急性期から回復期にかけての 大腿骨頸部骨折術後の高頻度集中リハビリテーションの効果 社会医療法人財団慈泉会 相澤病院 回復期リハセンター 西村 直樹 運動器疾患リハ部門 小林 勇矢 リハセラピスト部門 大塚 功 グローバルヘルスコンサルティング 井口 隼人 【目的】 2025 年問題に備え医療・介護サービス全体の機能再編が進んでいる.リハ医療においても急性期・回復期・生活 期の機能分化がさらに加速していくものと思われる.回復期病棟に求められる役割は,いままで以上に前方・後 方連携を強化し,急性期治療後の患者を早期に受け入れ,効果的・効率的なリハビリテーションを展開し,地域 社会へ繋げていくことである.本研究の目的は,急性期から回復期にかけての大腿骨頸部骨折術後の治療成績を 当院と他病院で比較し,当院の治療介入の有効性を明らかにすることである. 【方法】 2014 年 4 月~2015 年 3 月までのグローバルヘルスコンサルティング社が所有するデータから,急性期病院に付 随した回復期病棟を有する 32 病院 134 症例(DPC コード 160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 K0811 人工骨頭挿 入術)を対象とした.当院 31 症例と他病院 103 症例の 2 群間について,ベースライン(年齢・入院時 BI・CCI・ 認知症高齢者の日常生活自立度判定) ,プロセス(リハ実施単位数・リハ日数・リハ開始日・リハ実施率・総単 位数) ,アウトカム(BI 利得・BI 利得/日・在院日数・退院時 BI・自宅復帰率・医療費)を比較した. 【結果】 当院は,急性期からリハ実施単位数は多く,リハ実施率も高かった.そして急性期病棟の在院日数は短く,早期 に回復期病棟へ転棟させていた.回復期病棟でもリハ実施単位数は多く,在院日数は短かった.全体としてみて も,在院日数は短いが,BI 利得,BI 利得/日,退院時 BI,自宅復帰率は他病院より高かった.また,医療費につ いても低く抑えることができていた. 【考察】 当院が実践する「急性期から回復期にかけての高頻度集中リハ」は,効果的で効率的な ADL 改善に寄与し,高い 自宅復帰率に繋がっていることから,有効な治療介入であるといえる.
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