確定給付企業年金の改善について

平成28年8月3日(水)
日本年金数理人会第68回研修会
確定給付企業年金の改善について
現状における年金制度の体系
○
○
20歳以上65歳未満人口に対し、企業年金制度等に加入している者の割合は24.9%
厚生年金被保険者に占める企業年金加入者の割合については、34.0%
※
加入員数 加入者数
45万人 21万人
複数の制度に重複して加入している加入者数を控除して算出。
確定拠出年金(
個人型DC)
国民年金基金
加入者数
505万人
加入者数
782万人
確定拠出
年金
確定給付
企業年金
(DB)
(企業型DC)
加入員数 加入員数
363万人 441万人
厚生年金
基金
年金払い
退職給付
(代行部分)
厚生年金保険
国 民 年 金 ( 基 礎 年 金 )
第2号被保険者の
被扶養配偶者
932万人
第3号被保険者
自営業者等
民間サラリーマン
1,742万人
4,039万人
公務員等
第2号被保険者等
第1号被保険者
6,713万人(※)
※20~65歳未満人口は、7,130万人。人口推計(平成27年4月)調べ。
※平成27年10月以降。加入者数等は平成27年3月現在。
1
企業年金加入者の推移
DC創設
(万人)
DB創設
厚年基金代行返上開始
適格退職年金廃止
DB減少に転じる
厚年基金
改正法施行
801
788
1039
1000
厚生年金基金
800
727
647
600
506
400
314
200
0
平成
135
33
3
71
14
15
126
16
384
173
17
219
18
271
311
340
782
DB
570
430
796
371
422
439
464
505
363
DC(企業型)
19
20
21
22
23
24
25
26 年度末
(出所)厚生年金基金・DB:生命保険協会・信託協会・JA共済連「企業年金の受託概況」、DC:厚生労働省調べ
2
社会保障審議会・企業年金部会における検討課題(平成26年7月)
《課題設定の視点》
○ 老後所得保障の柱である公的年金制度
は中長期の給付水準調整を予定。また、
働き方の多様化が進む中で、個々人のラ
イフスタイルに合わせた老後の生活設計を
支える仕組みが必要。
《検討課題》
Ⅰ 企業年金等の普及・拡大
➀一般企業向けの取組
→DB・DC制度間のイコールフッティングの確保等
➁中小企業向けの取組
→中小企業の負担を軽減した新たな仕組み等
○ 諸外国でも、公的年金制度の財政的課題
や働き方の多様化に対応し、公的年金と
私的年金とを組み合わせて老後の所得確
保を図る方向で制度改正を行う流れ。
※ OECD等の統計では、一定以上の加入率がある私的年金
制度はいわば公的年金に準ずる所得保障の制度とし
て、その両者を合わせた形で制度的な保障の水準が示
されている。
○ 我が国の企業年金等については、こうし
た視点をベースに、企業年金2法成立時か
らの状況変化、厚生年金基金制度の見直
し等を踏まえ、社会経済情勢の変化に対
応すべく、全体的な見直しを行う時期。
※ 企業年金2法(確定給付企業年金法、確定拠出年金法)
の成立から10年以上が経過し、当時とは社会経済情勢
や企業の労使を取り巻く状況が大きく変化。
Ⅱ ニーズの多様化への対応
➀柔軟で弾力的な制度設計
→DB・DC両制度の特徴を併有する制度設計等
➁ライフコースの多様化への対応
→ポータビリティの拡充、個人型DCの適用範囲等
Ⅲ ガバナンスの確保
Ⅳ その他
➀現行制度の改善
→個々人のニーズ等を踏まえた適切なDCの運用資
産選択に資する措置等
➁公的年金制度や税制等との関係
3
『社会保障審議会企業年金部会における議論の整理(平成27年1月16日)』(概要)
※平成27年1月16日付け「社会保障審議会企業年金部会における議論の整理」を、厚生労働省年金局の責任において編集したもの
〈企業年金等の普及・拡大に向けた見直しの方向性〉
DB・・・確定給付企業年金、DC・・・確定拠出年金
1.中小企業向けの取組
○企業年金の普及・拡大を図る上で中小企業が取組みやすいことが重要であり、以下の対策を講じることが適当。
・受託保証型DBについて更なる普及・拡大のため、手続緩和等を促進。
・DCについて、①企業年金連合会等における投資教育の共同実施、➁中小企業が取り組みやすい「簡易型DC」の
創設、➂企業年金を実施していない中小企業でも従業員への支援ができる「個人型DCへの小規模事業主掛金納
付制度」の創設。
2.柔軟で弾力的な給付設計
○新しい『柔軟で弾力的な給付設計(DB・DC双方の特徴を有する給付設計)』については、企業年金の選択肢を拡大
し、企業年金の普及・拡大に資することから、諸外国の例を参考に、現場のニーズ等を踏まえつつ、検討。
(※)具体的には、例えば、DBについては、労使判断のもと、あらかじめ約束した給付に積立状況に応じた柔軟性を持つ給付を組み合わ
せる設計等が考えられるが、いずれにしても詳細な給付設計を検討した上で、改めて審議会で議論することとされた。
3.ライフコースの多様化への対応
○労働の多様化が進む中、生涯にわたり継続的に老後に向けた自助努力を可能とするため、個人型DCの適用範囲を
第3号被保険者、企業年金・公務員共済等加入者に拡大することを検討すべき。
○制度(DB、DC、中小企業退職金共済制度等)間のポータビリティについて、現場のニーズを踏まえた上で、拡充す
るべき。
4.確定拠出年金の運用改善の促進
○DCの運用について、運用自体を困難に感じている者も一定数いることを等を踏まえ、以下の対策を講ずる必要。
・加入者の投資知識等の向上を図るため、継続投資教育の努力義務化等の措置を講ずるべき。
・加入者が選択しやすい環境を構築するため、運用商品提供数を一定範囲内に抑制する措置を検討するとともに、よ
り実効性のある運用商品除外規定の整備を行うべき。
・長期の年金運用として適切な運用方法を促進するため、商品提供について、分散投資に資するリスク・リターン特性
の異なる商品を3つ以上提供するよう、その趣旨を法律において明確化すること等を行うべき。
・「あらかじめ定められた運用方法」の規定の法律上の整備等を行う必要がある。
4
5.企業年金のガバナンス
○DBについては、制度を適切に運営するための体制整備(企業年金のガバナンス)が必要であり、以下の対
策を講じるべき。
・資産運用ルールについて、厚年基金のルールを参考に一定の見直しを行う。
・加入者への情報開示について、少なくとも運用の基本方針の全文開示や年1回以上の資産運用利回りの開
示等を行う。
6.その他
○DCの拠出規制の年単位化や規制改革実施計画における手続緩和等について可能な限り速やかに実現す
べき。
○DBの拠出弾力化についても、恣意的な拠出とならないことに留意しつつ、今回の制度見直しの実施時期と
あわせて実施できるよう、税務当局と調整を進めるべき。
○関係機関と協力して個人型DCの広報の充実を図るべき。
〈企業年金の普及・拡大に向けた今後の検討課題〉
○企業年金の拠出時・給付時の仕組みのあり方については、様々な意見があったところであり、今後も引
き続き議論を行っていく必要がある。
○企業年金制度等に関する税制のあり方については、諸外国の私的年金の課税関係を見ても、運用時
課税は少数であることを踏まえれば、積立金に対する特別法人税は早期に撤廃すべき。その際、拠出
