犬猫の腎機能を評価する画期的な血液化学スクリーニング検査 犬猫の腎臓病の診断と管理を変える新しい診療のスタンダード IDEXX SDMA(対称性ジメチルアルギニン)は、クレアチニン 進行を遅らせるために積極的に活用されています。 やBUN 、尿検査など既存の腎臓スクリーニング検査に加える 健 康 診 断をはじめ、 腎臓 病の診断のサ ポートとして、また、 ことでより早期の腎臓病の診断を可能にする血液化学検査の モニタリングとして IDEXX SDMA をルーティンで測定― 新項目です。すでに北米・ヨーロッパ・オーストラリアなど世界 それが、犬猫の腎臓病診断・管理の新しいスタンダードです。 TM TM 中の臨床現場で、早期から効果的な治療を開始して腎臓病の IDEXX SDMA 3つの主な特徴 TM 特徴 1 特徴 2 糸球体濾過率 (GFR) の優れた 慢性腎臓病 (CKD) において 筋肉量の影響を受けるクレアチニンと 指標となる腎機能バイオマーカー クレアチニンよりも早期に上昇 比較して腎機能に特異的 はほぼ全てが SDMA(対称性ジメチルアルギニン) クレアチニンは腎機能が約75% 喪失するまで上 SDMAはクレアチニンのように筋肉量に影響され 腎臓からの濾 過により排泄されるため、 糸球体 昇しないのに対し、 SDMAは腎機能が平均 40% ないため、 痩せた犬猫(例えば高齢※ や悪液質 ) で 濾過率 (GFR ) の優れた指標となります。 喪失した時点で上昇します。猫では平均 17 カ月、 あっても、 より正確にGFRを反映します。 クレアチニン、BUN および尿検査等とともに、 腎 犬では 9.5カ月早く腎臓病を発見できる可能性が ※老齢猫を対象とした研究によると、 これらの猫は加齢に伴い筋肉量が 機能評価のために用いられます。 あることが血清クレアチニンとの比較でわかって 減少するため、 クレアチニンが減少することが示さ GFRが低下しても、 います。 れています。 クレアチニン (mg /dL) 5 R= -0.95 50 35 20 4 GFRで CKDと診断 3 20 2 10 1 5 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 GFR (mL /min / kg) ※GFRは腎機能を評価するゴールドスタンダード CKD罹患猫において、SDMAは クレアチニンよりも平均 17ヶ月 早く上昇を示した ( GFRは平均 で40%の低下) 2006 2008 2010 2012 20 30 SDMAはGreの 8カ月前に上昇 2013 CKD罹患犬において、SDMAは クレアチニンよりも平均 9.5ヶ月 早く上昇を示した ( GFRは平均 で40%の低下) 15 R= -0.12 P=0.45 10 5 0 Date クレアチニン 血清 SDMA ( µg/dL) 80 SDMA ( µg/dL) ※ 65 SDMAは筋肉量の影響を受けない (犬、p>0.05 ) ミスティック、猫、2001年生まれ CKDと診断される CKD 罹患犬において、SDMAは GFR との高い相関性を示す SDMA ( µg/dL) 特徴 3 5 10 15 除脂肪体重 ( kg) SDMA SDMA(対称性ジメチルアルギニン) : 蛋白分解の過程で循 SDMAはアミノ酸のアルギニンがメチル化された物質で、 環血中に放出され、 そのほとんどが腎臓より排泄されます。IDEXX SDMA は、 TM IDEXX Laboratories, Inc.が約8年の年月をかけて犬猫専用に開発した早期 腎臓病検出のための血液化学スクリーニング検査の新項目です。 犬猫の腎機能を評価する画期的な血液化学スクリーニング検査 IDEXX SDMA を用いた早期腎臓病診断と次のステップ IDEXX SDMA と IRISのガイドライン TM TM 国際獣医腎臓病研究グループ( IRIS: International Renal Interest Society ) の最新慢性腎臓病ガイドラインに、 IDEXX SDMA が持続的に上昇し、 TM IDEXX SDMA はクレアチニン・血圧・尿中蛋白クレアチニン比( UPC )に加え、 TM クレアチニンが参考基準範囲内の場合 クレアチニンよりも感度の高い腎機能マーカーである可能性がある として採用されています。 