Vol.214 - SRアップ21

トラブル・シューティングシリーズ
21世紀の労務管理プラン
続・成功する
人材活用
ドライバー不足対策の
次の一手は!
−高齢者活用の留意点と落とし穴−
一般社団法人SRアップ21
東京会所属/社会保険労務士
高橋 雅人=文
い業務に就かせるようにしましょう。④荷役作業時の注
しなかった可能性があります。②評価・査定制度の工夫。
意事項の徹底。取り扱う荷の重量を確認しておくことや、
高齢ドライバーの勤務態度や車両のメンテナンス・顧客
荷 台からの飛び 降りによる転 倒事故防止を徹 底させま
対応など、他の年齢層の模範となる項目について評価・
しょう。
査定を実施。そのことを本人に伝えると共に賃金に反映
高齢による負荷の軽減に伴い、賃金面での変更が必要
させることで、モチベーションの維持・向上につなげるこ
になります。高齢ドライバーが円満に勤務するためには
とができます。
以下の対策が必要です。①賃金制度のきめ細かな説明。
各種制度を上手に活用する
定年前後の業務内容が同じにもかかわらず、定年後の賃
金が 下がると、高齢ドライバーが 不満を抱き、仕事 へ悪
トラック運送業を含めた運輸業は、他の産業と比較し
影響を及ぼす恐れがあります。実際に定年後に再雇用さ
て各種 雇用管 理制度の導入割合は低いと指摘されてい
れたドライバーが、同一業務ににもかかわらず賃金が引
ます。高齢者を含めた労働者の定着化を向上させていく
き下げられた、と会社を相手取り訴訟を起こしたケースが
ために、様々な雇用管理制度を取り入れていきましょう。
よる転倒事故や腰痛を防ぐため、重量物の持ち上げや運
あります。その結果、裁判所は「同一労働であるにもかか
これらの他に高齢者を活用するため、事業者が就労環境
搬時の作業方法を指導します。また重量、作業量を事前に
わらず、同一賃金ではないことは、労働契約法20条に違
を整備する際に、高年齢者雇用安定助成金を利用するこ
トラック運送業界は、労働環境が長時間かつ低賃金の
確認し、無理をさせないようにしましょう。③高齢になると
反する」との判決を下し、会社に対して定年前の賃金額
ともできます。厚生労働省と国土交通省は、高齢 者の人
状況のため、ドライバー不足状態が続いています。その年
睡眠が浅くなります。十分な睡眠時間をとり、疲労回復を図
との差額を支 払うように命じました。これは、定年前に
材確保のために連携して施策を実施しています。事業者
齢構成を見ると、高年齢就業者の割合は全産業平均に比
るように指導しましょう。睡眠不足による疲労で、運転中の
業務内容の変更と、それに伴う賃金額の低下があること、
が 事 業 継続のための情報を積極的に収 集する方法とし
べると低い一方で、若手就業者の割合が低く、その差は拡
居眠りは重大な事故を起こす恐れがあります。十分な睡眠
さらに厚生年金と雇用保険の受給による賃金 額の激 変
て、専門家を上手に活用するのもよいでしょう。
大する傾向にあります。したがって、必然的に高齢ドライ
時間と深い睡眠を確保するためには、体内時計を正常に戻
緩和措置ができることを説明していればトラブルに発展
バーを活用する必要があります。経験豊な高齢ドライバー
すことが重要です。そのため規則正しい生活をおくるよう
に継続的に働いてもらうためには、事業者として対策を設
呼びかけましょう。④心理的な変化への対策を行うことも
けることが求められます。
必要です。ベテランドライバーとして経験を積んできたこと
高齢ドライバーの活用対策
安全面、健康管理の対策
は貴重な財産ですが、逆に、過信につながることもあり注
意する必要があります。加齢による身体面・判断力などの
第一に安全対策の徹底が必要です。①運転に当たって
機能低下は当然あります。これを受け入れ、無理せず、安全
の注意喚起として、加齢による視野狭小、反応の遅れなど
運転ができるように指導しましょう。以上のほかに、健康
に備えて、交通安全情報マップを作成する際に危険箇所、
診断受診の徹底・睡眠時無呼吸症候群・メンタルヘルスへ
注意事項を記入しておきましょう。②労災事故防止の意識
の対策も行う必要があります。
づけのため、定期的に安全大会の開催と、その参加を呼び
かけましょう。③車両整備を徹底させることで、高齢ドライ
労務管理面の対策
バーの慣れによる基本動作がおざなりになっていないか
労務管理面では、高齢ドライバーの負荷軽減と賃金制度
を確認しましょう。
の説明の対策が挙げられます。
次に、加齢に伴う心身の変化に対応した健康管理対策
まずは負荷の軽減対策です。①運行に関わるもの。一定
があります。①加齢による視野、視力の変化に対応するた
年齢に達したら運行距離の短縮や大型車から小型車への
め、定期的に眼科検診を受けさせましょう。検診すること
乗務車両の変更などを規定として定めましょう。②運行時
で高齢ドライバー自身に視力の状態を自覚してもらい、丁
間の短縮。一定年齢に達したら、夜間運行から外す、宿泊の
寧な運転を心がけるよう促します。②加齢による筋力の低
ない運送に就かせる業務変更を行いましょう。③配車時の
下で若年時のような動作が困難となります。筋力の低下に
配慮。連続した長距離運行を避け、手積みや手降ろしのな
一般社団法人 SRアップ21(http://www.srup21.or.jp)
平成6年8月に設立、社会保険労務士(SR)による人事・労務管理の実務家集団で、北は北海道から南は沖縄まで全国的に活動。弁護士・税理士・行政書士など専門
士業との関係強化を積極的に図り、企業のあらゆる相談や手続きをワンストップサービスでサポートしている。
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