第9章 管理運営・財務 [1]管理運営 第 9 章 管理運営・財務 [1]管理運営 1.現状の説明 (1)大学の理念・目的の実現に向けて、管理運営方針を明確に定めているか。 ①管理運営方針の策定と大学構成員への周知 本学は、管理運営の方針を次のとおり定め、大学ホームページに公開している【資料 9(1)-13】 【資料 9(1)-14】 。 管理運営方針は、大学の理念・目的および社会的使命の下、 「教学組織と法人組織が密接 に連携し、生命科学の最先端に位置する大学の創造」を基本方針とする。運営を規律する 指針は「選択と集中」 「優先度」 「全体最適」である。 具体的には、4 年ごとに中期施策運営の方針を策定し、達成目標を明確にした事業計画 とその実現に必要な予算を編成し、計画的かつ優先順位を勘案して実行する。中期施策運 営の方針、事業計画、予算および実行後の評価結果については学内外に公開し、関係者を はじめ広く社会に対する周知を通じて公共的な教育学術研究機関としての存在意義を説明 する。運営に関わる諸機関の権能と意思決定の過程は次のとおりである。 教学組織にあっては、学長を議長とする学部長会・大学院委員会が、学則および関係規 程に定める教育・研究の重要事項について協議決定し、基本方針を推進する。所定の事項 は理事会の審議に付す。各学部・研究科に設置される教授会・研究科委員会は、教育・研 究の重要事項について審議決定し、所定の事項は学部長会・大学院委員会へ上程する。全 学および各学部・研究科に設置される専門委員会は、諮問事項および重要事項の調査研究 を行い、その結果を各機関の長へ具申する。 法人組織にあっては、理事長を議長とし法人の最終的な意思決定機関である理事会が、 公共性、安定性、継続性、健全性を配慮した施策運営を行い、基本方針を推進する。常任 理事会は、円滑な法人運営に資するため、関係規程に定める事項について審議決定し、重 要事項について関係機関との調整にあたる。評議員会は、寄附行為所定の審議事項を審議 し、諮問事項について協議する。監事は理事会の業務執行状況および財務状況を日常的に 監査し、意見を述べ必要な建議を行う。 事務組織にあっては、大学および法人の諸活動を円滑に推進するため、法令遵守の下、 最大効果をあげるべく効率的な業務運営にあたる。キャンパス間の円滑な意思疎通に配慮 する。大学の発展を支える専門的な知識・技能、高い業務遂行能力を備えた大学職員を育 成し、研修・評価を通じて資質・能力・意欲の向上に努める。 上記の方針をふまえて、法人組織全体として、大学の理念・目的の実現に向けて、当期 理事会(4 年任期)の施策を立案するとともに、当該施策の毎年度事業計画の重点目標を掲 げ、部門ごとに個別の事業計画を作成している【資料 9(1)-15】 【資料 9(1)-16】 。 ②意思決定プロセスの明確化 本法人の意思決定プロセスは、寄附行為第 13 条第 1 項(理事会) 【資料 9(1)-3】の規定 289 第9章 管理運営・財務 [1]管理運営 に基づき、 「この法人の業務は、理事会で決定し、その責任を負う。」こととしている。最 終的な意思決定機関は、私立学校法第 36 条第 2 項の規定に従い理事会と明示している。 また、寄附行為施行細則第 23 条【資料 9(1)-4】に基づき、理事長の下に理事会に付議す る事項を事前に協議し、調整を図ることなどを業務とする「常任理事会」を置いている。 さらに私立学校法第 41 条の規定に従い、法人に評議員会を置き、事業計画、予算、役員 の解任などについては、 「評議員会」の議決事項としている。 一方、大学全般にわたる学事に関する事項を協議するため学部長会【資料 9(1)-11】、大 学院委員会【資料 9(1)-12】を置いている。また、学長の下に全学的な教学事項を協議する 機関として、北里大学の学部・大学院を横断した全学的な教学マネジメント組織としての 機能を備えた「学長・副学長会議」【資料 9(1)-10】を置いている。 教授会・研究科委員会【資料 9(1)-8】 【資料 9(1)-9】は、教育研究の重要事項に関し、 当該学部・研究科の各種委員会に検討を付託し、委員会の検討結果を受けて重要事項を審 議する。