2016年7月19日)(PDF:2339KB)

習志野市教育委員会
学校 教育だより
平成 28 年 7 月 19 日発行
№74
http://www.city.narashino.chiba.jp/kyouiku/index.html
習志野市鷺沼 2-1-10
電話 047-451-1132
大型絵本を 6 年生が読み聞かせ。
1 年生の真剣なまなざしが印象的です。
「読書好きな子どもは学力が高い」と言われ
ます。学力と読書には高い相関関係があります。
本号では、習志野市の子ども達の学力と読書と
の分析に加え、読書好きな子ども達を育てるため
に市として、学校としてどのような実践を行って
いるのかということを紹介します。
藤崎小学校は、学校図書館での本の貸出数が多い学校の一つです。委員会活動を
はじめ、子ども達を本に親しませるために次に紹介するような実践を行っています。
<読書に親しむ子どもを育てるための藤崎小学校の実践>
○委員会活動
①集会での本の紹介や図書室利用のルールを伝える。
②月別生活目標について、ブックラリーなどを行う。
○異学年交流(朝の読み聞かせ)
朝読書の時間を活用して、6 年生が 1 年生に大型絵本や紙芝居の読み聞かせ
をする。
○家庭学習(音読)
教科書教材、言葉遊び、詩、俳句、短歌など、学年に合った課題を毎日家族
に聞いてもらう。
調べ学習も図書室で
◇本好きの子どもを育てる
…
1
◇小中連携の学びスタイルで学力向上!
…
4,5
◇読書好きは正答率が高い!
…
2
◇ふるさとを安心・安全な街に キラット・ジュニア防犯隊
…
5
◇学力向上にもつながる読書好きを育てる
…
3
◇習志野高校、夢を支える基礎づくり
…
6
タイトル横の「ナラシド♪」は、袖ケ浦東小学校
-1-
技労士
矢代美香子さんの手作り作品です。
習志野市の児童生徒の「読書は好きですか」の回答と「国語A」
「国語B」との正答率の関係 (H27 年度調査より)
■当てはまる
■どちらかといえば当てはまらない
■どちらかといえば当てはまる
■当てはまらない
~全国学力・学習状況調査の結果より~
上のグラフから、読書が好きな児童生徒の方が、正答率が高いことがわかります。小学校における「国語
B」の結果を見ると、
「当てはまる」と回答する子どもと「当てはまらない」と回答する子どもとの差が 20
ポイントも開いています。中学校になれば、語彙も生活経験も増え、活用問題における差はここまで大きく
はありません。千葉県教育委員会ホームページによると、他教科(算数・数学、理科)についても同様の結
果が見られるとのことです。
本を読むことで得られるのは知識だけではありません。根気よく文字を追う力、文字から想像を豊か
にふくらませる力、そしてさまざまなカテゴリーの語彙を獲得する力などです。これがインターネッ
トでの情報との一番の違いです。一見、学力とは関係がないようですが、海面に見える大きな氷山を水面下
で支えるもっと大きな氷塊のように、学力を支える土台となる力を読書で培えるのではないでしょうか。
外部との連携、外部への発信を!
新みんなで取り組む「教育立県ちば」プランの施策とし
て、読書県「ちば」の推進が挙げられています。その中の
ひとつ、「優良・優秀学校図書館認定事業の推進」につい
て紹介します。
学校は、年に一度、県独自の「学校図書館自己評価表」
に基づいた評価を行い、自己点検を行います。習志野市で
は、23 校全てが優良認定を受けています。優秀図書館の認
定を受けている学校図書館は、習志野市では、小学校 2 校
(大久保小学校・谷津南小学校)
、中学校 3 校(第一中学
校・第五中学校・第七中学校)の計 5 校です。
「優秀図書館」の認定を受けている第七中学校では、蔵
書点検を学校支援ボランティアの方々にお手伝いいただ
き、地域との連携を図っています。また、図書委員会が「図
書だより」を発行し、貸出数や図書委員会活動などの図書
館情報や推薦本についての発信をしています。
学校図書館のより一層の活性化を図るためには、こうし
た積極的な発信が重要なカギを握っています。教育委員会
