第 27 回東海北陸理学療法学術大会 シンポジウム「進歩充夢」 『終末期のリハビリを考える』を企画・開催にあたって 地域リハビリ支援室・タムラ 田村 茂 私が臨床についてから約 40 年になろうとしています.もはやリハビリ と は 何 ? と 老 人 にさえ 尋 ね ら れ る こ とはな い く ら い リ ハ ビリの 用 語 は 一 般化しました.とはいえ当時と比べ医療環境は窮屈になった面もあります . そ の 代 表 的 な も のは明 ら か に 患 者 個 々の状 態 を 無 視 し た 疾病に よ る 日 数 制限です. そもそも「臓器中心主義や疾患中心主義に陥りがちだった現代医療に風 穴を空ける役割をはたしている」とリハビリテーション医学を称賛し ,そ の上,「個別性の強い具体的な患者を対象にしなければならない,つまり かなり漠然としたものを相手に取り組むのが終末期医療であり ,リハビリ テーション医学であり老年医学であり ,プライマリケアの医学だ」と柳田 邦男氏が上田敏氏との対談で述べています .それなのに現在の流れをどう とらえていいものかと疑うのは私ばかりではないと思う .そして柳田氏は 「終末期医療では死が避けられないという状況のなかで ,医療者は患者の 伴走者,支援者であり,患者が何を最も大事にしているか ,患者にとって の最高の QOL とは何かを知らなければならない.リハビリテーション医 学は終末期医療においても大きな意義と可能性を持っている」と再々指摘 されています.それなのに私たちは終末期リハビリテーションについてま だまだ関わりが浅いといって過言ではない . 今回,私たちはその現状をよく知り,技術のみならず実際関わる上での ノ ウ ハ ウ 等 を 豊 富な経 験 を も つ 方 々 そして 当 事 者 家 族 か ら学ぶ 機 会 を 設 けました. 現代医学は治癒を前提としての cure に全力を傾注するが, 「死にゆく患 者」, 「障害が残る患者」いずれも「治癒の見込みのない患者」にこそリハ ビリテーション医学の深い関与が必要であるはず .そしてこのシンポジウ ム(進歩充夢)に今回のメインテーマ「こころほぐして ,医療の源流を探 る」の一つの回答になるのではと期待しています .
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