発表資料 - 科学技術振興機構

東京工業大学
産学連携への組織的取組について
平成28年8月25日、26日
東京工業大学
産学連携推進本部
目次
1.東工大の産学連携ビジョン、特色 、歴史
2.東工大の産学連携制度
(1)組織的連携
(2)会員制度
(3)共同研究講座
(4)科学技術創成研究院
(5)東工大・横浜ベンチャープラザ
3.東工大の共同研究・受託研究実績の推移
4.新たな産学連携プラットフォームの構築
(1)人材育成を含めた連携:教育研究共創スキーム
(2)人材育成を含めた連携:協創的ものづくり環境の構築
(3)みらい創造機構との連携
2
1-1.東工大の産学連携ビジョン
理工系総合大学としての強みを生かし、本学の各部局が認識を共有しつつ、それぞれが有機的連携の
下に、多様で拡がりのある産学連携活動を行う。産学連携推進本部は、学外からの産学連携活動へ
の要請に対応する一元的窓口として機能する。
(平成19年10月策定)
1. 企業との連携を基本とした「政府・公的機関等とも協働する産学官連携の推進」
政策的に重要な課題や中長期的な研究開発課題に対して、企業との連携を基本としつつ、政府・公的機関等とも協働する。
2. 研究協力に留まらない「教育・人材交流を交えた産学連携の推進」
企業等の研究開発現場との連携を密にして、研究協力に留まることなく、教育・人材交流を交えた産学連携を推進する。
3. 国内機関との連携に限らない「国際的な産学官連携の推進」
本学としての国際的産学連携の考え方を明確にした上で、効果的かつ効率的に、国際的な産学官連携を展開する。
4. 異なる学問領域・研究分野が協働する「異分野協働型の産学連携の推進」
研究課題の多様化に対応すべく、異なる自然科学間や自然・人文・社会科学が協働する産学連携の可能性を探索する。
5. シーズニーズ・マッチング型課題解決に加え「本格的イノベーションを目指す産学官
連携の推進」
本格的イノベーションを目指す多様な関係者との連携を強化し、オープンなイノベーション創出の場として本学を進化させる。
3
1-2.東工大産学連携の特色
〇企業での大学の研究成果活用を重視
• ライセンスによる収入獲得のみならず、共同研究の実施を通じた技術移転
を図る
• 大学が独自で持つべき特許は、基盤的な特許や今後の研究で活用される
特許に重点化
• 大学で蓄積した知による社会の発展を図るとともに、その過程を通じて教
育・研究活動の充実に貢献
〇産学連携における企業の窓口を一元化
• 外部TLO(東工大TLO)の機能を内部に統合
• 産学連携活動の一元的窓口として、大学と企業の協力関係に配慮し、新
産業の創出、イノベーションの促進に寄与する活動を推進
〇本学独自の多様な事業ツール
• 組織的連携、産学連携会員制度等の本学独自の事業ツールを活かして
企業のニーズに対応
4
1-3.東工大の産学連携の歴史
平成15年7月
文部科学省「大学知的財産本部整備事業」に採択(~平成20年3月)
平成15年10月
産学連携推進本部設置
平成16年2月
東京工業大学知的財産ポリシー制定
平成16年4月
国立大学法人化、産学連携推進本部の本格的活動開始
平成19年4月
理工学振興会の技術移転事業を統合、東工大TLOとして文部科学省と経済
産業省から承認
産学連携会員制度発足
平成19年10月
東京工業大学産学連携ビジョン制定
平成20年6月
文部科学省「大学等産学官連携自立化促進プログラム(旧:産学官連携戦
略展開事業)」に採択(~平成25年3月)
平成21年4月
学術指導制度導入
平成22年4月
共同研究講座の設置開始
平成25年8月
