先週の問題 解答例(1) • ある商品の買い手1の評価額は1.6万円で、買い手2 の評価額は1.4万円のとき、 1) イングリッシュ・オークションでは、誰がいくらで落 札するでしょうか。 2) セカンド・プライス・オークションではどうでしょうか。 3) 買い手1は買い手2の評価額が[1,2]上の一様分布 に従うと考えています。ファースト・プライス・オーク ションにおいて、買い手1は入札額をいくらのするべ きでしょうか。 1) イングリッシュ・オークションでは1.4万円ま では両方の買い手が残るが、1.4万円を超 えると買い手2が脱落するので、買い手1が 1.4万円で落札 解答例(2) 解答例(3) 3) 買い手1の入札額をb1とする。買い手2の入札額を 評価額の1次関数とすると b2 kV2 c b1>b2=kV2+c となるとき、買い手1は落札できる。買 い手1の期待利得は ( kV2 c b1となる確率) (V1 b1 ) (b c k )(V1 b1 ) b c 1 1 (V1 b1 ) 1 k k 2) セカンド・プライスオークションでは、評価額 をそのまま入札するので、やはり買い手1が 1.4万円で落札 • 最適な入札額を求めるため、微分してゼロと おくと、 1 k c V1 2b1 k c 0, b1 V1 2 2 • ゲームの対称性から、買い手1の入札額も評 価額の1次関数になるので、 b1 kV1 c • 係数を比較すると、 k 1 1 , c 2 2 解答例(4) • したがって、買い手1の入札額は 1 1 V 1 b1 V1 1 2 2 2 • V1=1.6万円なので入札額は1.3万円 繰り返しゲーム 協調関係の発生 1 囚人のジレンマ 協調が困難 • 囚人のジレンマ セブンイレブン 高価格 低価格 高価格 3,3 1,4 低価格 4,1 2,2 ローソン 長期的な協力関係 – ゲームの結果は社会的に望ましいとは限らない – ← 協調よりも利己的な利益を優先 – 事前の話し合いも有効ではない – ← 非協力(裏切り)が支配戦略 • 世の中は裏切り者ばかりなのか? – 協調関係はいたるところに見られる – 公共事業の入札における談合はなくならない – なんで? 繰り返しゲーム • 協力関係を維持 – 長期的な関係をむすんでいる場合が多い • 長期的な関係を利用したインセンティブ – いわゆる「アメとムチ」 – 将来の関係に価値 → アメ – 裏切り者には罰 → ムチ • 無限繰り返しゲーム – 同じゲームが無限に繰り返される – 1回ごとのゲーム=ステージゲーム – 繰り返しゲームの利得 =ステージゲームの利得の – – 現在割り引き価値の総和 ステージゲーム トリガー戦略 • トリガー戦略 B A – 繰り返しゲームの戦略 – 最初は協力 協力 しない 協力 3,3 1,4 しない 4,1 2,2 – 過去に相手が協力しなければ、それ以降は協力 しない – 相手の裏切りがトリガー(引き金)になり、それ以 降は助けないという罰をくだす • トリガー戦略の組はサブゲーム完全均衡? 2 最適戦略(2) 最適戦略 • 最適性を調べる – 相手がトリガー戦略を用いている – 今まで協力が続いている – 協力を続ける u A 3 d 3 d 2 3 d n 3 3 3(1 d d 2 d n ) 1 d uA 4 d 2 d 2 2 d n 2 – 裏切る 4 2d (1 d d 2 d n ) 4 • 割引率 3 2d 1 4 d 1 d 1 d 2 • 割引率が1/2以上であれば、協力を続ける • 過去に誰かが裏切った 2d 1 d トリガー戦略とインセンティブ • 協力が続いている場合 – 協力する → 将来の利益 – 裏切る → 今回限りの短期的な利益 • 協力の自発的な発生 – 将来の利益と現在限りの利益をはかりにかける – 将来の利益が上回れば、自発的に協力 – 割引因子 – 成長の可能性(将来の利益) – 相手もトリガー戦略 → 助けてくれない – → 協力しないことが最適 • トリガー戦略の組は、サブゲーム完全均衡 協力が維持される条件 • 観察可能性 – 裏切りは容易に見つかる – もし見つからなければ、報復できない – → 協力が維持できない • ある地方の公共事業の入札ではわざと最高入札者を 落札させない • 外部機会の不在 – 長期的な関係に代わるものがない フォーク定理 • フォーク定理 – 繰り返しゲームの均衡の存在に関する定理 – 「繰り返しゲームでは、さまざまな戦略の組み合 わせがサブゲーム完全均衡になる」 – トリガー戦略 → きつい報復 – しっぺ返し戦略 → ゆるい報復 • 協力からはじめる • 相手が裏切ったら、次に回だけ裏切りまた協力に戻る 契約による協力 • 契約による協力関係の維持 – 違反があったかどうかの判定 – 違反に対する罰 • 法治国家 – 多くの先進国では、契約に関する法律が整備さ れている – 長期の関係による協力は必要ないか? 3 長期の関係による協力 契約の利点 • 長期の関係による協力の利点 • 契約による協力関係の利点 • 契約による協力の欠点 • 現実の社会では – 外部に説明する必要がない – → コストがかからない – 裏切りの観察可能性 – 契約違反の立証可能性 – → 難しい、コストがかかる – 長期の関係が必要ない – → 短期の関係でも協力ができる – 場合によって両者を使い分け – 多くの人間関係では、長期の関係 – 企業間も長期の関係が持てれば、長期の – 1回限りのプロジェクトでは、詳細な契約 4
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