月・こうこう,風・そうそう

新国立劇場 2015/2016 シーズン演劇公演
「かぐや姫伝説」より
月・こうこう,風・そうそう
作◎別役 実
演出◎宮田慶子
2016年7月13日(水)~7月31日(日)
新国立劇場 小劇場
竹林に現れた姫によって巻き起こる一陣の風のような出来事……
別役実による、まったく新しい「かぐや姫」の物語
新国立劇場では今年7月、現代演劇界で不動の地位を確立している劇作家・別役実による新作
書き下ろし『月・こうこう,風・そうそう』をお贈りします。
今は昔、竹林の中。風が軽やかに吹き抜けていく。これから心中しようと粟粥を食べる老爺と老婆
の前に、美しい「姫」が現れる。「通りがかりのものです。助けていただけますか……?」
何者かに追われている姫を守ることになってしまった老爺と老婆だが―――
演出は、別役実の新作をかねてより熱望してきた宮田慶子。和音美桜を「姫」に迎え、山崎一、
花王おさむ、松金よね子、増子倭文江、橋本淳、竹下景子、瑳川哲朗ら、これ以上ない実力派の
俳優たちが挑む、新たな「かぐや姫」の物語にご注目ください。
【5月14日(土)チケット前売り開始 ☞ 新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999】
写真・資料のご請求、取材のお問い合わせ
◎新国立劇場 制作部演劇 広報担当 藤沢 花
TEL: 03-5352-5738 / FAX: 03-5352-5709
◎新国立劇場 制作部演劇 制作担当 茂木令子
1
◎作品について
2015/2016シーズンの掉尾を飾るのは、現代演劇界で不動の地位を確立している
劇作家・別役実による、待望の新作書き下ろしです。新国立劇場ではこれまでにも『マ
ッチ売りの少女』『象』を上演して参りました。日本の演劇や戯曲のかたちが多様化す
るなか、60年にわたり第一線で作品を生み続ける別役実が見つめる現在と過去が、
「かぐや姫伝説」を通してどのように描かれるのか。
演出は、別役実の新作を熱望してきた宮田慶子。ミュージカル『パッション』での好
演が記憶に新しい和音美桜を「姫」に迎え、物語の鍵を握る「男」に山崎一、爺と婆の
老夫婦に花王おさむ、松金よね子、暗躍する竹林の住人たちには橋本淳、竹下景子、
瑳川哲朗ら、これ以上ない実力派の俳優たちが揃い、まったく新しい「かぐや姫」の物
語に挑みます。
◎あらすじ
今は昔、竹林の中。風が軽やかに吹き抜けてゆく。
竹林に暮らす老爺と老婆は、心中する場所を探してさまよっていた。死に場所と決
めたところにゴザを敷き、粟粥を食べている二人の前に、旅姿の美しい姫が現れる。
――通りがかりのものです。助けていただけますか……?
誰かわからない者から逃げているという姫には、とある事情が……。
いつの間にか姫を守ることになってしまった老爺と老婆。
もつれ合う人間模様をよそに、竹やぶには月が輝き、風が吹き、竹の葉がゆらゆらと
たなびいていた……。
2
◎作 別役実からのメッセージ
これまでの竹取物語には前篇があったはずだと、折口信夫氏が言っている。
いきさつ
確かに、かぐや姫がこの世にやって来た事については、何らかの経緯があってしかる
べきであろう。しかもそれは追跡され難い事柄であろうから、近親相姦とか其の種の根
深いものであることが伺える。
これにもう一つ、うつぼ舟伝説(父なし子を産んで流されるお話)を重ねあわせたの
が今回の私の仕事である。
一体、かぐや姫を巡ってどの様な出来事が巡り、巡り取られて行くのであろうか。そ
してそれが、どの様にして収まるべくして収まるのか。竹取物語を巡って、オイディプス
事件的解読をしてみようと思うのである。
か み よ
つまり、竹取物語には表面は静かでありながら、オイディプスと同様の神代のダイナ
ミズムが働いていると思われるのであり、それを見顕したいと考えているのである。
◎演出 宮田慶子からのメッセージ
かつて私が演劇に目覚めた学生の頃、すでに別役実氏は時代の先端を疾走して
いました。固有名詞を持たない登場人物、一本の電信柱、平易な日常語でありながら、
不条理な世界を描く数々の戯曲に、私は夢中でした。発表されるすべての戯曲を、待
ちわびながら読みました。個や社会、家族の関係性、空洞化する精神性……。常にま
っすぐ核心を見抜きながら「日本の現代」を鋭く突く作品を作り続ける別役氏は、日本
演劇界の宝、そしてわたしにとっては永遠の憧れの存在です。その別役氏に「新作を
書き下ろしていただく」ことは、「夢」以外の何ものでもありません。全力で向き合わせて
頂くのみです。
