84.≪胃がん検診について

第3回会長の時間
胃がん検診について
H28.7.21
本日は、田原ガバナーが地区
本日は、田原ガバナーが地区重点
地区重点方針と
重点方針とされている
方針とされているがん予防についての話を
されているがん予防についての話を
します。その中でも今回は、胃がん検診に
します。その中でも今回は、胃がん検診にふれたい
胃がん検診にふれたいと思います。
ふれたいと思います。
ご存じのように、今やがん
今やがんは
人に1人が罹患し、3
ご存じのように、
今やがん
は2人に1人が罹患し、
3人に1人が死亡するとい
った国民病です。最新の統計
最新の統計によ
によりますと、
りますと、人口
人口10
10万人あたりの死因順位別の
った国民病です。
最新の統計
によ
りますと、
人口
10
万人あたりの死因順位別の
第1位が悪性新生物(がん)でおよそ35
位が悪性新生物(がん)でおよそ35万
35万7000人、第
7000人、第2
人、第2位が、心疾患でおよそ19
位が、心疾患でおよそ19
5000人、第
人、第3
位が肺炎、第4
位が脳血管疾患となっています。
ます。2014
2014年のがん死
万5000
人、第
3位が肺炎、第
4位が脳血管疾患となってい
ます。
2014
年のがん死
亡率は、男性は、1
亡率は、男性は、1位肺がん
位肺がん、
がん、2位胃がん
位胃がん、
がん、3位大腸がん
位大腸がん。
がん。女性は1
女性は1位大腸がん
位大腸がん、
がん、2
位肺がん
がん、
位胃がん
がん。
男女計では1
位肺がん
がん、
位大腸がん
がん、
位胃がんの順
がんの順で
位肺
がん
、3位胃
がん
。男女計では
1位肺
がん
、2位大腸
がん
、3位胃
がんの順
で
した。実際には、
実際には、胃がんによる死亡数は男性が
胃がんによる死亡数は男性が3
3000人、女性が
人、女性が1
7000人あ
した。
実際には、
胃がんによる死亡数は男性が
3万3000
人、女性が
1万7000
人あ
り、年々低下傾向にはあるものの5
り、年々低下傾向にはあるものの5万人前後の方が亡くなられています。
万人前後の方が亡くなられています。
がん検診は、大きく2
つに分かれています。1つは、対策型検診
対策型検診で
がん検診は、大きく
2つに分かれています。1つは、
対策型検診
で国が公共的
な予防対策として行う検診のことで、
予防対策として行う検診のことで、住
診のことで、住民検診や職域検診などがあり、
民検診や職域検診などがあり、集団の
職域検診などがあり、集団の
亡率を下げることを目的としています。比較的安価な自己負担額で受診する
死亡率を下げることを目的としています。
比較的安価な自己負担額で受診する
ことができます。これに対して、もう
もう1
つの任意型検診は、検診を
任意型検診は、検診を受けた個人に
ことができます。これに対して、
もう
1つの
任意型検診は、検診を
受けた個人に
がんの可能性があるかどうかを確認することを目的とした検診です。いわゆる
人間ドックなどのことですが、
すが、自己負担額は対策型検診よりも高価です。
人間ドックなどのことで
すが、
自己負担額は対策型検診よりも高価です。
さて、2012
2012年
「5
さて、
2012
年6月に策定された「がん対策推進基本計画」では、
「
5年以内に受
診率50
診率50%(胃、肺、大腸は当面
50%(胃、肺、大腸は当面40
%(胃、肺、大腸は当面40%)
40%)」が掲げられ、受診率の算定には40
」が掲げられ、受診率の算定には40~
40~69歳
69歳
までを対象とすることになりました。ところが、
ところが、実際の
実際のがん検診の受診率は遠
までを対象とすることになりました。
ところが、
実際の
がん検診の受診率は遠
く及ばず、宇部市の
及ばず、宇部市の2015
宇部市の2015年の
2015年のがん検診の
年のがん検診の受診率は、胃がんが
がん検診の受診率は、胃がんが12.9
受診率は、胃がんが12.9%、肺がんが
12.9%、肺がんが
22.2%、大腸
%、大腸がん
がん19.3
19.3%
といった状況です。ちなみに胃がんの全国平均受診
22.2
%、大腸
がん
19.3
% とい
った状況です。ちなみに胃がんの全国平均受診
率は39.6
39.6%で
%で、
山口県の平均受診率は36.4
36.4%
、山陽小野田市は19
19%でした。
率は
39.6
%で
、山口県の平均受診率は
36.4
%、山陽小野田市は
19
