）の初回治療法の割合
（2007年～2010年大腸がん症例区分２，３癌腫のみ 885症例を対象とする）
0
10
20
30
40
50
60
66
手術+薬物
Ⅳ期
95
11%
Ⅲ期
172
19%
Ⅱ期
224
26%
19
手術のみ
0期
204
23%
Ⅰ期
190
21%
70
5
体腔鏡+薬物
手術+薬物+その他
2
手術+放射線
1
体腔鏡のみ
1
手術+放射線+薬物
1
化学療法と組合せの治療を
施行しなかった症例の個別事由
患者さんの希望６例
高齢のため
５例
他疾患治療中３例
転院
３例
その他
３例
大腸癌ステージ別発見経緯の割合
（2007年～2010年
0%
20%
40%
1104症例）
60%
80%
100%
0
負担の少ない治療（内
視鏡など）の
早期発見するために、
前癌状態の
大腸ポリープフォロー
が非常に有効である
ことがわかります。
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
不明
検診
他疾患経過観察・スクーリング
大腸ポリープフォロー
自覚症状あり受診
発見前自覚症状のない場合の発見経緯
（2007年～2010年 1104症例）
150
100
50
0
ポリープフォロー
検診
他疾患経過観察
その他・不明
７月２６日（火）
はじめての355施設実名入りの情報
国立がん研究センターがん対策情報センターから
院内がん登録「施設別集計結果」が一般公開される
「がん診療連携拠点病院院内がん登録２００８年全国集計報告」
2008年当時 355施設提出
2011年現在 388施設
調査の背景と目的
平成１９年４月よりがん対策基本法が施行され、その定める、がん診療の均て
ん化を推進するために、がん診療連携拠点病院が指定・拡充されてきた。
これらのがん診療連携拠点病院は都道府県および地域におけるがん診療の
拠点となり、各種医療機関との有機的な連携を図る役割を持つ共に、院内がん
登録の体制の整備を通じて施設の実態を把握し、さらに国レベルでのがん対策
の進捗を評価するために、そのデータを国立がんセンターがん対策情報センターに
提出することが指定要件として定められている。
本調査の目的は、全国のがん診療連携拠点病院において実施されている院
内がん登録のデータを集計することにより、
①各がん種、進行度、その治療の分布を把握し、国や都道府県のがん対策に
役立てる
②各施設が全国と比較した自施設のがん診療状況を把握し、がん診療の方
向性等を検討する
ための基礎資料を提供することにある。
全国
３５５施設中
院内がん登録数
第26位
都道府県+施設名
東京都財団法人癌研究会　有明病院
東京都独立行政法人　国立がん研究センター中央病院
千葉県独立行政法人　国立がん研究センター東病院
静岡県静岡県立静岡がんセンター
東京都東京都立駒込病院
埼玉県埼玉医科大学国際医療センター
千葉県千葉県がんセンター
東京都国立大学法人　東京大学医学部附属病院
栃木県自治医科大学附属病院
東京都日本赤十字社医療センター
岩手県岩手県立中央病院
愛知県名古屋第二赤十字病院
東京都ＮＴＴ東日本関東病院
岡山県岡山済生会総合病院
北海道医療法人　手稲渓仁会病院
富山県富山県立中央病院
青森県青森県立中央病院
新潟県厚生農業協同組合連合会　長岡中央綜合病院
大阪府大阪赤十字病院
神奈川県横浜市立市民病院
長崎県佐世保市立総合病院
新潟県新潟県立がんセンター新潟病院
岡山県財団法人倉敷中央病院
神奈川県国家公務員共済組合連合会　横須賀共済病院
埼玉県埼玉県立がんセンター
広島県広島市立広島市民病院
兵庫県兵庫医科大学病院
大阪府大阪医科大学附属病院
千葉県総合病院国保旭中央病院
京都府京都第二赤十字病院
大腸
1023
895
611
595
556
418
412
411
396
358
357
351
346
339
339
336
325
320
320
316
312
307
305
305
296
291
290
290
289
287
広島県がん診療連携拠点病院
「院内がん登録」2008年大腸癌初回治療法集計
広島市立広島市民病院
広島大学病院
県立広島病院
呉医療センター
厚生連　尾道総合病院
福山市民病院
厚生連　廣島総合病院
広島赤十字・原爆病院
市立三次中央病院
東広島医療センター
0
手術のみ
100
内視鏡のみ
200
手術/内視鏡+薬物
その他

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