文部科学省「研究大学強化促進事業 」に採択
平成27年4月
東工大COI(センター・オブ・イノベーション)本格拠点へ
平成28年4月
「NRI(株式会社野村総合研究所)・東工大サイバーセキュリティ教育研究共
創プログラム」開設
産学連携改革タスクフォースを設置
5
2-1.東工大の産学連携制度
(1)組織的連携
大学及び企業のトップがサインする組織的な協定締結により、多様
かつ大規模な大型の産学連携活動を実施
(平成28年6月現在)
〇製造業: 7社
三菱化学株式会社、株式会社富士通研究所、三菱電機株式会社、キヤノン株式会社、株式会社
日立製作所、TDK株式会社、株式会社小松製作所
・複数の個別連携研究を基礎にした大型の産学連携研究
・3層構造による連携の強力な推進
 複数の個別連携研究
 フォーラム(技術交流会)
 推進委員会(企業側:研究担当役員、大学側:理事・副学長(研究担当))
〇非製造業:4社
三井住友銀行株式会社、日本電信電話株式会社、野村総合研究所株式会社、野村證券株式会社
・知的資産の社会価値化の経験・人脈・情報による新事業創出
・全国・全世界に広がる情報ネットワーク(企業情報、ニーズ情報)の活用
〇非営利機関:2機関
財団法人神奈川科学技術アカデミー、独立行政法人労働者健康福祉機構東京労災病院
・地域等の科学技術と産業の振興への貢献
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2-2.東工大の産学連携制度
(2)会員制度
趣旨
• 東工大の研究・教育の質の向上と、研究・教育の成果の学外機関による活用を目的とし、産
業界と密接なコミュニケーションを行いつつ、産業界・本学双方に有益な質の高いサービスを
提供((財)理工学振興会の会員制度を発展的に継承)
会員
• 第1種会員:特許等を自己実施できる企業
• 中小企業(年会費:30万円(消費税別)): 9社
• それ以外の企業(120万円(消費税別)): 27社
• 第2種会員:主に研究情報等をその取引先等に提供することを目的とした金融サービス、シ
ンクタンク、自治体等の法人
• 中小企業(年会費:50万円(消費税別)): 1社
• それ以外の企業( 200万円(消費税別)): 0社
• 特別会員 : 2機関
会員サービス
•
•
•
•
•
テーラーメイド産学連携の提供(会員担当コーディネーターを企業ごとに配置)
会員企業経営幹部と学長・副学長との意見交換会
大学・産学連携推進本部主催の技術交流会・セミナーへの招待
本学教員による出張セミナーの開催
本学有特許の無料詳細開示 その他
平成27年7月~28年6月の活動により13社・機関が新規入会
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2-3.東工大の産学連携制度
平成27年度
新規2件設置
東工大
研究者
施設
設備
(3)共同研究講座
○目的:
共同研究の推進
○期間:
2年から5年間(5年まで更新可)
○運営:
企業と大学が協議して運営
○構成員:共同研究講座等教員(企業等から選考)
・特任教授又は特任准教授1名以上
・特任准教授又は特任助教1名以上
東工大専任教員(兼務)、企業からの研究員
ポスドク等(必要に応じて雇用)
共同研究講座名
連携企業
企業等
資金
研究者
研究試料等
(平成28年6月現在)
設置部局
1
情報流通基盤システム共同研究講座
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
科学技術創成研究院
(旧:ソリューション研究機構)
2
