間仕切設置ボランティア活動 in あづま総合体育館 避難者とふれあいながら―福島市での間仕切設置ボランテ ィア ビッグパレットふくしまの避難所で続けてきた間仕切設置ボランティア活動。この度、福島市 にあるあづま総合体育館から要請があり、同様に間仕切を設置することになりました。6 月 4 日 (土)、13 人の学生は建築学科の市岡綾子専任講師とともに設置活動に向かいました。 あづま総合体育館には、現在 600 人ほどの避難 者の方が生活しています。この日は間仕切設置の ほかに簡易ベッドを導入することになっていて、 避難者の方も心待ちにしているようでした。 工学部の学生、慶応義塾大学の学生スタッフ、 地元のボランティアの方など集まったのは約 25 人。5 つの班に分かれ、1 班は布切り、2 班から 5 班まではエリアごとに設置作業を行うことにな りました。資材を運び込み作業開始です。 すでに、避難者の方々の生活スペースは確立さ れており、明確に区切られていないため、どこにどの向きで建てるか、世帯ごとに確認しながら 設置していかなければなりません。若干スペースを移動していただいたり、逆にスペースを広げ たり、臨機応変な対応が必要でした。学生たちは、各班のリーダーに指示を仰ぐのではなく、自 ら判断しながら積極的に行動。これまでのボランティアの経験が活かされていました。 また、避難者の方も大変協力的で一緒に手伝ってくださり、作業はスムーズに進んでいきま した。実は大工の仕事をしている方が多かったようで、腕が鳴ったのでしょう。学生と一緒に組 み立てながら作業を楽しんでいる様子でした。 ■建築学科の学生として、できることを見つけよう 屋外では、紙管を6等分にする作業に取り組む学生二人 の姿もありました。 「おばあさんが棒を支えてくれたり、切 り方を指導してくれる方もいたり。大変な思いをしている のに、逆に気遣ってもらってありがたいなと思いました」 と話す建築学科 4 年の小幡隆志さん。建築学科の学生とし てボランティア活動に参加できることには、大きな意味が あると感じていました。避難所は狭い空間ではありますが、 人が行き交う際の交通渋滞、騒音など、一つの街の縮図のようにさまざまな問題が起こっていま す。街づくりの基盤を担う建築学。避難所の問題解決のための研究テーマがここにも隠れている というわけです。 今回、初めて参加した福島市出身の学生もいました。 「間仕切設置ボランティアのことはテレ ビで見たり、友人が活動に参加していたので知っていました。地元のために、私も何か役に立ち たいと思いました」。 「仙台で 被災し避難所生活を数日体 験しましたが、大変でした。 3 ヶ月近くここで生活してい る被災者のために、何かお手 伝いできたらと参加しまし た」。こうした思いが届いた のでしょう。初めは設置を希望していなかった方からも要望が相次ぎ、資材が足りなくなるほど でした。 あづま総合体育館の避難所を 5 月末まで 1 ヶ月近く担当され ていた福島県教育庁社会教育課の木村真一さんは、「世帯ごと のプライベート空間が確保できてよかったです。事前に間仕切 設置の説明会を行ったところ、希望者は約半分でした。それが、 今日の設置風景を見ていいなと思った方から急きょ要望が出 て、作業の追加をお願いした次第です。通路にいる人も、本当 はメインアリーナにスペースを設けてあげた かったのです が・・・」 。 後から避難所に入った方の中には、やむを得ず通路で生活を 送っている方もいたのです。その世帯にも学生全員で協力し、 間仕切を設置しました。「ここは通路ということもあり、出入 りが激しく気が休まらなかったんです。間仕切ができて本当によかったです」と喜んでください ました。 2 年生ながら自発的に参加した建築学科の井川大貴さん。 「テ レビで見ていたのと違っていました。実際に来なければわから ない、住んでいる人の生の声が伝わってきました。今回体験で きてよかったです」と話していました。 避難者の方々の協力もあり、この日と翌日の二日間で約 270 セットの間仕切を設置することができました。私たちの活動に よって、被災者の方々に少しでも快適な空間を提供できたなら幸いです。 これからは避難所でのさまざまな問題解決のために、建築学科としてできることは何かを考 え、実践していくことが大切だと考えています。 ボランティアに参加した学生の皆さん、この経験 を活かして社会に貢献できるエンジニアとして大 いに羽ばたいてほしいと願っています。 また、避難者の方々には、一日も早く普段の生活 に戻れることを心よりお祈り申し上げます。
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