トラック運転者の労働時間 改善基準のポイント

トラック運転者の労働時間
改善基準のポイント
①拘束時間・休息時間
②運転時間の限度
③時間外労働・休日労働の限度
①拘束時間・休息時間
・拘束時間とは…始業から終業まで(休憩及び仮眠を含む)
・休息時間とは…労働者の生活時間(全く自由な時間)
1箇月(1カ月)原則 293時間 293時間×12箇月※3,516時間
労使協定締結…320時間(1年間、※を超えない範囲内で6箇月)
350
320時間
293時間(原則)
300
250
200
150
100
50
0
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月 11月 12月
拘束時間
1月
2月
3月
4月 265時間
5月 320時間
6月 293時間
7月 305時間
8月 265時間
9月 265時間
10月 320時間
11月 305時間
12月 305時間
1月 275時間
2月 305時間
3月 293時間
計 3,516時間
②1日の拘束時間と休息時間
・拘束時間 13時間以内(原則) 但し、延長しても16時間限度
・休息時間
8時間以上
※1日(24時間)=拘束時間(16時間内)+休息時間(8時間以上)
但し、15時間を超えるのは1週間に2回が限度
月曜日
8:00
21:00
拘束時間
13時間
始業
火曜日
0:00
6:00
休息時間
9時間
8:00
拘束
2時間
始業
22:00
拘束時間
16時間(2+14時間)
水曜日
0:00
6:00
休息時間
8時間
終業
拘束時間
始業
月曜日 始業8:00~終業21:00 21-8 = 13時間
火曜日 始業6:00~終業19:00 19-6+2= 15時間
水曜日 始業8:00~終業22:00 22-8 = 14時間
木曜日 始業8:00~終業21:00 21-8 = 13時間
金曜日 始業7:00~終業21:00 21-7+1= 15時間
※始業時刻から起算した24時間以内の拘束時間
③1日の運転時間
・2日(始業時刻から48時間)平均9時間(特定の日を起算として)
例として(火曜日を特定の日と起算)
⑴月曜日(9時間) 火曜日(9時間) 水曜日(10時間)
月(9)+火(9)=18÷2=9時間
火(9)+水(10)=19÷2=9,5時間
※⑴は改善基準に違反していません。
⑵月曜日(10時間) 火曜日(9時間) 水曜日(10時間)
月(10)+火(9)=19÷2=9,5時間
火(9)+水(10)=19÷2=9,5時間
※⑵は改善基準に違反となります。
特定日の前日、翌日がともに9時間を超えると違反
④1週間の運転時間は2週間ごとの平均で44時間
例として 1週目(44)+2週目(44)÷2=44時間(○)
1週目(46)+2週目(44)÷2=45時間(×)
⑤連続運転時間 4時間以内が限度
中断は30以上の休憩(1回につき10分以上の分割可)
⑥2人乗務の特例(車内に身体を伸ばし休息できるものに限る)
1日の最大拘束時間を20時間まで延長可
休息時間を4時間まで短縮可
⑦フェリー乗船の特例
乗船時間は原則として休息時間として取り扱う。
参考資料①
車両に働く自然の力、速度と車間距離等
★内輪差、外輪差
内輪差は右左折時の際に車両の内側後輪が内側前輪の軌跡よりも内側を通る。
外輪差は外側後輪が外側前輪の軌跡よりも内側を通る。
※右左折時、ハンドルをいっぱいに切ったときが最大となり、ホイールベースが長
い程大きくなる。
死角、運転席の高さと視界
★死角(見えない、見えにくい範囲)
バックミラー及びピラー(車体の柱)などの車両の構造上の死角
運転席での死角
対向車など他の交通による死角
道路構造、建物、樹木等道路環境による死角
夜間走行時の死角など
※車両の死角の特性に注意して運転する必要があり、常に周囲の状況に注意を
払う。視点をずらすなどして、必ず目視で確認する運転態度を身に付ける。
★車両による視界の違い
大型車(運転席が高い位置)前方が遠くまで見通せるため、視界が広く感じ、
車間距離に余裕があるように感じる。車間距離をつめてもあまり危険を感じ
ない傾向になる。
参考資料②
★ハイドロプレーニング現象(水膜現象)
水の溜まった路面を高速走行すると、タイヤと路面の間に水膜でできてタイヤが
浮き上がり、ハンドルもブレーキも効かなくなる現象。
この現象が起きた場合、ハンドルやブレーキに頼らず、直ちに、ギアをシフトダウン
するなどして速度を落とすことが大切。タイヤの空気圧が低い、またタイヤの摩
耗(溝)により発生しやすくなる。
★ジャックナイフ現象
連結車両(トレーラ)において、滑りやすい路面で急ハンドル、急ブレーキを行った
時に連結部のところで「くの字」になる現象
この現象が発生すると、車両のコントロールが失われ転覆や車両の破損など
重大な事故に繋がるおそれとなる。
参考資料③
車両に働く自然の力
★慣性力 速度の2乗に比例
★遠心力 速度の2乗に比例
★衝撃力 速度の2乗に比例
参考資料④
★運行管理者の業務
選任した運転者以外に事業用自動車を運転させないこと。
休憩又は睡眠のために利用する施設を適切に管理。
定められた勤務時間及び乗務時間の範囲内に乗務割を作成。
貨物にロープ又はシートを掛ける等必要な措置を講ずる(重量等関係なく)