時・運用時・給付時全体の課税のあり方も併せて議論を行う必要があるとともに、給付時の課税関係に
ついて、退職所得控除など退職一時金税制との関係を踏まえつつ、給付方法によって公平性が損なわ
れることのないような制度設計とすべき。
5
(平成28年度政府税制改正大綱)
確定給付企業年金の弾力的な運営等に係る税制上の所要の措置
(所得税、法人税
等)
1.大綱の概要
確定給付企業年金(DB)について、
①事業主が将来の財政悪化を想定して計画的に拠出する掛金
②事業主が拠出する掛金で給付増減調整により運用リスクを事業主と加入者で分担する企業年金に係るもの 等
について、税制上の所要の措置を講じる。
2.制度の内容
老後所得の充実のため、公的年金を補完する私的年金の普及・拡大が求められている中で、
確定給付企業年金制度(DB)の多様化・柔軟化を図り、企業が私的年金を取り組みやすくするため、
新たに以下の仕組みを導入した際に掛金の損金算入を認める。
・将来の財政悪化を想定した、計画的な掛金拠出を可能とするリスク対応掛金の仕組みを導入すること
・運用リスクを事業主と加入者で柔軟に分け合う仕組みであるリスク分担型DBを実施可能とすること
リスク対応掛金の仕組み(イメージ)
将来の財政悪化を想定
して予め追加的な掛金
(リスク対応掛金)を拠出
リスク対応
掛金
将来発生する
リスク
掛金収入
現価
給付現価
積立金
景気悪化により積立金が減
少しても企業の追加負担は
抑制される
※ リスク対応掛金を拠出
していなければ追加負担
が発生
リスク対応
掛金
掛金収入
現価
積立金
給付現価
リスク分担型DBの仕組み(イメージ)
財源の変動に合わせ
て給付を増減調整
加入者等の給付調整
により対応する部分
事業主の掛金負担
により対応する部分
あらかじめ労使合意
により固定されたリ
スク対応掛金を拠出
リスク対応
掛金
将来発生する
リスク
掛金収入
現価
給付現価
積立金
6
1.掛金拠出の弾力化
(財政悪化を想定した「リスク対応掛金」の導入)
8
年金財政の均衡
□ 今後支払われると見込まれる毎年度の給付とその財源について、全て現在の価値に換算
して一時金で表すことにより、DBの財政が均衡している状態を示すと、以下のとおり。
〈 イメージ図 〉
財政均衡
〈 財源 〉
今後入ってくると見込
まれる毎年度の掛金を
現在価値に換算して足
し上げたもの
〈 給付 〉
今後支払われると見込
まれる毎年度の給付を
現在価値に換算して足
し上げたもの
③掛金収入現価
あらかじめ給付の算定方法が定まって
いるDB制度では、①と②を所与とし、
③=①-②となるよう必要な掛金の額
を算定することとなる。
①給付現価
②積立金
積立金の現時点での評価額
9
年金財政の不均衡
□ DB制度では、ある時点で年金財政が均衡するように掛金を設定したとしても、将来の給付
や掛金、運用収益は、一定の予測に基づいて計算されたものであるため、期間が経過すると、
前提と実績との相違により、年金財政の均衡は崩れることとなる。
〈 イメージ図 〉
【ある時点】
【一定期間経過後】
財政均衡の状態
財政均衡が崩れた状態
積立不足
③掛金収入
現価
③掛金収入
現価
①給付現価
①給付現価
②積立金
②積立金
財政均衡が崩れる要因には、例えば以下のようなものがある。
・ 予測よりも平均寿命が延びたことなどにより、給付が増加した。
・ 予測よりも給与の額が伸びなかったことなどにより、掛金収入が減少した。
・ 運用が低調であったことなどにより、予定よりも運用収益が確保できなかっ
た。
10
財政悪化を想定した「リスク対応掛金」の導入
□ そこで、不況期等の掛金増加につながらないように、あらかじめ「将来発生するリス
ク」を測定し、その水準を踏まえて、掛金(リスク対応掛金)の拠出を行うことのできる仕
組みとする。
〈 イメージ図 〉
将来の財政悪化時
現時点
(2) 将来発生するリスクを測定※1
(1) 「財政均衡」の状態
将来発生するリ
スクに備えた掛
金拠出を行わな
い場合
③掛金収入
現価
積立不足
想定
①給付現価
③掛金収入
現価
①給付現価
②積立金
②積立金
(3) 将来発生するリスクに対する掛金拠出
リスク対応掛金の
拠出が可能※2
将来発生するリ
スクに備えた掛
金拠出を行う場
合
(4) リスクの発生に伴う
積立不足の発生を抑制
将来発生するリスク
リスクが現実になっ
た場合
③掛金収入
現価
①給付現価
③掛金収入
現価
①給付現価
②積立金
②積立金
※1 「将来発生するリスク」の水準は、制度ごとに積立金の運用方針等が異なることを踏まえ、一定のルールに基づき制度ごとに測定したものとする。(測定のための一定のルールにつ
いては、次頁を参照。)
※2 リスク対応掛金は、現時点の景気動向や企業の負担能力に応じて、「将来発生するリスク」の一部のみ拠出することも可能とする。
11
(イメージ)「将来発生するリスク」を測定するためのルール
○ 現行では、積立不足が生じた場合に最大20年で償却することとされているため、現に積立不足が生じた場合
でも安定的な償却が可能となるよう、 「将来発生するリスク」は、20年程度に一度の損失にも耐えうる基準とし
て定める。
〈 イメージ図 〉
一定期間経過後のDBの積立不足額
起こりやすさ
20年程度に一度の損失に耐え
うる基準として、 を測定。
(変 動)
20年程度に一度の損失が発生する場合
積立不足額
予測よりも
好転した場合
【積立剰余が発生】
③掛金収入
現価
全く予測どおり
になった場合
財政好転
③掛金収入
現価
不足金
財政悪化
①給付現価
②積立金
【積立不足が発生】
【財政均衡】
剰余金
①給付現価
予測よりも
悪化した場合
③掛金収入
現価
①給付現価
②積立金
②積立金
※ 受託保証型のDBや、簡易な基準で財政計算を行っているDB (加入者数500人未満等が条件) は、
測定を行わない。
12
「将来発生するリスク」の具体的な測定方法(従来のDB)
□ 将来発生するリスクとして、将来の積立金の価格変動による積立金の減少を想定することとし、
資産区分ごとの資産残高に所定の係数を乗じた額の合計額※に基づき算定する。(標準方式)
※ 積立金が給付現価を超える場合や係数の定められていない資産(その他の資産)を保有する場合には、補正を行う。
□ ただし、厚生労働大臣の承認又は認可を得て、DBの実情に合った方式による算定を可能とす
る。(特別方式)
※ その他の資産の割合が20%以上のDBにおいては、特別方式による算定を義務づける。
<標準方式の計算方法及び計算例>
①
②
資産区分ごとに資産残高に所定の係数を乗じ、これらの合計額を算出。
係数の定められていない資産(その他の資産)の額を勘案した補正率を求める。
③
「 ①の額 × ②の補正率 」が「将来発生するリスク」の額の測定値となる。
※
積立資産の額が給付現価の額を上回る場合は、給付現価の額を上限として補正率を設定。
資産区分
係数の定められている資産
その他
の資産※
資産合計
国内債券
国内株式
外国債券
外国株式
一般勘定
短期資産
合計
資産額
6億円
2億円
2億円
1億円
2億円
1億円
14億円
1億円
15億円
所定の係数
5%
50%
25%
50%
0%
0%
資産額×
所定の係数の額
0.3億円
1億円
0.5億円
0.5億円
-
-
2.3億円
(①)
× 1.07
(②)
2.46億円
