Ⅵ 環境:人と自然が共生する環境にやさしいまちの実現

Ⅵ 環境:人と自然が共生する環境にやさしいまちの実現
【施策体系】
小分野
施策名
施策の柱
1 低炭素社会
(1)低炭素社会を実現す
①暮らしの低炭素化の促進
る環境モデル都市の
②再生可能エネルギーの普及促進
推進
③広域連携と産学官民連携による取組の
加速化
④環境先進のまちの情報発信の充実
⑤森林吸収源対策の推進
2 循環型社会
3 自然共生
社会
(1)廃棄物の減量化・資
①将来を見据えたごみ処理体制の確保
源化と適正処理の推
②減量化・資源化の促進
進
③廃棄物の適正処理の推進
(1)暮らしを豊かにする
生物多様性の保全
①豊かな自然の把握と市民理解の促進
②自然との触れ合いを通じた地域づくりの
推進
③貴重な湿地と多様な水辺の保全
4 環境配慮
行動
(1)持続可能な社会を支
える環境配慮行動の
①環境学習・環境教育の充実
②市民と企業による環境配慮行動の促進
促進
実践計画-112
低炭素社会を実現する環境モデル都市の推進
■めざす姿
市民生活や産業活動に過度な負担を強いることなく、低炭素な暮らしがフツーになって
いる。
低炭素社会を実現する高水準な技術が展開され、独自かつ最先端の実証活動が行われて
いる。
■まちの状態指標
指
標
名
現状値(把握年度)
537 万t-CO2
市内におけるCO2排出量
(2013 年度)
329 万t-CO2
産業分野におけるCO2排出量
(2013 年度)
9 万 t-CO2
森林のCO2吸収量
(2013 年度)
再生可能エネルギー*導入率
23%(2015 年度)
めざす
方向
↓
↓
↑
↑
■施策の背景
○本市は、国から環境モデル都市*や次世代エネルギー・社会システム実証地域*の選定
を受け、低炭素社会システム実証プロジェクトをはじめ、先進的な取組を実施してきま
した。
○また、現在第 2 次豊田市環境モデル都市アクションプランを推進中ですが、目標指標で
あるCO2排出量の削減は、本市の産業界(特に製造業)が堅調であるなど都市の成長
に起因する理由により、必ずしも順調に進んでいません。一方で、CO2吸収量は、適
切な森林管理を実施した結果、計画どおり進んでいます。
○その結果、低炭素社会の実現に向けた市民の具体的な行動が徐々に広がるとともに、本
市の取組が国際社会から一定の評価を得るなど、取組の成果が表れています。
○国は、昨年温室効果ガス削減量を 2030 年度に 2013 年度比マイナス 26.0%とすること
を決定し、環境・エネルギー分野での革新的な技術開発を推進することで、気候変動問
題に取り組んでいます。
○民間企業においても、独自に製造段階におけるCO2排出量ゼロを長期目標として掲げ
るなど、低炭素社会の実現に向けた動きが活発化しています。
○今後は、低炭素社会実現の必要性が徐々に高まり、市民の省エネ行動の浸透や、人口減
少などによって、CO2排出量の削減傾向は強まっていきます。ただし、都市の成長を
停滞させることなく、本市の強みである「交通」
「産業」
「森林」などを生かした取組が
必要とされます。
実践計画-113
■施策の柱・主な実践計画事業
No.1 暮らしの低炭素化の推進
概要
成果
指標
家庭部門における温室効果ガス排出量を削減するため、環境技術を活用して暮らし
の低炭素化を推進します。
スマートタウン*整備支援件数
累計3件(2016 年度)
⇒ 累計5件(2020 年度)
No.2 再生可能エネルギーの普及促進
地域エネルギーである再生可能エネルギーの導入及び活用により、低炭素化を推進
概要
します。
また、地域内の需給モデルを構築し、エネルギーの地産地消に努めることで、市民
の関心を高めます。
成果 市が導入した又は市が関与した再生 82,637kw(2015 年度)
指標 可能エネルギーの総発電能力量
⇒ 100,000kw(2020 年度)
No.3 広域連携と産学官民連携による取組の加速化
概要
民間資源を活用した先進的な取組を活発化させるため、広域連携や産学官民連携を
推進します。
また、実証の場を提供して環境先進技術を豊田市に呼び込み、産業部門の低炭素化
に向けた取組を加速させます。