審議承認された事項は、業務処理基準に沿って、学部長会・大学院委員会に提案 される。 学部長会・大学院委員会は、教授会・研究科委員会から提案のあった重要事項について、 さらに十分な協議を要する案件は、当該教授会を始め全学の専門委員会へ照会される。 学部長会・大学院委員会において協議承認された教育研究の重要事項は、理事会の審議 に付され、決定される。これは、上述したとおり、北里研究所寄附行為第 13 条「この法人 の業務は、理事会で決定し、その責任を負う」との規定に基づくものである。 ③教学組織と法人組織の権限と責任の明確化 本法人は、寄附行為施行細則第 7 条(理事長の選任方法)第 3 項に「理事長の選任にあ たり、第 1 号理事(学長)予定者は候補者としない。」と明記し、理事長と学長の別人格化 を規定している。両者の権限については「業務基準・権限基準に関する規程」 【資料 9(1)-17】 において明確化されている。また、ともに 4 年としている理事長と学長の任期を 2 年ずら すことで、法人および教育の継続的・安定的運営を担保している。 2015(平成 27)年 4 月 1 日施行の「学校教育法および国立大学法人法の一部を改正する 法律」によって、大学の組織および運営体制を整備するため、副学長の職務内容を改める とともに、教授会の役割が明確化された。本学においても、学長のリーダーシップのもと で戦略的に大学を運営できるガバナンス体制を構築することを目的に、学校教育法の改正 趣旨に沿って改正された大学学則【資料 9(1)-5】および大学院学則【資料 9(1)-6】 、なら びに各学部等教授会規程により、校務に関する最終的な責任と最終決定権が学長にあるこ と、副学長の職務の見直し、教授会を審議機関として位置付けるなど教授会の役割の明確 化を行った。 また、学長を常任理事会の構成員とすることで、法人運営と教学事業の連携を保ちなが ら、大学に課せられた社会的責任を果たすこととした。 ④管理運営の検証プロセス 本法人においては、寄附行為第 17 条(監事)に基づき、3 名の監事(うち 1 名以上は常 任監事)を置いている。同第 19 条(監事の職務)には、法人業務の監査、法人の財産状況 290 第9章 管理運営・財務 [1]管理運営 の監査などの監事の職務が規定され、監事監査基準【資料 9(1)-19】によって、監事が行う 監査に関し必要な事項が定められている。 監事は、必要に応じて理事会、評議員会、その他重要な会議に出席し意見を述べること ができるため、評議員会、理事会に臨席するほか、毎週開催される常任理事会に臨席し、 理事の業務執行状況や事業計画の実施状況、予算の執行および資金運用の状況、資産の取 得、管理および処分の状況などを常時把握することができ、日常的な監査機能が有効に働 いている。 さらに、監事監査基準第 7 条(監査の事務補助)に基づき、理事長の下に置く事務組織 として、内部監査に関する業務を担当する監査室を設置している。監事との連携を図るこ とによって、法人内外から監査が適切に行われる体制が整っている。 本法人の運営は、事業計画と自己点検・評価を中心におき、全事業活動を「計画」 「実行」 「評価」 「改善」のサイクルにのせ、計画の達成と評価、改善に組織的に取り組んでいる。 中期施策運営の方針、事業計画、予算および実行後の評価結果については学内外に公開し、 関係者をはじめ広く社会に対する周知を通じて公共的な教育学術研究機関としての存在意 義を説明している。 (2)明文化された規程に基づいて管理運営を行っているか。 ①関係法令に基づく管理運営に関する学内諸規程の整備とその適切な運用 北里大学学則第 12 章教職員組織において、学長・副学長・学部長・学部長会・教授会等 の規程【資料 9(1)-5,6,7,8,9】により、それぞれの設置を明確するとともに、学校法人北 里研究所業務基準・権限基準に関する規程【資料 9(1)-17】により、それぞれの権限等を明 確にしている。 併せて、2015(平成 27)年度からは、学校教育法等改正の趣旨※1 および改正の概要※2 をふまえ、次の対応を行い、権限を明確化した。 ※学校教育法等の改正の趣旨(抜粋) 大学が、人材育成・イノベーションの拠点として、教育研究機能を最大限に発揮して いくためには、学長のリーダーシップの下で、戦略的に大学を運営できるガバナンス体 制を構築することが重要であることから、大学の組織および運営体制を整備するため、 副学長の職務内容を改めるとともに、教授会の役割を明確化する。 〇学校教育法等改正への対応 (1)副学長の職務(第 92 条第 4 項関係) 副学長の職務は、これまでは「学長の職務を助ける」と規定されてきたが、学長の補 佐体制を強化するため、学長の指示を受けた範囲において、副学長が自らの権限で校務 を処理することを可能にすることで、より円滑かつ柔軟な大学運営を可能にするため、 副学長の職務を、 「学長を助け、命を受けて校務をつかさどる」に改正された。 これに対応し、本学の「北里大学副学長に関する規程」【資料 9(1)-18】を改正した。 (2)教授会の役割の明確化(第 93 条関係) 教授会については、これまで「重要な事項を審議する」と規定されてきたが、教授会 は、教育研究に関する事項について審議する機関であり、また、決定権者である学長等 に対して、意見を述べる関係にあることを明確化するため、以下のとおり改正された。 291 第9章 管理運営・財務 [1]管理運営 1)教授会は、学生の入学、卒業および課程の修了、学位の授与その他教育研究に関す る重要な事項で教授会の意見を聴くことが必要であると学長が定めるものについて、 学長が決定を行うに当たり意見を述べることとした。(第 93 条第 2 項) 2)教授会は、学長等がつかさどる教育研究に関する事項について審議し、および学長 等の求めに応じ、意見を述べることができることとした。(第 93 条第 3 項) これらに対応し、 「北里大学学則」、「北里大学大学院学則」、「各学部教授会・研究科委 員会規程」等を改正するとともに、教育研究に関する重要な事項で、教授会の意見を聴 くことが必要なものとして学長が定める「北里大学学長裁定」 【資料 9(1)-7】を制定した。 ②学長のリーダーシップの確立とガバナンス体制の整備 学長ガバナンス強化の一環として、2014(平成 26)年 9 月の学長の発議により、学長が 統括する 11 の全学的な教学組織として「統括教学事業本部」を設置した。教学本部はこの 事務を担当する組織として発足し、業務統括者として事務副本部長を置き、入学者選抜や 学生生活、就職のサポートの他、研究の高度化への対応や知的資産管理などの研究者サポ ート、国際化、地域貢献、新たな学問分野の開拓など多様化する教学系の事務業務を一元 的に統括し、学長・副学長と各センター事務室との連携および事務統制の強化を図った。 同時に、北里大学における全学的な教学事項を協議する機関として学長のもとに、学長 ならびに副学長、教学本部の事務副本部長および部署長等を構成員とする「学長・副学長 会議」 【資料 9(1)-10】を置き、教育研究の基本方針および学事計画に関する事項、教育課 程の編成に関する事項、学部長会・大学院委員会の協議案件に関する事項、全学の教学マ ネジメントに関する事項、その他大学全般にわたる学事に関する重要事項に関して協議し ている。 ③法人組織および教学組織の連携 大学全体の教育研究計画、新たな学部学科の増設、入学定員の増加などの重要事項は通 常、理事者(常任理事)との意見調整を経て、学長から学部長会・大学院委員会に提案さ れる。学部長会・大学委員会は、当該案件について各学部長・研究科長の意見を聴取し、 協議承認する。 学部長会・大学院委員会の構成員である学長、学部長、北里生命科学研所長(または学 府長) 、病院長は、理事者を兼ねている。従って学部長会・大学院委員会において協議承認 された重要事項は、理事会における審議の過程でも、学部長会・大学院委員会の協議経過 が報告され、十分な審議により決定される。理事会の運営の基本方針は、 「理事会は教学に は直接介入せず、教学の自主性を尊重し、自立を支援する」とし、この基本姿勢は一貫し ている。よって、法人組織と教学組織は、大学の意思決定プロセスにおいて適切に役割分 担され、連携が図られている。 (3)大学業務を支援する事務組織が設置され、十分に機能しているか。 ①事務組織の構成と人材配置の適切性 事務組織は、学校法人北里研究所事務組織に関する規程【資料 9(1)-20】に基づき、法人 292 第9章 管理運営・財務 [1]管理運営 本部(理事会・理事長・常任理事会の下に置くものを含む) ・教学本部の下に置く事務部門、 大学院・学部(一般教育部を含む) ・附置研究所・附置施設・関連施設・併設校の下に置く 各事務室で構成される【資料 9(1)-21】 。 法人本部の部門は、総務部、人事部、経理部、管財部、情報基盤センターと、教学本部 の教学センター、研究支援センター、就職センター、入学センター、点検・評価室、地域 連携室で構成される。 法人本部は、法人の所在地である白金キャンパスに、教学本部は、5 学部 4 研究科が所在 する相模原キャンパスに置かれている。なお、白金法人本部建替により、2015(平成 27 年) 7 月現在は、法人本部の一部を除き、相模原キャンパスにて執務を行っている。 事務組織の特徴は、各学部事務室が教学系事務と法人系事務の両方の機能を果たしてい ることである。学部事務室は、原則として総務課(庶務、人事、経理、用度担当)、教務課 (教務担当) 、学生課(学生厚生、入試広報、就職担当)、学部附属図書館をもって構成す る。学部事務室の各課は、事務長を通して本部の教学系・法人系各部門と機能的につなが る構造である。 学内の意思決定・伝達システムについては、事務本部長、法人本部・教学本部の部署長 および病院担当の事務副本部長を構成員とする「学校法人北里研究所法人本部部長会」 【資 料 9(1)-22】 、本部各事務部門の長と各学部等事務室の事務長を構成員とする「学校法人北 里研究所事務部長・事務長会」 【資料 9(1)-23】を置き、必要な事項を協議、調整し、また 諸会議体の決定事項を報告、伝達している。 事務組織の人員配置については、毎年度、各部門からの人員計画に基づき、北里研究所 人事委員会が主体となって、組織の活性化と事務職員個々の人材育成を目的とした人事異 動を定期的に行っている。定期異動は原則 4 月 1 日、7 月 1 日および 10 月 1 日の年 3 回で あるが、突発的な退職や休職等が発生した場合は弾力的に対応している。また、本学では 一学部一事務室体制を敷いており、法人本部、病院事務への異動を加え、多様な配置換を 実施して組織の活性化を図っている。 ②事務機能の改善・業務内容の多様化への対応策 学長ガバナンス強化の一環として、2014(平成 26)年 9 月に現学長の発議により、学長 が統括する 11 の全学的な教学組織「統括教学事業本部」を設置した。教学本部はこの事務 を担当する組織として発足し、業務統括者として事務副本部長を置き、入学者選抜や学生 生活、就職のサポートの他、研究の高度化への対応や知的資産管理などの研究者サポート、 国際化、地域貢献、新たな学問分野の開拓など多様化する教学系の事務業務を一元的に統 括し、学長・副学長と各センター事務室との連携および事務統制の強化を図った。 また、大学附属の 4 病院においては「統括病院事業本部」を設置し、4 病院の連携と共通 課題・人事・業務の調整機能を担うとともに、統括教学事業本部と連携し、臨床教育の充 実と人材育成を推進している。 これら 2 つの事業本部と法人本部がそれぞれ多様化する業務に対応し、有機的な連携の 構築と管理運営体制の強化を図っている。この 2 つの事業本部の事務業務は事務副本部長 が統括し、法人本部の事務本部長を補佐する体制としている。 大学における事務業務は多岐に亘っており、また日々高度化している専門分野を担当す 293 第9章 管理運営・財務 [1]管理運営 る教員や気質が多様化している学生を支援するために、事務職員には一般的な事務処理能 力に加えて語学や情報、法務など専門知識の習得が必要となってくる。また、業務量も増 加傾向にあるため、単純業務については人材派遣職員による対応など、できる限り専任職 員が効率よく担当業務に集中できるよう配慮している。 ③職員の採用・昇格等に関する諸規程の整備とその適切な運用 職員の採用については、毎年度人事部が主体となり採用計画(採用人員、採用スケジュ ール、内定者フォロー等)を立て、法人が求める職員像に則った基準により採用試験を実 施している。人事部以外の職員も採用面接を担当させ、該当する職員にはその周知と適切 な運用を指導している。採用試験は、エントリーした応募者の中から書類選考を経て残っ た者を対象に適性やストレス耐性を見るウェブ試験を行い、さらにウェブ試験合格者を対 象に一次面接、二次面接、三次(最終)面接を行い、最終合格者を決定している。一次面 接では係長職以下の職員、二次面接では課長職および課長補佐職の職員の中から選抜して 面接官を任命し、面接官の構成を変えながら、複数の視点で受験者の人間性を多角的に見 ている。また、面接実施前には、面接官対象の説明会を開催し、判断基準の統一を図ると ともに、面接官としての意識と面接スキルの向上に努めている。 職員の昇格については、 「学校法人北里研究所専任職員昇任・昇格基準」 【資料 9(1)-24】、 「学校法人北里研究所専任職員昇任・昇格基準細則」【資料 9(1)-25】、「学校法人北里研究 所事務系職員昇任資格試験実施基準」【資料 9(1)-26】および「学校法人北里研究所法人本 部・学部等事務系職員人事評価規程」【資料 9(1)-27】等に基づき毎年度の定期人事異動に 併せて実施している。昇任資格試験では主任および係長職への昇任希望者に対し一次試験 として筆記試験を課し、合格者を対象に二次試験(面接)を実施し昇任候補者を選考して いる。また管理職(課長補佐)への昇任については、所属長による推薦書の提出を要件と し、面接試験を実施している。昇任資格試験に合格した者は半期ごとの人事評価とともに 総合的に判断して「学校法人北里研究所事務系職員人事委員会」 【資料 9(1)-28】において 昇任の可否を審議、昇任職位に応じて理事会等で最終決定している。 (4)事務職員の意欲・資質の向上を図るための方策を講じているか。 ①人事考課に基づく適正な業務評価と処遇改善 事務職員は、毎年 2 回(6 月・12 月)に人事評価を行い、現在は賞与処遇のみ(業績率 部分)に反映させている。プロセス評価、業績評価、特別評価の 3 項目から多面的に評価 しており、業績評価には目標管理に基づく達成度評価を含めている。とりわけ個人の目標 設定に関しては、全職員が、それぞれ所属する部門や職位に応じて各期の理事会施策をふ まえた「事業計画」に対し貢献する目標を設定し、部門の目標・業績と個人の「達成動機 (目標)」と「行動特性(成果) 」との整合性を確保し、全体と個との有機的関連を図って いる。これにより法人(大学)と全職員との PDCA サイクルの実質化を目指している 職員は毎年 4 月に前年度半期分(10 月~3 月)における職務能力の発揮、業務の実施状 況を振り返り自己評価を行う。この自己評価結果を基に、第一次評価者(課長職)が本人 と面談を行い、仕事の遂行状況や自己評価の根拠、場合によっては日頃感じている業務上 の不安や悩み等についても聴取し、本人は第一次評価者より助言・指導を受けている。こ 294 第9章 管理運営・財務 [1]管理運営 の面談の後に、第一次評価者による評価を行い、それを基に第二次評価者(所属長)は最 終評価を行い決定する。なお、評価は「学校法人北里研究所法人本部・学部等事務系職員 人事評価規程」に基づき適正に実施されているが、部署間の評価バランスや評価者の目線 の違いなどを確認、必要に応じて是正することを目的に第二次評価者全員による「人事評 価確認会議(委員長:事務本部長) 」を毎回実施し、より適正な人事評価の決定に努めてい る。また、評価に対する知識の取得や面談技能の向上を目的とした「人事評価者研修」を 適宜開催し、評価者のスキルアップを図り、事務職員全体の能力開発・指導育成、組織の 運営支援、職場活性化に資することに努めている。 ②スタッフ・ディベロップメント(SD)の実施状況と有効性 本学では、SD(スタッフ・ディベロップメント)を事務職員の業務知識、資質、技能 の向上を目的に、毎年度人事部の事業計画策定に併せて研修内容を検討しプログラムを企 画している。