では、今後、学校図書主任会議や学校司書研修を通して、
情報交換や研修に努めていきます。
-2-
図書委員による選定
(冊)
学校図書館の本の標準充足率は 100%を達成してお
り子ども達を取り巻く物的環境は、とても恵まれてい
ます。
一方で、平成 27 年度 1・2 学期の習志野市小中学校で
の、一人あたりの年間貸出冊数は、小学校で平均 9.7
冊、中学校では 2.5 冊です。平成 26 年度と比べると微
増です。
「本は友だち。一生の友だち。子ども時代に友
( )
だちになる本。そして大人になって友だちになる本。
本の友だちは一生その人とともにある。こうして生涯
一人あたり冊数 (小)20.8冊 (中)26.6冊
話し合える本と出合えた人は、しあわせである。」
これは、児童文学作家の石
習志野市小中学校 図書数と達成状況
井桃子さんの言葉です。
子ども達ができるだけ多く
基準冊数(冊) 27 年度末保有数(冊) 充足率(%)
の出合いをもてるよう、学校
小学校
164,720
183,828
111.6
図書館のより一層の活用を
中学校
98,240
110,767
112.8
図っていきます。
合計
子ども達をひきつけながら図書を紹介
262,960
294,595
112.0
「カブトムシのひみつをもっと知りたくなった。」
「ムシの体重なんて考えたこともなかったからおもしろい。」
昆虫に関する図書の紹介をすると、子ども達の歓声があがりました。
これは、6 月 22 日(水)に、大久保小学校で行われた学校司書研修
の一場面。
「ブックトークをしてほしい」という要望が年々高まってき
ていることに対する学校司書の研修です。4 年生理科「夏の時期の生き
物や植物の成長について」というテーマでの実践でした。自分だけの
選書では見つけられない発見があり、子ども達も、そして 7 名の学校
司書も紹介される本に釘付けの 25 分間でした。
4 年生では、国語「読書発表会をしよう」という単元でブックトーク
を扱います。新たな切り口で選書の幅を広げていくブックトーク。今
後さらにニーズが高まっていく手法です。
大久保図書館 肥留間 美穂
市立図書館では、子ども達が本と出合う機会を増やし、読書に親しんで
もらいたいと考え、市内の小学校各クラスを対象に「朝の読書用図書セッ
ト」の貸出しを行っております。低学年、中学年、高学年向けに、内容の
異なる各 5 セットがあり、1セットは 40 冊、貸出期間は 30 日間です。興
味も読書量もさまざまな子どもたちに対応できるよう、1つのセットの中
に絵本や物語、ノンフィクションなど幅広いジャンルの作品を収めました。
各小学校への貸出し、返却の運搬は大久保図書館が行います。
図書館のホームページで、セットの内容や、予約の状況を確認できます。
学校での読書活動に御活用ください。
【習志野市ホームページ→図書館→
「朝の読書用図書セット」貸出しの御案内(小学校向け)】
-3-
問合せ:大久保図書館
℡:047-475-3213
4月に行われた研究主任研修では、中学校区ごとに情報交換を行いました。研究主題、教科も異なるなか
での情報交換でしたが、若年層教員の育成、家庭学習の啓発等、共通の話題を掲げて活発な情報交換が行わ
れました。今回は、自校の取組を学区の小学校にも発信し、子ども達の学びの連携を図っている第三中学校
区を紹介します。
第三中学校 数学科
高橋先生の板書
三中学びスタイルとは
第三中学校 研究主任 三橋 直行
「三中学びスタイル」は平成 27 年度研究全体計画の中にある「豊かな学びの基盤」を発展させたもので
す。若年層教員が増え、指導技術の一層の向上が求められています。そこで、全教科全職員で共通して取り
組むことのできるものを実践していく、学習環境を整えること、指導技術として指導する側のめざすものな
どをまとめたものを「三中学びスタイル」として作り出しました。
ひとつひとつは、授業を展開していく上では当たり前のことだと思います。しかしこの「当たり前のこと」
を「当たり前に毎日実践していくこと」も大変なことです。