成果 新規の実証事業の件数
1件/年度
指標 広域連携による事業実施の件数
2020 年度までに4件
<主な計画事業>
○環境先進技術実証支援事業
産学官民の連係体制を構築し、市内で環境・エネルギー分野における先進技術の実証事
業を支援
用語解説
※ 再生可能エネルギー:自然界に存在するエネルギーの中で、枯渇せず永続的に利用可能なもので、太陽光や太陽熱、水力、風力、
バイオマス、地熱などのエネルギーのこと
※ 環境モデル都市:地球温暖化問題に対して高い目標を掲げて、低炭素社会の実現に向けて先駆的な取組にチャレンジする都市と
して国が選定した都市。2016 年3月末現在全国23市町村が選定されている
※ 次世代エネルギー・社会システム実証地域:エネルギーや関連機器を中心に通信などの実証を行い、次世代のエネルギー・社会
システムの実現に向け高い目標を掲げて先駆的な取組を行う地域として、国が選定した地域。2014 年度末で実証事業は終了
※ スマートタウン:戸建住宅を、太陽光発電、HEMS、家庭用蓄電池の3つを備えたスマートハウスとするなど、温室効果ガス
の削減とエネルギーのピークシフト・ピークカットが実現し、地域全体のエネルギー利用が最適化された地域
実践計画-114
No.4 環境先進のまちの情報発信の充実
環境分野における都市としての魅力を高めるため、とよたエコフルタウンを活用し
概要 て低炭素社会の実現を目指す先進性を情報発信します。
また、国際関係機関や国外他都市と連携した事業を実施し、国外へ情報発信します。
成果
指標
市が発信する低炭素な暮らしに関す 13,000 人/年度
る情報受信者数
(2019 年度のみ 17,000 人/年度)
国際機関等との連携事業数
1件/年度
No.5 森林吸収源対策の推進
概要
成果
指標
森林を健全化することにより森林によるCO2の吸収量を確保します。また、地域の
豊富な森林資源の有効利用を図り、木材による炭素貯蔵効果等の発揮を促します。
年間の人工林の間伐実施面積
830ha/年(2015 年度)
⇒ 1,500ha/年(2020 年度)
実践計画-115
実践計画-116
廃棄物の減量化・資源化と適正処理の推進
■めざす姿
市民や事業者がごみの減量と資源の有効活用に取り組み、ごみ処理に不安のない社会が実
現している。
廃棄物の適正処理の理解が進み、不適正処理等がなくなっている。
■まちの状態指標
指
標
名
現状値(把握年度)
めざす
方向
544 グラム/日
市民一人当たりのごみ排出量
(2015 年度)
129 か所
廃棄物の不適正処理現場箇所数
(2015 年度)
↓
↓
■施策の背景
○市民が排出するごみの量は微増傾向であり、ごみの減量が進んでいません。
○埋立処分場や焼却施設は受入容量にも限界があり、将来にわたって計画的に処理できる
体制を維持していく必要があります。
○一方で、ごみの中身の調査では、燃やしているごみの2割以上に資源が含まれており、
ごみの発生抑制、再使用を優先的に進めつつ、資源の再生利用を進めることでごみを減
量できる余地があり、これらの取組を推進していく必要があります。
○産業廃棄物の不適正処理事案は、減少傾向はみられるものの、依然として年間 25 件程
度が新たに発見されており、適正処理を推進していくことが求められています。
【ごみの中身の調査結果推移
【豊田市のごみの量の推移(単位:t)
】
(燃やすごみの袋の中に入っていたごみの割合)
】
実践計画-117
■施策の柱・主な実践計画事業
No.1 将来を見据えたごみ処理体制の確保
将来のごみ発生量の見込みに対する処理体制を確保するため、現有施設の延命化を
概要 図りつつ、経費の低減と平準化の視点を踏まえ、計画的にごみ処理施設を整備しま
す。
成果 最終処分場の受入容量
第2期整備後 10 万 確保
指標 ごみ焼却施設稼働率
60%以上を維持
<主な計画事業>
○グリーン・クリーンふじの丘第2期整備事業
良好な公衆衛生を維持するため、最終処分場を整備し、ごみ埋立容量を確保
No.2 減量化・資源化の促進
概要
ごみの排出・処理量を削減するため、市民、事業者に対する発生抑制、再使用及び
再利用の取組を強化するとともに、啓発活動を推進します。