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◎プロフィール
作◎ 別役 実 (べつやく・みのる)
1937年、旧満州(現、中国東北部)生まれ。劇作家、小説家、エッセイスト。日本の不
条理演劇を確立した第一人者。
早稲田大学政治経済学部政治学科に入学、ベケットらの不条理劇に影響を受け、鈴
木忠志らと劇団「自由舞台」(後の早稲田小劇場)を創設。その旗揚げ公演であった
戯曲『象』(62年)で注目され、『マッチ売りの少女』(66年)と『赤い鳥の居る風景』(67
年)で第13回〈新劇〉岸田國士戯曲賞を受賞。68年に早稲田小劇場を離れてからは、
俳小、演劇集団円、木山事務所、俳優座、文学座アトリエなどに次々と戯曲を提供。
72年に山﨑正和、末木利文らと「手の会」を結成。71年『街と飛行船』『不思議の国の
アリス』で紀伊國屋演劇賞個人賞受賞。同年『そよそよ族の叛乱』で芸術選奨新人賞、
87年に戯曲集『諸国を遍歴する二人の騎士の物語』で読売文学賞、88年『ジョバンニの父への旅』で芸術選奨
文部大臣賞を受賞。98年には毎日芸術賞特別賞など受賞歴多数。2007年、劇作130本を達成する。
戯曲や童話の他に、生物学の常識を覆す奇書のふりをしたジョークエッセイ『虫づくし』をはじめ、日本古来、およ
び現代の妖怪の生態を解説した『もののけづくし』や、『けものづくし』『鳥づくし』『魚づくし』など「~づくし」シリー
ズは、ナンセンス作家としての著者を一躍有名にした。また衝撃的な事件の闇に包まれたメカニズムを鋭敏な目
で分析した犯罪エッセイ「犯罪症候群」などの独創的な論考も発表しており、その関心は森羅万象に及ぶ。
演出◎ 宮田慶子 (みやた・けいこ)
1957年生まれ、東京都出身。新国立劇場演劇部門、芸術監督。80年、劇団青年座
(文芸部)に入団。83年青年座スタジオ公演『ひといきといき』の作・演出でデビュー。
翻訳劇、近代古典、ストレートプレイ、ミュージカル、商業演劇、小劇場と多方面にわた
る作品を手がける一方、演劇教育や日本各地での演劇振興・交流に積極的に取り組
んでいる。
公益社団法人日本劇団協議会常務理事、日本演出者協会副理事長。主な受賞歴に、
94年第29回紀伊國屋演劇賞個人賞(『MOTHER』青年座)、97年第5回読売演劇大
賞優秀演出家賞(『フユヒコ』青年座)、98年芸術選奨文部大臣新人賞(新国立劇場
『ディア・ライアー』)、2001年第43回毎日芸術賞千田是也賞、第9回読売演劇大賞最
優秀演出家賞(『赤シャツ』『悔しい女』青年座、『サラ』松竹)など。上記以外の主な演出作品に、青年座『ブンナ
よ、木からおりてこい』『妻と社長と九ちゃん』『をんな善哉』、松竹『愛は謎の変奏曲』『恋の三重奏』『ガブリエル・
シャネル』、ホリプロ『ノイゼズオフ』『エレファントマン』『ペテン師と詐欺師』、パルコ『ふたたびの恋』『LOVE30』な
ど。新国立劇場では上記『ディア・ライアー』のほか、『かくて新年は』『美女で野獣』『屋上庭園』を演出。芸術監督
就任後は2010/2011シーズン『ヘッダ・ガーブレル』『わが町』『おどくみ』、2011/2012シーズン『朱雀家の滅亡』
『負傷者16人─SIXTEEN WOUNDED─』、2012/2013シーズン『るつぼ』『長い墓標の列』『つく、きえる』、
2013/2014シーズン『ピグマリオン』『永遠の一瞬 -Time Stands Still-』、2014/2015シーズン『三文オペラ』『海
の夫人』、2015/2016シーズン『パッション』。また、オペラ部門では『沈黙』(12・15年)を演出。16年4月より新国
立劇場演劇研修所所長。
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姫◇
和音美桜(かずね・みおう)
宝塚音楽学校を経て、2001年宝塚歌劇団に入団。『ベルサイユのばら2001』で初舞台を踏む。抜
群の歌唱力で知られ、08年の退団後は、ミュージカルの舞台などで活躍している。
主な出演作に、『レ・ミゼラブル』(ファンテーヌ役)、『レディ・ベス』『デュエット』『ルドルフ ザ・ラスト・
キス』『三銃士』『ウーマン・イン・ホワイト』など。新国立劇場では『パッション』に出演。
男◇
山崎 一(やまざき・はじめ)
1995 年出演した CM にて ACC 賞タレント賞を受賞。多彩な演出家の舞台に出演するほか、テレ
ビ・映画でも幅広く活躍している。主な出演作にテレビ『かぶき者慶次』『花子とアン』、映画『駆け込
み女の駆け出し男』『風に立つライオン』、舞台『グッドバイ』(讀賣演劇大賞作品賞受賞)『三人姉妹』