※ 上記の例では、給付現価は20億円(積立金 < 給付現価)とする。
※ 「その他の資産」の構成割合が一定範囲内である場合には、係数の定められている資産
に基づき算定したリスクをもとに、簡便的に算定することとする。
※ 過去20年程度の各資産のインデックスから期待収益率と標準偏差を計算し、正規分布
の片側5%TVaR(Tail Value at Risk)として算定。
※ 上記の所定の係数は5年に1回程度見直しを行う。
(③)
補正率
(資産合計※)/(係数の定められている
資産合計)
=15/14=1.07
※積立資産の額が給付現価の額を上回る場合は、給付現価の額。
13
特別方式による「将来発生するリスク」の算定
1.特別方式による算定を行う場合の手続き等
・ 「将来発生するリスク」を特別方式によって算定しようとするときは、予め厚生労働大臣の承認または認可を受け
る。
・ 一旦特別方式の承認又は認可を受ければ、その後の決算又は財政再計算において当該特別方式を使用するが、
年金数理人が数理計算書類を確認する際に、使用中の特別方式が不適当である旨の所見を付した場合には、直ち
に当該特別方式を変更し、又は使用を中止する。
2.特別方式による算定を行う場合の基準
【「将来発生するリスク」の考え方】
① 給付現価から掛金収入現価及び積立金を控除した額が将来増加する危険に基づき算定するものであること。
(すなわち、資産と負債の差の変動に着目してリスクを算定する)
② 20年に1回の頻度で生じると想定される危険を測定するものであること。バリュー・アット・リスクによる場合には、
片側95%の信頼区間を使用すること。
【「将来発生するリスク」の考慮要素】
③ 「将来発生するリスク」の算定に当たっては、資産の価格変動リスクを考慮すること。
また、予定利率・予定死亡率・予定脱退率等の基礎率が実績と乖離するリスク(すなわち負債側のリスク)を考慮す
るよう努めること。
なお、リスク分担型DBにおいては、予定利率が実績と乖離するリスクは考慮すること。
【技術的要件】
④ 「将来発生するリスク」の算定に当たっては、関連する全ての重要かつ入手可能なデータ、情報及び手法を用いて
おり、データについては特別方式による算定が正確かつ頑健となるような期間にわたる数値を用いるものであるこ
と。
14
リスク対応掛金の設定方法(従来のDB)
□ リスク対応掛金は、財政再計算時に、労使合意に基づき、将来発生するリスクの範囲内で拠
出水準を定め、5~20年での均等拠出、弾力拠出又は定率拠出等により拠出する。
□ 現に発生している積立不足に対応する特別掛金と異なり、リスク対応掛金は将来のリスクに
備えるためのものであることから、緊急度を考慮し、その拠出期間は特別掛金の償却期間より
も長期に設定する。
<リスク対応掛金の設定ルール>
① リスク対応掛金の拠出期間は特別掛金の償却期間よりも長期に設定
② 5~20年の均等拠出のほか、弾力拠出や定率拠出を選択することも可能
均等拠出・・・一定期間、定額を拠出する方法
弾力拠出・・・拠出額の上下限を設定し、その範囲内で毎年度拠出する方法
定率拠出・・・毎年度、残高の一定割合を拠出する方法
※ リスク対応掛金を規約で定める場合は、厚生労働大臣の承認又は認可が必要
※リスク対応掛金の拠出水準は
労使合意により設定
リスク対応掛金
5~20年で拠出
特別掛金
リスク対応掛金の
拠出水準※
現に発生している
積立不足
標準掛金収入現価
3~20年で償却
※現に発生している積立不
足に対応するための掛金
将来発生する
リスク
給付現価
積立金
15
(イメージ)リスク対応掛金の設定方法
○ リスク対応掛金の設定方法の選択肢は以下のとおり。
① 均等拠出
拠出総額
5年から20年の範囲の予め定めた
期間で均等額を拠出
(注) 当初5年間に限り段階的に額を
引き上げることができる。
・・・
毎事業年度の拠出額を上下限の
範囲内で規約に定める
② 弾力拠出
拠出総額
N年に応じて定まる最短
期間で均等拠出した場
合の額
上限
下限
・・・
5年から20年の範囲の
予め定めた期間(N年)
で均等に拠出した場合
の額
N年
最短期間
9年未満
5年
9年以上11年未満
6年
…
15年以上
…
10年
残額の一定割合(15%~50%)として
規約に定める額を拠出
拠出総額
③ 定率拠出
※リスク対応掛金の拠出期間は特別掛金の
償却期間よりも長期に設定することが必要
・・・
(注) 残額が標準掛金の額以下となるとき
は、全額を拠出できる。
16
(参考)従来のDBにおけるリスク対応掛金の変更ルール①
○ 一度設定したリスク対応掛金は、原則として拠出が完了するまで変更しないが、以下のような場合
には変更を可能とする。
(1) 新たに発生した積立不足に対応するために特別掛金を拠出する場合
【当初】
リスク対応
掛金
【一定期間経過後】
将来発生する
リスク
リスク対応掛金
を特別掛金に
振り替え
掛金収入
現価
給付現価
積立金
(2)
景気悪化により
積立金が減少
リスク対応
掛金
将来発生する
リスク
特別掛金
掛金収入
現価
給付現価
積立金
将来発生するリスクのうち、財源が確保されていない部分が変化する場合
<ケース1>(積立金の資産構成等の変化により、リスクが増加する場合)
【前回財政再計算時】
【今回財政再計算時】
確保されて
いない部分
リスク対応掛金
リスクの増加
将来発生する
リスク
掛金収入
現価
リスク対応掛金
掛金収入
現価
給付現価
積立金
将来発生する
リスク
リスク対応掛金を
新たに設定可能
給付現価
積立金
※ ケース1は単純にリスクが増加したケースであるが、これ以外でも、財源が確保されていない部分が増加した
場合には、リスク対応掛金を新たに設定することができる。
17
(参考)従来のDBにおけるリスク対応掛金の変更ルール②
<ケース2>(運用が好転し、財源がリスクを超過する場合)
【前回財政再計算時】
確保されて
いない部分
リスク対応掛金
【今回財政再計算時】
リスク対応掛金
将来発生する
リスク
掛金収入
現価
将来発生する
リスク
積立金
給付現価
超過分につい
て、リスク対応
掛金を減少しな
ければならな
い。
掛金収入
現価
給付現価
積立金
※なお、積立金が一定の基準(数理債務等の1.5倍)を
超過した場合は、通常の掛金も減少させる。
◎ 上記にかかわらず、DB制度の分割・合併等の大きな制度変更があった場合には、リスク対応掛金を含めた
掛金全体の見直しを行う。
※ なお、掛金の恣意的な変更を抑制する観点から、財源が確保されていない部分が減少した場合で
も、リスク対応掛金の変更は認められない。
【前回財政再計算時】
確保されて
いない部分
【今回財政再計算時】
リスクの減少
将来発生する
リスク
リスク対応掛金
リスク対応掛金
掛金収入
現価
掛金収入
現価
給付現価
積立金
将来発生する
リスク
リスクは減少し
ているがリスク
対応掛金は変更
できない。
給付現価
積立金
18
(参考)従来のDBにおけるリスク対応掛金の変更ルールの詳細
○ 「恣意的な掛金拠出による過剰な損金算入を防止する」という税制上の観点から、一度
設定したリスク対応掛金額は大きな事情変更が無い限り変更できない。
<リスク対応掛金を変更できる場合>
要件
変更内容
新たに過去勤務債務が発生する場合
特別掛金収入現価の増加額の範囲内で、リスク
対応掛金額を減少