また、子ども達の理解を深めるための手立てのひとつとして、板書、ノートでの学習課題は青枠、まとめ
は赤枠など学校としての統一感をもつことにより、生徒は本時の目標とまとめを確実に把握することがで
き、後での振り返りや家庭での復習などにも有効であると考えます。また、ユニバーサルデザイン的な見方
からも、学校全体で授業のスタイルがそろっていることは、特別に支援が必要な生徒にもわかりやすい授業
であるといえます。
小中で一貫した指導を
中学校区学びスタイルへ
袖ケ浦東小学校 研究主任 芦川 基樹
本校では、文学教材の読みの交流を通して、豊か
な読解力を育む研究を行っています。互いの考えを
交流し、読みを深めるという点では三中学びスタイ
ルの「話に反応しながら人の話を聞く」ことに該当
します。
「三中学びスタイル」をベースとし、研究を通し
て各小学校の特色を出すことで、中学校でスムーズ
に学習に取り組めるようになるだけでなく、それぞ
れの小学校の学び方のよさを活かして、よりよい学
習へと繋げさせていきたいと考えます。
鷺沼小学校 研究主任 佐藤 巧博
同学区でどのように子どもが育っているのか、情報
交換・共有を行うこと。これは「“中学校区”学びスタ
イル」確立のきっかけだと考えました。
教員個々の力が合わさって学校が成り立ち、地域の
学校が連携を進めていけば、さらに教育的効果は高ま
ります。その意識を私達がもち、自校のスタイルを確
立する、それがいずれは「習志野学びスタイル」とな
り、教員が一丸となって習志野市ならではの教育を進
めていくことが、子ども達のよりよい成長に繋がるの
だと思います。
落ち着いた学習環境を
袖ケ浦西小学校 研究主任 湯浅 誠
日々のノートの取り方や発言の仕方などは、学習に積極的に関わるための条件となります。
今年度、袖西小ではノートの元となる板書の約束事として、学習問題・まとめの枠囲みの色を、各々青・赤
に変更しました。進級・進学の際、このような形式や「学びスタイル」が変わらないのは、子どもの戸惑いを
減らし、よりよい学びにつながります。小学校でも「三中学びスタイル」を意識することで、落ち着いた学習
環境を築けると感じています。
-4-
既習の振り返りに役立つ
●
●
●
●
●
●
きれいな黒板・ゴミのない教室
授業にふさわしい服装
始めと終わりの挨拶
忘れ物をしない・提出物
名前を呼ばれたら返事をする
話に反応しながら人の話を
聞く
● この時間に何を学ぶのか
意識する
● この時間に何を学んだのか
振り返る
各教室に掲示しています
○目標とまとめをはっきりと板書することで、前時との比較がしやす
く、本時に学習すべきことが明確になる。
○授業の導入の際、既習の振り返りがしやすい。
○見開き(または 1 ページ単位)で目標や学習内容が書いてあるため、
家庭学習の際にも、自分がわからない箇所を見つけやすい。
「学びスタイル」で板書するようにしたことで、子ども達のノートの
取り方が変わってきました。授業への構えだけではなく、家庭学習に
も良い影響が出てきています。
第三中学校 教諭 高橋 真之
理解が深まる
○目標があると、その日に取り組む内容がわかりやすい。
○あとで解き直すとき、このときはどんな勉強をしたのか、目標と
まとめを見ればすぐにわかって便利。
○疑問をもった後に解決できてわかりやすい。とても理解しやすい。
第三中学校 生徒の感想
毎時間行う板書。教師が意図的に板書することで、ノートが変わり、家庭学習の方法が変わります。板書が学力向
上の一端を担っていると言ってもよいのかもしれません。
「三中学びスタイル」が、「三中学区学びスタイル」へ。学区で学習規律を統一することにより、義務教育 9 年間を通
しての子ども達の学びがより質の高いものになっていきます。
子ども達のよりよい学びのため、「チーム学校」だけでなく、「チーム学区」の発想も大切なのではないでしょうか。
ふるさと習志野を自分達の手で安心・安全な街にし
ていこう!と取り組み始めて 12 年目になります。
今年も 233 名の隊員が誕生し、小学生、中学生の代
表が自信に満ちた立派な態度で抱負を発表しました。
みんなが安心できる習志野に!!
