高柳研究室

高柳研究室(理論化学・量子化学)
高柳研究室(理論化学・量子化学)
教授 高柳 敏幸
教授 高柳 敏幸
コンピューターを使った化学
コンピューターを使った化学
「化学」と聞くと、白衣を着てビーカーやフラスコを使っ
て実験…というイメージを思い浮かべると思います。しか
「化学」と聞くと、白衣を着てビーカーやフラスコを使っ
し、私たちはコンピューターを使って、化学反応がなぜ、
て実験…というイメージを思い浮かべると思います。しか
どのようにして起こるのかを知るために研究を行っていま
し、私たちはコンピューターを使って、化学反応がなぜ、
す。化学反応は、原子間の結合の組み換えととらえるこ
どのようにして起こるのかを知るために研究を行っていま
とができますが、これは電子の動きの変化によって引き
す。化学反応は、原子間の結合の組み換えととらえるこ
起こされます。電子の動きは量子力学の方程式で記述さ
とができますが、これは電子の動きの変化によって引き
れているため、これを解けば化学反応がどのようにして起
起こされます。電子の動きは量子力学の方程式で記述さ
こるのかを理解することができます。実際には膨大な数
れているため、これを解けば化学反応がどのようにして起
の方程式を解く必要があるので、コンピューターを用いて
こるのかを理解することができます。実際には膨大な数
研究を行っています。これにより、化学現象の本質に迫
の方程式を解く必要があるので、コンピューターを用いて
る研究が可能となります。
研究を行っています。これにより、化学現象の本質に迫
る研究が可能となります。
H2CNH → HCN+H2 反応における
原子の動きの様子。fs
はフェムト秒(1015 s)
H
2 CNH → HCN+H 2 反応における
原子の動きの様子。fs はフェムト秒(1015 s)
新しい化学結合
新しい化学結合
「化学結合」と聞くと共有結合、イオン結合、水素結
合などを思い浮かべると思います。私たちは最近こうし
「化学結合」と聞くと共有結合、イオン結合、水素結
た結合とは全く異なる「振動結合」の存在を見いだしまし
合などを思い浮かべると思います。私たちは最近こうし
た。これは軽い原子が2つの重い原子の間を行ったり来
た結合とは全く異なる「振動結合」の存在を見いだしまし
たりすることで、軽い原子が重い原子をひきつけている
た。これは軽い原子が2つの重い原子の間を行ったり来
量子力学に基づいた現象です。
たりすることで、軽い原子が重い原子をひきつけている
理論的に予測される振動結合の様子
量子力学に基づいた現象です。
放射線による DNA 損傷機構の解明
理論的に予測される振動結合の様子
放射線による
DNA 損傷機構の解明
放射線によって DNA
の損傷が起こることはよく知られていますが、分子レベルでの理解は進んでい
ません。私たちは、反応における原子一つ一つの位置変化をリアルタイムで追いかけることで、DNA
の
放射線によって DNA の損傷が起こることはよく知られていますが、分子レベルでの理解は進んでい
構造がどのように変化していくのかを分子レベルで解明する研究を行っています。
下の図は、グアニン-
ません。私たちは、反応における原子一つ一つの位置変化をリアルタイムで追いかけることで、DNA
の
シトシン塩基対に電子が衝突した際に起こる水素移動反応の計算結果です。また、同時に塩基対の水素結
下の図は、グアニン-
構造がどのように変化していくのかを分子レベルで解明する研究を行っています。
合の構造変化が起こっていることもわかります。
シトシン塩基対に電子が衝突した際に起こる水素移動反応の計算結果です。また、同時に塩基対の水素結
合の構造変化が起こっていることもわかります。
グアニン-シトシン塩基対への電子付着反応ダイナミクス
グアニン-シトシン塩基対への電子付着反応ダイナミクス
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