将来発生するリスクのうち財源が確保されていない
部分が前回計算時より増加する場合
増加分に対して新たにリスク対応掛金を定め、
前回計算したリスク対応掛金に加算
・合併、分割
・規約型から基金型又は基金型から規約型へ移行
・加入者数の著しい変動
・加入者資格又は給付設計の変更
・他のDBとの権利義務の移転又は承継
・その他著しい変動があった場合(例:資産構成が
大幅に変更された場合)
リスク対応掛金を含めた掛金を再設定
(注) 特別掛金の償却期間の延長ができないことなどは現
行どおり
<リスク対応掛金を変更しなければならない場合>
要件
将来発生するリスクを超える財源が措置さ
れた場合
変更内容
リスク対応掛金を減少又はリスク対応掛金の拠出を終了
19
景気循環を見据えた安定的な財政運営
□ リスク対応掛金の拠出を可能とすることにより、あらかじめ給付に必要な額以上の財源を手
当することが可能となる。
□ この財源の水準は、景気変動等により常に変動することとなるが、「将来発生するリスク」の
範囲内にある限りは「財政均衡」の状態にあるとすることで、掛金の額が景気循環の影響を受
けにくい、安定的な財政運営が可能となる。
※ 現行では、財源が給付に一致している状態を、「財政均衡」の状態としているため、積立金の減少が、積立剰余・
積立不足の発生(掛金増加)に直接結びつく仕組みとなっている。
〈 イメージ図 〉
新しい財政均衡の考え方
現行の財政均衡の考え方
②+③が、①の水準に一致する
状態を財政均衡の状態と考える。
②+③が、 の範囲内にある
状態を財政均衡の状態と考える。
将来発生する
リスク
(基準ライン)
③掛金収入
現価
財政均衡の状態に
「幅」 を設ける
一致
範囲内 (許容範囲)
(リスク対応掛金を含む)
①給付現価
②積立金
③掛金収入
現価
現行に比べて積立剰余や
積立不足の発生しにくい
安定的な運営が可能
①給付現価
②積立金
20
(イメージ)新たな財政均衡の考え方
○ 新たな財政均衡の考え方に沿えば、積立剰余・積立不足の状態は、以下の図のとおり認識
することになる。
〈 イメージ図 〉
積立不足の状態
両者の間にある状態
規約に定める掛金が通常
の予測に基づく給付に対し
て不足している状態
=
規約に定める掛金が将来
発生するリスクを超過して
いる状態
財政均衡の状態
=
=
積立剰余の状態
積立剰余
③掛金収入現価
(リスク対応掛金を含む)
将来発生する
リスク
将来発生する
リスク
③掛金収入現価
将来発生する
リスク
積立不足
(リスク対応掛金を含む)
③掛金収入現価
②積立金
(リスク対応掛金を含む)
①給付現価
①給付現価
①給付現価
②積立金
②積立金
21
2.柔軟で弾力的な給付設計
(リスク分担型DBの導入)
22
柔軟で弾力的な給付設計の基本的仕組み
□ DB制度では、運用等のリスクが事業主に偏る一方、DC制度では、運用のリスクが加入
者に偏ることとなり、DB・DCの二者択一では、労使のどちらかにリスクが偏る構造にある。
※ 伝統的なDB制度では事業主の負担が重たいとして、DC制度への移行が進む傾向が世界的に見られる。
□ こうしたリスクの偏りをなくし、労使でリスクを柔軟に分け合うことを可能とするためには、
DB制度とDC制度の中間的な仕組み(柔軟で弾力的な給付設計)が必要と考えられる。
DC制度
積立不足が発生したら、事業主が
追加拠出により補填する必要がある
運用が低調でも、事業主による
補填はなく、加入者の自己責任
=
=
DB制度
事業主にリスクが集中
加入者にリスクが集中
柔軟で弾力的な給付設計の仕組み(イメージ)
加入者のリスク
(給付の調整で対応)
予定利率
事業主のリスク
運用実績
企業が企業全体で運用
拠出
あらかじめ拠出額が決まっている
(事業主の拠出で対応)
給付
・・・・
あらかじめ給付の算定方法
が決まっている
事業主と加入者で
リスクを分け合う
23
(参考) キャッシュバランスプランについて(詳細)
□ キャッシュバランスプランは、「仮想個人勘定」に累積された付与額とその利息額の合計
額を原資として年金給付を行う仕組み。
「仮想個人勘定」に将来の年金原資を累積
原資を年金にして受給
※ 「Cash Balance」の「balance」は、「口座残高」を意味する。
〈40年加入した場合のイメージ〉
加入
4年目の
付与額
3年目の
付与額
2年目の
付与額
1年目の
付与額
4年目の
付与額
3年目の
付与額
2年目の
付与額
1年目の
付与額
4年目の
付与額
3年目の
付与額
2年目の
付与額
1年目の
付与額
・
・
・
1年目の
付与額
2年目の
付与額
1年目の
付与額
3年目の
付与額
2年目の
付与額
1年目の
付与額
39年目の
付与額
40年目の
付与額
39年目の
付与額
・
・
・
前 年の残 高に 対 す る指 標
(国債の利回り等)による利息
付利
退職
給与の一定割合等による付与
仮想個人勘定残高に累積された原資
を年金現価率で割ることにより、年金化
年
金
原
資
1年目の
年金額
2年目の
年金額
支給開始
3年目の
年金額
4年目の
年金額
5年目の
年金額
・・・
一定期間ごとに指標による改定
【キャッシュバランスプラン(CBP)とDCの主な相違】
付与額
利息額
資産の運用
元本保証
CBP
実際に拠出した掛金額とは限らない
(掛金額は別途数理計算により決定)
指標による
※H26.4から運用実績も可
集団で行う
付与額の元本を保証
DC
実際に拠出した掛金額
運用実績による
個人毎に行う
保証なし
24
キャッシュバランスプランの導入状況
□ 現行制度で可能な給付設計のうち、キャッシュバランスプランは、唯一運用のリスクを
事業主と加入者で分け合うことができる仕組み。
□ 平成14年の導入からおよそ十年で、すでに4分の1程度※1がキャッシュバランスプラン
又はその類似型※2を導入しており(特に1,000人以上規模の企業では5割を超える導入
率)、給付の設計において、「リスクを分け合う」という考え方が拡がっている。
キャッシュバランスプランの導入状況
キャッシュバランス
プランを採用
16.0
企業規模計
0%
10%
キャッシュバランス
プラン類似型を採用
6.7
20%
その他の方法を採用
77.3
18.8
34.5
規模1,000人以上
※1 確定給付企業年金又は厚生年金基金を実施している企業に占める割合。
※2 受給期間中の年金額のみ指標に連動させる仕組み。
30%
40%
46.7
50%
60%
70%
80%
90%
100%
(出所) 人事院「平成23年民間企業の勤務条件制度等調査」
25
(参考) オランダ -集団型DC(CDC)-
□ オランダでは、確定給付制度の枠組みを維持しつつ、確定拠出制度の要素を取り入れ
た集団型DC (Collective Defined Contribution) 制度が普及している。
オランダにおけるCDC制度の概要
○ 法令上は確定給付制度と位置付けられ、給付の算定式 (例:平均給与×一定率 (2%)
×勤続年数) が存在する。個人別のDC制度にあるような個人別勘定は持たない。
○ 純粋な確定給付制度と同様の積立基準が適用され、①年金債務に対し105%以上の
積立を行うことと、②資産構成等に応じた十分なリスクバッファーを持つこと (平均で年金
債務の概ね25%程度) が求められる。