%でした。
胃がんは
胃がんは、50 歳代から増加し、高齢になるほど罹患率が
歳代から増加し、高齢になるほど罹患率が高くなっています。
罹患率が高くなっています。
胃がんの発症者数は多いものの、以前に比べると死亡率は減少傾向にあります。
その理由として①X
その理由として①X 線検査や内視鏡検査の診断技術、根治を目指す手術が大きな
根治を目指す手術が大きな
進化を遂げたこと、
②胃がんの主原因のピロリ菌の除菌治療が
進化を遂げたこと
、②胃がんの主原因の
ピロリ菌の除菌治療が 2013 年から保険
万人が除菌治療を受けていること
いること、
適用となり、推定で年間 150 万人が除菌治療を受けて
いること
、③ピロリ菌の
感染割合は高齢者ほど高く若い人ほど低くなっていること
感染割合は高齢者ほど高く若い人ほど低くなっていることなど
若い人ほど低くなっていることなどの点から
などの点から今後の
の点から今後の
胃がん罹患率は低下していくと予測されています。
ここで胃がんの主原因の「ピロリ菌」
「ピロリ菌」について説明します。この菌は、
について説明します。この菌は、らせ
ここで胃がんの主原因の
「ピロリ菌」
について説明します。この菌は、
らせ
ん型のグラム陰性菌で、
ん型のグラム陰性菌で、1983
菌で、1983 年にオーストラリアのロイヤル・パース病院の
ロビン・ウォレンとバリー・マーシャルにより発見されました。2005
ロビン・ウォレンとバリー・マーシャルにより発見されました。
2005 年には、
この功績によっ
この功績によって、
功績によって、2
て、2 名はノーベル生理学・医学賞を授与
名はノーベル生理学・医学賞を授与されました。
授与されました。
さて、胃がん
さて、胃がんの症状に関しまして、早期の段階では、
胃がんの症状に関しまして、早期の段階では、ほとんど
の症状に関しまして、早期の段階では、ほとんど自覚症状は
ほとんど自覚症状はあ
自覚症状はあ
りません。
りません。胃
せん。胃がんが進行してくると、食欲不振、体重減少、貧血などの症状が
がんが進行してくると、食欲不振、体重減少、貧血などの症状が
現れます。診断としまして、
診断としまして、治療技術
治療技術が進歩した現在、がんが胃の内側の粘膜
現れます。
診断としまして、
治療技術
が進歩した現在、がんが胃の内側の粘膜
下層までに留まっている、いわゆる「早期胃がん」で発見できれば、治癒率は
下層までに留まっている、
いわゆる「早期胃がん」で発見できれば、治癒率は
90%を超えるようになりました。
90%を超えるようになりました。胃の粘膜に発生したがんが粘膜下層に進行する
までは、おおよそ 2~3 年かかるとされています。したがって、40 歳以上の方は、
市町村が実施している「胃がん検診」を受診して、がんの早期発見・治療に努
めることが大切です。
です。胃がん検診の受診率が伸び悩む原因の一つとして、
胃がん検診の受診率が伸び悩む原因の一つとして、バリ
めることが大切
です。
胃がん検診の受診率が伸び悩む原因の一つとして、
バリ
ウムを飲むのが嫌いという
を飲むのが嫌いという人が多いことも挙げられています。しかし、厚労省
ウム
を飲むのが嫌いという
人が多いことも挙げられています。しかし、厚労省
は市町村が実施する「胃がん検診の指針」を改定し、
は市町村が実施する「胃がん検診の指針」を改定し、2016
町村が実施する「胃がん検診の指針」を改定し、2016 年 4 月からは胃部 X
線検査(胃透視)
(胃透視)だけでなく、胃内視鏡検査(胃カメラ)も選択できるように
線検査
(胃透視)
だけでなく、胃内視鏡検査(胃カメラ)も選択できるように
なりました。胃部 X 線検査は 40 歳以上で年 1 回の受診となっていますが、内視
鏡検査は 50 歳以上で 2 年に 1 回の受診となります。内視鏡を使用した検診は精
度が高く、宇部市では県内に先駆けて
宇部市では県内に先駆けて平成
年より内視鏡検診を開始していま
度が高く、
宇部市では県内に先駆けて
平成 19 年より
内視鏡検診を開始していま
す。
胃がん検診の検査方法には、
には、胃部
胃がん検診の検査方法
には、
胃部 X 線検査(胃透視)と
線検査(胃透視)と胃内視鏡検査(胃カ
メラ)がありますが、最近話題となっている
メラ)
がありますが、最近話題となっている ABC 検診についても説明します。
検診についても説明します。
まず、胃部
まず、胃部 X 線検査(胃透視)は、発泡剤を飲んで胃を膨らませます。体位を