成果 市民一人当たりの可燃ごみに含まれ
指標 る資源の量
2015 年度から5%(6グラム)減(2020 年度)
No.3 廃棄物の適正処理の推進
概要
不法投棄、不適正処理事案の重大化を未然に防ぐため、不法投棄、不適正処理現場
を早期に発見、是正指導します。
また、市民、事業者に対し、ごみ出しマナーの向上や廃棄物処理への理解を深めま
す。
成果
指標
廃棄物の市内の不適正処理現場の数
前年度から3件以上減
実践計画-118
暮らしを豊かにする生物多様性の保全
■めざす姿
現状と同程度の生物多様性が保全されている。
市民が地域の豊かな自然環境を守り、そこから多くの恵みを享受している。
■まちの状態指標
指
標
名
現状値(把握年度)
市内で確認された国県レッドリスト掲載種の種数
なわばり鮎の生息平均密度*
「良好な水辺環境などの水資源があるまち」として満足
している市民の割合(市民意識調査)
413 種
(2015 年度)
めざす
方向
→
集計中
↑
集計中
↑
■施策の背景
〇2010 年、愛知県で COP10 が開催され、2050 年までに「自然と共生する世界」を実現す
ることを目指し、愛知目標(生物多様性の保全に関する新たな世界目標(2020 年まで
の短期目標))が採択され、国は、愛知目標の達成に向けたロードマップと「自然と共
生する世界」の方向性を示す「生物多様性国家戦略 2012-2020」を策定しました。
〇本市では、2014 年1月に「生物多様性とよた戦略」*を策定し、生態系ごと、役割主体
ごとの将来像を示しています。
○特定外来生物の増加や気温の上昇による農作物の植生分布や生育状況の変化が生じて
いますが、市民の生物多様性の認識度は低く、自然体験をほとんどしたことがない子ど
もや若者が増えています。
○市民の生物多様性の大切さへの理解を深め、地域の豊かな自然環境を守っていくことが
求められています。
用語解説
※ 生息平均密度:ある生物の観測区域内1㎡当たりの生息数
※ 生物多様性とよた戦略:市民一人ひとりが生物多様性の大切さを認識し、身近な地域で生物多様性の保全活動を実践し、その恵
みを将来にわたり得られるよう、基本的な考え方や望ましい行動を示す計画
実践計画-119
■施策の柱・主な実践計画事業
No.1 豊かな自然の把握と市民理解の促進
在来種と外来種の現況とその変化を把握するために、指定種のモニタリング調査を
概要 行い、必要に応じて対策を講じます。また、その調査結果から見える課題を市民及
び事業者に対し情報発信します。
「生物多様性」の保全を理解している市民の割合
集計中
成果 (豊田市の環境に関する市民アンケート)
指標 市内に生息している希少種・特定外来生物*を知っている市
集計中
民の割合(豊田市の環境に関する市民アンケート)
No.2 自然との触れ合いを通じた地域づくりの推進
概要
自然保全活動に参画する人や地域を増やしていくために、市民が身近な自然と触れ
合う機会や自発的な自然保全活動への取組を支援していきます。
「生物多様性」を保全する活動・イベントに参加し
たことがある市民の割合(豊田市の環境に関する市
集計中
民アンケート)
成果 「生物多様性」保全に関する活動団体数
指標 (生きものと共生する地域づくり支援事業認定団
体数+河川愛護団体数)
住民による地域の小川の整備箇所数
24 件(2015 年度)
⇒
31 件(2020 年度)
1か所(2015 年度)
⇒
3か所(2020 年度)
No.3 貴重な湿地と多様な水辺の保全
生物多様性の恵みを将来にわたり享受するために、身近で貴重な自然環境であるラ
概要 ムサール条約*湿地や、天然鮎をはじめとする多様な生物が棲む矢作川を保全してい
きます。
ラムサール条約湿地における東海丘陵要素植物*の
確認種数
成果 ラムサール条約湿地に関わる保全団体数(地元団体
指標 +学校)
保全対策の実施により増えたなわばり鮎の生息平
均密度
7種(現状を維持)
前年度から1団体増
集計中
用語解説
※ 特定外来生物:ある生物の観測区域内1㎡当たりの生息数
※ ラムサール条約:国際協力によって「湿地の保全」と「ワイズユース(賢明な利用)