○ 掛金水準は一定期間維持され、積立水準に応じて、受給者も含めた年金額のスライド
を調整し、積立水準が一定水準以下に低下した場合には年金額を減額することも可とす
る仕組み。
○ 掛金水準が一定期間固定されることから、企業会計上は確定拠出制度として取り扱わ
れている。
○ 近年では、運用環境の変化による積立状況の悪化から、給付の減額が実際に行われ
るようになっている。
26
リスク分担型DBの基本的仕組み①
□ 事業主がリスク対応掛金の拠出を行う仕組みを活用し、これを事業主によるリスク負担部
分と定めておく仕組み(リスク分担型DB)が考えられる。
□ これにより、将来発生するリスクを労使でどのように分担するかを、あらかじめ労使合意
により定めておく仕組みも設計可能となる。
〈 イメージ図 〉
【リスク分担型DBの財政均衡】
-制度開始時の姿-
加入者等の給付調整
により対応する部分
=
事業主の掛金負担に
より対応する部分
あらかじめ労使合意
により固定されたリ
スク対応掛金を拠出
(リスク対応掛金
相当分)
将来発生する
リスク
③掛金収入現価
※リスク対応掛金以外の通常の
掛金についても固定。
①給付現価
②積立金
27
リスク分担型DBの基本的仕組み②
□ リスク分担型DBでは、給付に対する財源のバランスが毎年度変化するため、毎年度の決算
において給付を増減することにより財政の均衡を図る。
※ 単年度での給付の変動を抑制するため、複数年度で調整を平滑化することも可能とする。
〈 イメージ図 〉
【リスク分担型DBの財政均衡】
-制度開始後の毎年度の決算時-
剰余が生じている場合
=
③掛金収入現価
財政均衡している場合
将来発生する
リスク
増額
②積立金
不足が生じている場合
将来発生する
リスク
=
将来発生する
リスク
③掛金収入現価
調整なし
①給付現価
①給付現価
(調整率=1)
(調整率=1)
②積立金
減額
=
③掛金収入現価
①給付現価
(調整率=1)
②積立金
※ 少なくとも5年ごとに実施する財政再計算では、掛金(率)は従前のまま維持しつつ、最新の情勢を反映して将来推計を行い、「給付現価」、
「掛金収入現価」、「将来発生するリスク」を計算する。なお、給付改善等の制度設計に関する新たな労使合意がない限り、掛金(率)の変更を行わ
ない。
28
(イメージ)リスク分担型DBの給付算定式
○ リスク分担型DBにおける給付の算定式は、従来のDBにおける給付の算定式に、「調整率」を乗じたものとし
て定義される。
○ 「調整率」は、積立水準に応じて定まる率であるが、単年度ごとの変動を抑制するため、導入当初に定める方
法により、複数年度で平滑化したものを使用することも可能。(毎年度の調整率は規約に定める。)
リスク分担型DBにおける給付算定式
従来のDBにおける給付算定式※1 × 当該年度の調整率※2
※1 従来のDBにおける給付算定式には、例えば以下のようなものがある。
加入期間比例 ・・・
平均給与比例 ・・・
最終給与比例 ・・・
ポイント制 ・・・・・
定額×加入期間
加入期間中の平均給与×乗率×加入期間
加入期間の最終給与×乗率
加入期間中のポイント×ポイント単価×乗率
※2 調整率は、毎年度の決算において以下のように定める。
(ア) 剰余が生じている場合 (積立金と掛金現価の合計額が、給付現価と将来発生するリスクの合計額を上回る場合)
→ 調整率=(積立金+掛金現価-将来発生するリスク) / 調整を行わない場合の給付現価
(イ) 財政均衡している場合
→ 調整率=1.0
(アとウの間の状況である場合)
(ウ) 不足が生じている場合 (積立金と掛金現価の合計額が、給付現価を下回る場合)
→ 調整率=(積立金+掛金現価) / 調整を行わない場合の給付現価
※ 給付の変動を抑制するため、上記の調整率を複数年度で平滑化することも可能とする。
※ 決算で確定した調整率は、遅くとも、当該決算の翌々事業年度の給付に反映させる。
29
(参考) キャッシュバランスプランとの比較
○ キャッシュバランスプランは、個人別に定められた「仮想個人勘定」に累積された付与額とその
利息額の合計額を原資として年金給付を行う仕組み。
「仮想個人勘定」に将来の年金原資を累積
原資を年金にして受給
※ 「Cash Balance」の「balance」は、「口座残高」を意味する。
付利
〈40年加入した場合のイメージ〉
加入
4年目の
付与額
3年目の
付与額
2年目の
付与額
1年目の
付与額
4年目の
付与額
3年目の
付与額
2年目の
付与額
1年目の
付与額
4年目の
付与額
3年目の
付与額
2年目の
付与額
1年目の
付与額
給与の一定割合等による付与
・
・
・
1年目の
付与額
2年目の
付与額
1年目の
付与額
3年目の
付与額
2年目の
付与額
1年目の
付与額
39年目の
付与額
40年目の
付与額
39年目の
付与額
・
・
・
前年の残高に対する
運用実績による利息
退職
仮想個人勘定残高に累積された原資
を年金現価率で割ることにより、年金化
年
金
原
資
1年目の
年金額
支給開始
2年目の
年金額
3年目の
年金額
4年目の
年金額
5年目の
年金額
・・・
一定期間ごとに指標による改定
キャッシュバランスプランは仮想的な個人別勘定に付与額を累積していくという設計の制約の中で、
労使のリスク分担を図る仕組み。このため、現行では、伝統的な給付算定式をもとにした給付設
計をしている場合には、労使でリスクを柔軟に分け合える仕組みを組み込むことができない。
○ リスク分担型DB(仮称)は、伝統的なDBの算定式による給付設計を行っている場合でも労使
のリスク分担を組み入れることができるため、キャッシュバランスプランよりも、各企業の退職給付設
計に係るより幅広いニーズに対応できると考えられる。
30
リスク分担型DBの掛金設定方法
□ リスク分担型DBでは、制度導入時に、従来のDBと同様の掛金区分(標準掛金、特別掛金、リスク
対応掛金)に基づき算定した額の合算額に基づき掛金(率)を計算する。
□ 新規に制度を開始するときや制度が成熟していないときには積立金が十分でなく、将来発生するリ
スクを適切に見込めないため、一定期間経過後の積立金の額を推計し、その推計額に基づきリスク
を見込む等の特則を設ける。
※ リスク分担型DBでは、一度設定した掛金を固定する仕組みであるため、導入時に適切なリスクを見込むことが必要
<リスク分担型DBの掛金設定イメージ(下の①~⑤の順で設定)>
【制度導入時】
①標準掛金
を設定
給付現価
(将来期間分)
(C)特別掛金
収入現価
(C)過去の積立不足に対応するた
めに3~20年で拠出
(B)リスク対応掛
金収入現価
(B)将来の積立不足のリスクに対
応するために5~20年で拠出
(A)標準掛金
収入現価
【一定期間経過後(推計)】
標準掛金
収入現価
給付現価
(将来期間分)
積立金(推計)
給付現価
(過去期間分)
(A)将来の給付に対応するため
永続的に拠出
⑤リスク分担型DBの開始
時に、毎年度の掛金を設定
掛金(率)
②一定期間経過後の
積立金を推計
将来発生する
リスク
①特別掛金 ④リスク対応
を設定
掛金を設定
給付現価
(過去期間分)
③将来発生するリスクを適切に見込むために、一定期間経過
後の積立金の推計額等を用いて将来発生するリスクを測定
(C)特別掛金相当分
(B)リスク対応掛金相当分