東京ガススマートエネルギーネットワーク共同研究講座
東京瓦斯株式会社
科学技術創成研究院
(旧:ソリューション研究機構)
3
ENEOS低炭素エネルギーシステム共同研究講座
JX日鉱日石エネルギー株式会社
科学技術創成研究院
(旧:ソリューション研究機構)
4
三菱商事再生可能エネルギー共同研究講座
三菱商事株式会社
科学技術創成研究院
(旧:ソリューション研究機構)
5
NTT・NTTファシリティーズ スマートエネルギー
①日本電信電話株式会社
②株式会社NTTファシリティーズ
科学技術創成研究院
(旧:ソリューション研究機構)
6
SEC未来技術共同研究講座
サムスン電子株式会社
情報理工学院
(旧:大学院総合理工学研究科)
7
東芝スマート都市インフラシステム共同研究講座
株式会社東芝
科学技術創成研究院
(旧:ソリューション研究機構)
8
エクサスケール三次元超高集積共同研究講座
株式会社PEZY Computing
科学技術創成研究院
(旧:異種機能集積研究センター)
9
Oricon Energyマイクロ波技術共同研究講座
オリコン・エナジー株式会社
物質理工学院
(旧:大学院理工学研究科(工学系))
10
帝国データバンク先端データ解析共同研究講座
株式会社帝国データバンク
科学技術創成研究院
(旧:大学院総合理工学研究科)
11
コマツ建機革新技術共同研究講座
株式会社小松製作所
工学院
(旧:大学院理工学研究科(工学系))
12
日立/エネルギー統合制御システム(共同研究講座)
株式会社日立製作所
科学技術創成研究院
(旧:ソリューション研究機構)
13
ぐるなび 食の価値創成共同研究講座
株式会社ぐるなび
生命理工学院
(旧:大学院生命理工学研究科)
8
2-4.東工大の産学連携制度 (4)-1 科学技術創成研究院
学院
理事・副学長(研究担当)
研究ユニット
理学院
細胞制御工学
教育へ
の反映
環境・社会理工学院
リベラルアーツ研究教育院
ユニットの創出
ハイブリッドマテリアル
ユニット
の創出
科学技術創成研究院
研究所・研究センター
未来産業技術研究所
ビッグデータ数理科学
スマート創薬
情報理工学院
生命理工学院
研究院長
グローバル水素エネルギー
工学院
物質理工学院
学長
バイオインタフェース
超集積材料
革新固体触媒
フロンティア材料研究所
World Research
Hub Initiative(WRHI)
世界トップクラスの研究者
との連携による「世界の研
究ハブ」実現を目指して、
国際的共同研究の展開と成
果の発信を行います。
化学生命科学研究所
先導原子力研究所
先進エネルギー国際研究センター
社会情報流通基盤研究センター
原子燃料サイクル
進化
クリーン環境
研究拠点組織
世界トップレベルの研究拠点
としてのノウハウを還元
地球生命研究所
元素戦略研究センター
『以心電心』ハピネス共創研究推進機構
9
2-4.東工大の産学連携制度 (4)-2 研究所/研究センター
10
2-4.東工大の産学連携制度 (4)-3 研究ユニット
11
2-5.東工大の産学連携制度
(5)東工大・横浜ベンチャープラザ
2005年3月 神奈川県・横浜市から中小機構に
事業要請
2005年6月 大学連携型起業家育成施設事業採択
2005年11月 東京工業大学と基本合意書締結
2006年12月 竣工
2007年 2月 入居開始
入居対象
1. 大学発ベンチャー
2. 大学の研究資源・人的資源を活用したベンチャー
企業設立に向けた起業・事業計画を有する者
3. 大学が有する技術シーズ、知見を活用した
第二創業を図る中小企業等





