脳のはなし、 神経のはなし ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ 第 回 13 もの忘れ③ 親仁会佐藤病院 神経内科 田村洋平 認知症はそれほどたいしたもので たようです。かかり はないのに、もの忘れ症状を助長す つけのドクターが るようなことが時々あります。先日こ 親身に対応してく んな方が相談にみえました。 れて、いろいろと薬を考えてくれたよ 73歳男性のAさんは、奥様とお嫁 うです。その痛み止めのなかには、眠 さんに連れられて外来を受診されま くなる成分が入っている薬がありま した。奥様の話では、最近Aさんは日 した。 中にボーっとする時間が多く、声をか 実は最近よく痛みに対して使用さ けても返事がないこともあるとのこ れるようになった薬のなかには、眠気 と。居眠りも増えたようです。以前は をだす薬があります。Aさんの場合 趣味の将棋の本をよく読んでいらし は、この痛み止めが悪さをして日中 たようですが、最近は本を読む様子 の集中力を低下させ、ひいてはあた がまったくありません。1か月前くら かも認知症のようにみえてしまった いから目立つようになってきたとの わけです。状況をお話ししてこの薬 ことです。前回お話した長谷川式簡 をやめると、Aさんの症状はすっかり 易知能評価スケールを行うと25点 良くなりました。 でした。まあまあの点数です。 生活の中には記憶や集中力に影 よくよく話を聞くと、3か月前から 響をおよぼすことが多く隠れている 腰痛のため整形外科にも通い始め ので、ちょっと注意が必要ですよね。 ■佐藤病院 宇都宮市西3丁目1-11 028(633)9261 www.sato-hosp.jp/
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