※標準掛金のみを前提に一定期間経過後(い
わゆる定常状態になったとき)の積立金を推計
各年度における(A)~(C)を合算する形
で規約に規定(※(A)~(C)の内訳は規
約上では明記しない)
(A)標準掛金相当分
導入後の経過年数
31
リスク分担型DBにおける掛金の変更
○
リスク分担型DBでは、当初設定した掛金を固定する仕組みであり、給付改善等
の制度設計に関する新たな労使合意を行わない限り掛金の変更を行わない。
○ 新たな労使合意に基づき掛金を変更する場合にあっては、恣意的な掛金拠出によ
る過剰な損金算入が行われないよう、その変更方法を限定する。
<リスク分担型DBの掛金の変更方法>
リスク分担型DBにおける掛金の変更は、以下の(1)又は(2)(あるいはこれらの併
用)によるものとする。
(1) 当初設定した永続的に拠出する掛金を増加又は減少させる。
(2) リスク対応掛金を新たに設定する場合と同様に、拠出しようとする掛金の総額
を定め、均等拠出、定率拠出、弾力拠出等により毎期の拠出額を定め、従前の掛
金に追加する。
(イメージ)
掛金(率)
(当初の特別掛金・
リスク対応掛金相当分)
(2)リスク対応掛金相当分
の追加
(1)永続的に拠出する掛金
の増加又は減少
(当初の標準掛金相当額)
掛金変更
導入後の経過年数
32
「将来発生するリスク」の具体的な測定方法(リスク分担型DB)
□ リスク分担型DBにおける将来発生するリスクの算定方法として、所定の方法により算定する方式
(標準方式)と、厚生労働大臣の承認又は認可を得てDBの実情に合わせて算定する方式(特別方式)
を可能とする。
□ ただし、リスク分担型DBにおいては、最初に設定した掛金を固定する仕組みであり、発生するリスク
の大きさを導入時から適切に見込む必要があることから、標準方式では、
① 将来の積立金の価格変動により積立金が減少するリスク (価格変動リスク)※
② 今後の金融経済環境等の変化に伴い、予定利率が低下するリスク(予定利率低下リスク)
を合算することにより、制度導入時の予定利率の変動リスクを加味する。
※ 価格変動リスクは、従来のDBの標準方式と同様、資産区分ごとに所定の係数を乗じた額の合計額に基づき算定
□ 標準方式で係数の定められていない資産以外の資産の割合が10%以上の場合や、予定昇給率や
予定脱退率等の基礎率変動が重要と認められる場合には、特別方式によらなければならない。
<リスク分担型DBにおけるリスク測定方法(標準方式)>
①一定期間経過後の
財政状況を推計
(リスク計算前)
掛金収入現価
(リスク対応掛
金を除く。)
(一定期間経過後の積立金を推計)
②予定利率が低下した場合
の財政状況を推計
(一定期間経過後に予定利率低下した
場合の積立不足を推計)
予定利率の低下により発生する積立不
足を予定利率低下リスクとして測定
掛金収入現価
(リスク対応掛
金を除く。)
積立不足
(リスク計算後)
給付現価
積立金
従来のDBと同様の方法
によりリスクを測定
①価格変動リスク
給付現価
【制度開始時のイメージ】
※資産構成は政策的資産
構成割合に基づき設定
②予定利率低下
リスク
(①+②の範囲内
でリスク対応掛金
を設定)
①価格変動リスク
掛金収入現価
(リスク対応掛
金を除く。)
給付現価
将来発生
するリスク
掛金収入現価
(リスク対応掛
金を除く。)
給付現価
積立金
33
リスク分担型DBにおける標準方式の算定方法
○
リスク分担型DBにおける標準方式による「将来発生するリスク」は、以下の価格変動リスクと予定利率
低下リスクの合計額とする。
価格変動リスク:一定期間経過後の積立金及び政策的資産構成割合(長期にわたり維持すべき資産の構
成割合)に基づき資産区分ごとの資産額を推計し、リスク分担型でない場合の標準方式と同様の所
定の係数を用いて算定した価格変動のリスク
予定利率低下リスク:一定期間経過後に予定利率が低下(例えば1%低下)した場合の積立不足
<リスク分担型DBにおける標準方式の計算方法及び計算例>
① 制度発足後、一定期間経過したときの積立金を推計
※ 当該DBの加入率等を用いて、定常状態を推計する
(推計結果)
掛金収入現価 30億円
積立金
50億円
給付現価
80億円
② ①で推計した積立金と政策的資産構成割合に基づき、所定の係数を用いて価格変動リスクを推計
資産区分
係数の定められている資産
その他の資
産
資産合計
国内債券
国内株式
外国債券
外国株式
一般勘定
短期資産
合計
政策的資産構成割合
50%
20%
10%
10%
5%
3%
98%
2%
100%
積立金の推計値×政策
的資産構成割合(推
計資産額)
25億円
10億円
5億円
5億円
2.5億円
1.5億円
49億円
1億円
50億円
所定の係数
5%
50%
25%
50%
0%
0%
推計資産額×
所定の係数の額
1.25億円
5億円
1.25億円
2.5億円
-
-
10億円
(①)
×補正率※
(②)
10.2億円
(①×②)
③ 一定期間経過後、予定利率が低下した場合の積立不足を推計
(推計結果)
積立不足
10億円
掛金収入現価 40億円
積立金
※ 補正率=資産合計/係数の定められている資産合計
給付現価
100億円
50億円
④ ②及び③から、将来発生するリスクを推計
将来発生するリスク = 10.2億円 + 10億円 = 20.2億円
34
リスク分担型DBにおける財政再計算時の取扱い
○ リスク分担型DBでは、財政再計算を行っても掛金(率)の変更は行わない。
○ ただし、基礎率を見直すことにより将来発生するリスクや現価が変化するため、調整率が見直される場合がある。
<財政再計算時のイメージ>
① 財政再計算実施前
② 財政再計算により基礎率を見直し、
収支バランスが変化する場合
③ 収支がバランスするよう
調整率を変更
将来発生する
リスク
将来発生する
リスク
減額調整
将来発生する
リスク
掛金収入現価
掛金収入現価
掛金収入現価
給付現価
(調整率=1.0)
積立金
給付現価
(調整率=1.0)
積立金
財政再計算で掛金(率)は見直さないが、
基礎率(予定利率、予定脱退率等)の見
直しを行うため、掛金収入現価、給付現
価や将来発生するリスクが変化
給付現価
(調整率<1.0)
積立金
掛金収入現価、給付現価や将来発生する
リスクの変化に伴い、調整率が変化
35
リスク分担型DBにおける意思決定のあり方①
□ リスク分担型DBは、運用の結果により、加入者及び受給者の給付が調整される可能性
のある仕組み。このため、制度開始時の意思決定に加え、制度実施後も加入者等が適切
に意思決定に参画できるための仕組みが必要と考えられる。
※ 企業年金部会においても、 「柔軟で弾力的な給付設計」を導入する場合には、リスク負担の度合いが増す加入者に
ついて、①加入者がリスク負担に見合う形で決定に関与する仕組み、及び、②加入者の代表が運用実績の詳細等に
ついて確認することができる措置、について検討が必要との整理が行われたところ。
-社会保障審議会企業年金部会における議論の整理(平成27年1月16日)より抜粋-
2.企業年金制度等の普及・拡大に向けた見直しの方向性
(5)企業年金のガバナンス
① 組織・行為準則(抜粋)
○
なお、利害関係者が負うリスクに見合う形で意思決定に関与することを可能とする観点から、今後