『ブルームーン』『火のようにさみしい姉がいて』『太陽 2068』などがある。
10 月に福島三郎 上演台本・演出『一人二役』、2017 年ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出の『昭和三
部作 完結編』の出演が控えている。
老爺◇
花王おさむ(かおう・おさむ)
1973年、東京ヴォードヴィルショー結成に参加。20年間中心メンバーとして活躍。94年に退団後も
数多くの舞台を中心に、映画、ドラマなどで独特の個性を活かし活動。
主なテレビに『流星ワゴン』『ゴーストライター』『S-最後の警官-』、映画『ストロベリーナイト』『僕と妻
の1778の物語』『恋愛戯曲』などがある。他には舞台『オーシャンズ11』『炎立つ』『金閣寺』(初演・再
演)『母をたずねて膝栗毛』『父よ!』『耳なし芳一』『十三人の刺客』『ジキル&ハイド』など。
新国立劇場では『櫻の園』『氷屋来る』『雨』『イロアセル』『東海道四谷怪談』に出演。
老婆◇
松金よね子(まつかね・よねこ)
1969年にテアトルエコーに入団、劇団東京乾電池を経て1986年、岡本麗、田岡美也子とともにグ
ループる・ばるを結成。小劇場から商業演劇、ミュージカルと幅広く活躍しているほか、テレビ、映画
にも多数出演。1981年、第16回紀伊國屋演劇賞受賞。主なテレビに『新撰組!』『総理と呼ばないで』
『暴れん坊将軍』『ふるさと再生 日本の昔ばなし』(声の出演、2012年からレギュラー)、映画『男は
つらいよ・寅次郎の縁談』『虹をつかむ男』などがある。他に舞台『トノに降る雨』『ワルツ』『片づけた
い女たち』『芝浜』『エル・スール』『蜜柑とユウウツ~茨木のり子異聞~』『三匹のおっさん』など。
三郎◇
橋本 淳(はしもと・あつし)
2004年にドラマ『WATERBOYS2』でデビュー後、ドラマ・舞台にと広く活躍している。様々な演出
家の作品への出演が続く。主なドラマに『連続テレビ小説 ちりとてちん』『大河ドラマ 軍師官兵衛』
『グーグーだって猫である2』『夢を与える』など。主な舞台に、『魔術』『二兎社 書く女』『ペール・ギ
ュント』『城山羊の会 トロワグロ』『HISTORY BOYS』『耳なし芳一』『阿呆の鼻毛で蜻蛉をつなぐ』な
ど。新国立劇場では『わが町』『温室』『ピグマリオン』『海の夫人』に出演。
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ツキヨミ◇
竹下景子(たけした・けいこ)
1973年、NHK銀河テレビ小説『波の塔』で本格的デビュー。映画『男はつらいよ』のマドンナ役を3
度務め、『学校』では第17回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。また、2007年『朝焼けのマ
ンハッタン』『海と日傘』で、第42回紀伊國屋演劇賞個人賞、15年に第66回日本放送協会放送文化
賞を受賞。テレビ・映画・舞台への出演の他、05年日本国際博覧会「愛・地球博」日本館総館長を
はじめ、「世界の子どもにワクチンを日本委員会」ワクチン大使、国連WFP協会親善大使、京都国
立博物館文化大使、C・C・C富良野自然塾でのインストラクターなど幅広く活動中。
新国立劇場では『ウィンズロウ・ボーイ』に出演。
ミカド◇
瑳川哲朗(さがわ・てつろう)
劇団青俳、東宝などを経て、1967 年、NHK 大河ドラマ『三姉妹』で近藤勇役を演じ、注目を浴びる。
70 年より時代劇『大江戸捜査網』に、72 年より『ウルトラマン A』に竜五郎隊長役で出演、一躍スタ
ーとなった。数々のドラマ、舞台のほか、映画の吹き替えではクリント・イーストウッドやショーン・コネ
リーらの声で活躍。近年では蜷川幸雄演出の作品に多く出演。主な出演作に、『エレンディラ』『ラ・
マンチャの男』『蜘蛛の巣』『冬物語』『コースト・オブ・ユートピア』『ヘンリー六世』『金閣寺』『たいこど
んどん』『シンベリン』『ヘンリー四世』など。新国立劇場では『エネミイ』『エドワード二世』がある。
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◎マンスリー・プロジェクトについて
一人でも多くの方に気軽に劇場に足を運んでもらいたいと、“開かれた劇場”を目指す芸術
監督の宮田慶子。その一環として、演劇講座あり、リーディングあり、トークショーありの、多彩
な無料プログラムを用意し、その月々に関連した演劇公演に多角的にアプローチしています。
募集期間内に、新国立劇場ウェブサイト所定のフォーマットでのお申し込みが必要です。詳
