(力学 I(’16)予想問題集 解答例) 1. (1) x(t) = A sin(ωt) を順次 t で微分すると、速度、加速度が v(t) = Aω cos(ωt) 、a(t) = −Aω 2 sin(ωt) と求まる。 (2) x(t) = t3 − 3t2 より、速度が v(t) = 3t(t − 2) と求まる。t = 0, 2 で v = 0 となるので、「増減表」を書くと分かるように、質点は t = 0 で原 点を出発し x 軸と逆向きに運動し、t = 2 に x = −4 の位置で静止した 後、向きを変えて x 軸の向きに運動し、t = 3 で原点に戻ったことにな る。よって、質点が t = 0 から t = 3 の間に運動した距離は 2 × 4 = 8 で ある。または ∫ 3 0 |v(t)|dt を計算して求めてもよい。 2. (1) P を含むある(鉛直)面内に飛び散った破片に注目する。P を原点と し、水平方向に x 軸、鉛直上向きに z 軸をとると、x 軸に対し角度 θ で 飛び出した破片の、爆発から時間 t 経過したときの位置座標は 1 (x, z) = (v0 cos θ t, v0 sin θ t − gt2 ) 2 となる。 (2) (1) の結果から θ を消去し x と z の関係を求めれば、時間 t 経過し た時に、花火の破片が今考えている鉛直面内で描く図形の方程式が求ま る。具体的には、(1) で求めた x に関する式から cos θ = vx0 t 、z の式から sin θ = ( z+ 12 gt2 v0 t x v0 t )2 が得られるので、これらを2乗して足すと ( z + 12 gt2 + v0 t )2 =1 → ( 1 x + z + gt2 2 2 )2 = (v0 t)2 が得られる。これは P 点より 21 gt2 だけ鉛直下方の点を中心とし、半径 v0 t の円を表している。P を含む鉛直面は任意に選べるので、z 軸を回転 軸として円を回転して得られる回転体、即ち、P 点より 12 gt2 だけ鉛直下 方の点を中心とし、半径 v0 t の球面が、求める図形である。 (N.B.) 仮に、花火の爆発後に点 P から自由落下する観測者がいたとする と、この観測者から見ると(慣性力のために)破片はあたかも無重力状 態にある様に見える。従って、t 経過したときの破片の図形は、自分を中 心に半径 v0 t の球面になるはずである。こう考えると、上で得た結果は当 然の結果であるとも言える。 3. (1) F = ma で、F = −γv = −γ dx 、a = dt −γ dx d2 x =m 2 dt dt → m d2 x dt2 とすると、x(t) についての d2 x dx +γ =0 2 dt dt という二階の微分方程式が得られる。 (2) x(t) = eλt (λ : 定数) と置いて、(1) の微分方程式に代入すると、λ に 関する2次方程式 mλ2 + γλ = 0 γ という二つの解が得られる。これか が得られ、これを解くと λ = 0, − m γ −mt ら、二つの特解 x = 1, x = e が得られる。 よって、一般解は γ x(t) = c1 + c2 e− m t となる。ただし、c1,2 は任意定数。次に初期条件 x(0) = 0 より c1 +c2 = 0。 γ γ −m 0 e t なので v(0) = v0 → c2 = − mv 。こうして また v(t) = −c2 m γ x(t) = γ ) mv0 ( 1 − e− m t γ と求まる。 0 となる。(抵抗力のため 十分時間が経った時 (t → ∞) には x → mv γ に、物体はこの座標の点で静止することになる。) 4. (1) エレベーター内の観測者から見ると、質量 m の質点には、鉛直下向 きに ma の大きさの慣性力が、重力 mg の他に働くので、あたかも重力が mg + ma = m(g + a) になった様にみえる。つまり、重力加速度の大きさ が(慣性力の効果で)g + a に変化した様に見える事になる。また、この 時、エレベータ―の天井からつるされた長さ l の振り子の周期は、通常の √ √ l l 振り子の周期の式 T = 2π g において、g を g + a で置き換えて 2π g+a の様に求まる。 (2) 電車内の観測者(加速度系)から見ると、つり革に働く慣性力は水平 方向で(電車の進行方向と逆)、その大きさは ma (m はつり革の質量) で ある。その他に、重力 mg とつり革の張力が働くので、つり革に関する 力のつり合いを考えると tan θ = ma a = mg g の様に、θ が与えられる。 また、慣性力のために、重力は鉛直方向から (θ だけ) 傾き、重力加速 √ 度の大きさも、 g 2 + a2 ((1) の場合と違い、重力と慣性力の方向が互 いに垂直なので)に変化した様に見える。よって、電車内の振り子の周 √ 期は 2π √ 2l 2 となる。 g +a 5. なので、 (1) x 軸上の運動では、力と位置エネルギーの関係は F = − dV dx dV 3 物体に働く力がゼロとなる場所の x 座標は dx = 4ax − 2bx = 0 → x = √ b 0, ± 2a と求まる。 また、運動エネルギーは常にゼロ以上なので、物体が運動可能な領域 は V (x) ≤ E → ax4 − bx2 ≤ E という不等式で与えられる。この不等式 √ √ 2 4 2 を解くと、ax − bx = E の(実数)解が x = ± b+ b2a+4aE なので √ − b+ √ √ b2 + 4aE ≤x≤ 2a b+ √ b2 + 4aE |x| ≤ 2a √ b+ √ b2 + 4aE 2a が、物体が運動する x 軸上の領域となる。 (2) 地球の中心を原点とし、無限遠方に伸びる x 軸を考える。x 軸上の座 標 x (RE < x とする) の点でロケットが地球から受ける万有引力(の x 成分)は F (x) = −G MxE2m である。よって、地球の中心からの距離が r の 位置における位置エネルギーは V (r) = − ∫ r ∞ F (x0 )dx0 = − GME m r と求まる。 (3) V (r) のグラフを描くと分かるように、E ≥ 0 であれば、RE ≤ r のす べての領域で V (r) ≤ E なので、ロケットは宇宙の果てまで到達出来る。 一方、地上で打ち上げる時のロケットの初速を v0 とすると、E ≥ 0 の条 件は GME m 1 ≥0 E = mv02 − 2 RE と書ける。これから宇宙の果てまで到達出来るために必要な最小の初速 √ E 度(脱出速度)は 2GM となる。 RE 6. (1) 重心は、あたかも全質量 (3m) と外力の合力(A, B に働く重力の合 力。大きさ 2mg + mg = 3mg )が重心に集中した様に運動をする。つま り、重心は重力加速度 g で、地上からの高さ h の点から自由落下するこ とになる。 (2) 破片 A, B は爆発時に水平に飛び出したので、鉛直方向の運動は自由 落下の場合と同じである。従って、破片 A が水変な地上面の、O から距 離 l の位置に落下した時、重心も地上面の O に在り、もう一つの破片 B も地面に落下している。従って、落下した時の破片 B の O からの距離を l0 とすると、l : l0 = m : 2m → l0 = 2l が言える。即ち、破片 B は線分 AO を延長した線上の、O からの距離が 2l の地点に落下しているはずで ある。
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