IRIS ホームページ www.iris-kidney.com 腎臓病を示唆する、ヒストリー、身体検査、その他の所見 慢性腎臓病のIRISステージ分類 2015年改変版 血中クレアチニン濃度 ( mg /dL ) (尿比重の異常、 蛋白尿、画像診断の異常所見)があるか? はい いいえ <1.4 IRIS ステージ1 早期の腎臓病の 可能性 早期の腎臓病の可能性が高い※ 1.4 ∼ 2.0 Investigate Manage 1.精査する Monitor 2. 管理する Investigate 1.精査する 2. 管理する Manage IDEXX SDMA 傾向分析 尿検査やその他の所見を評価する。 ● 猫の検出率( n=250,329) 1 ● 腎毒性がある薬剤は注意して使用する (例えば、 NSAIDs、アミノグリコシ アチニンのみに比較して2倍以上の腎 腎臓保護のための食事を検討する。 リンおよびナトリウムを制限し、 多価不 臓病、 または、 その疑いが検出された。 ● 多尿かつ/または多飲か? ● 触診で腎臓の縮小または不整が認められるか? もしくは片方の腎臓が 現時点では、 早期のCKDの動物に対する蛋白制限の必要性や意義は明確 もう一方より大きいか? ではない。 ● 老齢、 痩せている、 または筋肉量が少ないか? ● 尿検査は実施されているか? (実施されていない場合は、 次に尿検査を (UPC) ? 尿沈渣で 行う。 )尿は適切に濃縮されているか? 蛋白尿はないか 検討する (例、 セミントラ® ) ● 腎疾患を示唆するCBCや血液化学検査の所見はあるか? ● 腎毒性物質への 早期の急性腎障害の可能性はあるか? もしある場合、 US 本社で受託した検査結果に基づく IDEXX SDMA 傾向分析 TM 色々な飲水場所を設ける ( 例えば、5-6 か所にボウルを置く、 噴水式の ● 麻酔中は血圧をモニターして維持し、静脈内輸液により充分な灌流を 100% 確保する。 暴露の可能性はあるか? 3% 6% 5% 8% 6% 11% 80% 腎臓病の判定やステージ分類を行うための追加検査を検討する ● 尿中蛋白クレアチニン比 ● ● 尿培養および感受性試験 (例えば、 ライム病、 レプトスピラ症) ● 血圧測定 ● 感染症の検査 尿石の有無や構造的な変化を 評価するための画像検査 2倍 3. モニターする Monitor ● 臨床症状に基づきモニタリングする ● 進行を確認するために 2 週間後に初回再検査を行う ● 安定していれば、2-3ヶ月後にフォローアップの再検査を行う ● 必要であれば、 それより早くフォローアップの再検査を行う 11% 11% SDMA 無し SDMA 有り 8% 6% 6% SDMA 無し SDMA 有り Westbrook, Maine USA. 15 歳を超えると 40%以上の犬猫が腎臓病または腎臓病疑いとして検出された。 100% 17% 15% 22% 26% 21% 33% 2% 4% 犬の年齢別検出率(n=537,814) 3% 4% 4% 6% 6% 9% 80% 9% 12% 14% 30% 60% 20% 16% 25% 21% 32% 40% 92% 92% 89% 83% 76% 67% 55% 40% 90% 86% 1– 5 6 –9 82% 76% 65% 56% 46% 40% 31% 14 15 16 17 18+ SDMA 高値 クレアチニン高値 SDMA 高値 クレアチニン 基準範囲内 60% 33% 20% データ:IDEXX Laboratories, Inc. TM 2 12% クレアチニン 高値 6% 犬猫とも、 加齢とともに腎臓病の割合が増加。IDEXX SDMA を測定することで、 猫の年齢別検出率(n=250,329) もの、蛇口から水を垂らす、 等) 出血や炎症、 細菌感染の存在を示唆する所見が認められるか? ● エビデンスで使用が支持されている腎臓保護薬について、 その使用を SDMA 高値 クレアチニン 基準範囲内 15% 飽和脂肪酸の含有量が多く、 抗酸化物質が添加されているものを含む。 ● 犬の検出率( n=537,814) 2.4 倍 IDEXX SDMA を用いることで、クレ ド系抗生物質、 シスプラチン、 等) 全身性の臨床症状、及び尿毒症のリスクが増大 >5.0 TM 腎臓病を示唆する可能性のある、ヒストリー、身体検査、 TM >5.0 3. モニターする TM BCSが低く IDEXX SDMA 45 μg/dL 以上の場合は ステージ4 としての治療も検討 2.9 ∼ 5.0 IRIS ステージ4 US 本社で受託した検査結果に基づく TM 2.1∼ 5.0 IRIS ステージ3 以下の3つのアクション (IMM) を推奨します BCSが低く IDEXX SDMA 25 μg/dL以上の場合は ステージ 3 としての治療も検討 1.6 ∼ 2.8 再検査実施 下記のIMMプロトコールを実施する TM <1.6 IRIS ステージ2 4 ∼ 6ヶ月後に IDEXX SDMA 14 μg/dLを持続的に超える場合は ステージ 1と想定する根拠となる SDMA 基準範囲内 クレアチニン 高値 SDMA 基準範囲内 クレアチニン 基準範囲内 20% ※ SDMAは慢性腎臓病の犬および猫においてより早期の段階で増加します。 体重減少のある動物ではクレアチニンのみでは 糸球体濾過率 (GFR) を正しく反映することが困難です。 個々の患者の総合的な評価に基づき、 臨床的に判断してください。 投薬治療およびモニタリングに関しては、 この情報は一般的なガイダンスを提供する目的で示されています。 診断や治療においては、 ヒストリー、 身体所見および完全な検査デー タを含む、 診断および治療の判断は臨床獣医師の責任で行ってください。 用量、 適応、 相 互作用および注意点について製品説明書を確認してください。 0% 10 –11 12 –13 0% 1– 6 7– 9 10 –11 12 13 14 15+ データ:IDEXX Laboratories, Inc. Westbrook, Maine USA. IDEXX SDMA 結果解釈における注意すべきポイント TM クレアチニン高値でSDMA基準範囲内の場合 子犬・子猫のSDMA 稀ではありますが、 クレアチニン高値でSDMAは基準範囲内のケースがあり 子犬と子猫の集団における統計では、 子犬・子猫の中央値 ます。この理由として現在下記の4つの可能性があることがわかっています。 高いことがわかっています。 5%の子 は若干(約 1μg/dL ) (15 犬と6%の子猫がSDMAの基準範囲上限に近い高値 ①検査アッセイおよび生理的変動 または16μg/dL ) を示し、 このような場合は、正常にもど SDMA やクレアチニンが 基準値上限付近の場合、生理的変動および検査アッセイの 数値のばらつきにより、 クレアチニンは高値で SDMAが基準範囲内になることがあり るのか上昇するのかを、 その他の所見と併せて継続的にモ ます。このような場合は、時間をあけて複数回測定することが薦められます。 ニターする必要があります。この原因は現時点では明らか でありませんが、 成長期の動物ではメチル化アルギニンが ②犬種の影響 グレイハウンドとグレート ピレニーズはその他の犬種よりクレアチニンが高く、SDMA 転写制御、 関連するmRNA スプライシング、 DNAの修復 が基準範囲内にもかかわらずクレアチニンが高値を示すことがしばしばあることが 等が盛んなためではないかと推測されています。 分かっています。 ③筋肉量の影響 腎前性・腎後性の高窒素血症の場合のSDMA クレアチニンは筋肉量に影響されるのに対して、 SDMAは影響を受けません。したがって との相関が良いことが確 SDMAは糸球体濾過量(GFR ) 筋肉量の多い犬ではSDMAが基準範囲内でもクレチニンが高い値を示すことがあります。 認されています。したがって、腎前性または腎後性の高窒 ④検体の状態 素血症によるGFR の低下でもSDMAが二次的に上昇す 重度の溶血検体でSDMA が低下するアーティファクトがあります。 ると考えられます。 IDEXX SDMA 検体量 TM 検査項目名 Chem18 検体量 成犬用 血液化学スクリーニング・パネル TP, Alb, Glob, Alb/Glob, ALT, ALP, GGT, TBiL, TCho, Glu, Amy, Lip, BUN, Cre, IDEXX SDMA , BUN/Cre, P, Ca 0.5 ml TM Chem16 成猫用 血液化学スクリーニング・パネル 0.4 ml TP, Alb, Glob, Alb/Glob, ALT, ALP, GGT, TBiL, TCho, Glu, BUN, Cre, IDEXX SDMA , BUN/Cre, P, Ca TM Chem11 若年 / 麻酔前 犬猫用 血液化学スクリーニング・パネル TP, Alb, Glob, Alb/Glob, ALT, ALP, Glu, BUN, Cre, IDEXX