し く は 、 新 国 立 劇 場 マ ン ス リ ー ・ プ ロ ジ ェ ク ト の ウ ェ ブ サ イ ト
(http://www.nntt.jac.go.jp/play/monthly/)か、情報センター(03-5351-3011(代))でご確
認ください。
演劇講座「ジョン・フォードとエリザベス朝演劇」
講
師:河合祥一郎(東京大学大学院教授)
日
時:2016年6月11日(土)18:00~
会
場:新国立劇場 中劇場
募集期間:4月26日(火)~
ジョン・フォードは、シェイクスピアと同じエリザベス朝の劇作家ですが、シェイクスピアより
22歳若いです。フォードの演劇を理解するにはどんな視点が必要なのか。シェイクスピア
を参照項にして解き明かしましょう。
リーディング公演『門』別役実 作
演
出:宮田慶子
日
時:2016年7月24日(日)17:00~、25日(月)19:00~
会
場:新国立劇場 小劇場
募集期間:5月31日(火)~
1966年に早稲田小劇場が「アートシアター新宿文化」で初演。
カフカの「掟の門」をモチーフに描かれた、別役実初期の短編戯曲『門』をリーディング形
式にて上演します。
ワークショップ「プチ・ミュージカルをやってみる?」
講
師:伊藤和美(ヴォイストレーナー)、中條純子(ピアニスト)、宮田慶子(演出)
日
時:2016年8月27日(土)13:00~18:00
会
場:新国立劇場 リハーサル室
募集期間:6月28日(火)~7月21日(木)募集人数30名
ミュージカルってなんだろう?ちょっと興味あるかも。ちょっとだけ歌ってみたいかも、演じ
てみたいかも。15歳から25歳までの方を対象に、実際に身体を動かして、小さな小さなミ
ュージカルづくりを体験するワークショップです。
7
◎公演概要
「かぐや姫伝説」より
【タイトル】
月・こうこう,風・そうそう
【スタッフ】
作
演出
美術
照明
音響
衣裳
ヘアメイク
演出助手
舞台監督
別役 実
宮田慶子
池田ともゆき
中川隆一
上田好生
半田悦子
川端富生
渡邊千穂
澁谷壽久
【キャスト】
和音美桜
山崎 一
花王おさむ
松金よね子
増子倭文江
橋本 淳
竹下景子
瑳川哲朗
芸術監督 宮田慶子
主催
新国立劇場
【会場】
新国立劇場 小劇場
【公演日程】
2016年
7月
(京王新線 新宿駅より1駅、「初台駅」中央口直結)
2016年7月13日(水)~7月31日(日)
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水
木
金
土
日 月祝 火
水
木
金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
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●
●
●
17:00
MP
19:00
MP
13:00
18
●◎ ●
休演
18:00
19:00
ほか
●
●◎ ●
●
休演
●
●
●
◎
●
●
◎=託児室あり(要予約)/★=終演後、シアタートーク/7月24日17:00、25日19:00、マンスリー・プロジェクト
【前売開始】
2016年5月14日(土)10:00~
【料金】
A席5,400円
B席3,240円 (税込)
6月公演『あわれ彼女は娼婦』との2作品セット割を4月2日から実施。
『あわれ彼女は娼婦』S席、『月・こうこう,風・そうそう』A席をセットで正価14,040円のところ、セット価格
12,700円で販売。(2作品のいずれかが完売、または『あわれ彼女は娼婦』が終了した時点で販売終了)
【チケット申し込み・お問い合わせ】
新国立劇場ボックスオフィス
TEL:03-5352-9999 (10:00~18:00)
新国立劇場Webボックスオフィス http://pia.jp/nntt/
【その他チケット取り扱い】
チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット、CNプレイガイド ほか
* Z席1,620円 公演当日10時よりボックスオフィス窓口で販売。1人1枚。電話予約不可。各公演16枚ずつ。* 当日学生割引 公演当日残
席がある場合、Z席を除く全ての席種について50%割引にて販売。要学生証。電話予約不可。*新国立劇場では、高齢者割引(65歳以上5%)、
障害者割引(20%)、学生割引(5%)、ジュニア割引(中学生以下20%)など各種の割引サービスをご用意しています。
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