実験タイトル(仮) 身近なところにある抗菌物質を探し、抗菌性の強さを

実験タイトル(仮)
身近なところにある抗菌物質を探し、抗菌性の強さを測定しよう
実験
抗菌性を示す物質をペーパーディスク法を使って探す実験を行う
手順
1.持参したサンプルから、水やエーテルを使って、抗菌成分を抽出する。
2.シャーレに寒天培地を作成する。
3.大腸菌を寒天培地の表面に塗布する。
4.サンプル抽出液を円形のろ紙(ペーパーディスク)に染みこませ、寒天培地の上に
のせる。
5.37℃の恒温庫にシャーレを入れ、1晩培養する。
6.ペーパーディスクのまわりにできる阻止円(大腸菌の生育が妨げられる領域)の有
無や大きさを観察する。
当日までの準備
身近にあるものの中から、抗菌性を示すと予想されるものを、本やインターネットの情
報をもとに探し、3~4 種類程度を 8/1 に持参して下さい。用意する量は、それぞれ数g程
度あれば十分です。
例:食物(野菜、果物、発酵食品、お茶、調味料、香料、香辛料)
、抗菌性が予想さ
れる植物の葉や根、アロマオイル、薬など、抗菌性を実験で確認してみたいと
思うものなら何でもOKです。
<予備情報>
1.私たちの周りは細菌であふれている
土壌中、水中、大気中、食品中、生物の体表などあらゆるところに細菌はいる。
細菌は、高温、高圧、極端なpH 条件で生存できるなど、生育環境が最も広い生き物で
ある。
http://www.jsbba.or.jp/manabu/site/06_03.html
人間も多数の細菌と共存している。
(常在菌)
参考 https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20130204-OYTEW51873/
2.細菌は目に見えない
細菌のサイズは約1μm と小さいので、肉眼で見ることはできないが、顕微鏡で拡大し
たり、増殖させてコロニーを形成させることにより見ることができる。
(コロニー:細菌も多数集まってコロニー(集落)を形成すれば、目に見える大きさと
なります。例えば、直径 1μm の球状の細菌 10 万個を平面上に隙間なく敷き詰めれば、直
径 1 ㎜の円盤上のコロニーとなり、肉眼で観察できます。)
寒天培地にできたコロニー
3.抗菌作用を示す化学物質
細菌は、感染症を引き起こしたり、食品を腐敗させることがあるため、感染症の治療(抗
菌薬として)や食品の腐敗防止(保存料として)の目的で、抗菌作用を示す化学物質が広
く用いられています。
抗菌性を示す物質は、自然界では、放線菌やカビなどの微生物や、植物が産生しており、
こうした生物から直接抽出したり、化学構造を特定した後で人工的に合成するなどして、
広く利用されています。
抗菌作用を示す物質
防腐剤(保存料)
、
抗生物質(抗菌薬)
<参考> 抗菌物質の使用濃度
低い濃度で作用するほど、
「強い」抗菌物質といえる。
保存料
安息香酸 0.6g/kg(清涼飲料水)
ソルビン酸 0.2g/kg(果実酒)
ソルビン酸
*厚生労働省の HP より
http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/a11c0985ea3cb14b492567ec002041df/98083
7ba5d9b0d28492575d6000785e6?OpenDocument
抗生物質 (大腸菌に対する MIC)
カナマイシン 3.12µg/ml (K-12 株は 0.78µg/ml)
アンピシリン 2.5-3µg/ml
クロラムフェニコール 3-50µg/ml
ゲンタマイシン 0.1~0.78µg/ml
*抗菌薬インターネットブック http://www.antibiotic-books.jp より
最小発育阻止濃度(MIC)
抗菌物質は、どんな細菌に対してもごく微量で効果を示すことが理想だが、通常、抗菌
作用を示す細菌の種類は限られており、また、ある濃度以上の濃度で使わないと、抗菌作
用を示さない。抗菌剤が、抗菌作用を示す最小濃度を最小発育阻止濃度(MIC、単位は通常
µg/ml)と呼ぶ。MIC は、細菌の種類ごとに異なる。
4.予習
1.MIC を測定する実験手法にどんなものがあるかについて調べてみて下さい。
キーワード:
「MIC 検査方法」または、薬剤感受性試験
2.ペーパーディスク法について、調べてみて下さい。
3.可能ならば、抗菌薬の作用メカニズム(抗菌薬はなぜ効くか)について
調べて下さい。
ペーパーディクス法を行ったシャーレ
http://web-abs.agr.ehime-u.ac.jp/microbial/microbiology/Inhibiter.HTM