マンション 共助で災害に備える

マンション 共助で災害に備える
大地震の際、マンションは建物の倒壊はなくても、
受水槽やエレベーターなど設備やライフラインが被
災し住民の生活が困難になることがありうる。被害を
軽減するには住民が支援しあう共助の体制がいる。
備えておくべきポイントを考えた。【以下は、毎日新
聞朝刊記事(6/22 発行)より抜粋・修飾】
● 防災専門組織を
大地震時、マンションではどのような被害が想
定されるのか。一言でいえば、
「建物は壊れなくて
も住めなくなる可能性がある」ということです。
新耐震基準のマンションは震度6強~7程度では
倒壊しないように設計されています。
一方、ライフライン(水道・ガス・電気)の停止/エ
レベーターや受水槽など設備の被害/揺れによる
家具の転倒などで、通常の生活が困難になる可能
性がある。現に 3.11 東日本大震災では東北・関東
で設備やライフラインの被害は多かった。
国交省が 2013 年度に実施した調査では、大規模
災害に対し「何もしていない」とする管理組合が
29.2%ある。
多くの管理組合は理事を1~2年の輪番にして
大規模災害への対応(国交省「マンション総合調査
2013 年度」より.数字はおよその%)
①災害時対応マニュアルを作成
20
○
②定期的に防災訓練を実施
38
○
③防災用品を準備
27
○
9
○
⑤災害時の避難場所を周知
25
×
⑥自主防災組織を結成
20
○
14
×
8
29
×
-
④非常食を備蓄
⑦ハザードマップなど災害情報
を収集・周知
⑧高齢者らが入居する住戸を記
した防災用名簿を作成
⑨特に何もしていない
*当ローズハイツにおいて、合格点には達しない
ものの一応留意しているのが①~④と⑥。今後
力を入れたいのが⑧です。
おり、いざという時には機能しにくい。防災専門
の組織として一定メンバーの定着が望ましい。消
防法は 50 人以上のマンションに防火管理者設置
を定めており、防災訓練を定期実施しているマン
ションは 37.7%ある。ただし問題は中身だ。
● 安否確認に重点
つまり、防災訓練は安否確認に重点を置くのが
いい。各階やブロックごとに集合場所を決め、安
否確認できない住戸はドアを叩いて呼びかけ、必
要に応じ救助・手当を行う。
安否確認には、高齢者・要援護者や緊急連絡先な
どが分かる名簿を用意しておくことが前提だ。個
人情報保護法で管理会社が名簿を提供するのが難
しいため、管理組合が、災害時だけに使うことを
確約し住人に任意提出を求める。国交省調査では
8.3%がこうした名簿を作成している。
普段どんな住人が自分の周囲に居るのか、その
関心や理解の度合いが、結果として自助を超える
大災害時の対処法に如実に反映される。
訓練でもう一つ重要なのは、防災設備や備品を
いざという時にきちんと取り扱えるか、理事会や
防災専門組織のメンバーが情報共有することだ。
設備の誤作動時の対処法も含め、普段から管理会
社に頼らず動ける体勢を作っておく。
防災用品なども同様だ。都内で集中豪雨があっ
た際、あるマンションでは浸水を防ぐ土のうを用
意していたのに、深夜、保管場所がわからず何も
できなかったというケースがあった。 保管場所が
わからない/鍵が見つからない/扱い方を知らない、
では、宝の持ち腐れ、痛すぎる笑い話だ。
● 避難場所機能も想定
エレベーターが停止した場合、高層階の住人が
階段移動するのは体力的に負担が大きい。給水車
が来ても、自宅まで運べない可能性がある。水や
食糧などを最低 3 日分は自室に用意しておくこと
が必要だ。
地震時には、自宅での生活が困難な負傷者や要
援護者が自宅に戻れない‘マンション内難民’が
出ることも想定される。集会室などに避難所を設
置し、非常電源で優先的な電力供給をするなどの
対策を予め検討しておく必要がある。 (以上)