University of Minnesota

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University of Minnesota
ユーザ事例紹介
設計規準の修正
MTS は、実大構造物の振動試験を実環境に近い形で実施するため、大学
の研究部門と提携しています。
ミネソタ大学MASTラボのキャロル・シールド博士率いるチームは、設計規準を
検証するために実大の構造物で実環境に近い振動試験を行い、土木プロジェク
トの安全性や費用対効果の最適化を図る新材料やシステムについて研究して
います。
これらの多軸シミュレーションに必要な大規模な荷重およびモーション
を実現するためにMTSと協調し、世界最高能力を備えた6自由度試験システム
を開発しました。
お客様の課題
写真提供:ミネソタ大学
ミネソタ大学MASTシステムにより、
梁柱構
造や壁、
橋脚、
橋台、
その他構造物/コン
ポーネントを含む大規模構造物供試体の
実環境に近い振動試験が可能です。
「これまで誰も成し得なかった方法での
構造物試験が実現します。.私の知る限り
では、
これほど大規模な試験を実施でき
る振動試験システムはありません」
ミネソタ大学 土木工学科教授
MASTラボ所長
キャロル・シールド博士
構造工学の基礎となる設計規準は、綿密な試験を経て設定されたものでなけ
ればなりません。
これらの規準を定義するために使用されていた試験手法は、
実証的な研究に基づいてはいるものの、
これまで小規模な供試体に一軸アクチ
ュエータを使用した方法に限られていました。つまりこれらの試験は、
ミネソタ
大学教授のキャロル・シールド博士曰く
「現実とは懸け離れた方法」
で行われて
いました。
ミネアポリスにあるミネソタ大学の MAST ラボは、全米の 14 の研究施設が参
加して地震科学工学の推進を図る George E. Brown, Jr. 地震工学シミュレーシ
ョン ネットワーク (NEES) に所属しています。
シールド博士は、
この MAST ラボで
ディレクターを務めています。
ラボは NEES のメンバーとして設計規準を検証す
るために、大規模な構造物およびコンポーネントに実世界で起こりうる荷重や
モーションを加え、
さらに、土木プロジェクトの安全性や費用対効果の最適化を
図る新しい材料やシステムについて研究しています。
当初、
ラボにとって主要な課題は供試体の大きさでした。
より実環境に近い試験
を行うためには、ほぼ実大の供試体に対し多自由度の振動荷重をシミュレート
する必要があります。
そのため、サイズ、荷重、変位のすべてにおいて大規模な
試験環境が求められました。当時、
この規模の試験環境は世界中のどのラボで
も実現されていなかったという事実からも、
そのスケールの大きさが分かりま
す。
「当ラボでは、実大の土木構造物供試体に実環境に近い形で多軸荷重を加え
る能力を備えるなど、非常に正確な試験を実施できる世界初の施設を目指して
いました。
これほど巨大な供試体を試験するのは大変な課題だということは認
識していました。
」
と語るシールド博士。
「だからこそ、MTS に協力を依頼したの
です。
」
MTS ソリューション
MTS が設計を手がけたミネソタ大学 MAST ラボのカスタム試験ソリューション
は、高性能 MTS 油圧サーボと高度な 6 自由度 (6DOF) 制御システムを採用して
います。
be certain.