SDMA , BUN/Cre 0.3 ml IDEXX SDMA 0.3 ml TM 単項目 TM 検体種類および保存方法 血清またはヘパリン血漿 冷凍または冷蔵 報告所要日数 検体到着日を含め 3日以内 検査方法 酵素免疫測定法 基準値 0 ∼14 μg /dL (犬・猫) ※土日祝を除く営業日で計算 IDEXX SDMA 関連文献 TM Hall JA, Yerramilli M, Obare E, et al. Comparison of serum concentrations of symmetric dimethylarginine and creatinine as kidney function biomarkers in cats with chronic kidney disease. J Vet Intern Med. 2014; 28(6):1676-1683. Nabity MB, Lees GE, Boggess MM, et al. Symmetric dimethylarginine assay validation, stability, and evaluation as a marker for early detection of chronic kidney disease in dogs. J Vet Intern Med. 2015; 29(4):1036-1044 Braff J, Obare E, Yerramilli M, et al. Relationship between serum symmetric dimethylarginine concentration and glomerular filtration rate in cats. J Vet Intern Med. 2014; 28(6):1699-1701. Jepson RE, Syme HM, Vallance C, et al. Plasma asymmetric dimethylarginine, symmetric dimethylarginine, L-arginine, and nitrite /nitrate concentrations in cats with chronic kidney disease and hypertension. J Vet Intern Med. 2008; 22(2):317-324. Nabity MB, Lees GE, Boggess M, et al. Correlation of symmetric dimethylarginine with glomerular filtration rate in dogs with chronic progressive renal disease [ACVIM Abstract NU-11]. J Vet Intern Med. 2013; 27(3):733. Jewell DE, Yu S, Yerramilli M, et al. In geriatric cats symmetric dimethylarginine (SDMA) responds to changes in GFR whereas serum creatinine responds to changes in lean body mass [2014 ACVIM Abstract NU-28]. 2014. アイデックス ラボラトリーズ株式会社 検査サービス事業部 TEL 0120-71-4921 FAX 03-5301-6701 Yerramilli M, Yerramilli M, Obare E, et al. Symmetric dimethylarginine (SDMA) increases earlier than serum creatinine in dogs with chronic kidney disease (CKD) [ACVIM Abstract NU-42]. J Vet Intern Med. 2014;28(3):1084-1085. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ jvim.12361/abstract. Accessed January 14, 2015.
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