当日配布資料(360KB)

樹状細胞標的化バイオナノカプセルを用いる
高免疫原性ワクチン
名古屋大学 生命農学研究科 生命技術科学専攻
教授 黒田 俊一
新技術の概要
• 本技術では、免疫原性の弱い抗原(タンパク質・
DNA)でも極めて効率良く液性免疫(おそらく細胞性
免疫)誘導することが可能となった。
• 従来法と比べて、より確実に免疫誘導が可能になる
(コスト削減、必要時間削減を期待)。
• 本技術の効果をマウスで証明しているが、他の生物
種にも対応可能。
バイオナノカプセル(BNC)技術
BNC(B型肝炎ウイルス外殻構造を有するナノ粒子)
脂質二重膜
B型肝炎ウイルス表面抗原(Lタンパク質)
Pre-S1領域
・ヒト肝臓細胞への特異性
・生体膜との融合活性(細胞内侵入活性)
Pre-S2領域
・重合アルブミン結合領域(生体内ステルス機構)
S領域
・生体膜との融合活性(細胞内侵入活性)
・Lタンパク質の膜構造への固定化
標的指向性の改変
ZZ-BNC
(再標的化BNC)
ZZ domain (IgG Fc binding motif)
・黄色ブドウ球菌由来の改変型IgG結合
モチーフのタンデム配列
・提示するIgGによる標的特異性の付与
・厳格なIgG Fc領域結合に伴う効率的
な抗原捕捉による抗原特異性の向上
・遺伝子組換え酵母において産生され
るのでウイルスゲノムを不含
黒田ら、 J Biol. Chem., 267:1953-1961. (1992)
・B型肝炎ウイルスと同等の細胞内侵入
能を保持
山田ら、 J. Control Release, 160 (2), 322-329 (2012)
・効率的なヒト肝臓細胞特異的な遺伝
子、薬剤送達を達成
山田ら、Nat. Biotechnol., 21 (8), 885-890 (2003)
粕谷ら、Methods Enzymol., 464, 147-166 (2009)
・厳格なIgG Fv領域提示、IgGのクラス
ター化に起因する免疫学的解析手法
の高感度化
飯嶋ら、Biomaterials, 32 (34), 9011-9020 (2011)
・抗EGF抗体提示ZZ-BNCの脳内グリ
オーマの標的化
筒井ら、J. Control Release, 122 (2), 159-164, (2007)
BNCはウイルスの感染機構を有しながらも、安全性の高いナノキャリアである。
BNC技術を用いた樹状細胞(DC)標的化
●樹状細胞(DC)とは・・・
細菌やウイルスなどの外来性抗原を取込み、その分解物をナイーブT細胞に提示して抗原
特異的免疫を誘導する抗原提示細胞の一種。同じ抗原提示細胞のマクロファージ、B細胞よりも
免疫誘導能が優れ、ワクチン抗原の能動的送達の標的細胞とされる。
62%
Counts
α-CD11c
BNC
抗CD11c抗体提示型
ZZ-BNC
脾臓内DCの標的化
図 抗CD11c抗体提示型ZZ-BNC 10 µgを静
脈内投与したマウス脾臓内DC中のBNC
陽性細胞の割合(投与40分後)
静脈内投与
(他経路もOK)
脾臓
高効率でDC標的化が可能である。
(皮下、筋肉内投与でも標的化可能)
BNC技術を用いたワクチンの開発
α-D3 IgGs
(OD450,50倍希釈血清)
3
抗CD11c抗体
ZZ-BNC
2
1
0
Weeks 0 4 6
D3抗原
リポソーム(LP)
0 4 6
0 4 6
0 4 6
脾臓内DCへの抗原送達
静脈内投与
(他経路もOK)
脾臓
図 日本脳炎ウイルス(JEV)由来D3抗原搭載
DC標的化BNCを静脈内投与したマウスの
血清中抗JEV抗体価の測定
*D3 20 µgx2(0、4週に投与)、血清は6週目に採取
免疫原性の低い抗原においても効率的な免疫誘導が可能になった。
(DNAワクチンにおいても効果的な免疫誘導の実績あり)
本技術の概要
ワクチン抗原、アジュバント
DNA
Protein
Compound
リポソーム融合法
化学架橋法
電気穿孔法 etc.
全身投与
(静脈内、皮下、筋肉内)
ワクチン抗原搭載
DC標的化BNCの作製
様々なワクチン抗原分子、ア
ジュバントの搭載に対応でき
る汎用性
DCへの積極的な抗原送達
とワクチン抗原認識の誘導
○抗体の抗原特異性を応用した効
率的な抗原送達能
○ウイルスの感染機構に起因する
積極的な細胞内抗原送達
本ワクチンプラットフォームは、既存ワクチン抗原の免疫原性を高めるとともに、
パンデミック感染症等への緊急対応性に優れたワクチンの開発促進が期待される。
想定される用途および企業への期待
・既存のサブユニットワクチン抗原(タンパク質、DNA)のシーズと
DC標的化BNCを組み合わせることで、効果的な免疫誘導能を
有するワクチン開発が期待できる。
⇒各種ワクチン抗原のシーズを有する製薬企業との共同研究を
希望
・抗体作製において、通常法で高力価抗体の取得が難しい場合
に、DC標的化BNCと組み合わせることで比較的容易に高力価
抗体の取得が期待できる。
⇒抗体作製受託企業との共同研究を希望
問い合わせ先
名古屋大学 産学官連携推進本部
TEL:052-747-6483
FAX:052-788-6146
e-mail:[email protected]