DEMによる流砂研究の現状 DEM 粒状体の多体衝突挙動 要素間力モデル ケルビンモデルなど単純なモデル 計算負荷 粒子数に依存 calibrationは必要 実験と比較 粒子スケールの微視的構造理解に有益 ◎ 外力の精緻化 激流解析 カップリング 最近の動向… 研究例1 ADV WATER RESOUR, vol.72, 2014, pp.84-96 の紹介 最近の動向… 研究例2 J FLUID MECH, vol.750, R2, 2014 の紹介 最近の動向… 研究例3 J HYDRAUL RES, vol.53, 2015, pp.332-350 の紹介 はじめに 流砂・漂砂量は底面せん断力の関数 • 実験や観測に基づいた係数を含む • 多数の流砂・漂砂量式が存在 対象とする物理現象を良好に再現する式で あるか? • 現象の物理的考察(内部構造理解)の必要性 • 改良方針 → 精度向上と適用範囲の拡大へ 粒子運動に注目 直接計測が困難 海浜の砂粒子径 d ~ 10-1 mm シートフロー 高濃度混相乱流 個々の砂粒子追跡 人工粒子を用いた実験 数値シミュレーション 個別要素法(DEM)型数値移動床 1 ~ 0.5 ~ 0.25 ~ 0.125 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 数値シミュレーション • 固液混相流と粒状体の力学を 基礎とした数理モデルの開発 • 数値流砂(漂砂)水理学の主要ツール 個別要素法型数値移動床(DEM型MBS) • 計算力学的に砂の移動機構を考察 数値移動床を用いた近年の研究例 • 粒子流のLES 振動流下シートフロー漂砂(DEM-LES) • MPS法を用いた激流下移動床シミュレーション(DEM-MPS) 粒子流のLES (DEM-LES) 振動流下シートフロー漂砂 粒子流のLES 流動層は粒子混入によって複雑な固液混相乱 流場 • DNS 粒子混入による乱流変調を 高精細に記述可能 計算負荷高い 低Reynolds数の現象に限定 • LES 格子スケール以下の乱れのモデル化 必要であるが現実的な選択肢 粒子流のLES 基礎式 固液混相流系 δi1 + Fi 振動流 DSM 計算によって解像度は変えている 粒子運動モデル DEM DEM 数値解法 • 固液混相流系の基礎式離散化 スタッガ−ド格子 有限差分法 • 時間発展 時間積分2次精度Adams-Bashforth法 部分段階法 仮流れ場 n+1*ステップ • 粒子運動追跡 DEM 粒子占有率変化 • • 密度場・流速場更新 固液間相互作用力の計算 固液間相互作用力の計算 or n+1* 粒子流のLES シミュレーション例1 底面せん断応力 漂砂量の見積もりに重要 摩擦係数の評価 • Jonsson(1966) • Kajiura(1968) 特殊関数 • Swart(1975) 陽形式表示 • 田中・Thu(1983) 全てのflow regime に適用可能な 完全陽形式摩擦係数算定式 漂砂量則 最大底面せん断応力の関数 • 摩擦係数 • 非定常性の強弱は考慮されているが位相に依存しな い一定値 Swart(1975) 水粒子軌道直径・粗度比 am/ks 相対振幅 非定常性の強弱とは関連 振動周期を通じて一定値・・・位相変化あるはず 実際の波浪場 正弦波と異なる • 有限振幅性 • 固液混相流 • 乱流境界層の構造変化 実際には底面摩擦は位相によって変化 振動流下シートフロー層 粒子流のLES 底面せん断力 〜 摩擦係数の位相変化 計算条件 • 固定壁 底面・側面(y/d=0,10) • 周期境界 x軸方向 • 粒子 比重1.41 直径 1cm • 1050個 • 振動周期5s • 境界層外縁流速振幅70cm/s • DEMモデル定数 半周期漂砂量式 Madsen & Grant (1976) y軸方向平均流速分布 数ミリメートル/秒 〜 y方向に運動量輸送殆ど無し 底面境界層内 運動方程式より DEM骨格応力 immobile bed 表層 zmin(t) シートフロー条件 粒子を固定する DEM骨格応力 m3u3 m 2u 2 〜 Zmin V Immobile bed d m 1u 1 m1u’1 底面摩擦係数 fwb 位相変化 を正弦波形で近似 位相進行 φτ について 固定床 0.3π程度 移動床 相対振幅増加に対して減少傾向(0.6π→0.4π) 固定床φτ < 移動床φτ 〜 粒子混入による乱流構造の変化 摩擦係数 fw と 相対振幅 U/Ωd の関係 摩擦係数算定高さ → 底面せん断応力に影響 漂砂量見積もりに影響 渦粘性係数 定常 周期 変動 格子スケール以下の乱れは無視 平均水平流速の鉛直勾配と乱流応力の位相変化 固定 速度勾配 乱流応力 シートフロー 等値線間が広い 平均渦粘性係数の鉛直分布 mean eddy viscosity distributions 類似の分布形 粒子流のLES シミュレーション例2 