問題のヒント - 円満相続遺言支援士

28.6.23 問題のヒント 問題1のヒント ① 親の介護をしている子(A)は、遠方にいて介護をしない子(B)に不満を持つ。 Aは親の介護の負担はあるものの、同居しているので住宅ローン等の居住費の負担が少な
く、親の預金を使える立場にある。Bは住宅ローン等の居住費の負担が大きいものの介護
の負担はない。 AはBが介護の負担をしないことに不満を持つ。BはAの介護の仕方に不満を持つ場合が
あり、さらに、Aが親と同居することで居住費負担がなく、親の資金が使えることに不満
を持つ可能性がある。 ② 先妻の子と後妻は夫を介して作られた縁である。 夫が老後を迎えたころ妻が死亡し、その後、夫は後妻を迎えた場合、先妻の子は母を忘れ
きれず再婚した父を許す気になれない。 夫と先妻が築いた財産が、将来、後妻に移ることになる。先妻の子からすれば、後妻に権
利が生ずることに納得できない。 ③ さらに、後妻に子ができるとその子を許す気にならず不満が生ずる場合がある。 問題2のヒント 相続人に「相続させる」という遺言書がある場合は、たとえ遺言執行者が定められている場合
であっても、相続人が単独で土地を登記できる。 問題3のヒント 遺言書には法的効力を持つ遺言書と思いの遺言書(付言事項)がある。 法的効果を持つ遺言書は、大別すると財産等の処分に関する遺言と、身分に関する遺言がある。
思いの遺言書(付言事項)は、遺言者の思いを記載する手紙である。遺言内容が法定相続分と
合致しない場合、その理由を書くことで、相続争いを未然に防ぐ効果が期待できる。 法的効果を持つ遺言書は、その文面の加除訂正を厳格に守らないと無効となることがある。し
かし、思いの遺言書(付言事項)は、お手紙であるので、加徐訂正にルールはない。従って、
両者は別々の用紙に書くことを勧めている。 問題4のヒント 民法第 887 条、890 条、939 条、 相続人になる順位は、子、直系尊属、兄弟姉妹である。妻は常に相続人となる。 相続人であるAは相続放棄をしている。相続放棄をすると初めから相続人でなかったものとみ
なされるので、Bは相続人とならない。従って相続人は兄弟姉妹となるが、Cとその代襲相続
人Dも死亡している。
(Eの再代襲はないので相続人にならない。
) 設問の相続人は妻のみとなり、妻が全ての財産を取得する。 問題5のヒント 民法第 727 条 887 条 2 甲とAは、養子縁組の日から、血族間におけると同一の親族関係になる。 したがって代襲相続については、次のような取り扱いとなる。 ⅰ.Cは養子縁組日以前に生まれている・・・養親の代襲相続になれない (理由)甲の直系卑属とならないから。
ⅱ.Dは養子縁組日以後に生まれている・・・養親の代襲相続になれる。 (理由)直系卑属となるから。 問題6のヒント 民法第 951 条~第 959 条 ①近年、相続人がいない相続が多くなってきた。設例の場合の内縁の妻は、家庭裁判所に相続
財産管理人の申立をすることで遺産の分与を受ける事ができる。 ②上記で処分されなかった財産は、国庫に帰属する。 ③相続財産管理人も誰でもなれる。しかし、裁判所は、申立人が選任者を推薦した場合、選任
者の資力や信用力等を加味して選任しているようである。 問題7のヒント 民法第 1023 条 前の遺言と後の遺言との抵触に関する問題である。 遺言書は日付の新しいものが有効、従ってAが書いた遺言書は 3 通あるから最後の遺言書が有
効という事になる。
(公正証書遺言も自筆証書遺言も遺言書には変わりが無い) 前の遺言と後の遺言が接触するときは、その接触する部分については、後の遺言で前の遺言を
撤回したものとみなす。 絵画は、前後の遺言に抵触するので、最後の遺言書である長女が受遺者となる。 高級腕時計は、遺言の抵触がされないので、最初の遺言書の通り長男が受遺者となる。 問題8のヒント ①遺言書を書いた後、遺言内容を変更したくなる場合がある。 自筆証書遺言は自宅で簡単に書けるが、保管方法に苦労する。公正証書遺言は費用がかかり
証人 2 人以上の立ち会いが必要だが、公証役場が保管するので保管が楽である。公正証書遺
言は、後日遺言書に関する争いが起こった場合、公証人が書いて保管するので自筆証書遺言
よりは確実である。 そこで、遺言内容が固まるまでは自筆証書遺言で書き、遺言内容が固まったら公正証書遺言
とすることを勧めている。 ②自筆証書遺言も公正証書遺言もどちらも法的効果があるが、最後に書いた遺言書を優先する。
③財産の所有者は、遺言により自分の意思で財産を他人に遺贈できる。 問題9のヒント 民法第 968 条 ①遺言書は、遺言者が特定できれば、普段使用している文字でも有効である。例えば戸籍が「中
澤」でも普段「中沢」を使用し特定できればどの文字でも良い。 ②自筆証書遺言に、指定用紙などはなく、ひな型も自由である。 ③自筆証書遺言を書く人は、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければなら
ない。 問題10のヒント 民法第 974 条、969 条 公正証書遺言は原本、正本、謄本が作成される。原本はそのまま公証役場に保管され、正本と
謄本は遺言者に渡される。もし、この正本と謄本が紛失しても公証役場に原本があることから、
謄本を請求すれば再発行してもらえる。 ①公証人が作成して保管する遺言書を公正証書遺言という。公証証書遺言は遺言者が遺言趣旨
を公証人に口授し公証人が作成する。 ②公正証書遺言書の作成に当っては 2 人以上の証人が立ち会うこととしている。 ③この証人には推定相続人、受遺者及びその配偶者並びに直系血族等はこの証人になれない。
全国相続協会会員が証人になると相続の予約となる。 問題11のヒント 民法第 1004 条 ①自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認を受けなければ遺言執行の手続きをすることができない。