敷地面積
延床面積
賃貸面積
構造規模
居
室
3,460㎡
2,800㎡
1,830㎡
地上4階建
全26室
実験室タイプ25~156㎡
 賃料単価
3,750円/㎡・月
横浜市による賃料補助制度あり
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3.東工大の民間企業との共同研究・受託研究実績の推移
600
(億円)
(件数)
共同研究費用
共同研究件数
500
400
14.1
受託研究費用
受託研究件数
16.5
15.0
13.7
12.1
13.0
16.0
14.0
13.3
12.0
10.0
300
8.0
6.0
200
100
18.0
2.3
2.6
2.4
1.0
4.0
1.9
1.9
1.9
2.0
0.0
0
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015 (年度)
13
4.未来産業の創出に向けた新たな産学連携推進プラットフォームの構築
研究実施組織
学院等
理学院
技術シーズ
情報
活用
IR室
工学院
新たな産学連携推進プラットフォーム

物質理工学院
研究関連情
報の共有
技術シーズ
情報理工学院
技術シーズ
環境・社会理工学院
リベラルアーツ研究教育院
研究院
分野
URA
元素戦略研究センター
『以心電心』ハピネス共創
研究推進機構
World Research
Hub Initiative
(WRHI)
未来産業技術研究所

学長直下の組織として,利益相反(COI: Conflict of Interest)
を回避するよう自律。
依頼・相談
②国際産学連携の推進

国内企業の研究資金を各大学で取り合うだけでなく,海外企業から
の研究資金獲得を推進。

学生の教育(特にアントレプレナー教育,デザイン教育)とも連
携。
化学生命科学研究所

URAと研究現場との繋がりを密にして,研究シーズとマーケット
ニーズを産学連携,プロジェクト形成に繋げる。

URAのキャリアパスを構築。
学外組織
先導原子力研究所
研究ユニット
研究ユニット
研究ユニット
研究ユニット
研究ユニット
先進エネルギー国際研究
センター
教員の技術シーズ
社会情報流通基盤研究
センター
米国
アジア
 技術の事業化・創業支援
 共同研究の獲得
 研究ユニットの運営支援と出口戦
略構築
 起業家教育の支援
 リスクマネーの供給,上場の支援
マーケットニーズ
国際共同研究の推進
蔵前工業会
ベンチャーキャピタル*
教員・学生の技術シーズ
欧州








共同研究
受託研究
共同研究講座
組織的連携
寄附講座
学術指導
受託研究員
教育研究共創
スキーム

新しい取組
③専門人材の活用
フロンティア材料研究所
研究ユニット
研究ユニット
研究ユニット
研究ユニット
研究ユニット
既存の産学連携推進本部を,学長直下の産学連携推進プラット
フォームに改組。
産学連携の深化,研究提案力の強化,起業促進、ベンチャー支援の
強化,知財の戦略的活用を推進し、自立した産学連携組織を目指
す。
地球生命研究所
研究院
産学連携の構築

産学連携
支援
生命理工学院
技術移転
①産学連携の戦略的推進
学生の創業支援
 東工大発ベンチャーの称号付与
 起業人材の提供
 共同研究・ライセンスの実施
 大学の技術シーズを利用
した「大学着ベンチャー」の
創出
 共同研究の積極的獲得
東工大発
ベンチャー
*2016年5月にみらい創造機構と社会連携に係る協定を締結
国
内
・
国
外
企
業
4.新たな産学連携推進プラットフォームの構築
(1)教育研究共創スキーム
教育への貢献
教材、機材
の提供
特定教員:単位を与える講義
学生
学生の研究指導への貢献も可
企業
企業
研究者
東工大
大型の共同研究
教員
特任教員雇用も可
共同研究費
共同研究
1年間4単位以上の講義
一定金額以上の共同研究
平成28年度より新規開設
NRI・東工大サイバーセキュリティ教育研究共創プログラム
(株式会社野村総合研究所)
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4.新たな産学連携推進プラットフォームの構築
(2)協創的ものづくり環境の構築(大田区企業群との連携)
協創プロジェクトによる挑戦的な技術課題と人材育成への取組み
 SIP
ユーザと一体化した
Under One Roof協創開
発環境の構築とイノ
ベーション創出
 CBEC
チーム志向越境型アン
トレプレナー育成プロ
グラム
 国際産学連携
本学と世界のトップ大
学とで作る教員・若手・
学生の連携からなる共
同研究チーム
東工大デザイン工房を活用したデライト製品の開発
•
•
•
デザインワークショップの開催:行動観察セッション&協創ワークショップ
中小企業群との連携による高度なテクノロジーに立脚したイノベーション創出
空港内快適移動支援カートロボットの開発
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4.新たな産学連携推進プラットフォームの構築
(3)みらい創造機構との連携
株式会社みらい創造機構と組織的連携協定を締結(平成28年5月13日)
• 大学の技術・人材を活用したベンチャー創出・育成のプラットフォームの構築
• 産学連携、国際協働活動、起業家教育等を組織的に推進
VCとの組織的連携協定・VCアライアンスの検討
• 東工大発ベンチャー企業の創出と成長を加速するため、資金面での支援
の促進に関する検討を開始。
• 本学には、先行する四大学のような「ベンチャーファンド用財源」が存在し
ないため、まずは外部VCとの連携を検討した。東大エッジキャピタルの事
例等を参考に、技術の早期開示等をおりこんだ協定を締結し、技術系ベン
チャーの創出促進を試みる。
• 大学の公益性を鑑み、複数のVCとの連携をも 視野に入れる構想 (VCア
ライアンス)。
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