DB及びDCについて柔軟で弾力的な給付設計を行う場合は、それに伴いリスクの負担度合いが変化
する加入者の関与のあり方について検討が必要である。
④ 加入者への情報開示(抜粋)
○
また、今後柔軟で弾力的な給付設計を行う場合は、リスク負担が増すこととなる加入者側の代表が
運用実績の詳細等について確認することができる措置を講ずることが適当である。
36
リスク分担型DBにおける意思決定のあり方②
□ リスク分担型DBを実施する場合には、以下の手続を経て、規約変更を行う。
① 基金型DBにおいては、労使の代表で構成される代議員会における議決
② 規約型DBにおいては、加入者の過半数で組織する労働組合(当該労働組合がない場合
は、加入者の過半数を代表する者)の同意の取得
リスク分担型DB制度を開始する場合には、その給付設計や事業主が拠出するリス
ク対応掛金の水準等について労使による意思決定を行う必要がある。
具体的手続
基金型DB
規約型DB
代議員会
事業主
加入者
事業主
同意
加入者の過半数
で組織する労働
組合等
※ 半数は事業主、半数は加入者で構成。
代議員会における議決
事業主が加入者の過半数で組織
する労働組合等の同意を取得
37
リスク分担型DBにおける意思決定のあり方③
□ さらに、リスク分担型DBを実施する場合には、運用の結果が加入者等の給付に反映される可
能性があることから、従来のDBとは異なり、加入者がリスク負担に見合う形で運用の意思決定に
参画するための仕組みが必要。
このため、加入者の代表が参画する委員会を設置することを基本とし、委員会は、業務の執行
を行う理事会又は事業主に対して提言等を行うこととする。
□ また、運用が加入者の意向に沿った形で行われるよう、
① 事前に運用方針を定める観点から、運用基本方針や政策的資産構成割合の策定を必須とし、
② その方針どおりに運用されていることを確認する観点から、委員会に参画する加入者代表は
運用実績の詳細等について確認することができるようにする。
労組等
【規約型の場合】
事業主
理事会
代議員
会
【基金型の場合】
提言等
委員会
○ 加入者代表の参画は必須(受給者の参
画を妨げない)。
○ 資産運用などに関する外部の有識者を
参画させてもよい。
○ 資産運用の方針・結果について議論。
○ 加入者代表は資産運用方針に関する
既存の内部規程類及び受託機関から提供
された運用結果報告書につき開示を受け
ることができる。
○ リスク分担型DBは基金型・規約型を問わず実施可能とするが、実施す
る場合は、
・運用基本方針
・政策的資産構成割合
の策定を必須とする。(※運用基本方針及び政策的資産構成割合は、リ
スク分担型DBに限らず、策定を義務づけることも検討)
○ 一般に資産運用方針は短期的に変えるものではないことを踏まえ、委員
会は少なくとも年1回以上開催。
○ 加入者代表が参画する資産運用委員会がある場合は、この委員会とし
ても位置づけることができるものとする。
○ 基金型の場合には、以下を条件に委員会を設置しないことも可とする。
・資産運用の方針の決定及び結果の評価を代議員会の付議事項とする
こと
・全ての加入者及び受給者に資産運用の方針に関し意見提出の機会を
設けること
・代議員から要請があれば、受託機関から提示された運用報告書等を
開示すること
38
リスク分担型DBにおける意思決定のあり方④
□ 現行では、加入者に対しては、年1回以上業務概況について周知することとされている一方、
受給者に対しては、「加入者に対する周知と同様の措置を講ずるよう努める」こととされている。
□ リスク分担型DBにおいては、加入者だけでなく受給者もリスクを負担することとなることから、
受給者への周知についても、加入者と同様行うこととしてはどうか。
加入者等への情報開示の現状
○ 加入者に対しては、年1回以上、下記の事項について周知することとされているが、受給者に対しては、できる限り
加入者に対する周知と同様の措置を講ずるよう努めることとされている。
加入者に周知することとされている事項 (現状)
○ 給付設計、給付
の支給の概況
○ 加入者数、
受給権者数
○ 掛金の納付の
概況
○ 年金数理上の
積立ての状況
○ 運用の基本方針の概要
※ 企業年金部会では、「運用の基本方針の全文を開示すべき」 とされている。
○ 運用収益(運用損失)、資産の構成割合その他積立金の運用の概況
※ 企業年金部会では、「資産運用利回りを年に1回以上開示すべき」 とされている。
○ その他事業に係る重要事項
リスク分担型DBを実施する場合の情報開示
受給者に対する周知についても加入者と同様行う。
周知事項に「年金額の改定を見通す上で有用な情報」を追加する。
39
リスク分担型DBにおける周知事項
○ リスク分担型DBにおいては、加入者だけでなく受給者もリスクを負担することとなることから、受
給者への周知についても、加入者と同様行う。
○ リスク分担型DBでは、財政状況に応じて年金額が改定される仕組みであることから、周知事項に
「年金額の改定を見通す上で有用な情報」を追加し、年金額改定に用いる調整率の算定方法や
その算出の根拠の周知を義務づける。
※ 「年金額の改定を見通す上で有用な情報」 の具体例は通知等で示すことも検討
【 「年金額の改定を見通す上で有用な情報」の具体例 】
① 年金額改定のルール
② 過去5年程度の調整率の推移
③ ②の調整率の算出根拠となったデータ(調整率を1.0とした場合の給付現価、
積立金、掛金収入現価、将来発生するリスクを想定)
④ その他、調整率に重要な影響を与えると認められる事項
(参考)現行で義務づけられている業務概況の周知事項
① 給付の種類ごとの標準的な給付の額及び給付の設計
② 加入者の数及び給付の種類ごとの受給権者の数
③ 給付の種類ごとの給付の支給額その他給付の支給の概況
④ 事業主が資産管理運用機関等に納付した掛金の額、納付時期その他掛金の納付の概況
⑤ 積立金の額と責任準備金の額及び最低積立基準額との比較その他積立金の積立ての概況
⑥ 積立金の運用収益又は運用損失及び資産の構成割合その他積立金の運用の概況
⑦ 基本方針の概要
⑧ その他確定給付企業年金の事業に係る重要事項
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同一DBにおけるリスク分担型と従来型の併用について
□ 1つのDB内でリスク分担型と従来型の両方を実施することについては、以下の問題がある
ため、原則として認めないが、これに対する相応の措置を講じた場合のみ許容する。
・ リスク分担型DBは固定された掛金拠出に基づく財源により給付が定まるものであり、
帰属する財源を明確に特定しなければならない。
・ リスク分担型と従来型で利害関係が異なっているので、同一のガバナンスでは正常な
意思決定が行われない可能性がある。
リスク分担型と従来型との併用を認める要件
①
リスク分担型と従来型のそれぞれで経理するとともに、資産をそれぞれに区分すること。
② 基金型の場合、代議員会の下にリスク分担型の意思決定に係る委員会(リスク分担型の給
付を受ける加入者の意向を反映できるように構成)を設け、当該委員会で方針決定したリス
ク分担型DBに関する意思決定を尊重したうえで代議員会における議決等を行うこととするこ
と
← 通常の代議員会のみでは、リスク分担型の運営について、リスク分担型に直接的に関