現在人事部が主催している研修には新入職員研修、新入職員フォローアップ 研修、タイムマネージメント研修(係長・主任・一般職)、ロジカルシンキング研修(係長・ 主任)およびコンプライアンス研修(管理職・係長)が挙げられ、外部講師を招きOFF -JTとして、より新鮮な刺激を与えることができるように工夫を重ねている。また、若 手職員を外部機関へ派遣し、他大学・他機関との交流を行いつつ、大学事務職員としての スキルを向上させる目的研修も実施している。 さらに、上記以外にも日本私立大学協会等諸団体が企画運営する研修会に参加させ、業 務知識の習得に努めている。外部研修は職員個人の基本的な業務スキルの向上とともに、 業務に必要な専門性も高めることができるような講座を受講している。 また、事務職員の自己啓発を推奨する制度として、通信教育講座がある。この講座は新 入職員から管理職に至るまですべての事務職員が利用できる制度であり、日常業務のスキ ルアップに直結する講座だけでなく、メンタルヘルスや社会人としての教養を深める講座 も用意されている。通信教育講座の利用は本学の福利厚生補助を受けられることで、積極 的な受講を奨励している。 人事部が主催する研修以外に、法人本部の各部署が実施している業務別研修(学生厚生、 経理、管財用度、情報、就職支援等)や各学部事務室が自主的に実施している部内研修が ある。研修の場では一般的な講習に留まらず、参加者による意見交換やグループワークを 効果的に行い知識や技能の向上に努めている。 ③各種ハラスメントに対する取り組み 本学では、すべての教職員が個人として尊重され、適正で快適な環境のもとで業務に専 念できるよう、人権侵害行為の防止と対策に努めている。本学のこの姿勢は、2008(平成 20)年 4 月に宣言した「人権侵害防止宣言」および「人権侵害(ハラスメント)防止のた めのガイドライン(指針) 」【資料 9(1)-29】において表明している。 また、毎年 4 月には全教職員に対し「人権侵害(ハラスメント)防止への取り組みにつ いて」の冊子およびハラスメントに関する相談窓口の担当者と連絡先等が記載された常時 携帯用のカードを配付し、人権侵害防止を啓発するとともに、万一人権侵害と思われる事 案が発生した場合の相談の方法と流れ(フロー)について周知している。さらに 2013(平 295 第9章 管理運営・財務 [1]管理運営 成 25)年には管理職(部長・次長・課長・課長補佐)を対象とした「ハラスメントの予防 と対策研修」を実施し、ハラスメント防止とより良いコミュニケーションを理解実践する ことにより、風通しの良い職場環境づくりを促進した。2014(平成 26)年度における研修 会・セミナーは合計 6 回、参加者の延べ人数は 353 名にのぼる。 2.点検・評価 ◆充足状況 管理運営方針は、大学の理念・目的および社会的使命の下、 「教学組織と法人組織が密 接に連携し、生命科学の最先端に位置する大学の創造」を基本方針と定め、「選択と集中」 「優先度」 「全体最適」を運営の規律する指針とし、大学ホームページ等で公表している【資 料 9(1)-14】 。 組織規模の拡大から派生する諸問題に対してより迅速・的確に対応できる管理運営体制 の確立、理念を立案し、実行し、検証し、点検・評価を行うための十分な期間の確保、4 年 ごとの中期施策運営方針の策定のため、2012(平成 24)年 4 月 1 日付で評議員、理事、学 長の任期を 4 年に延長した。また、理事長と学長の任期の開始年を意図的に 2 年ずらすこ とで、法人運営の継続的・安定的な運営の維持確保、長期的な管理運営を可能となった。 学校教育法の改正に伴い、学長・副学長規程を制定するなど規程を整備し、学長ガバナ ンスの強化が図られた。また、統括教学事業本部を設置し、組織上においても理事長と学 長の職務権限を明確化し、学長を常任理事会の構成員とするなど、法人組織と教学組織の さらなる連携強化を図っている。 