3つのスローガン
①犯罪の被害者に「ならない」
②犯罪の加害者に「ならない」
③犯罪を他の人に「させない」
抱負
小学生代表
津田沼小学校 中山結里さん
今、私達の街は、一歩外に出るだけでも危険が
潜んでいます。そのため、遊び方・過ごし方が制
限されるようになってしまいました。
子ども達が自分の街を歩くのに警戒し、生まれ
育った地域を信頼できないのはとても悲しいで
す。子どもの住む街は、いつ・どんな時でも安心
できる場所でないといけないと思います。
私は犯罪のない街にするために、少しでも貢献
したくて、キラット・ジュニア防犯隊に参加する
ことを決めました。
これから、自分の手で自分の町をどんどんすて
きにしていきたいです。みんなが笑顔でほっとで
きる、心の故郷にしていきたいです。
「犯罪をなくし、市民全体が大好きで大切な、
自慢のできる習志野」にしたいです。
抱負
中学生代表
第四中学校
森田菜々さん
私がこの「キラット・ジュニア防犯隊」に参加するよ
うになったのは、小学校 5 年生の時です。初めはとても
不安でしたが毎年の活動を通して他校の人と話す機会も
増え、地域の人からも「ありがとう」とお礼を言われ、
「あ
あ、やっててよかったな」という達成感が増えていきま
した。今年も多くの隊員が集まったと聞き、その隊員た
ちと活動できることを楽しみにしています。
私は、隊員になって、今年で 5 年目を迎えました。過
去の4年間の活動を振り返ると。
「防犯マップ作成」や「自
転車防犯診断」など地域の皆さんと数々の活動ができま
した。その中でも最も印象に残っていることは、一昨年、
誕生から 10 年目の私たちの活動が評価され千葉県から表
彰されたことです。今年で 12 年目になる活動も、3 つの
スローガンの名のもとに、習志野市から犯罪を少しでも
減らせるよう、頑張りたいと思います。
-5-
習志野高校に訪問団、来る!-タスカルーサ青少年訪問団―
初めての書道
ウェルカム演奏♪
習志野高校 国際交流委員会
6 月 21 日(火)習志野市の姉妹都市である、アラバマ州タスカルーサ市
から青少年訪問団が来校しました。個性豊かな生徒たちを迎えるため、
習志野高校は、歓迎会と授業・部活動での交流会を企画しました。
歓迎会では、吹奏楽部のウェルカム演奏に始まり、一緒にダンスを踊
ったり、プレゼント交換を行ったり、楽しいひとときを提供できました。訪問
団の生徒の中には、演奏を聴いて感激のあまり涙する生徒も見受けられ
ました。
また、休憩場所のセミナーハウスでは、畳の大部屋に大興奮。さらに、
書道や英語、理科、体育の授業に参加。そして放課後は、柔道・剣道・弓
道などの部活動の練習を見学しました。予定の時刻を過ぎても集合場所
に戻ってこないほど、習志野高校を満喫して帰っていきました。
7 月 21 日から 8 月 3 日まで、今度は習志野市からタスカルーサ市に本
校生徒を含む訪問団が派遣される予定です。
◆夢を支える基礎づくり
<知を育てる>
「個別指導で学力向上へ!」
実籾小学校 教務主任 中山 久美子
子ども達の学力を向上させたい」というのは、私達の大きな願いです。それは、確
知を育てる
かな学力は、未来を生き抜く子どもたちの夢を支える力になると考えるからです。 本校
では昨年度より、朝の「読書タイム」と昼の「ドリルタイム」を毎日の日課の中に位置
づけました。そして今年度は「放課後教室」を新設しました。曜日ごとに学年を決め、
放課後に 40 分ほど、個別指導が必要な子ども達が、担任の先生が選んだ課題に
取り組みます。指導は担任および担任外の教員が担当しています。少人数での学
習なので、一対一の対応ができ、問題ができるとすぐに丸を付けます。子ども達も
すぐに丸がもらえるので、意欲的に取り組んでいます。今後も続けて、一人ひとりの
放課後教室
学力向上と学校全体の学力向上に向けて努力していきます。
学力向上(実籾小)
「言葉のもつ力
~道徳の授業から~」
<心を育てる>
屋敷小学校 教諭 仲澤 葉子
入学して 2 ヶ月が過ぎ、小学校生活に慣れてきた1年生。子ども達は多くの友
達と仲良くなった反面、様々な場面で言葉によるトラブルも生じています。そこ
で、「授業参観」を保護者と学校とで、ともに再確認できる絶好の機会ととらえ、道
徳学習において「ふわふわ言葉・ちくちく言葉」の学習を学年一斉に行いました。
学習中、子ども達は「人を喜ばす言葉や優しい気持ちにする言葉」をたくさん発
表し、最後は子ども達自身から「ふわふわ言葉を使っていきたい。」という意見が
出てきました。当日は、学校評議員の方々の参観もあり、「低学年の時期に『優し
ふわふわ言葉・ちくちく言葉
い言葉の素晴らしさや人を傷つける言葉の危険性』について学習することは、子
ども達にとって大切な経験である。」という御意見をいただきました。今後とも日常生活の中で「言葉のもつ力」を折
に触れて子ども達と確認し合い、道徳的実践力を養っていきたいと思います
編集後記 低学年の子ども達は、「読んでもらった本を読む」ことが大好きです。安心して読むことができるからな
のだと思います。その段階を越えると、自分から選書します。選書の際、アドバイスしてくれる人がいると、読書の幅
が広がります。担任や学校司書がその役割を担うことになるのです。子どもとのコミュニケーションを基盤にアドバイ
スできる「読書好き」の大人になり、多くの「読書好き」の子どもを育てていきましょう。
-6-