与する者の意向が適切に反映されない可能性がある。
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給付減額時の手続要件及び減額判定基準
□ 現行のDB制度において、給付設計の変更に伴い給付減額と判定された場合には、手続要
〈件として当該減額に該当する者の個別の同意等を得ることとなっている。
給付減額を行う場合の手続要件 〉
□ このうち手続要件については、リスク分担型DBにおいても同様とする。
〈 給付減額を行う場合の手続要件 〉 -現行
→
加入者の給付減額を行う場合
加入者の3分の1以上で組織される労働組合
がある場合は、当該労働組合の同意の取得
加入者の3分の2以上の同意の取得
リスク分担型DBにおいても同様
受給者の給付減額を行う場合
全受給者に対する、事前の十分な説明
受給者の3分の2以上の同意の取得
希望者に減額前の給付を一時金で支給する
こと
〈 給付減額の該当の有無の判定基準〉 -現行
(a) 給付設計の変更前後の総給付現価が減少する場合
(b) 一部の加入者又は受給権者等について、当該者に係る給付現価が給付設計の変更
によって減少する場合
(c) 各加入者又は各受給権者等の最低積立基準額が減少する場合
のいずれかに該当する場合、給付減額と判定
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リスク分担型DBにおける減額判定の考え方
□ 従来のDBでは、給付設計を変更した際に、給付水準である給付現価が減少した場合等に
給付減額と判定することになっている。本判定基準はリスク分担型DBに対しても適用する。
□ 更にリスク分担型DBでは、掛金を変更し掛金収入現価が減少した場合には、給付の原資
が減少し、減額調整の可能性が高まるため、給付減額と判定する。
① 現行の判定基準の適用
将来発生
するリスク
② 給付の原資に基づく判定基準の適用 -新規
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
将来発生
するリスク
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
③掛金収入現価
③掛金収入現価
①給付現価
②積立金
給付設計の変更により給付現価が減少した場合
→ 給付が減少するため減額判定
①給付現価
②積立金
掛金の変更により掛金収入現価が減少した場合
→ 給付の原資が減少し、減額調整が生じる
可能性が増加するため減額判定
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従来のDBとリスク分担型DBの移行時等の減額判定
□ 従来のDBからリスク分担型DBに移行する場合、将来発生するリスクのうち、掛金収入現価
等で措置されている割合が1/2を下回っている場合は、増額調整よりも減額調整が生じる可
能性が高いため、給付減額と判定する。
□ 逆に、リスク分担型DBから従来のDBに移行する場合、将来発生するリスクのうち、掛金収
入現価等で措置されている割合が1/2を上回っている場合は、増額調整が生じやすかったと
ころ、増額を生じない制度に変更することから、給付減額と判定する。
・従来のDBからリスク分担型DBに移行する場合
将来発生するリスク
↑給付増額
↓給付減額
(うち1/2水準)
③掛金収入現価
・リスク分担型DBから従来のDBに移行する場合
将来発生するリスク
↑給付減額
↓給付増額
(うち1/2水準)
③掛金収入現価
①給付現価
②積立金
①給付現価
②積立金
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従来のDBとリスク分担型DBの移行時等の手続要件
□ 従来のDBからリスク分担型DBに移行する場合またはリスク分担型DBから従来のDBに移
行する場合の手続について、前述の給付減額に該当する場合は、現行の給付減額に係る手
続を適用する。
□ また、前述の給付減額に該当しない場合でも、上記の移行は給付の性質を大きく変更する
ものであるため、受給者に対しては、給付減額手続に準じた相応の手続要件を設けることと
する。
・給付減額に該当する場合
既述の「給付減額を行う場合の手続要件」と同じ
・上記以外の場合
不利益変更になる可能性があることから、受給者についてのみ、以下の手続を課すこととする。
全受給者に対する事前の十分な説明
希望者には、年金給付に代えて移行前の給付を一時金で支給
(不利益変更になる場合)
従来型 → リスク分担型: 給付調整により既裁定年金額が減少する可能性がある。
リスク分担型 → 従来型: 給付調整により年金額が増額される可能性があったものが
増額されなくなる。
※ 受給者については閉鎖型のDBとして既存の制度を維持し、移行時点の加入者のみリスク分担型DB
へ移行することにより、不利益が生じない取扱いとすることも可能。
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リスク分担型DBで事業所が減少するときの取扱い
□ リスク分担型DBでは、事業所が減少する際に財政バランスが崩れ(※)、減少事業所以外の事
業所における、現在又は将来の調整率が変化する可能性がある。
※ 資格喪失による一時金の支給額や他制度に積立金を移換する額が大きい場合に、財政バランスが崩れる場合がある
□ そこで、他の実施事業所の調整率が減少しないように、減少事業所の加入者に支給する一時金
や他制度に移換する積立金を定めることを可能とする。
〈 イメージ図 〉
積立金の減少に
伴い減少
事業所減少前と財政バランスが変わらない。
(調整率及び将来発生するリスクのうち
積立金等で措置されている割合が不変)
加入者の減少に
伴い減少
将来発生
するリスク
③掛金
収入
現価
事業所
減少後
将来発生するリスク
①給付現価
③掛金収入
現価
①給付現価
②積立金
加入者に支給又は他制度へ移換
(財政がバランスするように金額を定める)
②積立金
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リスク分担型DBで事業所が増加するときの掛金設定
□ 従来のDBでは、実施事業所の増加により、新たに過去勤務債務が生じたときには、当該事業所
に対して、当該過去勤務債務を償却するための掛金(特別掛金)を任意で設定することができる。
□ リスク分担型DBでは、実施事業所の増加により調整率が低下する可能性があることから、
増加する事業主に対して他の事業所と異なる掛金(※)を定めることを可能とする。
※掛金の設定方法やあらかじめ定めた掛金を固定する仕組みは通常のリスク分担型DBと同様。
〈 イメージ図 〉
事業所減少前と財政バランスが変わらない。
(調整率及び将来発生するリスクのうち
積立金等で措置されている割合が不変)
増加する事業主に他の事業所と異なる掛金を設定
(財政がバランスするように金額を定める)
将来発生
するリスク
③掛金収入
現価
将来の積立金
の増加に伴い増加
事業所
増加後
将来発生
するリスク
③掛金収入
現価
①給付現価
①給付現価
②積立金
加入者の増加に伴い増加
②積立金
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