ユーザ事例紹介
このソリューションにより、研究者は梁
ストリーミングにより遠隔地からラボ
を研究しています。
この研究は、地震の
柱構造や壁、橋脚、橋台、
その他構造
のチームと連携したりしています。最近 際に壊滅的な進行性崩壊の危険性が
物/コンポーネントを含む大型の供試
の例としては、遠くニュージーランドか ある構造物を特定し、究極的には崩壊
体に対する多軸準静的サイクル試験、 らエンジニアが試験システムのクロス
を防止するための改善策を打ち出す
準静的/仮動的試験、連続仮動的試験
ヘッドをリアルタイムで制御する作業
のに役立ちます。
このラボでは他にも、
の実施が可能になります。荷重は鉛直
が行われました。
これまでに双方向で行われたことのな
垂直方向の加力レベルは 5,900kN、水
い非矩形コンクリート製耐震壁をほぼ
平方向で 3,900kN で、水平方向の変位 「他の地震工学の研究者たちも大規
実大で試験したり、現在の鉄骨ラーメ
模な多軸試験のメリットを明確に認識 ン構造に代わる、
は最大 406mm です。
さらに安全で経済的
しているため、当ラボの需要は非常に
な新しいブレース架構の設計を試験す
「このソリューションは、本質的には標
高まっています。開設以来、試験システ るなど、
さまざまな領域で研究を行っ
準の材料試験システムを巨大化したも ムがフル稼働しなかったのはトータル ています。
のです。
その極めて高い載荷能力によ で 1ヶ月程度ではないかと思います。
」
り、超大型供試体に対し破壊が発生す
とシールド博士は言います。
このような研究は MTS の綿密な協力
るまで荷重をかけるという、
これまで
によりサポートされています。
誰も成し得なかった方法での構造物
お客様が得た利点
「今回の試みは MTS と行った中でも
の試験が実現します。私の知る限りで
最大のプロジェクトでしたが、すべてス
は、
これほど大規模な試験を実施でき
シールド博士のチームはすでに設計
ムーズに運ぶことができ、大変満足し
る振動試験システムはありません。
」(
規準の変更を余儀なくするような貴重
ています。
油圧システム、
アクチュエー
シールド博士)
な性能データを発見しており、
この多
タ システム、
スイベル、制御装置の設
軸大規模土木構造物試験のソリューシ
このシステムのサイズと機能により、
こ
計と設置のすべての段階で MTS の専
ョンにより、構造工学と公共の安全が
れまでの手法よりさらに実環境に近い
門知識を頼りにしました。
これ以上の
共に促進されると期待しています。
形で試験を行えるようになりました。
ま
優れたパートナーは望めません。
」
とシ
た、
ミネソタ大学および NEES ネットワ 「実環境に近い地震荷重下で、
ールド博士は語ります。
コンク
ークに属するその他の研究者が設計
リート上のスラブと柱の接続部の設計
MTS と集中保守契約を結ぶ 9 つの
規準を改善し、
より安全で耐久性に優
規準では構造的耐力が過大評価され
NEES ラボの 1 つとして、
このラボでは
れた次世代の構造物を生み出す一助
ていることが分かりました。
このシステ
MTS のエンジニアが定期的なシステ
ともなります。
この実験研究により、最
ムを使用した試験の結果、元の試験で
ムの点検、洗浄、作動油のケア、専門的
終的には地震やハリケーン、
その他の
は正確な境界条件と荷重が測定でき
なキャリブレーション、軸芯調整を行っ
惨事に耐える大規模構造物の開発が
ていなかったことが判明し、現行の規
ています。
これらの予防措置により、運
促進されます。
準の妥当性が疑われています。
この試
転費用が抑えられ、
またシステム稼働
験の結果を基に規準を改定し構造物
このソリューションは、すでに他の
時間を最大化でき、結果的に NEES ネ
の信頼性を向上することが可能です。
NEES 研究者間で非常に高く評価され
ットワークの試験エンジニアはこの卓
これは、従来の試験システムでは浮き
ています。NEES のメンバーであるミネ
越した試験システムを確実に利用でき
彫りにすることが出来なかったことで
ソタ大学のラボは、地震の実験研究用
るようになります。
す。
」
とシールド博士は言います。
に他チームへの施設提供も行ってお
シールド博士は最後にこう付け加えま
り、世界中のさまざまなチームがラボ
ラボではまた、耐震規準が導入される
す。
「当ラボ独自の試験装置をより広範
を訪れて試験を実施したり、
あるいは、 前に設計されたコンクリート柱が、大
な地震研究者のコミュニティ
と共有す
リアルタイムビデオやデータ センサー きな荷重の下で、
どのように持ちこた
ることで、私たちは土木構造物開発の
えるか、
あるいは最終的に倒壊するか
新しい時代に突入したといえます。
これ
らの共同研究により、建物や橋梁、
そ
の他重要な建築構造物が実際の荷重
に耐えられるにはどのように設計すれ
ばよいか、
より明確になるでしょう。
」
l
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RTM No. 211177.