」を進めていくことを目的とした条約
※ 東海丘陵要素植物:主に東海地方の丘陵地帯の湿地やその周辺の痩せた土地などに生育する植物。その多くは世界でこの地域し
か見られない植物であり、国や県の絶滅危惧種に選定されているものもある
実践計画-120
持続可能な社会を支える環境配慮行動の促進
■めざす姿
環境配慮行動を実践している市民、環境問題に取り組む企業が増えている。
■まちの状態指標
指
標
名
現状値(把握年度)
環境配慮行動を実践している市民の割合
めざす
方向
集計中
↑
集計中
↑
公害苦情件数
203 件(2015 年度)
↓
ISO14001*取得事業所数
187 件(2015 年度)
↑
(豊田市の環境に関する市民アンケート)
環境に関連する取組を行っている事業所の割合
(豊田市の環境に関する市民アンケート)
■施策の背景
○環境教育等促進法において、持続可能な社会づくりを進めていく上で、環境保全活動及
び環境教育に対する市民、行政、民間等の共働による取組の重要性が明確化されていま
す。
○本市では、市民の環境配慮行動を促進するため、環境学習施設を拠点とした環境学習の
機会の提供や、リサイクルステーションへの資源持込に対するポイント発行などのとよ
たエコポイント制度*を活用した取組を行ってきた結果、
「市民が環境に配慮した行動
を実践しやすいまちとして満足している市民割合(市民意識調査 2014 年)
」が 45.9%
と前回調査から 8.2 ポイント上昇しました。
○一方で、民生部門の二酸化炭素排出量、一般廃棄物排出量、公害苦情は減少していませ
ん。
○持続可能な社会を目指していくため、市民の環境配慮行動を実践しやすくなっている機
会を生かし、市民一人ひとりが日常生活や経済活動の場において、環境にやさしい行動
に繋げる取組を促進していくことが必要です。
公害苦情件数
231
233
245
233
207
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
実践計画-121
■施策の柱・主な実践計画事業
No.1 環境学習・環境教育の充実
概要
将来を担う子供の環境にやさしい行動力の向上を図るために、環境学習施設を拠点
とし、環境学習の機会や学習内容の充実を図ります。
環境学習施設を利用した児童の地球温暖化や生物多様性の認知
成果 度・理解度(豊田市の環境に関する市民アンケート)
指標 環境学習施設で学んだ内容を家族に話した児童の割合
集計中
集計中
(豊田市の環境に関する市民アンケート)
No.2 市民と企業による環境配慮行動の促進
概要
日常生活で環境にやさしい暮らしを実践する市民を増やすため、環境配慮行動を継
続的に実践してもらえる機会の提供と情報発信を行います。
環境問題を理解できた人の割合
60%(2016 年度)
(共働環境調査、エコツアー後アンケート)
成果 エコライフ*を実践している世帯数
指標 (電気家計簿及びごみダイエット家計簿等による)
⇒ 80%(2020 年度)
745 世帯(2014 年度)
⇒
2,000 世帯(2020 年度)
9件(2015 年度)
地域懇談会*の数
⇒
18 件(2020 年度)
用語解説
※ ISO14001:環境マネジメントシステムに関する企画で、事業者などは、環境管理を実施する際にこの規格を標準的な手法として
用いることができる。また、事業者は、この規格に基づいて環境管理を行っていることについて第三者(審査登録機関)の認証
を受けることで、環境に配慮した活動を行っていることを国際的に証明することができる
※ とよたエコポイント制度:市民の日常生活の中での様々な環境配慮行動を促進を図るため、2005年愛・地球博で始まった EXPO
エコマネー制度を活用し、2009 年7月から開始したポイント制度
※ エコライフ:暮らしの様々な場面で環境への負荷や影響を及ぼしていることを理解して、省エネ、ごみ減量など環境に優しい取
組や行動を意識して行う生活スタイル
※ 地域懇談会:工場を持つ企業が、工場近隣の住民代表者や市役所職員などを招き、会社・工場の環境に対する取組状況の説明や
意見交換を通じて、相互に理解を深める会議
実践計画-122