植物育種学レポート課題

植物育種学レポート課題
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今日、世界人口は増加し続けており、食料の増産は急務である。しかし、地球の耕地と
しての利用可能面積は限界に近く、砂漠化の影響でむしろ減少傾向にある。これにより、
いかに土地生産性を上げるかが課題となっている。2002 年の栽培植物の実生産額 9500 億
ドルに対して可能作物生産額は 15000 億ドルであると言われており、その 10%にあたる約
1500 億ドルが害虫によって失われている。私は害虫に強い品種を育種してより高い土地生
産性を目指そうと考えた。
私が考案する品種は、簡潔に言うと BT コーンのような害虫耐性を持つ稲である。BT コ
ーンは特定の昆虫が食べると BT タンパク質によって餓死するというものだ。哺乳類は BT
タンパク質を分解することが可能なため人間には害はない。
稲の害虫の主なものにウンカが挙げられる。被害総額は特に被害の大きい西日本の11
県合計して 91500 ㌶、46100 ㌧、14 億 6000 万円にもなる。
ウンカは、稲の葉や茎に口針を刺して吸汁する。そのため、稲の穂の部分でこの BT タン
パク質を発現する必要はない。消費者の遺伝子組み換え作物は極力食べたくないという心
理に考慮して、稲穂の部分では発現しないような育種をする方が望ましい。よって、害虫
にかじられることをトリガーとして BT タンパク質が発現する品種を開発したい。
遺伝資源は昆虫病原菌の一種のバチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)
の遺伝子を導入することを想定しており、これは BT コーンと変わらない。実際にトウモロ
コシで実現できているため、稲でも開発可能であると考えられる。
この BT 稲の開発に成功し実用化がなされたら、日本だけでもウンカによる被害額プラス
農薬分の経済効果(20 億円ほど)は得られるであろうし、よりウンカの被害の多い中国な
どではその桁違いに経済効果が期待できるだろう。
参考文献:
一段落「植物医科学」難波成任著 11 ページ
二段落、五段落
http://www.weblio.jp/contnt/Bt%E3%83%88%E3%82%A6%E3%83%A2%E3%83%AD%E
3%82%B3%E3%82%B7
三段落 平成25年度大臣官房統計部
波線部は自分の考え・アイデアです。
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ゲノム育種
メリット:形質を見ずに DNA レベルで見るので幼苗期に選抜され、効率がよい。
ゲノム全域に渡っての選抜が可能。
温室で幼苗期での選抜のため年複数回交配でき、育種期間の短縮に成功。
デメリット:最終的には圃場で形質か確かめる必要がある。
社会的に受け入れられていない。
GS 育種
メリット:環境の影響を大きく受ける形質の安定した選抜がどこでも可能である。
世代促進を行いながら優良個体を選抜することで育種を加速できる。
収量などの個体単位での判別が困難であった形質の個体選抜が可能になった。
デメリット:環境要因を考慮していない。
・生物学的な分子メカニズムの理解は必要か?
私が考えるに、育種において生物学的な分子メカニズムを理解することは必要である。
確かにゲノム情報のみで選抜・育成は可能ではあるが、仮に発現したい形質をもたらすタ
ンパク質が生成されるまでの間に形質を導入した作物の生理的機能に障害をもたらす可能
性などがあるためである。例を挙げると、導入して発現したタンパク質が本来の植物体内
の補酵素と結合して本来の植物の持つタンパク質と競合してしまうことなどの可能性もゼ
ロではないということだ。
また、これは生物学的な根拠ではないのであるが、「チャンスは準備された心に舞い降り
る」というものがある。これは、フランクリンが X 線で撮った DNA の写真を盗み見たワ
トソン、ウィルキンスはそれが何を表すのか分からなかったが、クリックは前提知識があ
ったためそれが二重らせん構造であると分かった。育種においても同様に分子メカニズム
の前提知識があれば育種の研究はより早く進むであろう。
参考文献:ゲノム育種
www.academy.nougaku.jp > 13_sympo3
GS 育種
http://lbm.ab.a.u-tokyo.ac.jp/~iwata/semiar/intergenomics/youshi_iwt.pdf
3 やりたい研究のプレゼン
自分は遺伝子組み換え作物をもっと消費者に受け入れられるような研究をしたいと考え
ている。遺伝子組み換えに反対する人の根拠として、自然界にないものを作るため、長期
的視点で本当に安全か分からないというものである。この不安を払しょくできるような作
物を育種したい。
具体的には、GM 作物がすでに多く開発され、流通しているトウモロコシや大豆をベース
にしようと考えている。
今の遺伝子組み換え作物は、可食部で導入した形質が発現しているかいないかによらず、
細胞内にその遺伝子は存在する。これが消費者を敬遠させている理由であるなら、植物体
をキメラにして、可食部にその遺伝子がそもそも存在しないような遺伝子組み換え作物を
つくればよいのではないか。GM 作物を根、茎といった部分にとどめた作物を開発したい。
トマトなどの挿し木する作物ではそれが実際に行われているが、それは園芸作物で集約
的農業だからなせる業である。そのため、もとからキメラに育つような育種をしていきた
い。これが技術的に可能か分からないが、受精卵の段階で何かしらの処理をし、それを増
殖させる技術があれば可能だとは思う。
もしも GM 作物が市場に広く受け入れられたらますます土地当たりの生産性は増加し、
必要なコストも下がるのではないか。