振動流下シートフロー漂砂における鉛直分級過程 流速分布 左:水平方向 右:鉛直方向 乱れエネルギー生成率分布 流速低下 表層付近の薄層に限定 加速位相 内部まで分布 数値シミュレーション 多くの数値情報 流動層内部構造の理解 構成則考察への一助 流動層に多数の小さい渦 粒子流のLES シミュレーション例3 シートフロー層内部構造の検討 Bagnold則成立領域の観点から 内部構造を観る 粒子間相互作用力 支配的 Bagnold則 active layer transition inactive layer 粒子系モデル検証 粒子径 1 cm 比重 1.318 歪み速度 壁Aに作用する 粒子衝突による応力 既往研究との比較 粒子占有率上昇 データばらつく Bagnold則成立し難い 同時複数接触? 1対1衝突 応力伝達形式が変化? 衝突 粒子占有率上昇 接触 振動流下シートフロー層 • 計算条件 粒径 1 cm 比重 1.318 粒子数 1350 流速振幅 80 cm/s 周期 4 s Δ=d/8 • Bagnold則が成立領域の調査 位相別 濃度別 計算結果の整理 位相別・濃度別 粒子体積濃度に注目して整理すると 低濃度:粒子間接触期待し難い 位相別 高濃度:多体同時接触 高濃度:衝突より接触? 濃度別 Bagnold 則成立領域 N=0.4~0.5 • 粒子間衝突の支配的領域の位相変化確認 加速位相 増加 減速位相 減少 MPS法 (DEM-MPS) 激流下での 移動床シミュレーション MPS法を用いた激流下 移動床シミュレーション 渓流河川・砕波帯や波打ち帯 • 跳水や砕波を伴った激流 • 自由水面の顕著な変動 • 底質土砂輸送に影響 非定常性の強い激流下での土砂輸送 • 計測困難 • 十分な理解が得られていない領域 MPS法 • 物理量をLagrange観測 • 移流項による数値拡散ない • 激流で生じる水塊の 合体・分裂の自由表面を シャープに捉える • 計算点の相互作用によって基礎式が離散化 • 粒子間斥力に起因した圧力擾乱発生 • 混相乱流計算への適用の妨げ 近年の高精度粒子法の開発 • 大幅な圧力擾乱の低減に成功 • 激流計算に対する 高精度流体解析手法の整備が進む Lagrange型 流体解析手法 高精度MPS法 + Lagrange型 粒子追跡手法 DEM を用いた激流下移動床シミュレーションに着手 波打ち帯漂砂のシミュレーション 波打ち帯 複雑かつ多様な境界が形成 ドライベッド上の打ち上げ 底面せん断力の急変 寄せ波・引き波の干渉 顕著な水面変動 地下水面 浸透・滲出流 これらの効果 汀線変化 漂砂量の評価 に対して重要 固液混相流 薄層の流れ 〜 直接計測が難しい シミュレーションの枠組み • 寄せ波と引き波の干渉による砕波 顕著な水面変動 高精度粒子法 • 浸透・滲出流 境界層構造に影響 粒子運動に影響 個別要素法適用 MPS・DEM を用いたシミュレーション Shields数の比較から浸透・滲出効果を検討 数値モデル 簡便な取り扱い 流体解析 固相粒子 CD 大きい値を使用 2D計算 噛み合わせ 計算領域と条件 対象は礫浜 Gravel: 比重2.65, 粒子径ds=5mm Plastic: 比重1.81, 粒子径dp=5mm 体積比 G:P=7:3 1/7勾配 不透水性斜面 15cmの移動床 波高 H=10cm 周期 T=2.2s 水粒子径 5mm 浸透・滲出の効果 modified Shields parameter by Nielsen (1997) Shields数 vs. 修正Shields数 浸透:w‘<0 滲出:w‘ >0 k:透水係数 飽和:Kozeny-Carman式, 不飽和:Irmay式 アニメーション 1 0 -1 0 1 -1 u:DEM粒子と重なっている水粒子 w:DEM粒子と重なっている水粒子 up wp up 砕波 wp 掃流粒子 u w 浸透 寄せ波 u 掃流粒子 浸透 w 引き波 u w Ψb ー Ψ t/T=1~2 t/T=9~10 寄せ波と引き波の干渉 ーーー 遡上波先端 浸透流の効果確認 ➡ 漂砂量予測に対する 浸透流の重要性 浸透効果 確認 step and pool のシミュレーション 特徴的な階段状の縦断河床形状 礫集積部(step)とそれに続くpool の連なり 広い粒度分布の材料から構成 急勾配かつ流路幅が狭い 流速変動が大きい 洪水時の流砂量や粒度分布は大きな変動を伴う まとめ LES-DEMやMPS-DEMのシミュレーションは計算負 荷は高いが、得られる数値データは移動床の内部 構造の理解に有効である。漂砂量則の精度向上 や適用範囲拡大にも期待がもてる。さらに、構成 則の考察にも期待される。 計算機性能の向上に従って、扱える計算規模が増 大することから、この種のシミュレーション手法は 今後の流砂・漂砂力学の発展に貢献すると考えて いる。
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