検認とは、遺言書が他の者によって書き換えられたり、作り変えられたりすることを防ぐ目
的で、家庭裁判所が遺言書の存在を確認する作業である。遺言書が検認されたといってその
遺言書が法的に問題がないことを証明するものではない。あくまでも遺言書の存在を確認す
るだけである。検認は証拠保全手続きである。 ②公正証書遺言は、遺言書作成が公正証書によって作成されたものであることから、証拠保全
の必要がないので検認の必要はない。 ③自筆証書遺言の保管者や発見者は、速やかに、家庭裁判所の検認を受けなければならない。
問題12のヒント民法第1028条、1029条、1042条 被相続人は、遺言で財産を自由に遺贈できる。しかし、一定の相続人の生活を守るためにその
遺言に反して一定の額まで受け取る権利を認めている。これを遺留分という。 ① 遺留分の権利を持つのは、相続人のうち配偶者と直系卑属と直系尊属である。兄弟姉妹に
は遺留分の減殺請求権は無い ② 遺留率は次の通りである。 ⅰ直系尊属のみが相続人の場合・・・・被相続人の財産の3分の1 ⅱ上記以外・・・・・・・・・・・・・被相続人の財産の2分の1 ③ 遺留分減殺請求できる期限の時効 ⅰ、遺留分侵害を知った日から 1 年以内の日 ⅱ、相続の開始の日から 10 年超の日 ⅲ、ⅰとⅱの早い日までに遺留分減殺請求権を行使しないと時効で消滅する。 問題13のヒント 民法第 906 条 遺産分割をする場合は、遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、
心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮して決める。 現在、相続人は仲良しといっても、孫の代まで現状でいられるとは限らない。特に不動産の共
有登記は避けたほうが良い。自社株は後継者Aが相続することで、会社の経営が安定する。 問題14のヒント 土地を評価するときに用いられる時価とは、第3者間で取引される価額をいう。しかし、実際
に取引が行われていないので時価を算定することは難しい。 そこで時価を固定資産税の評価額、相続税評価額、国土交通庁の公示価格、不動産業者の意見
を参考にした価額を時価とみなす方法を裁判所は指導している。 勿論、財産分割の時価は、相続人間で合意した価額であればどの価額でも差し支えない。 ①固定資産税の評価額は、時価よりかなり低く設定されているので、その価額を財産評価にす
るのは適さない。 ②時価を相続税の評価額で確定することは合理性があり妥当である。また、国税庁は、公示価
格の 80%を相続税の価額と公表している。従って、固定資産税の評価額の 1.25 倍を時価と
することもある。 ③不動産業者に査定を依頼した評価額を参考にするのも合理性があるが、業者によって判断基
準が異なるので複数の業者に査定を依頼して、合理的に判断する方法も説得力がある。 問題15のヒント ①相続税を計算するときの土地の評価には路線価方式と倍率方式がある。路線価方式は路線価
に土地の形状等に応じて補正した後、その土地の面積を乗じて計算する。倍率方式は、路線
価が定められない地域の評価方法である。固定資産税の評価額に一定の倍率を乗じて計算す
る。 ②被相続人が居住した土地は 330 ㎡まで 80%評価減額される制度がある。 ③相続税の課税価格から基礎控除額を控除して課税遺産総額を求める。この基礎控除額は
「3000 万円+600 万円×法定相続人」である。 問題16のヒント ①被相続人の相続人が農地を取得して農業を引き継いだ場合には、農地に関わる相続税額の一
部が猶予される。この猶予された相続税は、農業を 20 年間継続するなどの一定の条件に該
当すると免除される。 ②配偶者が取得した財産が、配偶者の相続分又は 16,000 万円以下の財産であれば相続税はか
からない。 ③財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫を含む)および配偶
者以外の人である場合は、その人の相続税額を 2 割加算する。 問題17~27のヒント ※各問題の最後にヒントが付いています。 28のヒント 1.民法 877 条は法律上の扶養する範囲を定めている。 2.民法 968 条で自筆証書遺言の方式を定めている。 3.遺言執行者は、遺言書の内容を実現する者をいい、民法 1012 条でその者の職務権限を定
めている。 4.遺留分とは、相続財産を取得することが保障される相続人の権利をいう。 法定相続人の遺留分は次の通りである。 ①兄弟姉妹には遺留分がない。 ②相続人が直系尊属のみの場合は、被相続人の財産の1/3が遺留分である。 ③上記以外の場合は、被相続人の財産の1/2が遺留分である。 問題29のヒント 1.弁護士法 72 条の規定。非弁護士行為に注意が必要である。 国民がする遺言執行人や相続財産管理人の引受は誰でも受託できます。 さらに、円満な相続の相談等は、争いを未然に防ぎ、社会正義を実現する上で大切です。
したがって、これらの行為には、事件性がなく、国民が当然なすべき義務であって、それ
が、法律の解釈の相談であっても、弁護士の職務内容に抵触しないものと考えられます。
2.行政書士法第1条の 2,3 の規定。行政書士法違反にならないよう注意が必要である。 3.税理士法第 2 条の規定。税理士法違反にならないよう注意が必要である。 4.
「相談に応ずる」という規定は税理士法基本通達 2-6 に掲げられている。 5.司法書士法 73 条の規定です。司法書士は税理士と同じ報酬について条文が無いことから
無償で行った行為も司法書士法違反と考えられる。 問題30 (1)相続の歴史観を確認の問題である。 (2)民法相続法の全体像を理解するのに役立つ問題である。