第 19 期「理事会施策」 (平成 24 年 7 月 1 日~平成 28 年 6 月 30 日:4 年間)について、 理事長・常任理事・学長・副学長・本部部署長を中心に、検討会(平成 24 年 7 月 26 日)、 合宿研修会(平成 24 年 8 月 27 日~28 日)を開催することにより取り纏め、平成 24 年 9 月 21 日の定例理事会で承認された。その中で学長を中心とした教学系重点推進施策を定めた。 教学系重点施策を円滑に遂行するため、全学的な教学事項を協議する機関として学長の 下に「学長・副学長会議」を設置(平成 26 年 7 月 1 日付)し、①教育研究の基本方針およ び学事計画に関する事項、②教育課程の編成に関する事項、③学部長会・大学院委員会の 協議案件に関する事項、④全学の教学マネジメントに関する事項、⑤その他大学全般にわ たる学事に関する重要事項を毎月 1 回以上協議している。以上のことから本基準を充足し ていると考える。 (1)効果があがっている事項 2015(平成 27)年度から学校教育法等改正により本学学則・各学部等教授会規程等を改 正したが、従来から規定されている「学校法人北里研究所業務基準・権限基準に関する規 程」 、 「学長副学長会議」により、学長のリーダーシップの下に円滑に管理運営ができてい るが、今回の学校教育法等改正により、学則・学長裁定、教授会規程等からも、学長のリ ーダーシップの下で、戦略的に大学を運営できるガバナンス体制を構築していることを明 確にした。 296 第9章 管理運営・財務 [1]管理運営 (2)改善すべき事項 なし 3.将来に向けた発展方策 (1)効果があがっている事項 学長のリーダーシップの下で、戦略的に大学を運営できるガバナンス体制は、規程・組 織ともに完備しており、教育改革戦略方策の一環として、2014(平成 26)年度より、学長 助成金(学長裁量経費)により、学内教育改革に特化した取り組みを学内公募し、財政支 援を行っている。 副学長の職務権限を改正し、学長の補佐体制を強化したこと、また「学長・副学長会議」 を設置したことから、将来的にも学長のリーダーシップが独裁的な戦略とならずに、教学 面の管理運営に資することができる。 (2)改善すべき事項 なし 4.根拠資料 資料番号 資料の名称 9(1)-1 北里大学学長選考規程 9(1)-2 学校法人北里研究所第 19 期役員名簿 9(1)-3 学校法人北里研究所寄附行為 9(1)-4 学校法人北里研究所寄附行為施行細則 9(1)-5 平成 27 年度北里大学学則 9(1)-6 平成 27 年度北里大学大学院学則 9(1)-7 北里大学学長裁定 9(1)-8 各学部教授会規程 9(1)-9 各研究科委員会規程 9(1)-10 学長・副学長会議規程 9(1)-11 北里研究所報第 19 期役員紹介号 9(1)-11 北里大学学部長会規程 9(1)-12 北里大学大学院委員会規程 9(1)-13 学部長会・理事会議事録(抜粋)(平成 26 年 2 月開催_大学基準に対する全学の方針 案の件) 9(1)-14 大学 HP 建学の精神および北里大学の理念・目的・方針の全体像、管理運営の方針 9(1)-15 学校法人北里研究所報 第 19 期理事会施策号 平成 24 年 10 月 9(1)-16 平成 27 年度総合事業計画 9(1)-17 学校法人北里研究所業務基準・権限基準に関する規程 9(1)-18 北里大学副学長に関する規程 9(1)-19 学校法人北里研究所監事監査基準 9(1)-20 学校法人北里研究所事務組織に関する規程 9(1)-21 学校法人北里研究所組織図 297 第9章 管理運営・財務 [1]管理運営 9(1)-22 学校法人北里研究所法人本部部長会規程 9(1)-23 学校法人北里研究所事務部長・事務長会規程 9(1)-24 学校法人北里研究所専任職員昇任・昇格基準 9(1)-25 学校法人北里研究所昇任・昇格基準細則 9(1)-26 学校法人北里研究所職員昇任資格試験実施基準 9(1)-27 学校法人北里研究所事務系職員人事評価規程 9(1)-28 学校法人北里研究所事務系職員人事委員会規程 9(1)-29 人権侵害(ハラスメント)防止のためのガイドライン(指針) 298
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