練習問題 1. 次の不定一次方程式の全ての解を求めよ。解がないときは「解なし」とすること。 (1) 91x − 312y = 39, (2) 551x − 58y = 152, (3) 319x + 203y = 87, (4) 289x + 391y = 85 (5) 222x − 407y = 74, (6) 367x + 407y = 2 (7) 351x − 539y = 4, (8) 364x − 378y = 52 解: 例として、(1)、(6)、(8) の解法を載せておく。 (1) まず (91, −312) を求める。ユークリッドの互除法より、 91 = 312 × 0 + 91 312 = 91 × 3 + 39 91 = 39 × 2 + 13 39 = 13 × 3 よって、(91, −312) = 13。これは 39 の倍数なので、問題の方程式は解をもつ。上の式より、 13 = 91 − 39 × 2 = 91 − (312 − 91 × 3) × 2 = 91 × 7 − 312 × 2 よって、91z − 312w = 13 の解の一つとして、z = 7、w = 2 がとれるから、問題の方程式 91x − 312y = 39 の解全体は x= 39 −312 ×7+ k = 21 − 24k, 13 13 y= 39 91 × 2 − k = 6 − 7k, 13 13 (k : 整数) となる。 (6) まず、(367, 407) を求める。ユークリッドの互除法より、 367 = 407 × 0 + 367 407 = 367 × 1 + 40 367 = 40 × 9 + 7 40 = 7 × 5 + 5 7=5×1+2 5=2×2+1 2=1×2 なので、(367, 407) = 1。これは、2 の倍数なので、問題の方程式は解を持つ。上の式より、 1 = 5 − 2 × 2 = 5 − (7 − 5 × 1) × 2 = 5 × 3 − 7 × 2 = (40 − 7 × 5) × 3 − 7 × 2 = 40 × 3 − 7 × 17 = 40 × 3 − (367 − 40 × 9) × 17 = 40 × 156 − 367 × 17 = (407 − 367 × 1) × 156 − 367 × 17 = 367 × (−173) + 407 × 156 よって、367z + 407w = 1 の解のひとつとして、z = −173、w = 156 がとれるから、問題の方程式 367x + 407y = 2 の 解全体は、 ( ) ( ) 407 2 × (−173) + k = −346 + 407k, x= 1 1 ( ) ( ) 2 367 y= × 156 − k = 312 − 367k, 1 1 1 (k : 整数) となる。 (8) まず、(364, −378) を求める。ユークリッドの互除法を用いると、 364 = 378 × 0 + 364 378 = 364 × 1 + 14 364 = 14 × 26 よって、(364, −378) = (364, 378) = 14。52 は 14 の倍数ではないので、この方程式は解を持たない。 他の問題も同様に解ける。解答は、 (2) 解なし. { (4) { (7) { (3) x = 6 + 7k, y = −9 − 11k (k : 整数), { x = −20 + 23k, y = 15 − 17k (k : 整数), x = 172 − 539k y = 112 − 351k (k : 整数), (5) x = 4 − 11k, y = 2 − 6k (k : 整数), となる。 2. (1) 110 円の缶コーヒーと 130 円のペットボトルの代金の合計が 2100 円になった。それぞれ何本ずつ買ったか。 (2) ある日の自宅と携帯の電話料金の合計が 290 円だった。1 分あたり 9 円の自宅の電話と、1 分あたり 19 円の 携帯電話をそれぞれ何分ずつ使用したか。 (1) 不定1次方程式 110x + 130y = 2100 ⇐⇒ 11x + 13y = 210 の解の全体は、 x = 1260 + 13k, y = −1050 − 11k (k : 整数) となる。このとき、x ≥ 0 より、 1260 + 13k ≥ 0 k≥− =⇒ 1260 = −96.9 · · · 13 y ≥ 0 より、 1050 = −95.4 · · · 11 よって、x、y ともに正になるためには、k = −96 とすればよい。このとき x = 12、y = 6 なので、缶コーヒー 12 本、 ペットボトル 6 本。 −1050 − 11k ≥ 0 k≤− =⇒ (2) (1) と同様に考えると、自宅 9 分で携帯 11 分。 3. (1) 10999 を 11 で割った余りを求めよ。 (2) 1001 = 7 × 11 × 13 であることを用いて、1050 を 13 で割った余りを求めよ。 2 (1) 10 ≡ −1 (mod 11) だから、 10999 ≡ (−1)999 = −1 ≡ 10 (mod 10) となる。よって、10999 を 11 で割った余りは 10。 (2) 1050 = 103×16+2 ≡ (−1)16 · 102 100 ≡ 9 (mod 13) となる。よって、1050 を 13 で割った余りは 9。 4. 次の一次合同式の解の全体と、n を法としたときの個数を求めよ。解がない場合もある。 (1) 57x ≡ 21 (mod 33) (3) 23x ≡ 1 (mod 17) (2) 153x ≡ 54 (mod 68) (4) 144x ≡ 99 (mod 81) 例として、(1)、(2) を解く。 (1) 1次不定方程式 57x + 33y = 21 の解 x の全体を求めればよい。ユークリッドの互除法を用いると、 57 = 33 × 1 + 24 33 = 24 × 1 + 9 24 = 9 × 2 + 6 9=6×1+3 6=3×2 より、gcd(57, 33) = 3 なので、この一次合同式は解をもつ。 3 = 9−6×1 = 9−(24−9×2) = 9×3−24 = (33−24)×3−24 = 33×3−24×4 = 33×3−(57−33)×4 = 57×(−4)+33×7 よって、57w ≡ 3 (mod 33) の解の1つとして w = −4 がとれるから、解の全体は、 x= 21 33 × (−4) + k = −28 + 11k 3 3 (k ∈ Z) で、解は 33 を法として 3 個ある。 (2) 1次不定方程式 153x + 68y = 54 の解 x の全体を求めればよい。ユークリッドの互除法を用いると、 153 = 68 × 2 + 17 68 = 17 × 4 より、gcd(153, 68) = 17 だが、54 は 17 の倍数ではないので、解は存在しない。 他の問題も同様に解ける。答えは、 3 (3) x = 3 + 17k (k は整数)で、17 を法とした解は一意。 (4) x = 44 + 9k で、81 を法とした解の個数は 9 個。 となる。 5. 次の連立一次合同式の解とその個数を求めよ。ただし、解は、法とした数で最小となる正の数を答えること。 { x ≡ 1 (mod 3) x ≡ 3 (mod 5) (1) (2) x ≡ 3 (mod 4) x ≡ 5 (mod 6) x ≡ 4 (mod 7) (3) x ≡ 3 (mod 5) x ≡ 2 (mod 7) x ≡ 7 (mod 9) x ≡ 3 (mod 7) x ≡ 2 (mod 11) x ≡ 10 (mod 13) (4) 例として、(1)、(2) の解法を示す。 (1) 5 と 6 は互いに素。合同式 6u1 ≡ 1 (mod 5) 5u2 ≡ 1 (mod 6) u1 = 1, u2 = −1 の解のひとつとして、 が取れるので、 x = 3 × 6 × 1 + 5 × 5 × (−1) = −7 ≡ 23 (mod 30) が 30 を法として、ただひとつの解になる。 (2) 3、4、7 は互いに素である。 28u1 ≡ 1 (mod 3) 21u2 ≡ 1 (mod 4) 12u3 ≡ 1 (mod 7) は、それぞれ、解のひとつとして、 u1 = 1, u2 = 1 u3 = 3 がとれるので、 x = 1 × 28 × 1 + 3 × 21 × 1 + 4 × 12 × 3 = 235 ≡ 67 (mod 84) が 84 を法としたただひとつの解になる。 (3)、(4) も同様に示せる。答えは、 (3) x = 268 が 315 を法としてただひとつの解。 (4) x = 101 が 1001 を法としてただひとつの解。 となる。 6. オイラーの公式を用いて、次のオイラー関数を計算せよ。 (1) φ(48) (2) φ(126) 4 (3) φ(240) (1) 48 = 24 × 3 なので、オイラーの公式より、 ( )( ) 1 1 1 2 φ(48) = 48 1 − 1− = 48 × × = 16 2 3 2 3 である。 (2) 126 = 2 × 32 × 7 なので、オイラーの公式より、 ( )( )( ) 1 1 1 φ(126) = 126 1 − 1− 1− = 36 2 3 7 となる。 (3) 240 = 24 × 3 × 5 なので、オイラーの公式より、 ( )( )( ) 1 1 1 φ(240) = 240 1 − 1− 1− = 64 2 3 5 となる。 7. (1) 55120 を 124 で割り算したときの余りを求めよ。 (2) 3737 を 108 で割り算したときの余りを求めよ。 (3) 49200 を 125 で割り算したときの余りを求めよ。 (4) 100200 を 27 で割り算したときの余りを求めよ。 (1) gcd (55, 124) = 1 なので、オイラーの定理を用いることができる。φ(124) = 50 だから、5560 ≡ 1 gcd (mod 124)。 よって、 55120 = (5560 )2 ≡ 1 (mod 124) よって、55120 を 124 で割った余りは 1。 (2) gcd(37, 108) = 1 より、オイラーの定理を用いることができる。φ(108) = 36 だから、3736 ≡ 1 (mod 108)。これ より、 3737 ≡ 37 (mod 108) よって、3737 を 108 で割った余りは 37 (3) gcd (49, 125) = 1 なので、オイラーの定理を用いることができる。φ(125) = 100 なので、49100 ≡ 1(mod 125) 。こ れより、 49200 = 49100×2 ≡ 1 (mod 125) となる。よって、49200 を 125 で割った余りは 1。 (4) gcd (100, 27) = 1 より、オイラーの定理を用いることができる。φ(27) = 18 だから (100)18 ≡ 1 (mod 27) 。よって、 100 ≡ −8 (mod 27) に注意すると、 100200 = 10018×11+2 = (10018 )11 × 1002 ≡ 1002 ≡ (−8)2 = 64 ≡ 10 となり、100200 を 27 で割ったあまりは 10 になる。 5 (mod 27) 8. オイラーの定理を用いて、次の1次合同式を解け。 (1) 7x ≡ 3 (mod 24) (3) 121x ≡ 1 (mod 25) (2) 11x ≡ 3 (mod 9) (4) 116x ≡ 6 (mod 13) (1) gcd(7, 24) = 1 より解は一意に存在する。φ(24) = 8 、72 = 49 ≡ 1 (mod 24) に注意すると、 x ≡ 7φ(24)−1 × 3 = 77 × 3 = (49)3 × 7 × 3 ≡ 21 (mod 24) よって、解は x = 21 で、これは 24 を法として一意。 (2) (11, 9) = 1 より、解は一意に存在する。φ(9) = 6 、11 ≡ 2 (mod 9) に注意すると、 x ≡ 11φ(9)−1 × 3 = 115 × 3 ≡ 25 × 3 = 96 ≡ 6 (mod 9) よって、x = 6 で、これは 9 を法として一意。 (3) gcd (121, 25) = 1 より、解は一意に存在する。φ(25) = 20 、44 = 256 ≡ 6 (mod 25) に注意すると、 x ≡ 121φ(25)−1 × 1 = 12119 ≡ (−4)19 ≡ 64 × (−4)3 = 6 × (−24)3 ≡ 6 × 13 = 6 (mod 25) 解は x = 6 で、これは 25 を法として一意。 (4) gcd(116, 13) = 1 より、解は一意に存在する。φ(13) = 12、116 ≡ −1 (mod 13) などに注意すると、 x ≡ 116φ(13)−1 × 6 = 11611 × 6 ≡ (−1)11 × 6 = −6 ≡ 7 (mod 13) よって、解は x = 7 で、これは 13 を法として一意。 (5) gcd(139, 17) = 1 より、解は一意に存在し、φ(17) = 16、139 ≡ 3 (mod 17)、34 = 81 = −4 (mod 17) 、448 ≡ 6 (mod 17) などに注意すると、 x ≡ 139φ(17)−1 = 13915 = 315 = (34 )3 × 33 ≡ (−4)3 × (−7) = 64 × 7 = 448 ≡ 6 (mod 17) よって、解は x = 6 で、これは 17 を法として一意。 • オイラーの定理を使った後、どう簡単にするかは、もちろん、一通りではありませんし、ここで解いた方法より簡単に 解ける方法があるかもしれません。 6
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