線検査(胃透視)は、発泡剤を飲んで胃を膨らませます。体位を
変えることでバリウムの量と空気の量を微妙に変える「二重造影法」という診
変えることでバリウムの量と空気の量を微妙に変える「二重造影法」
という診
断を行いますが、この二重造影法は、日本で独自に開発された診
断を行いますが、この二重造影法は、日本で独自に開発された診断法で、
この二重造影法は、日本で独自に開発された診断法で、千葉
断法で、千葉
医科大学の白壁彦夫先生や市川平三郎先生が開発しました。安全性の高い検査
医科大学の白壁彦夫先生や市川平三郎先生が開発しました。
安全性の高い検査
ですが、異常が発見された場合は胃内視鏡検査で再確認・生検を行う必要があ
ですが、
異常が発見された場合は胃内視鏡検査で再確認・生検を行う必要があ
ります。
次に、胃内視鏡検査(胃カメラ)
胃内視鏡検査(胃カメラ)につきまして、この
につきまして、この胃内視鏡検査を
胃内視鏡検査を日本で
日本で最
次に、
胃内視鏡検査(胃カメラ)
につきまして、この
胃内視鏡検査を
日本で
最
初に行ったのは、
初に行ったのは、東京大学第 3 内科の竹本先生
内科の竹本先生で、
先生で、近藤・常岡両教授の下で
近藤・常岡両教授の下で 1962
月に実施したと
実施したとされています。
されています。先端部にライトと
年 6 月に
実施したと
されています。
先端部にライトと CCD が取り付けられた内
視鏡を口から胃の中へ入れて、胃の内部を直接観察する検査です。近年は鼻か
ら内視鏡を挿入する「経鼻内視鏡」も普及しています。口から挿入する内視鏡
ら内視鏡を挿入する「経鼻内視鏡」も普及しています。口から挿入する内視鏡
と違って舌を圧迫しないので、楽に検査を受ける
楽に検査を受けることができ
ことができます。
ます。内視鏡検診
と違って舌を圧迫しないので、
楽に検査を受ける
ことができ
ます。
内視鏡検診
を行う施設は増えていますが、内視鏡
内視鏡の技術の
の技術の差がかなり大きいため、消化器
を行う施設は増えていますが、
内視鏡
の技術の
差がかなり大きいため、消化器
内視鏡学会専門医の在籍している医療機関
内視鏡学会専門医の在籍している医療機関(インターネットで検索できます)
在籍している医療機関(インターネットで検索できます)
をお勧めします。
最後に、ABC
最後に、ABC 検診につきまして説明致します。
検診につきまして説明致します。最近では、
につきまして説明致します。最近では、血液検査と内視鏡検
最近では、血液検査と内視鏡検
査を組わせた「胃がんリスク検診」が注目されています。
査を組わせた「胃がんリスク検診」が注目されています
。この ABC 検診とは、
川崎医科大学の井上和彦氏らの提唱している胃がん高危険群の集約による検診
法です。実際、
法です。実際、宇部興産
実際、宇部興産中央病院
宇部興産中央病院の検診
中央病院の検診で
の検診でも使用されており、ピロリ菌の感染
使用されており、ピロリ菌の感染
の有無を調べる「ピロリ菌抗体検査」と胃粘膜の萎縮度を調べる「ペプシノー
の有無を調べる「ピロリ菌抗体検査」と胃粘膜の萎縮度を調べる「ペプシノ
ー
つの血液検査を併用し、
液検査を併用し、必要な人だけが定期的に内視鏡検
ゲン検査」という 2 つの血
液検査を併用し、
必要な人だけが定期的に内視鏡検
査を受けるといった胃がんリスク検診のことです。ピロリ菌の感染がなく、胃
査を受けるといった胃がんリスク検診のことです。ピロリ菌の感染がなく、胃
群、ピロリ菌の感染があり
ピロリ菌の感染があり、胃粘膜の萎縮が
、胃粘膜の萎縮が見
粘膜の萎縮も見られない人を A 群、
ピロリ菌の感染があり
、胃粘膜の萎縮が
見
られない人を
られない人を B 群、ピロリ菌の感染があり、胃粘膜の萎縮のある人を C 群、ピ
ロリ菌の感染がなく、胃粘膜の萎縮のある人を D 群とした場合、A
群とした場合、A→B→C→D 群
の順に胃がん発生リスクが高まることを
に胃がん発生リスクが高まることを明らかにしました。血液検査だけです
の順
に胃がん発生リスクが高まることを
明らかにしました。血液検査だけです
むので、心身の負担が少ないうえ、検査コストが低く抑えられるのもメリット
むので、心身の負担が少ないうえ、検査コストが低く抑えられるのもメリット
です。
田原年度を機会に、是非会員の皆様も胃の検診を受けられることをお勧めし
ます。本日は、胃がん検診についてお話をしました。
ます。
本日は、胃がん検診についてお話をしました。